【沖縄旧暦カレンダー2025】新暦6月(旧暦5月)は五月ウマチー

【沖縄旧暦カレンダー2025】新暦6月(旧暦5月)は五月ウマチー

2025.04.09

2025年6月は沖縄の旧暦5月7日~6月11日、グングァチウマチー(五月ウマチー)の時期です。現代は家計を守る祈願として家庭の行事となっています。本記事では2025年6月(旧暦5月頃)に行われる旧暦行事、ユンヂチやお墓事との関係が分かります。

2025年6月は沖縄では旧暦5月7日~6月11日にあたります。この時期は「グングァチウマチー(五月ウマチー)」と呼ばれる収穫祭が行われてきました。また2025年の旧暦6月は、2回続く「閏月」にあたる月であり、この時期はお墓事の準備もおすすめします!

もともとは琉球王朝時代に農耕儀礼として盛大に行われてきましたが、現代では家庭の「家計」を守る祈願として、家族で行う人々が再び増え始めています。

本記事を読むことで、2025年6月(旧暦5月・6月)に行われる沖縄の旧暦行事とともに、旧暦の月が2回続く「閏月」やお墓事との関係が分かります。また、後半では、旧暦6月に八重山諸島で行われる豊年祭「プーリィ」についても触れていますので、どうぞ最後までお読みください。

新暦2025年6月に行われる沖縄の旧暦行事は、収穫祭となる「グングァチウマチー(五月御祭)」があります。

また、本来はこの時期、宮古島・石垣島・竹富島などの八重山諸島では、種子取祭(豊年祭)として「プーリィ(麦プーリィ)」が盛大に開催されるのですが、2025年は旧暦6月こそが、旧暦が2回重なる「ユンヂチ(閏月)」です。

そのため、プーリィは閏月にあたる2回目に訪れる旧暦閏6月を目安に開催される可能性があります。

<沖縄の旧暦5月の行事(2025年6月)>
  [行事] [旧暦] [新暦]
●沖縄の旧暦行事
[1] ジュウグニチの拝み
(十五日の拝み)
・旧暦5月15日 ・2025年6月10日(火)
[2] ・グングァチウマチー
(五月御祭)
・旧暦5月15日 ・2025年6月10日(火)
[3] チイタチの拝み
(一日の拝み)
・旧暦6月1日 ・2025年6月25日(水)
[4] 粟プーズ(宮古島) ・旧暦6月吉日 ・2025年6月25日(水)以降
[5] プーリィ(八重山諸島) ・旧暦6月吉日 ・2025年6月25日(水)以降
●年中行事
[6] ・衣替え
・かりゆしウェアの日
・旧暦5月7日 ・2025年6月1日(日)頃
[7] ・慰霊の日 ・旧暦5月28日 ・2024年6月23日(月 )
●その他
[8] ・父の日 ・旧暦5月20日 ・2025年6月15日(日)
(6月第3日曜日)

 

また全国的には6月1日頃を目途に衣替えがあります。
そのためか6月1日は地球温暖化防止にかりゆしウェアを県外へ広めることを目的として「かりゆしウェアの日」に制定されました!

6月1日はかりゆしウェアのアウトレットや古着交換イベントが開催されたりもしています。

 

[かりゆしウェア]
・【沖縄の葬儀マナー】かりゆしウェアで葬儀に参列。喪服かりゆしの選び方マナーはある?

 

毎年5月の第2日曜日が母の日であるのに対して、父の日は毎年6月の第3日曜日となり、1909年のアメリカで、「母の日があるなら父の日も」と願った女の子から始まったとされます。

 

<父の日のシンボルカラー>
●アメリカでは父の日に白いバラを贈りますが、日本では黄色い花がシンボルカラーです。
…特にひまわりや黄色いバラが好まれます。

 
母の日は亡き母を追悼し、1908年にアンナ・シャービスがグラフトン教会で白いカーネーションを配ったことが由来です。

そして1909年、6人の子を持つシングルファザーを慕う末娘の女の子が、母の日の制定を受け、「母の日があるのなら、父の日も」と、牧師協会に父の日の制定を懇願したことが起源です。

沖縄のウマチー(御祭):家庭の祈願

沖縄で旧暦2月~8月頃に行われるウグァン(御願)行事「ウマチー(御祭)・カシチー(強飯)」とは、琉球王朝から続く農耕儀礼のひとつです。 

琉球王朝時代の農耕儀礼「ウマチー(御祭)」はとても重要な儀礼でした。豊作を祈願する「祈願祭」と、その年の収穫に感謝して、来年の豊作を予祝し祈願する「収穫祭」の、それぞれ2回が行われます。

