【初盆とは】全国の初盆と沖縄のミーボンはどう違うの?沖縄の人が理解したい5つの違い

2023.05.13
【初盆とは】全国の初盆と沖縄のミーボンはどう違うの?沖縄の人が理解したい5つの違い

沖縄の初盆(みーぼん)は家族や身内のみで静かに行う家が多いですが、全国的な初盆ではお坊さんを呼んで法要を執り行う家も少なくありません。今回は、沖縄の人々が知っておくと助かる、本州の初盆に対する習慣や考え方をお伝えします。

・そもそも「初盆」とは?
・他県の親族が初盆だけど、どうする?
・沖縄と全国の初盆の違いは?

昔ながらの沖縄の初盆とは「ミーボン(新盆)」と言い、家族のみで静かに過ごす風習がありました。

けれども全国的な初盆では、親族をご案内して読経供養による法要を執り行う地域が多いのです。沖縄のミーボンとは正反対ですよね。

本記事を読むことで、全国的な初盆とはどのようなものか?他県の親族が初盆を迎える際、沖縄の人が理解したいマナーや考え方が分かります。
 

初盆とは?

初盆とは?
◇「初盆(はつぼん)」とは、人が亡くなり忌中を過ぎ、初めて迎えるお盆です

「忌中(きちゅう)」とは、故人が冥土の道を辿り成仏するまでの四十九日間とされます。浄土真宗以外の仏教宗派では、四十九日を過ぎるまでお盆は迎えません。

ただし全国的なお盆は沖縄の旧盆とは違う日程です。沖縄は旧暦で行うため、全国的なお盆日程とは大きく違いがあります。
 

<全国に多いお盆日程>
・月遅れ盆…新暦8月13日~15日(16日)
・七月盆…新暦7月13日~15日(16日)

 
旧暦の暦をそのまま、新暦に持ってきたお盆が七月盆です。
主に関東圏内に見られ「新盆(しんぼん)」とも言われますが、沖縄のミーボンも「新盆」でややこしいため、本記事では「七月盆」として解説しています。
 

<2024年沖縄の旧盆日程>
・旧盆…2024年8月16日~18日(19日)

 
沖縄の旧盆は旧暦で数えるため、毎年時期が異なりますが、2024年度は沖縄の旧盆は8月末日です。
沖縄の旧盆に合わせて供物を贈ると、すっかり遅くなるため注意をしてください。
 

初盆とは、忌中を避けるの?

◇初盆は、四十九日の忌中を過ぎてから初めて迎えるお盆です

故人の霊が成仏していない忌中の内は、初盆を執り行うことはありません。
これは沖縄でも全国でも共通しています。

ただし浄土真宗では忌中を過ぎていなくても初盆を執り行います(この点は、詳しく後述します)。
 

<初盆とは:忌中を避ける>
[2024年4月1日に亡くなった場合]
・四十九日…2024年5月19日

●初盆の日程
・月遅れ盆…2024年8月13日~15日(16日)
・七月盆…2024年7月13日~15日(16日)
・旧盆…2024年8月28日~30日(31日)

[2024年7月20日に亡くなった場合]
・四十九日…2024年8月22日

●初盆の日程
・月遅れ盆…2024年8月13日~15日(16日)
・七月盆…2024年7月13日~15日(16日)
・旧盆…2024年8月28日~30日(31日)

 
このように故人が亡くなって四十九日前にお盆が訪れた場合、その家の初盆は翌年です。そのため1年間の喪中を明けて初盆を迎える家もあります。
 

浄土真宗の初盆とは?

◇仏教宗派「浄土真宗」では、忌中にお盆を迎えても初盆を執り行います

その理由は浄土真宗の教え「往生即成仏(おうじょうそくじょうぶつ)」の考え方により、そもそも忌中や冥土の道と言った概念がないためです。
 

<浄土真宗の初盆とは>
●「往生即成仏」とは、人は亡くなってすぐ成仏することを差します。

…浄土真宗の御本尊「阿弥陀如来(あみだにょらい)」の他力本願により、人が亡くなると、どのような人でもすぐに極楽浄土へ連れて行ってくれるためです。

 
「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」とは、よく恐怖のシーンで日本人が口にしますが、これが浄土真宗であり阿弥陀如来の力とされます。

