一時期はすっかり廃れた沖縄の御願文化ですが、2020年コロナ禍を機に、一から(実家や義実家から灰を引き継ぐことなく、新しく仕立てる形で)ヒヌカンを迎え入れて、家計安定や家族の健康を祈る家庭が増えたことで、改めて沖縄の御願も見直されるようになりました。
健康のこと経済のこと…、日々の不安が押し寄せるなかで、毎日神様ご先祖様に見守られている感覚は、とても心強いものですよね。
そんななか、昔ながらの沖縄の御願「ウンネーウイミ(芋折目)」での豊作の祈願が、今年の収入に感謝をすることで、来年はさらに収入が巡る運気を呼び込む…、そんな新しい祈願行事として、そっと自宅で進める家庭が増えています。
それは、一度ヒヌカンを迎え入れると、日々の拝みはとても簡単だからです。
そこで今回は、沖縄の旧暦11月の御願、豊作に感謝する「ウンネーウイミ(芋折目)」のウサギムン(お供え物)と、拝み方をお伝えします。
沖縄の御願、ウンネーウイミは旧暦11月13日頃
沖縄で行う旧暦11月の御願、ウンネーウイミはウンネーが芋・ウイミが折目と言う意味合いの言葉で、言葉の通り芋の収穫を祝い神様へ感謝をする沖縄の御願行事です。
かつては集落単位でも行われてきた行事ですが、農家が廃れるにつれ集落単位で行う地域は少なくなり、それぞれの家庭でヒヌカンやお仏壇(祖霊)へウサギムン(お供え物)を捧げ、感謝を伝えながら今後の豊作を祈願するようになりました。
ただ、現在でも沖縄で集落単位の御願としてウンネーウイミを行う地域はあります。
【 沖縄の御願☆ウンネーウイミ(芋の折目) 】
● ウンネーウイミ(芋の折目)の沖縄の御願は、毎年旧暦11月13日頃、2021年は12月16日(木)です!
→ 集落行事としては本島北部を中心に残っています。他の地域では主に離島地域が多いです。例えば…、
・宮古島(ウンプーズ)
・竹富島(ハンチメーの願い)
→ 集落単位で行う沖縄の御願としては、集落の家々から収穫した芋を一個ずつ集めて、地域の拝所(うがんじゅ)にお供えをして感謝と来年の豊作祈願を行います。
毎年の台風と度重なる災害で島国沖縄では農作物が上手く育たず、飢饉状態にあったなか、あらゆる天候に対応する丈夫な芋は救いの神でした。
ですから沖縄へさつま芋の栽培を定着させた野国総管(のぐにそうかん)や、本島へ広めた儀間真常(ぎましんじょう)は今も有名ですよね。現代では紅芋(べにいも)が全国的に有名ですが、それだけ沖縄の御願では芋の豊作への感謝や祈願は重要です。
また、沖縄ではターンム(田芋)やチンヌク(里芋)などの料理は昔からご馳走として、お祝い事の時にいただきました。
ウンネーウイミのウサギムン(お供え物)
もちろん沖縄で飢饉を救った農作物が、天候不順に強い芋だったことがありますが、芋が連なって収穫される様子から、子孫繁栄を表す食材としてお祝い事に出されてきました。
【 沖縄の御願☆ウンネーウイミのお供え物 】
★ もちろん、沖縄のウンネーウイミの御願でも芋を供えますが、家庭では「ンムニー」と呼ばれる芋料理を供えます。「ンムニー」は漢字で書くと「芋煮」を表す沖縄の言葉です。
→ 芋であれば何でも良いのですが、沖縄では祝いの食材とされるターンム(田芋)を用いる家庭が多いのではないでしょうか。
全国的な料理で言う「栗きんとん」のようなものではないでしょうか。芋を煮込んで練り込んだ料理がンムニーです。ンムニーの作り方は簡単!煮詰めるだけですが、簡単にレシピをお伝えします。
【 沖縄の御願☆ンムニーの作り方 】
● 用意するもの
・お芋(紅芋やターンム、さつまいもなど) 500g
・お砂糖 50g
・お塩 ひとつまみ
・白玉粉 50g
・水 1/2カップ
● 作り方
(1) 皮を剥いて小さく切った芋を鍋に並べ、かぶるくらいのお水で煮込みます。(材料の水1/2カップは別)最初にある程度煮立ったら火を弱くして(中火くらい)じっくり煮込んでください。
(2) (1)の鍋から煮汁を1カップ避けておきます。
(3) 芋が柔らかくなったら、お砂糖とお塩を入れた後、おたまや木じゃくしなどでマッシュ状につぶしていきます。つぶしながら練り続けていくと、栗きんとんのような状態です。
(4) 材料の1/2カップの水は白玉粉を混ぜて水状にして、(2)の練り潰した芋の鍋に少しずつ注ぎ入れます。弱火にしながら混ぜてください。
(5) (4)の鍋に(2)の煮汁をさらに加えます。
(6) さらに練りながら弱火で煮込み、程よい柔らかさになったら完成です!
