・納骨堂の「室内墓所」とは?
・室内墓所のメリット、デメリットとは?
・室内墓所が向いている人、いない人は?
・納骨堂や室内墓所の契約の仕方は?
・納骨堂や室内墓所、契約前のチェックポイントは?
納骨堂の一種である「室内墓所」は、室内にお墓がある施設です。
参拝スペースに案内される自動搬送型の室内墓所や、室内にお墓が並ぶ施設もあります。
本記事を読むことで、納骨堂の一種「室内墓所」とはどのような施設か?メリット・デメリットや向いている人、契約の流れや注意点、チェックポイントが分かります。
納骨堂の「室内墓所」とは?
◇「室内墓所」とは、納骨堂の一種です
納骨堂のなかのひとつの種類「室内墓所」とは、「室内墓苑」「室内墓地」などとも言われ、建物の屋内にあるお墓を差します。
室内墓所は、少子高齢化や若年層の人口減少などによるお墓の継承問題により、お墓や遺骨の管理・供養の負担や継承の負担を軽減するために生まれた、新しい供養の形です。
●お墓の継承問題を解消
・都市部での土地不足
・都市部での墓地不足
・地方から都市部への移住
・地方住民ので高齢化
また納骨堂の一種だる室内墓所は、多くの施設で永代供養が付いています。
「永代供養」とは、管理者が家族に代わり、半永久的な永代に渡って遺骨の供養・管理を行ってくれるサービスです。
納骨堂の室内墓所には、室内に墓石のお墓が並ぶ施設と、参拝スペースに骨壺が搬送される自動搬送型の施設があります。
納骨堂と室内墓所の違い
◇室内墓所の多くは、家族単位の納骨ができます
納骨堂と室内墓所の違いは、基本的にはあまりありません。
けれども個人や夫婦の遺骨が安置される納骨堂とは違い、室内墓所は家族単位での納骨による契約が多い傾向です。
・お墓へ参拝できる
・家族単位で納骨できる
・遺骨の個別安置期間が比較的長い
(15回忌、25回忌、33回忌など)
もともと永代供養が付いた納骨堂も室内墓所も、継承者問題解消に役立つ施設で、契約者も後々の継承者不在による無縁墓化への対策であることが多いでしょう。
けれども室内墓所は、よりお墓の管理・維持がしやすい点に重点を置く傾向があります。
室内墓所は永代供養墓
◇室内墓所の多くは、継承者を立てる必要がありません
納骨堂の一種である室内墓所は、永代供養により継承者を必要としないため、無縁仏への心配が解消されます。
ただし一方で、契約更新がないまま契約時の一定期間が過ぎた時には、ご遺骨は合祀墓で合祀され、他のご遺骨と一緒に合同供養されるシステムが多いです。
納骨堂「室内墓所」のメリット
◇納骨堂の一種「室内墓所」は、お墓と納骨堂の良いところ取りです
納骨堂も室内墓所も屋内施設で、人々が多く住む都心部近くに立地します。
さらに室内にお墓が建つため、天候に左右されずに参拝できる点はメリットです。
また沖縄では「頻繁にお墓参りをしてはならない」との風習がありますが、これは辺境地に建つ個人墓地が多かったなど、現実的な事情もありました。
けれども納骨堂や室内墓所であれば、日ごろから墓地管理者により、整えられた環境が揃っていますので、行きたい時にいつでも、お墓参りができるでしょう。
(1)天候に左右されない
◇雨の日も安全なお墓参りができます
辺境地に建つことも多い沖縄のお墓では、雨の日にお墓参りに行くと、地面がぬかるんでいたり敷石で滑ったり、転倒してケガをする危険性もあるでしょう。
また、雨の日に傘を差したままでお参りするのは大変です。
けれども屋内墓地ですので、天候や状況に左右されることがありません。
高齢の親族もいる墓前行事でも、より安心してお墓参りができます。
(2)セキュリティの充実
◇墓地へ不審者の侵入を防ぎます
屋外にあるお墓は、いつでも誰でも出入りできるため、不審者が立ち入る危険性も孕んでいますが、納骨堂や室内墓所は、営業時間外は施錠されるでしょう。
また納骨堂や室内墓所の多くが、防犯カメラ・警備保障会社と契約しているため、二重・三重のセキュリティーが期待できます。
(3)アクセスの良さ
◇納骨堂や室内墓所はアクセスの良い立地が多いです
沖縄の個人墓地は、この世とあの世を分けるため人里離れた場所が多く、全国的な墓地も、場所を確保するために郊外に作るケースが多いでしょう。
また現代の人々がお墓参りをしやすい環境を意識して計画された納骨堂や室内墓所が多い点は、大きな魅力です。
(4)費用を抑えた供養
◇お墓の建立と比べて、安い費用で供養ができます
納骨堂や自動搬送型の室内墓所は、お墓(墓石)を建てる必要がありません。
お墓の建立で最も高い要素は墓石ですから、お墓のない納骨堂や室内墓所の場合、格段に費用を抑えることができます。