全国には仏教宗派がありますが、浄土真宗においては忌中関係なく、故人が亡くなって最初のお盆が初盆です。
 

沖縄の人々が「初盆」で理解したいこと

沖縄の人々が「初盆」で理解したいこと
◇全国には代々家で寺院を信仰する「檀家制度(だんかせいど)」があります

浄土真宗の説明で「仏教宗派とは?」と疑問に思った人もいるかもしれません。
独自の御願文化を持つ沖縄には、そもそも檀家制度がないためです。

近年では宗旨宗派を問わない民間霊園が増えましたが、かつては地域の寺院が管理する寺院墓地に先祖代々のお墓を建て、埋葬してきました。
 

<全国の初盆と檀家制度>
●檀家制度とは
・家で代々信仰する寺院
・先祖代々墓が建つ

 
全国では檀家制度により、お通夜や葬儀、法要など一切の供養を、お墓が建つ寺院墓地のご住職に相談・依頼する習慣があり、初盆法要も同じです。

昔から個人が所有する墓地にお墓を建てる「個人墓地」の風習がある沖縄とは、この点で大きく違うでしょう。
 

「初盆法要は菩提寺に依頼する」とは?

「初盆法要は菩提寺に依頼する」とは?
◇檀家制度では、代々家が信仰する寺院を「菩提寺」と言います

昔から個人墓地が一般的だった沖縄ではピンときませんよね。
全国ではお墓を建て管理する寺院と檀家制度を交わし、その寺院を「菩提寺(ぼだいじ)」「檀那寺(だんなでら)」などと呼ぶためです。
 

<初盆法要は菩提寺に依頼>
●菩提寺(ぼだいじ)、檀那寺(だんなでら)
・お墓が建つ寺院墓地
・代々家が信仰する寺院

●檀家(だんか)
・特定の寺院に入信した家
・檀家は菩提寺にお布施を渡して支援する

 
「お布施」とは仏教の修行として、また寺院への支援としてお金を包み渡す「財施(ざいせ)」です。
ただ現代のお布施は一般的に、寺院のご住職の働きに対するお礼でしょう。
 

・墓地の年間管理料として
・法要の読経供養のお礼として

 
ただし近年では宗旨宗派を問わない民間霊園が増えました。
そこで寺院墓地からお墓を引っ越す「改葬(かいそう)」を済ませて、離檀する家も増えています。

「離檀(りだん)」とは、寺院の檀家から離れることです。
離檀により無宗教になる家も増え、本州の習慣も変わりつつあります。
 

 

他県の親族が初盆を迎える場合

他県の親族が初盆を迎える場合
◇初盆法要に参列するか、お供物や御香典を送ります

他県で親族が初盆を迎える場合、多くは初盆法要を執り行うため、近しい関係性の親族であれば、ご案内が届くかもしれません。
ただ家族のみで初盆法要を行うなど、ご案内がないケースもあるでしょう。
 

<他県の親族が初盆を迎える場合>
・初盆法要に参列する
・初盆のご香典を送る
・初盆の供物を送る

 
初盆法要の案内がない場合、家族や親族と相談をしながら、先方が手間取らない程度に心遣いを伝えます。
ご香典や供花、供物などを送ると良いでしょう。
 

初盆法要に参列する

初盆法要に参列する
◇初盆法要のご案内が届いたら、できる限り法要に参列したいところです

この時、初盆が故人が亡くなって1年が経っていない「喪中(もちゅう)」か、1年を過ぎた「喪明け(もあけ)」かで、服装マナーも変化します。
 

<初盆法要マナーとは>
[喪中の初盆法要]
●略式喪服で参列
・男性…ブラックスーツ
・女性…ブラックフォーマル

[喪明けの初盆法要]
●平服で参列
・男性…ビジネススーツ
・女性…地味な色のお出掛け着
※色を地味にまとめる

 
「平服(ひらふく)」とはフォーマルな服装ではないことを差しますが、弔事においては深緑や濃紺、ダークグレーなどの地味な色でまとめ、柄や光沢のない服装を選びましょう。
 

 

 

初盆法要のご香典相場は?

