沖縄でミニ仏壇がグリーフワークに求められる理由

2021.08.11
沖縄でミニ仏壇がグリーフワークに求められる理由

沖縄ではミニ仏壇による供養の形が広がっていますよね。ご先祖様を家神とする沖縄では一代につき一組の夫婦のみが祀られるため、思うように供養ができないと悩む人々もいました。そのなかで儀礼ではなく心で供養する仏壇を改めて仕立てるケースが増えています。今回は、沖縄でミニ仏壇を仕立てる体験談とともに、ポイントや注意点をお伝えします。

沖縄ではミニ仏壇による、より個人的な供養の形が広がり始めていますよね。

火の神(ヒヌカン)信仰・御嶽信仰と並んで先祖崇拝を3柱のひとつとする沖縄では、仏壇と言えば先祖代々の祖霊を祀る祭壇をイメージします。

ただ、このような従来の沖縄の仏壇に祀ることができる故人は一代につき一組の夫婦と限られており、その他の家族は脇位牌や下げ位牌(サギブチダン)となるため、近しい家族は思うように供養ができない…、と悩む人々も多くいました。

そのなかで、近しい故人を儀礼ではなく心で供養したいとして、ベッドルームなどにミニ仏壇を仕立てるケースが増えています。今では、血の繋がりのある家族や夫婦を超えて、近しい友人や知人まで、沖縄で仏壇を仕立てるケースが産まれています。

今回は、沖縄でミニ仏壇を仕立てる体験談とともに、ポイントや注意点をお伝えします。

昔ながらの沖縄のお仏壇ルール


昔ながらの沖縄のお仏壇ルール
沖縄の仏壇は日本のなかでも大きいことで有名です。昔の沖縄では建築時からお仏壇のスペースを設け(例えお仏壇を入れる予定がなくても)、平屋戸建ての中央に大きなスペースを取っていました。

近年の沖縄の家でも、仏壇を入れるために押し入れをひとつ開ける家が多くありましたが、冒頭でお伝えしたように、沖縄では家族全てがこの仏壇に祀られる訳ではありません。

独身のまま亡くなった女性や、離婚して戻った女性、また嫁ぎ先で亡くなったとしても、亡くなってからイフェー(位牌)を生家に戻される女性もいます。また、幼くして亡くなった子どもは、沖縄のお仏壇で祀られない家もありました。

【 沖縄でミニ仏壇が求められる理由☆沖縄仏壇 】

☆ このような沖縄の家の仏壇に祀ることができないイフェー(位牌)は、「下げ仏壇(サギブチダン)」として、家の台所などでひっそりと祀られてきました。

→ 沖縄では父方血族の「門中墓(むんちゅうばか)」がありますが、このお墓にも入ることができないために、敷地内に小さなお墓を建てて納骨します。

※ 地域や家、門中によってしきたりはさまざまです。

また、メインの沖縄仏壇には「一代につき一組の夫婦」ですから、嫡男のみが祀られます。次男以下の兄弟は、自分達の家で新しくイフェー(位牌)を仕立ててタチクチ(元祖)となりますが、次男以降の男性も独身で亡くなることがありますよね。

このような次男以降の兄弟の場合は、「脇位牌(わきいはい)」として、メインの沖縄仏壇の脇にお仏壇を仕立てて祀られます。

※ メインの沖縄仏壇に祀られることのないイフェー(位牌)や、継承者のいない沖縄の仏壇については、下記をご参照ください。

沖縄トートーメーの新しい形☆負担のない継承が広がる
コロナ禍の沖縄で広がるトートーメー☆タブーなき拝み

 

故人の心を供養する新しい流れ


故人の心を供養する新しい流れ
ただこのような沖縄仏壇のルールは、沖縄で個人ではなく「ヤー(家)」を守ることを第一としてきた時代のものです。

けれども現代では、より個々の故人の魂を供養し、弔いたい人々が増えてきました。またその昔から、一部の沖縄の人々のなかには、「思う存分子ども(家族)を供養したい」として、陰ながら台所で故人の魂をひっそりと供養してきた母がいました。