平均的にも約100万円ほどで、契約後のお墓の掃除やメンテナンスも必要ないので、費用面での負担も軽減されます。
納骨堂「室内墓所」のデメリット
◇納骨堂や室内墓所は、デザイン墓はほとんどありません
室内施設である納骨堂や室内墓所は、お墓のデザインが一律で定められていたり、お墓がある参拝スペースに、故人のご遺骨が搬送されるシステムです。
そのため屋外のお墓や個人墓地に建つお墓のように、お墓の建立時に自由なデザインを採用できる施設は、ほとんどありません。
(1)墓石のデザインは選べない
◇ほとんどの納骨堂や室内墓所で、お墓の形式は一律です
納骨堂や室内墓所ではほとんどの場合、墓石や納骨室のデザインが事前に決められており、仏壇型や位牌型の納骨堂でも、一律でスペースがデザインされています。
そのため納骨堂や室内墓所で、生前の故人の個性を生かした、オリジナリティーの高いお墓を建てたい場合には、屋外墓地が適切です。
(2)施設の老朽化
◇納骨堂や屋内墓所は建物が建つ施設です
住宅が築何十年で老朽化するように、屋内施設である納骨堂や室内墓所も、数十年経つと老朽化が進んでしまいます。
老朽化が進んだ施設では、地震などの天災が起きると建物が倒壊する恐れもあるため、納骨堂や屋内墓所を選ぶ時には下記の確認が必要です。
・建物の強度
・建て替え時の対応
(お墓がどのなるのか)
例えば、分譲マンションと同じシステムであれば、納骨堂や屋内墓所の建て替え時に追加費用が必要になる可能性もあるでしょう。
この場合、お墓の使用権に関してトラブルが起きるかもしれません。
不明な点は管理者に質問し、不安を解消しておきましょう。
(3)お墓参りシーズンの混雑
◇納骨堂や室内墓所では、屋外と比べて混みがちです
屋内施設である納骨堂や屋内墓所では、屋外の霊園や墓地と比べて、お彼岸やシーミー(清明祭)などのお墓参りシーズンに混雑しやすい傾向にあります。
自動搬送型の屋内墓所では、訪れた順番ごとに参拝スペースへ案内されるため、混雑すれば待ち時間も長くなるでしょう。
このようなことから、お墓参りシーズンを避けるなどの工夫が必要です。
(4)ご遺骨は個別の安置期間がある
◇ご遺骨は契約した安置期間の年数が過ぎると、合祀墓に合祀されます
納骨堂や室内墓所は永代供養が付いています。
そのため契約したご遺骨は永代に渡り管理・供養がされますが、契約時に定めた一定期間が過ぎると、合祀墓に合祀され、合同供養になる点は理解したいポイントです。
一般的な納骨堂や室内墓所での契約期間は一般的に約33回忌、通常のお墓でも供養を辞める「弔いあげ」をする時期です。
お墓の継承も視野に入れている場合トラブルにならぬよう、契約時に確認します。
納骨堂の室内墓所に向いている人
◇継承者を必要としないお墓を建てたい人が向いています
納骨堂や室内墓所は、現代に新しい形の供養方法のひとつなので、お墓のデザインや供養方法にこだわりのない人におすすめです。
・安い費用で手厚く供養したい
・いつでも気軽にお参りしたい
・高齢によりお墓の維持管理が困難
・宗教宗派にこだわらない
室内のお墓は初期費用が安く、アクセスも良い場所にありますので、費用を抑えたい人や一人で気軽にお参りしたい方、高齢者におすすめです。
また沖縄では菩提寺がないため、信仰によるトラブルはほとんどありませんが、室内墓所は、特定の宗旨宗派に縛られることがありません。
むしろ宗旨宗派にこだわりがない場合、宗教ごとのマナーを気にする必要がないため、より伸び伸びとお墓参りや供養ができます。
納骨堂の室内墓所が向いていない人
◇一方で供養方法にこだわりがある人には適していません
繰り返すようですが納骨堂や室内墓所は、お墓の継承者問題が深刻化した昨今、継承者を立てる必要がない、お墓の維持管理への負担が軽減するために登場した、新しい供養の形です。
そのためオリジナリティーのあるお墓を建てたい、広々と個人を埋葬してあげたい、など、供養方法にこだわりがある人々には、あまりおすすめできません。
・遺骨は必ず納骨したい
・オリジナリティーあるデザイン墓を建てたい
・広い区画で埋葬供養したい
納骨堂や室内墓所は、あらかじめ一律でデザインが決まっているため、、お好みの墓石やこだわりのデザインがある方には向いていない供養方法です。
また広い場所で埋葬してあげたいと考える人も、室内墓所はおすすめできません。
室内という限られたスペースであるため、広さは制限されてしまいます。
納骨堂「室内墓所」契約までの流れ
◇一度見学をして、不安箇所は臆せず相談をしましょう
納骨堂の一種である室内墓所も、一般的な納骨堂の申し込みと同じ流れです。
まずは納骨堂や室内墓所の資料を何社か請求して、比較検討しましょう。