◇初盆法要のご香典は、近い関係性でなければ約5千円~1万円ほどです

故人の兄弟姉妹など、近しい関係性になると約1万円~3万円ほどを包むこともあります。

本来ご香典は相互扶助の役割があるので、状況や関係性により、気持ちをプラスすることもあるでしょう。
 

<初盆法要のご香典相場>
・遠い親族…約5千円~1万円
・近い親族…約1万円~3万円
・家族…約3万円~10万円

 
施主でなければ基本的に約5千円~1万円ほどを包むと良いです。
ただ全国的な法要では、会食の席を設けている施主が多いため、会食代をプラスします。
 

・会食の席がある場合…約3千円~5千円プラス

 
また基本的に初盆法要に準備するご香典は、弔事用に包みます。
金額も数字で割り切れる偶数は「縁が切れる」と忌まれますので、5千円・1万5千円・3万円と、奇数の数字で金額を整えるのがマナーです。
 

初盆法要にご香典を送る

初盆法要にご香典を送る
◇初盆法要に参列できない時には、ご香典を送ることもできます

基本的なことですが、ご香典は現金ですので現金書留で送ります
現金書留封筒だからと現金をそのまま入れる人がいますが、現金書留で郵送する時にも、不祝儀袋で整えて送ってください。
 

<初盆法要のご香典を郵送する>
●大きな現金書留封筒であれば、不祝儀袋ごと入ります。

 
ご香典を現金書留で送る方法は、昔から用いられてきましたが、まだまだ驚く家も多いようです。

そこで施主に気を使わせないよう、現金ではなくお供物の品を郵送する人も多いでしょう。
 

[ご香典の郵送]
・【葬儀・法要マナー】沖縄からご香典の郵送はできる?ご香典の送り方・郵送のマナーとは

 

初盆法要に供物を送る

初盆法要に供物を送る
◇初盆法要に送る品は、弔事用の「供物」です

沖縄の旧盆で持参するお中元は、慶事用として包装しますが、初盆法要で送る品は弔事用の供物になるので注意をしてください。

初盆法要に送る供物は、故人のご家族に寄り添う気持ちの他、故人を弔い偲ぶ目的があります。

そのため沖縄の旧盆で持参するお中元のように、お菓子や日用品ではなく、故人へ供えて欲しい品を選んでも良いでしょう。
 

<初盆法要に供物を送る>
[表書き]供物、ご香典、ご仏前
[選ぶ品]
・お線香
・供え花
・果物
・菓子折り(落雁など)
…など。

 
「御香典」や「御供物」などで良いですが、初盆では忌中(四十九日)を過ぎているので「御霊前」は用いません

「御霊前」は四十九日を過ぎていない、まだ成仏していない霊に対して供えるものです。
 

 

初盆法要に贈る供物のタブー

◇全国的な初盆法要は沖縄以上に仏教色が強いため、仏教のタブーに倣い品を決めます

例えば、仏教のタブーにより殺生を連想させる肉や魚はタブーです。
果物は他県でも供えますが、お盆は3日間に渡ることに配慮し、腐りやすい果物は避け、香りにも配慮してください。
 

<初盆の供物のタブー>
●供物
・香辛料やネギ類…臭いがキツイ
・肉や魚…殺生を連想
・その他、生もの…腐りやすい

●供花
・トゲのある花
・ツタのある花
・毒のある花
・臭いのキツイ花
・縁起の悪い花(椿、黒百合など)

 
などなどがあります。
故人の嗜好や状況によっては、アルコール類にも配慮が必要になるので、最も安心できる供物として、お線香類は好まれます。

身体のない故人の魂は香りを食べるとも言われるため、良い香りのお線香は、昔から供養事で贈られるご進物です。
 

神道で初盆は行うの?

神道で初盆は行うの?
◇神道では初盆を「初盆祭」「新御霊祭」として行います

初盆は仏教の供養行事ですが、神道でも初盆に変わものが「初盆祭」や「新御霊祭(あらみたままつり)」です。
神道の家にも供物を送ることがありますが、神道の供物は少し違います。
 

<初盆の供物:神道の場合>
●神道の初盆祭に多い供物
・お酒
・果物

●神道の初盆祭にタブーの供物
・お線香

 
仏式の初盆法要でお線香は最適な供物ですが、神道では用いません。
故人やご家族の宗教に適切な供物を選びます。

また神道では仏教と違い、魚や海産物などもご馳走として供えるでしょう。
ただ郵送する場合には、日持ちがして扱いやすいものを選ぶと安心です。
 

全国的には初盆法要を執り行います

全国的には初盆法要を執り行います
昔ながらの沖縄の風習では、初盆は家族のみで静かに過ごしますが、全国的には親族をご案内し、初盆法要を執り行います。

そのため配偶者の実家など、他県で初盆を迎える親族がいたら、初盆法要に参列するか、参列できなければ供物やご香典を送ると良いでしょう。
 

・一方キリスト教では初盆はありません。贈るとすれば献花です。

 
近年では都心部を中心に、沖縄の初盆でも法要を行うようになっています。
確認をして家族の意向に倣い、故人を供養してください。
 


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