門中(むんちゅう)やヤー(家)からより自由になり、それぞれが自分の意志で、個々の故人の魂を偲び、弔い、供養することができるようになったのです。

【 沖縄でミニ仏壇が求められる理由☆部屋で弔う 】

☆ 昔ながらの沖縄の下げ仏壇(サギブチダン)は質素で、台所に置くとするヤー(家)が多くありましたが、今では生前を知る親や家族が、より身近で供養したいとする流れが起きています。

→ 例えば、女性や子どもであれば白やピンクの可愛らしい棚上仏壇を仕立てて、朝や夜に「おはよう」「おやすみ」と声を掛けながら、気軽にお水やジュースをあげたり、お菓子を供えて話をしたいと、ベッドルームに置くケースは多いです。

昔から伝わる沖縄の仏壇には先祖代々のイフェー(位牌)が祀られていますので、気軽にお話をする感覚ではありません。

沖縄の「故人は七代目に家を守る神になる」の信仰から、近しい故人への想いを伝える存在ではなく、神様に家の安泰を祈願する、感謝する存在に近いです。

この点、近年広がる沖縄のミニ仏壇や棚上仏壇は、より故人の心を偲び供養する、そして生き残った人々の心を癒す、グリーフケアの役割を果たしています。

 

イフェー(位牌)問題を乗り越えて


イフェー(位牌)問題を乗り越えて
沖縄では仏壇やお墓を中心に家族親族が集まり宴を催す風習があるように、お墓やお仏壇を扉として、故人がしばしばこの世に降りてくる信仰は強いです。

神様でもありますが、より人間味のある存在として、お酒を振る舞いご馳走を振る舞い、賑やかに故人も輪に入ります。

沖縄の故人との繋がりはとても温かなものなのですが、先祖崇拝が深いだけに、イフェー(位牌)の扱いにさまざまなタブー(禁忌)があり、継承に悩んだり、思うような供養ができない…、などの悩みが産まれがちでした。

【 沖縄でミニ仏壇が求められる理由☆イフェー(位牌)なくとも 】

☆ そのため、なかには供養をしたい故人のイフェー(位牌)自体を仕立てることができないケースもあります。

→ この時にもお墓とお仏壇は繋がっているとして、イフェー(位牌)がなくともお仏壇を仕立てるケースが増えました。

故人と繋がりたいとして、お墓でヒラウコー(平線香)を焚き、その灰を持ち帰って、仕立てた仏壇のウコール(香炉)に入れるケースも見受けられます。

昔ながらの沖縄のお仏壇ルール

いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で広がる新しい仏壇の形についてお伝えしました。先祖崇拝による代々イフェー(位牌)の儀礼的な供養から、より生前の故人を知る人々による、心の供養へと変容が起こっています。

これは門中(むんちゅう)やヤー(家)、より大きなところで言えば国などの大きな集まりから、個々の心や意思へと変容しつつある、今の世の中と似通っていますよね。

その奥には残された人々、イチミ(生身)自身の心をケアするためのグリーフワークでもあり、故人を偲びながらも、残された人々がいかに今を生きるのかにも繋がっています。

まとめ

今、沖縄でミニ仏壇が広がる理由

・先祖代々の沖縄位牌は神様として祀られている
・メインの仏壇に祀ることのできない故人もいる
・台所(下げ仏壇)や脇位牌として祀られてきた
・もっと手厚く供養したい、近しい家族の想いがある
・個々の故人の魂を供養するための棚上仏壇やミニ仏壇
・より暮らしに近いベッドルームなどに仕立てる人が多い
・イフェー(位牌)問題があれば位牌がなくとも仕立てる
・なかにはお墓で焚いた線香の灰を香炉に入れて「繋ぐ」人もいる


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