突然危篤の連絡を受けたら、かける言葉に戸惑う人も多いですよね。
着の身着のまま駆け付けるものの「危篤時にかける言葉はどのようなものが良いのか…」「本人はこの声が聞こえているだろうか…」などなどの不安を感じた体験談も少なくありません。
大切なポイントは、危篤であっても本人は今正に息をしていて、意識は生きているということです。
今回は危篤の連絡を受けた時にかける言葉や、危篤のお見舞い時のマナーや注意点、危篤時の状態についてお伝えします。
「危篤」とは?
●「危篤(きとく)」とは、医師が治療の回復の目処が立たず、人が生死を彷徨っている状態です。
ただ危篤と宣告されたからと言って、すぐに臨終を迎えるとも限りません。
●危篤状態になると数時間後に臨終を迎えても不思議ではありませんが、その一方で数日体力が持つ「小康状態(しょうこうじょうたい)」を保つ場合や、回復する可能性もあるのです。
実際に危篤になったご家族の体験談では、危篤の連絡を受けてから、2時間後に臨終を迎えた人もいれば、5日間の小康状態を保った体験談もあります。
ただ、危篤は「いつ臨終を迎えてもおかしくはない」状態であることは確かです。
万が一のために、危篤の連絡を受けたならば、覚悟を決めて病院に向かうことを心に留めておきましょう。
危篤時の人の意識
仮に危篤状態になったとしても、「亡くなる直前まで人間の意識はある」と医療学的に証明されています。
危篤で駆け付けてもかける言葉が出ない時、「寝ているからきっと思いは届かないだろう…」と、諦めた経験を持つ声もありますが、本人の意識が働いていると思えば、気持ちは変わりますよね。
反応がないから無意味、…という訳ではないのです。
危篤時にかける言葉
前述したように、危篤状態になってもかける言葉を聞いている可能性は大きく、実際に危篤状態から回復した人のなかには、子どもからの「『オムライス美味しかったよ!』の声が響いていた」と語る人もいます。
危篤状態を経験した人々や医療関係者が語る、危篤になった時にかける言葉で、本人に届く・嬉しいものは下記のような種類がありました。
(1)闘病生活での出来事
(2)日々の思い出を語る
(3)感謝の言葉をかける
危篤状態になっても本人に意識はありますが、五感はだんだんと鈍ってきます。
聴力が弱ってくる人は多いため、耳元でそっと、語り掛けてあげましょう。
(1)闘病生活での出来事
危篤時には、闘病生活で生きることを頑張った本人に、労いの言葉をかけてあげるのも良いです。
[例1]「今日までよく頑張ったね、長かったよね、辛かったよね。
大丈夫だよ、みんないるからもう休んでもいいんだよ。」[例2]「毎日大変だったよな。
みんないるから安心していいよ、もう大丈夫。」
「家族がいるから頑張らなくちゃ」と強い責務を背負って闘病生活を続けてきた人であれば、安心して穏やかに最期の時間を過ごせるよう、声掛けしてあげるのも良いです。
危篤になったとしても、本人の意識はあるので、最後まで闘病生活で頑張った敬意を伝える意味合いもあります。
(2)日々の思い出を語る
危篤時にかける言葉には、危篤状態の本人のなかで、楽しかった時間を思い起こさせるものもあります。
日々の思い出を語りかけることで、本人も「素晴らしくいい人生だった!」と満たされて、穏やかな気持ちで眠りにつけるでしょう。
[例1]「〇〇行った時は、楽しかったな!」[例2]「〇〇君失敗ばかりしてたけど、今すごいんだよ!
