沖縄で分骨した兄弟の体験談☆しきたりに縛られぬ心の供養

2021.10.15
沖縄で分骨した兄弟の体験談☆しきたりに縛られぬ心の供養

沖縄ではなかなか分骨を決断する方は少ない傾向ですよね。ただ最近は故人の遺志などにより、そもそも門中墓に納骨するかどうか、悩むご家族も増えました。門中墓から独立すると新しくお墓を建てるなど、御遺骨の行き先を考えなければなりません。そんななかで増えた選択肢が分骨です。今回は、兄弟で分骨した体験談をお伝えします。

沖縄ではなかなか分骨を決断する方は少ない傾向ですよね。沖縄では分骨する以前に、昔ながらのしきたりに倣い、葬儀当日に納骨をする方も少なくありません。

特に門中墓に入る立場の故人だと葬儀当日に納骨されるのが一般的ですが、最近では生前の遺志などにより、そもそも門中墓に納骨するかどうか…、悩むご家族も多いのではないでしょうか。

だた門中墓から独立すると新しくお墓を建てるなど、御遺骨の行き先を考えなければなりません。

今回は、そんなご両親の遺志により門中墓から独立した後、沖縄で分骨した兄弟の体験談をお伝えします。その都度都度で掛かった費用なども含めてお伝えしてますので、より良い供養の形を検討している方々は、どうぞ参考にされてみてください。

納骨堂に納めていた遺骨

納骨堂に納めていた遺骨
今回ご紹介する沖縄で分骨をしたご兄弟のケースでは、亡くなった時にご両親(特に母親)の遺志によって、入るはずだった門中墓(※)に納骨をしていません。

(※)「門中墓」とは父方血族による「門中」で建てられたお墓なのですが、風習やしきたりが多く、自分達が亡き後門中墓に入ることで、子ども達が門中のしがらみに苦労するのではないか…、とご両親が考えたためでした。

ただ生前から母親は「門中墓には入りたくない」と話していたものの、突然亡くなったこともあり、具体的な準備はしていません。特に新しいお墓を建てる貯蓄もないまま、母親が亡くなり、追いかけるように1年後に父親が亡くなっています。

【 沖縄で分骨した体験談☆自宅に遺骨を安置 】

★ 沖縄の習慣では多くが葬儀当日にお墓に納めるのですが、兄弟が母親の遺志を伝えたことで、父親は葬儀当日の納骨をせず、火葬後は自宅に骨壺を安置していました。

→ 父親にとってはこれがグリーフケアにもなったようで、そのまま遺骨の行き先を検討することなく、1年後に父親が亡くなっています。

父親が亡くなった後、沖縄で兄弟は分骨も考えたものの、「取り合えず」の選択肢として納骨堂に安置することを決めました。

納骨堂の選択は、門中墓からは独立し兄弟のみで供養をする形式です。ただ納骨堂に安置してしまうと、なかなか細やかに法要を行わなくなりがちでした。

沖縄で納骨堂から分骨を決めるまで

沖縄で納骨堂から分骨を決めるまで
このケースは三人兄弟で長男は沖縄に暮らしていたものの、次男と三男はいずれも東京・大阪と本州に住んでいました。

門中墓から独立して新たに両親だけの個人墓を建てる選択肢もあったのですが、まず充分な資金がなかったことは大きいものの、一同に集う供養行事のスケジュール調整がしにくいことも大きな決断の要因でした。

【 沖縄で分骨した体験談☆納骨堂に納める 】

☆ 沖縄でも民間霊園が増え、小さなお墓であれば100万円以下のお墓も建てることはできたのですが、それでも長男がお墓を管理をすることになります。

→ さらに旧盆や清明祭(シーミー)など、お墓参り行事を毎年行うとなれば、次男・三男は家族で帰省しなければなりませんが、毎年家族全員での帰省はお金も掛かりますし、長男としても供養行事を主催する負担が大きいです。