昔は沖縄のウンネーウイミの御願では、この栗きんとんのようなンムニーを供えましたが、最近では食べやすい羊羹風のンムニーも見受けます。
羊羹風のンムニーは芋をふかしてマッシュにし、まとめて切り分けるだけで完成です!
沖縄の御願、ウンネーウイミの拝み方
沖縄の家庭で行う御願では、このンムニーをヒヌカンとお仏壇に供えるだけですが、集落行事が廃れた現代では、家族単位で地域の拝所(うがんじゅ)へ出向き、お芋やンムニーを供えて拝む家庭が増えました。
【 沖縄の御願☆ウンネーウイミの拝み方 】
● 基本的に沖縄の御願では、最初にヒヌカン→次にお仏壇(祖霊)へとンムニーを供え手を合わせ、豊作祈願の後に家族がいただきます。
→ それぞれのヒヌカン(お仏壇)へ、お膳に乗せたンムニーのお皿を供えるだけですが、ヒヌカンにはお箸がなく、お仏壇(祖霊)へはお膳にお箸を添えるのが一般的です。
他の沖縄の御願でも共通していますが、拝みの際に供えるお線香の本数は、ヒヌカンなら15本もしくは5本(沖縄線香2枚半)、お仏壇には12本もしくは4本(沖縄線香2枚)だと良いでしょう。
けれども、昔沖縄で言われていたように「本数が間違えたから祟りが来る」なんてことはまずありません。日本線香1本で拝む家庭も増えましたので、丁度良い本数を供えてみてはいかがでしょうか。
沖縄の家庭で行う御願では、お仏壇への拝みを済ませた後、お供え物を下げて(ウサンデー)、下げたものをみんなでいただきます。
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で行う旧暦11月の御願、芋の豊作に感謝し、来年の豊作祈願を行うウンネーウイミ(芋折目)についてお伝えしました。
特に近年では「豊作=収入」として、一般的なサラリーマン家庭や自営業の方々もヒヌカンを通して沖縄では御願を行うようになっています。不安定な現代に神様が見守ってくださると思える安心感や、心の拠り所は大変助けになりますよね。
またウンネーウイミの沖縄の御願は、ンムニーレシピが簡単で、子どもと一緒に楽しむイベントとしても、お母さん達に喜ばれています。
最近ではオシャレな家にも合う、可愛いヒヌカングッズ(手元供養のステージや仏具など)をセットする家庭も増えました。この機会に子ども達とともに、旧暦行事に親しみ、神様へ日々のささやかな暮らしを感謝するイベントを、楽しんでみてはいかがでしょうか。
まとめ
ウンネーウイミの拝み方
・ウンネーウイミは芋折目、芋の豊作祈願行事
・旧暦11月13日頃!2021年は12月16日(木)
・ンムニーと言う芋料理を供える
・ンムニーは芋を煮詰めて潰し練った料理
・栗きんとんのようになるまで寝る
・ヒヌカンとお仏壇に供える
・芋羊羹のようなンムニーもある