ぼくも負けてないぞ!」
ただし危篤状態の本人が思い出すと、不快になるような思い出や、ネガティブな発言は避けた方が好ましいです。
いくら危篤状態の本人に意識がない状況でも、聞こえているかどうかは誰にも分かりません。
また周りにもご家族がいます、本人が喜ぶような言葉をかけてあげましょう。
(3)感謝の言葉をかける
危篤の連絡を受けてかける言葉は、前提として「いつ亡くなるか分からない」状態のなか、伝えたい言葉です。
ですからまず駆けつけた時に、本人に直接言えたい、感謝の言葉を選ぶ人が多いでしょう。
[例1]「いつも助けてくれてありがとう」
[例2]「君と大切な友になれて本当によかった」
これまで一緒に過ごしてきた時間、これまでお世話になった感謝の気持ちを、伝えてあげるとなお良いですね。
危篤状態の時にお見舞いに行く5つのマナー
危篤状態になった本人の知人友人などで、ご家族から危篤の連絡を受けた場合、ご家族としては「きっと最期に会いたいだろう」と報告をしていることでしょう。
ですから例え家族親族でなくとも、駆け付けて問題はないですが、「失礼じゃないか」と気にする声は少なくありません。
そこで危篤の連絡を受けて駆けつけるお見舞いでの、マナーや注意点などをご紹介します。
(1)焦らない
(2)服装は落ち着いた服
(3)お見舞いの品物は持って行かない
(4)お見舞い金を持って行かない
(5)喪服を着て行かない
前述したように危篤状態は、「いつ亡くなってもおかしくない」状況のなか、何とか間に合うように駆け付けるものです。
この点を意識して動くこと、そして深夜や早朝は他の患者様もいらっしゃることへ配慮できれば、それほど間違えたマナーにはならないでしょう。
(1)焦らない
危篤の連絡を受けても「焦らない」のがポイントです。
●焦って病院に駆け込もうとすると、道中で事故に遭ったりする可能性など、それこそ二次災害に繋がる恐れがああります。
確かに危篤の連絡を受けて「焦らない」人はいませんよね。
ただご家族や配偶者など、より近しい人々もいることまで配慮して、動くことも大切です。
冷静に物事を判断できるよう、一度深呼吸をするなどして気持ちを落ち着かせましょう。
息を吸うよりも息を吐くことに注力すると、より気持ちを落ち着かせる効果があります。
(2)服装は落ち着いた服
危篤の連絡を受けたら、着の身着のまま駆け付ける人がほとんどですが、行く先は病院です。
また危篤時のお見舞いと言う状況もあるので、露出の激しい服や派手な装飾など、過多な状態は避ける方が良いでしょう。
●心が落ち着くアースカラーを意識して、カジュアルな服装か、ワンピースやスーツなどでも、濃紺や深緑などの落ち着いた色目でまとめます。
スーツのネクタイが明るい色合いだったり、装飾物が激しいけれど、着替える余裕がない場合には、全て外して駆け付けます。
露出が激しい服を着ていて着替えができないのであれば、上からはおり物を被って行くのも良いでしょう。
(3)お見舞いの品物は持って行かない
ご家族から危篤の連絡を受けたと言うことは、本人は一刻を争う状況です。
数日間の小康状態があってもおかしくはありませんが、数時間後にご臨終を迎えていても、おかしくはありません。
●お見舞いの品物を買うことよりも、最優先で病院に直行しましょう。
お見舞いの品を持参したとしても、死を目の前に必死になっている本人やご家族を前に、返ってご家族の迷惑になるの可能性もあります。
(4)お見舞い金を持って行かない
危篤時は本人にかける言葉が何よりです。
特に危篤時のお見舞金は、忌み嫌われるものなので避けてください。
●危篤時の見舞い金は、「葬儀・御香典」のなど、死を連想する可能性もあります。
このような理由から、「お見舞いの品を買う余裕がなかった!」と、善意でお見舞金を用意しても、タブーですので注意をしてください。
●危篤状態の時には見舞金を持って行かない、ことがマナーです。
(5)喪服を着て行かない
確かに危篤の状態は、いつ亡くなってもおかしくはない状況ですが、だからと言って、目の前で本人は生きていて、死に向き合っています。
●まだ生きているのに喪服を着て登場する行為は、とても忌み嫌われます。
お見舞金以上にタブー事ですので、地味な服装で行きましょう。
また危篤状態の時に、喪服を持参する方もいらっしゃいますが、あくまでまだ亡くなっている状態ではありません。
遠方で喪服を持参するにしても、ご家族の目に留まらないよう、しまっておくこともマナーです。
最後に
以上が、危篤時にかける言葉と、危篤時のお見舞いでのタブーやマナーですが、特に危篤状態の時は、感謝の言葉を掛ける人が多いです。
本人がまだ判断能力があり意思表示ができる時に、自分の終末期の希望を記載したリビングウィル(尊厳死)の書類などがあります。
このなかで家族に「危篤状態になった合図として、『頑張ったね』と声掛けをして欲しい」などと記した体験談もありました。
このように危篤状態とはいえ、かける言葉は大切です。
危篤状態の本人は、少なくとも聴こうとしている可能性があるので、反応がないからと言って決して無意味なことではありません。
相手に伝わるように、今までの闘病生活の労いや、感謝の言葉をかけてあげるようにしましょう。
・【余命宣告】リビングウィル(尊厳死)とは?作成4つのメリットとデメリット
まとめ
危篤のお見舞いとかける言葉
●危篤時にかける言葉とは
(1)闘病生活での出来事
(2)日々の思い出を語る
(3)感謝の言葉をかける●危篤時のお見舞い、5つのマナー
(1)焦らない
(2)服装は落ち着いた服
(3)お見舞いの品物は持って行かない
(4)お見舞い金を持って行かない
(5)喪服を着て行かない