※ そこで思い付いた解決法が納骨堂でした。

ただ納骨堂の多くが期限を設けており、契約更新はできるものの、将来的には霊園の合祀墓に埋葬されるシステムです。

それでも問題はないとしながらも、3年後の更新をきっかけに沖縄で兄弟が話し合い、分骨を決めました。

親族の反応

親族の反応
そもそも沖縄では分骨以前に、門中墓から独立する時に反対は出ていましたが、さらに沖縄では分骨となると強く反対をする親族も少なくなかったようです。

これは全国的にも言えることで、沖縄でも分骨への考え方は人それぞれですが、なかには「不吉なことが起きる」と言う親族までいました。

【 沖縄で分骨をした体験談☆分骨は不吉なもの? 】

☆ 確かに全国的に「分骨は不吉なもの」とする考え方はありますが、ほとんどが迷信です。

→ 遺骨を故人として捉えることで「体がバラバラになってしまって可哀そう…。」などと考えることから来ています。

※ けれども特に沖縄では、遺骨は「イチミ(生きる身)の証」であり、亡き後は「シチマブイ(七つの魂)」に分かれて体を離れるものです。

ですから沖縄はもちろん、全国的にも分骨は悪いものではなく、むしろ尊き方が亡くなった後、その遺骨を分け与える風習があります。

例えば仏教では「仏舎利」がありますよね。これは仏様のご遺骨を分骨したものですし、一部の宗派では喉仏を分骨して本山へ納骨するものもありますので、決して「不吉を招くもの」ではありません。

納骨堂から両親の遺骨を出す日

納骨堂から両親の遺骨を出す日
そこで納骨堂の契約終了をきっかけに、合祀墓へ納骨はせず、両親の遺骨を出すことにしました。手順は下記のような流れです。

【 沖縄で分骨をした体験談☆納骨堂から遺骨を出す 】

★ まず親族にも了承を得た後、納骨堂管理事務所へ納骨堂から遺骨を出す相談をしました。

→ 納骨堂管理事務所では納骨堂であっても閉眼供養をした方が良い、とのことで、閉眼供養まで行っています。

※ 相談日には閉眼供養のスケジュール調整を行い、当日は閉眼供養後に遺骨を受け取り帰宅しました。

納骨堂では「分骨証明書」をいただいています。これは取り出した遺骨を分骨して新しくお墓に納骨するなどの時に提出する書類です。樹木葬などの自然葬でも役立ちます。

ただ今回は、兄弟それぞれが手元供養をして、自宅でそれぞれに供養を行うことで決まりました。

手元供養の選択

手元供養の選択
受け取った両親の遺骨は、今回は粉骨を依頼して三人それぞれの自宅で手元供養されています。

粉骨に掛かった料金は1人につき2万円、両親2人で4万円でした。粉骨だけでは安い業者もあったのですが、立ち合いを希望したことと、しっかりと乾燥して状態を良くしてもらったために、オプション料金も掛かりました。

それでも両親の遺骨ですから、安心して任せられる業者を選んでいます。

【 沖縄で分骨した体験談☆それぞれの家で手元供養 】

★ 沖縄で両親の遺骨を分骨した後、兄弟三人がそれぞれにお仏壇を準備していますが、どれもリビングの棚などに安置できる簡易的なものでした。

→ お仏壇屋さんで手元供養のミニ仏壇や骨壺を選び、両親の写真とともにお祀りしています。

※ そして旧盆や清明祭(シーミー)の時期、毎月の月命日などに家族でお供養をする習慣ができました。

手元供養のお仏壇や骨壺は価格帯に幅があり、4万円ほどから何十万円までさまざまでしたので、兄弟それぞれが自由に選んでいます。

三男はさまざまな事情から、最初は可愛い骨壺のみ購入(15,000円ほど)し、フォトフレームに両親の写真を飾って供養をしていました。

一方で長男は、ナナニンチ(七年忌=七周忌)などの法要で兄弟がお仏壇を前に集うことができるようにと、棚上仏壇で小さいながらもしっかりとしたお仏壇(244,000円ほど)を選んでいます。

 

いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で分骨を決断した三人兄弟の体験談をお伝えしました。分骨をしてそれぞれの家で両親の遺骨を迎えたことにより、月命日などより丁寧に供養ができる上、心の負担も軽くなったと感じています。

また、長男がもともとムチスク(宗家)が仕立てるような沖縄仏壇よりはコンパクトながら、お仏壇を選んだことも正解だったようです。

新型コロナ到来当初はそれぞれの家で供養を進めたものの、ナナニンチ(七年忌=七周忌)となる今年は祥月命日に兄弟が集い、長男の家で規模の小さい家族水入らずの法要を執り行いました。

長男にとっても負担が少なく、それでいて兄弟が両親を偲ぶことができると、沖縄の兄弟にとって分骨は良い選択肢だったと感じています。

まとめ

兄弟で分骨をした体験談

・両親が門中墓から独立したがった
・門中墓から独立し、納骨堂に納骨
・分骨は不吉ではない、尊きもの
・合祀のタイミングで納骨堂から遺骨を出す
・納骨堂でも閉眼供養を行う
・兄弟三人で分骨する
・三人それぞれが手元供養で供養をする


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