現代のように旧暦15日をウマチー(御祭)としたのは明治以降、以前は、琉球王朝が吉日を選びました。琉球王朝に仕える神女「ノロ」・神女が白装束を身に付けて、馬で沖縄のウタキ(御嶽)を巡拝し、村の人々がその後について祈願する行事でした。

その後、ウマチー(御祭)やカシチー(強飯)は、大綱引きや角力(相撲大会)が行われ、集落の一大旧暦行事としての特色が強くなっています。集落の神女「ユタ」などを中心として、ウタキ(御嶽)やウガンジュ(拝所)を参拝したり、門中でのウグァン(御願)もあるでしょう。

けれども現代では、次第に集落でのウグァン(御願)も少なくなりました。一方、門中やそれぞれの家庭で家計の繁栄を祈願する参拝も、しばしば見受けるようになっています。

旧暦2月・3月は麦の農耕儀礼、旧暦5月・6月は稲の農耕儀礼、続くカシチー(強飯)は、旧暦6月・8月に行われるお米の豊作祈願となります。

農耕儀礼日付儀礼名
[麦]旧暦2月15日祈願祭「ニングァチウマチー(二月御祭)」
 旧暦3月15日収穫祭「サングァチウマチー(三月御祭)」
[稲]旧暦5月15日祈願祭「グングァチウマチー(五月御祭)」
 旧暦6月15日収穫祭「ルクグァチウマチー(六月御祭)」
[米]旧暦6月24~25日祈願祭「ルクグァチカシチー(六月強飯)」
 旧暦8月9~11日収穫祭「ハチグァチカシチー(八月強飯)」

かつては琉球王朝時代に重要視された、盛大な農耕儀礼でしたが、現代では門中や家庭で行う儀礼へと変化しています。また、ウマチー・カシチー日程のいずれかで、大綱引き大会や角力(相撲)大会を盛大にも催す地域は、現代も残っているでしょう。

これを「ウマチー綱」「カシチー綱」などと呼ぶ地域もあり、宮古島久米島など八重山諸島では一大行事として、毎年出身者が帰省して、盛大に行うこともあります。


観光客に人気の沖縄で行われる大綱引き大会と言えば、那覇大綱引きですが、こちらは観光客に合わせて、スポーツの日を含む3連休で開催されるため、現代ではウマチー・カシチーの日程とは、確実には重なりません。

一方、ローカル大綱引き大会として、観光客に最も知られている糸満大綱引きは、毎年旧暦8月15日のジューグヤ(十五夜)に開催されます。次に有名な大綱引き行事は与那原大綱引きまつりでしょう。

 

行事名開催日備考
那覇大綱引き2025年10月11日(土)~10月13日(月)毎年スポーツの日を含む3連休
糸満大綱引き2025年10月6日(月)毎年旧暦8月15日(十五夜)
与那原大綱引きまつり2025年7月27日(日)毎年旧暦6月26日以降の日曜日

奥間大綱引き我喜屋大綱引きなど、それぞれの地域で、毎年ウマチー・カシチーのいずれかの日程で開催されてきましたが、現代では前後の土日であったり、7月~10月頃を目安に大綱引き行事が開催される地域が多いでしょう。

夏以降に沖縄でそれぞれの地域で大綱引き大会の開催日程の発表が予想されます。沖縄観光で大綱引き行事に参加したい方は、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

ウマチーのお供え物は地域にもよりますが、集落のウタキ(御獄)・ノロ殿内・殿などのウガンジュ(拝所)と、門中の「ムートゥーヤー」と呼ばれる宗家(本家)に祀る神棚へお供え物を供えるのが伝統的です。

場所供物
集落のウガンジュ(拝所)
  • 稲の穂(ある場合)
  • 神酒
  • 花米(ハナグミ)
  • お線香(日本線香15本分)
ムートゥーヤーの神棚
  • 神酒
  • 花米(ハナグミ)
  • 果物の盛り合わせ
  • お線香(日本線香12本分)

 
花米(ハナグミ)とはお米のことです。沖縄の言葉でお供え物は「ウサギムン」と呼ばれ、果物は「ナイムン」とも呼ぶ地域がありました。お線香は沖縄線香・日本線香のどちらでもかまいません。

ウマチー・カシチーは現代、沖縄の家庭において家計を守護する祈願としても行われるようになりました。お供え物や拝み方については、下記コラムもご参照ください。

 