ご遺骨の個別安置期間や供養の頻度、合同供養での参加の可否など、不安な点までチェックします。
<納骨堂「屋内墓所」契約までの流れ> | |
(1)資料の請求 | ・個別安置期間 ・合同法要の頻度 ・合同法要参加の可否 ・個別法要の可否 …など。 |
(2)現地見学 | ・参拝方法と流れを確認 ・参拝順路を歩く ・参拝場所は合同か個別か ・個別法要の可否 (個別法要スペースの有無) ・ロウソクやお線香の扱い |
(3)契約 | ・料金の支払い ・振り込み ・契約をする (場所の確保) |
(4)納骨 | ・永代供養 |
自動搬送型の屋内墓所の場合、参拝時に故人を偲ぶため、お墓に写真を投影する施設もあります。
このような施設では、在りし日の故人の画像など、通常の契約書類の他に、必要なものを求められることがあるので、見学時に確認を取ると、余裕をもって準備ができるでしょう。
契約時の必要書類
◇身分証明書や認印などを準備します
納骨堂や室内墓所を契約する必要書類は、主に身分が証明できる書類、住民票などが一般的です。
納骨したいご遺骨がある場合、火葬場で発行された「埋葬(埋蔵)許可証」や、墓じまいにより発行された「改葬許可証」も必要になります。
施設により必要書類が異なりますので、資料や見学時に確認をして、二度手間のないようにすると良いでしょう。
<納骨堂「屋内墓所」契約までの流れ> | |
(1)本人確認書類 | ・運転免許証 ・パスポート ・マイナンバーカード …など。 |
(2)認印 | |
(3)住民票 | ・本籍、世帯員記載 ・6か月以内取得のもの (戸籍謄本の場合もあある) |
(4)銀行口座 | ・口座番号が分かるもの (通帳など) ・口座のお届け印 |
上記の他に、契約終了後に料金に充てられますが、申し込み手付金が必要なケースもあるでしょう。
また緊急連絡先や、お墓に家紋が入れられる場合に希望するなら家紋名称、お墓のモニターに投影する写真や映像が求められる施設もあります。
事前に確認して余裕を持って見学や手続きを進めましょう。
契約前のチェックポイント
◇高齢になった時の参拝も想定して見学します
もともと納骨堂や室内墓所は、高齢になっても参拝のしやすいバリアフリー施設が多く、アクセスの良い立地です。
ただ環境は施設によって異なりますので、実際の参拝を想定して、駐車場の台数や駐車場から参拝施設までの距離などを確認しながら見学します。
また高齢になると運転免許証を返還するなどの変化も起こりますので、送迎バスや公共機関まで、チェックすると安心です。
送迎バスの運行状況
◇送迎バスがあるか、運行状況を確認します
納骨堂や室内墓所に限らず、お墓参りのしやすさはポイントのひとつです。
沖縄でのアクセスは車がメインですが、高齢になっても車に乗れるかどうかは分かりません。
そのためバス停や公共交通機関、専用の送迎バスがあるかを確認しておくと、将来のお墓参り環境を計ることができます。
施設が管理する範囲
◇納骨堂や室内墓所施設で、どこまで管理してくれるのか確認します
自動搬送型の納骨堂や室内墓所である場合、ご遺骨は個別に管理されて、参拝時に公共の参拝スペースに搬送されるので、個別の管理区画はありません。
けれどもお墓が並ぶ室内墓所の場合、個別区画があるので、定期的なメンテナンスが必要になる可能性も出てきます。
例えば屋外墓地では、共用部分が墓地管理者側が管理し、個別の墓地区画は墓主が、草刈やお墓掃除などのメンテナンスを行いますよね。
高齢になり定期的なお墓のメンテナンスが困難で、室内墓所を利用した場合には、目的が果たせず本末転倒です。
スタッフの体制
◇営業時間にスタッフが常駐しているかを確認します
納骨堂や室内墓所では、一般的に営業時間はスタッフが常駐しているでしょう。
けれども公営の納骨堂などでは、スタッフがいないことも珍しくありません。
スタッフが絶えず常駐している納骨堂や室内墓所だと、安心してお任せできます。
まとめ:納骨堂の一種が「室内墓所」です
納骨堂のひとつの種類である「室内墓所」は、屋内施設にお墓が建つ形式です。
自動搬送型の室内墓所では、参拝スペースに案内されてお参りができるため、常に整えられた環境で参拝ができて、定期的なお墓のメンテナンスも必要ありません。
また実は納骨堂や室内墓所以外にも、自宅にお墓を建てる「自宅墓」がありますが、自宅墓は「室内墓所」とは供養方法が異なります。
自宅墓は自宅に親や祖父母など複数の骨壺などを保管し、供養を行う手元供養の一種です。
自宅墓はお墓参りに出かける必要がないというのも、自宅墓の魅力の一つですが、ご遺骨を管理できなくなった場合には、何らか別の供養が必要になります。