「ユンヂチ」とは?2025年1月29日~2026年2月16日が沖縄でお墓事に良い理由

2024.10.16
「ユンヂチ」とは?2025年1月29日~2026年2月16日が沖縄でお墓事に良い理由

「ユンヂチ」とは、旧暦と新暦のずれを修正するために、旧暦で同じ月が2回訪れる「閏月(うるうつき)」です。沖縄ではお墓事やお仏壇事を行うのに良い時期とされてきました。そこで今回は沖縄でユンヂチとは何か?次回のユンヂチ、行う事柄をお伝えします。

・「ユンヂチ」とは?
・次回のユンヂチはいつ?
・沖縄ではユンヂチに何をするの?

「ユンヂチ」とは、旧暦と新暦のずれを修正するために、旧暦で同じ月が2回訪れる「閏月(うるうつき)」です。
沖縄ではお墓を建てるなどお目出たい事柄であっても、お墓事やお仏壇事を行う時には日取りを充分に配慮しなければならないとされています。

けれどもユンヂチとは神様の目が届かない月なので、日取りを気にせずお墓事やお仏壇事ができるのです。今回は、沖縄でユンヂチとは何か?次回のユンヂチや、沖縄ではユンヂチに何を行うのか?、をお伝えします。

 

「ユンヂチ」とは?

「ユンヂチ」とは?
ユンヂチとは沖縄の言葉で「閏月(うるうつき)」です。
全国的に「閏年(うるう年)」がありますよね。閏年は暦を調整するため、2月29日が4年に一度訪れます。同じように旧暦の「閏月(うるう月)」は暦を調整するため、本来はないはずの1ヵ月が2度巡るのです。

旧暦5月が閏月(うるう月)にあたる場合、旧暦5月の次に旧暦閏5月が訪れるでしょう。この閏月(うるう月)を沖縄では「ユンヂチ(閏月)」と呼びます。

 

①ユンヂチはいつ訪れる?

ユンヂチは旧暦33ヵ月に1度の頻度で巡ります。
新暦は365日ですが、旧暦は30日で終わる月も多いため354日となり、新暦と旧暦では11日の誤差があります。

そのため毎年旧暦と新暦の間でズレが広がるのですが、このズレが大きくなる33か月ごとに、旧暦を1年13か月にして、暦を調整することが「ユンヂチ」です。

 

②沖縄でユンヂチが貴重なのはどうして?

沖縄では「死は穢れ(けがれ)」として、お墓を建てる・仏壇を仕立てる等のお墓事・仏壇事は神様の目に触れぬよう、日取りを選ぶとされてきました。

けれどもユンヂチ(閏月)は、そもそもないはずの1ヵ月なので「神様の世界には存在しない」期間です。この期間を「神様の世界に日が無い」との意味を込めて、沖縄では「ヒナーシ(日無し)」と呼びます。

神様がこの世を見ていないため、イチミ(生きる身)は神様の目を気にせず、日取りを気にせずにお墓事やお仏壇事ができて「便利だね」と言うのがユンヂチ(閏月)と言えるでしょう。

 

③沖縄ではユンヂチに何を行うの?

沖縄ではヒナーシ(日無し)となるユンヂチに、お墓事・お仏壇事を主に行います。特にお仏壇事では、トートーメーの「シジタダシ(筋正し)」が行われてきました。

沖縄の「トートーメー(尊いお方)」は、先祖代々を祀る位牌です。祖霊信仰が根付く沖縄では、代々トートーメーに父方血族のご先祖様を祀ってきました。

けれども父方血族以外の人々が混ざり祀っていた場合、障りがあるとして血筋を正す「シジタダシ(筋正し)」が行われます。

シジタダシは家付きのユタ・ノロ等による「ウグァン(御願)」です。「ウグァン(御願)」とはいわゆる拝み事、祈祷・祈願と捉えると分かりやすいでしょう。

※沖縄のユンヂチで行う事柄は後半で詳しく解説していますので、どうぞ最後までお読みください。

 

④ユンヂチの期間が長いのはなぜ?

本来、ユンヂチは旧暦1ヵ月が巡る30日間のみですが、それではお墓も建てられない・お仏壇の新調も間に合わないですよね。お墓事・お仏壇事を進めることが困難です。

そのためユンヂチが訪れる1年13ヵ月の期間を「ユンヂチ」とし、ユンヂチの13ヵ月はお墓事・お仏壇事の日程調整が自由にできる、とされました。

 

⑤ユンヂチのない年はいつお墓事をするの?

ユンヂチのない年でもお墓事・お仏壇事はできます。地域によって風習は異なりますが、主催者・参加者と同じ干支の日を避ける、等の日程調整が行われてきました。

参加者全員の干支日を避けることはなかなか難しいので、主催者の干支日を避けることが多かったのではないでしょうか。風習が厳しい地域では、干支日にあたる人は建墓祝い等に参加しないこともあったようです。

またユンヂチのない年でも、1日だけ神様の目が届かない「ヒナーシ(日無し)」があります。その日取りが旧暦7月7日のタナバタ(七夕)です。

旧暦7月7日の「タナバタ」は、新暦7月7日に行う全国的な七夕とは役割が違います。七夕について、詳しくは下記コラムをご参照ください。

 

 

次回のユンヂチはいつ巡るの?