オススメ モダン仏壇
立冬の節に行う沖縄の御願行事

八重山諸島ではウマチー・カシチーではなく、収穫祭として旧暦6月の吉日に「粟プーズ(宮古島)」や「プーリィ(八重山諸島)」を行ってきました。

「粟プーズ」は宮古島の特産物である粟の収穫感謝祭であり、旧暦5月頃、沖縄本島で「グングァチウマチー(五月御祭)」を行う頃には「シツ祭り」収穫祭も行われます。

旧暦祭り内容
5月シツ祭り
  • 粟など農作物の収穫祭
  • 若水(ワカミジ)
  • 初粟のおにぎり
  • お線香(日本線香15本分)
6月粟プーズ
  • 粟の酒
  • お線香(日本線香15本分)

粟プーズは夏プーズ・六月プーズとも呼ばれるでしょう。
シツ祭りや粟プーズはウガンジュ(拝所)である「ムトゥ」へお供えをして、粟や農作物の収穫を感謝します。今年の豊作に感謝をするとともに、来年の豊作祈願をする農耕儀礼が、宮古島のシツ祭り・粟プーズです。

八重山諸島全般では「プーリィ」「プール」などと呼ばれる豊年祭が旧暦6月の時期に行われるでしょう。島々により祭りの形式や祝い方は異なります。

粟プーズは夏プーズ・六月プーズとも呼ばれるでしょう。
シツ祭りや粟プーズはウガンジュ(拝所)である「ムトゥ」へお供えをして、粟や農作物の収穫を感謝します。今年の豊作に感謝をするとともに、来年の豊作祈願をする農耕儀礼が、宮古島のシツ祭り・粟プーズです。

旧暦行事家庭ウガンジュ(拝所)
5月…アイスクマ初穂祭
  • 新米
  • お線香(日本線香12本分)
  • 初穂
  • お線香(日本線香15本分)
6月…プーリィ豊年祭 
  • 神酒
  • 花米(ハナグミ)
  • ご馳走

一例として、1日~2日に渡り行われるプーリィでは、一日目に神女による拝殿参拝が行われ、神酒や花米(ハナグミ)・ご馳走が供えられるウグァン(御願)です(御願プーリィ)。翌日の2日目は、奉納行事・来年の豊作へ向けた、島こぞっての予祝行事となります。

この2日目は島によっては観光客が訪れる儀礼も多く、沖縄では定番の旗頭・エイサー・大綱引きなど、さまざまな祭り行事が開催される魅力的な旧暦行事です。草を被り仮面を付けた「アカマタ・クロマタ」が家庭に訪れる地域もありますね。 

沖縄で菊酒(チクザキ)はなぜ旧暦9月9日なの?

「ユンヂチ(閏月)」とは、新暦と旧暦のズレを調整するために、旧暦の1ヵ月が続けて2度訪れる暦です。ユンヂチ(閏月)は33ヵ月ごとに訪れ、次回は2025年度の旧暦6月です。 
 

沖縄でユンヂチ(閏月)は、そもそも暦のない月とされてきました。そのため神の目が届かないとも伝えられ、日ごろは暦に注意をしなければ、なかなかできないお墓事・仏壇事を進めるのに良い日と言われています。

例えば、建墓祝い・仏壇の新調や交換・墓じまいや仏壇じまい、などですね。また沖縄ではユンヂチ(閏月)が訪れる年は1年を通して「神の目が届かない」とし、いつでもお墓事・お仏壇事ができる言い伝えがあります。

日ごろお墓事・お仏壇事をむやみに進めることは、あまり良しとされません。行う際は旧暦7月7日の「タナバタ(七夕)」や、家族の十二支にあたらない暦など、細かな決まり事がありました。

そのため「神の目が届かず」にいつでも暦を選ばず、お墓事や仏壇事ができるユンヂチ(閏月)の年回りは、家族や親族も集まりやすい日程に調整しやすい便利さもあります。

お墓や仏壇の新調や交換は、本来良いことにも思えますが、沖縄ではあまり良しとされず、ましてや墓じまい・仏壇じまいとなると、ユンヂチ(閏月)を選ぶ家族は多い傾向です。

2025年に1度目のユンヂチ(閏月)が訪れる旧暦6月は、2025年6月25日(水)~7月24日(木)です。旧暦では、旧暦6月1日~6月30日までの30日間ですね。

続いて、再び2回目の旧暦6月である「旧暦閏6月」が訪れます。旧暦閏6月は2025年7月25日(金)~8月22日(金)です。2回目の旧暦閏6月は29日間の旧暦6月29日が最終日です。