次回のユンヂチはいつ巡るの?
次回のユンヂチは、2025年(令和7年)1月29日(水)から訪れます。
来年の年明け早々にユンヂチが訪れるため、お墓事・お仏壇事をユンヂチに進めたいならば2024年には墓地見学・契約等を進めて行くとスムーズでしょう。

2025年のユンヂチは旧暦6月にあたり、閏6月は2025年7月25日(金)~2025年8月22日(金)です。この時期が正確なユンヂチですが、1年を通して問題はありません。

 

①2025年以降のユンヂチはいつ訪れる?

2025年以降のユンヂチは、2028年(令和10年)1月27日(木)以降です。ユンヂチは33ヵ月に1度の頻度で訪れるため、大まかな概算では約3年を見ましょう。

 

<ユンヂチはいつ訪れる?>
【2025年度】 ・2025年(令和7年)1月29日(水)…旧暦1月1日
・2026年(令和8年)2月16日(月)…旧暦12月29日
●閏月 ・2025年7月25日(金)~2025年8月22日(金)
(閏6月1日~閏6月29日)
【2028年度】 ・2028年(令和10年)1月27日(木)…旧暦1月1日
・2029年(令和11年)2月12日(月)…旧暦12月29日
●閏月 ・2025年6月23日(金)~2025年7月21日(金)
(閏5月1日~閏5月29日)

 
近年は特にお墓を閉じる「墓じまい」が沖縄で増えています。先祖代々から続くお墓を閉じることは墓主にとって大きな決断です。そのためユンヂチ期間を利用した墓じまいが増えています。

墓じまいではお墓を閉じるにあたり、納骨されていたご遺骨を取り出して他所へ移動するため、迷う人はユンヂチ期間を利用すると良いでしょう。

※墓じまいについては後ほど詳しく解説しますので、どうぞ最後までお読みください。

 

 

②タナバタはいつ訪れる?

ユンヂチは33ヵ月に1度の周期で訪れるため、墓じまい等は「そんなに待てない!」と言う人も多いです。墓主不在のまま3年間を放置してしまうと廃墟と化し、周辺からクレームを受けるケースもあります。

ユンヂチのない年に「ヒナーシ(日無し)」を利用したい場合は、旧暦7月7日のタナバタ(七夕)が適切です。

 

<2026年以降のタナバタ>
【2026年】 ・8月19日(水)
【2027年】 ・8月8日(日)
【2028年】 ・8月26日(土)
【2029年】 ・8月16日(木)
【2030年】 ・8月5日(月)
【2031年】 ・8月24日(日)

 
タナバタは1日のみなので閉眼供養・開眼供養・建墓祝い等、ウグァン(御願)や法要を伴う儀式をこの日に執り行うと良いでしょう。

また墓じまいでは「あの世の扉」であるお墓の扉を開くため、ご遺骨を取り出す日をタナバタの日に調整すると良いかもしれません。

 

ユンヂチでは何をしたらいい?

ユンヂチでは何をしたらいい?
お墓事・仏壇事にはさまざまな事柄があります。沖縄では墓じまいや仏壇じまいはもちろん、お墓やお仏壇の新調も、日取りを気にして進めなければなりません。

お墓やお仏壇の開眼供養などの儀礼を行うにあたり、集まった人々の干支日と重ならないように配慮する他、大安などの六曜を気にする家もあるでしょう。

けれどもそれでは、お墓事やお仏壇事を進める日取りが、ごく限られてしまいます。この点、ユンヂチは旧暦の1年間、まるっと日取りを気にせず、お墓事やお仏壇事を進めることができるでしょう。

 

①お墓事

お墓事は、お墓を建てるお目出たいことであっても、ヒナーシ(日無し)のユンヂチがベストです。故人を供養する・お墓を建てる善い事柄であっても、神様に死の穢れ(けがれ)を見せないよう、日取りを気にしてきました。

お墓を建てる事はもちろん、お墓の建て替え・修理修繕にも最適です。戦後に建てられたコンクリート墓は、近年老朽化が進みお墓の建て替えが増えています。

沖縄ならではのコンクリート墓はヒビが入ると水が染み込みやすく、劣化も激しいためです。日取りを気にして修繕リフォームを先延ばしすると、後々建て替えが必要になるでしょう。

 

 

②墓じまいが増えている

近年はユンヂチの1年間を通して、お墓を閉じる「墓じまい」が増えました。先祖代々守ってきたお墓ですが、次世代の継承者がいない継承者問題が深刻化しています。

特に沖縄のお墓は個人が所有する「個人墓地」にお墓が建つことが多いため、墓主不在になると廃墟と化し自治体でも問題視されるようになりました。

 