沖縄では前述したように、ユンヂチ(閏月)が訪れる年回り1年間全てにおいて、神の目が届かない「カミナシー」とされますが、よりキッチリと暦を絞るならば、旧暦6月ではなく旧暦閏6月にお墓事・お仏壇事を進めると良いでしょう。

 

沖縄の旧暦5月:2024年6月の二十四節気

2025年6月、旧暦5月・6月の二十四節気は小満(しょうまん)→芒種(ぼうしゅ)→夏至(げし)へと移ります。

6月の和名「水無月(みなづき)」、「無」は「の」を意味するので「水の月」です。名前の通り6月は梅雨の季節で、雨が続く一方、農耕では田に水を張る月でもあります。

沖縄では夏至に向かい、いよいよ紫外線対策が本格的になる時期です。また6月1日は夏服に向けた衣替えの日でもありますね。

<2025年新暦6月の二十四節気>
【二十四節気】・小満(しょうまん)…5月21日(水)~6月4日(水)
●七十二候
(末候) 麦秋至
(むぎのときいたる)
・5月31日(金)~6月4日(水)
【二十四節気】・芒種(ぼうしゅ)…6月5日(木)~6月20日(金)
●七十二候
(初候) 螳螂生
(かまきりしょうず)
・6月5日(木)~6月10日(火)
(次候) 腐草為蛍
(くされたるくさほたるとなる)
・6月11日(水)~6月15日(日)
(末候) 梅子黄
(うめのみきばむ)
・6月16日(月)~6月20日(金)
【二十四節気】・夏至(げし)…6月21日(土)~7月6日(日)
●七十二候
(初候) 乃東枯
(なつかれくさかるる)
・6月21日(土)~6月25日(水)
(次候) 菖蒲華
(あやめはなさく)
・6月26日(木)~6月30日(月)

全国行事としては6月30日、上半期の厄を祓う京都の「夏越しの祓(なごしのはらえ)」が有名ですよね。

神社境内や鳥居の下などに、縄でできた大きな輪「茅(ちがや)」が設けられるので、参拝者はこの茅(ちがや)をくぐり、下半期の息災を祈願します。

お手紙における時候のご挨拶は「入梅の候」「梅雨晴れの候」「長雨の候」などがあります。


新暦2025年6月は、旧暦5月4日「ユッカヌヒー(四日の日)」を2025年5月30日(金)、全国的な子どもの日にあたる旧暦5月5日「グングァチグニチ(五月五日)」を2025年5月31日(土)に済ませ、すぐ後から始まる一か月です。

そのため2025年6月は全般を通して、大きな沖縄の旧暦行事は少なくはなりますが、2025年6月10日(火)は、稲の祈願祭「グングァチウマチー(五月御祭)」にあたります。

グングァチウマチーは古くから伝わる農耕儀礼であり、集落や門中でのウグァン(御願)も少なくはなりましたが、現代では一周回って、それぞれの家庭単位での収入の安定「家計の安泰」祈願として、産土神となる近所のウタキ(御獄)やウガンジュ(拝所)を参拝する姿も増えました。

いつの世も家族が将来ずっと、安心して暮らしていくことを願うものですよね。沖縄で食べていく運は「クゥエーブン(食べる運)」、家族のクゥエーブン(食べる運)を祈願しに、近所の神社やウタキ(御獄)、ウガンジュ(拝所)を訪れてみてはいかがでしょうか。

まとめ

2025年6月、沖縄の旧暦5月の年中行事

●沖縄の旧暦行事
①ジュウグニチの拝み(十五日の拝み)    
・旧暦5月15日
・2025年6月10日(火)

②グングァチウマチー(五月御祭)
・旧暦5月15日
・2025年6月10日(火)

③チイタチの拝み(一日の拝み)
・旧暦6月1日
・2025年6月25日(水)

④粟プーズ(宮古島)
・旧暦6月吉日
・2025年6月25日(水)以降

⑤プーリィ(八重山諸島)
・旧暦6月吉日
・2025年6月25日(水)以降

●年中行事
⑥衣替え
・旧暦5月7日
・2025年6月1日(日)

⑦かりゆしウェアの日
・旧暦5月7日
・2025年6月1日(日)

⑧慰霊の日
・旧暦5月28日
・202年6月23日(月)

●その他
⑨父の日
・旧暦5月20日
・2025年6月15日(日)
(6月第3日曜日)

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