●現在では個人墓地に建つお墓を墓地管理者が管理する霊園・寺院墓地等へ移すことが、沖縄県でも推奨されています。

 
いずれにしても墓じまいでは、お墓の扉を開いてご遺骨を取り出し、他の墓所へ納骨しなければなりません。神様の目が届かない「ユンヂチ」が墓主にとって、大変助かります。

現在ではご家族がご遺骨の管理・供養を永代に渡って墓地管理者へ委任できる「永代供養」があるので、墓じまいをしてもご遺骨は墓地管理者により丁重に供養されるでしょう。

 

 

 

③仏壇事

お仏壇事もユンヂチがベストです。現代はユンヂチにこだわる家も少なくなりましたが、お仏壇事にも良い時期です。

沖縄では大きな沖縄仏壇が主流でしたが分譲マンション、一戸建てでも現代の家の間取りに沖縄仏壇が合わず、仏壇交換やリフォームが増えています。

ただ、一部沖縄の地域では「お仏壇を家の敷地から出してはいけない」とする家もありました。そうなると仏壇を修理業者に託すこともできません。ですからお仏壇を家から出すような修理や交換にも適切です。

 

 

 

④位牌の処分・永代供養

祖霊信仰が根付く沖縄ではトートーメーの継承問題も深刻化しています。
なかにはトートーメータブーから継承者不在の「ヒジュルグァンス(冷たい位牌・ご始祖様)」が、空き家に放置されている事例もあるほどです。

空き家は廃墟と化して物騒になるものの、ヒジュルグァンス(冷たい位牌)があるばかりに撤去できない事態などもあります。

トートーメータブーもありますが、これではご先祖様に失礼にも思えますよね。そこでユンヂチをきっかけに継承者のいない・将来的に継承者が見込めないトートーメーやご位牌の永代供養を行う人が増えました。

沖縄ではトートーメー・位牌等の永代供養は、霊園・寺院墓地等で行っています。全ての霊園・寺院墓地で行っている訳ではないので、予め確認して相談をしましょう。

 

[トートーメー・位牌の永代供養]
沖縄メモリアル整備協会「位牌永代供養」

 

 

⑤仏壇じまい

墓じまいと同じく、お仏壇も仏壇じまいができます
そもそもお仏壇は位牌・トートーメーを祀るための箱なので、お仏壇自体に霊魂は宿っていません。

とは言え長くご位牌を祀ってきたお仏壇です。また沖縄仏壇に使用されるチャーギ(戌槇)材は、木の精霊が宿るとも言われてきました。

ユンヂチに僧侶をお呼びしてトートーメー・位牌とともに閉眼供養を行った後、お仏壇は仏壇・仏具店等で処分を依頼する流れが一般的です。

閉眼供養を行い処分したい場合、仏壇仏具店で仏壇じまいに行くことで、僧侶の手配・トートーメーや位牌の永代供養まで併せて相談できるでしょう。

 

[トートーメー・仏壇の供養相談]
供養ギャラリー那覇・南風原

 

 

⑥シジタダシ

シジタダシ(筋正し)とは、その家に代々祀られているご先祖様が、どこかで血筋を違えた場合に血筋を正すことです。

けれども実際には昔の血筋が正しいかどうかを正確に判明できる訳ではありません。多くは家付きのユタ・ノロが、セジ(霊力)により判断します。

そのため、現代ではそもそも家付きのユタがいる家も少なく、シジタダシ(筋正し)を行う家も少ないでしょう。気になる人は家族や親族へ地域・家付きのユタを紹介してもらいましょう。

 

まとめ:ユンヂチはお墓事・仏壇事に最適です

まとめ:ユンヂチはお墓事・仏壇事に最適です
沖縄の御願文化は仏教より神教に近い信仰が多くあり「死は穢れ(けがれ)」とする考え方があります。

昔ながらの沖縄の葬儀では、ご遺体をお墓まで運ぶ時にも黒傘をご遺体に差しかけて、神様の目に触れないようにしてきました。

ですから「神様の目が届かない」ヒナーシ(日無し)にあたるユンヂチでは、主に祭祀財産(ご先祖様の供養に必要な財産)の整理や修繕だと考えると、分かりやすいです。

 

まとめ

ユンヂチとは?

●ユンヂチとは?
・旧暦と新暦のズレを埋める閏月
・33か月に1度訪れる
・旧暦が1年13か月になる
・閏月にあたる月が2回巡る

●次回のユンヂチ
・2025年(令和7年)1月29日(水)~
・2026年(令和8年)2月16日(月)

●2025年の閏月
・閏6月1日~閏6月29日
・2025年7月25日(金)~
・2025年8月22日(金)

●ユンヂチはヒナーシ(日無し)
・神様の目が届かない
・お墓事やお仏壇事に適している
・神様の世界では死を穢れとするため


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