沖縄の葬儀は100人以上の弔問客など大きな形式が主流でしたよね。けれども、特に2020年の新型コロナ到来以降、ごく身近な人々のみでお見送りをする「家族葬」が急増しました。
また近年は沖縄でも在宅医療が広がり、自宅で最期を迎える人々が増えたこともその背景にあります。
ただ形式としては小さいものであっても、だからこそ、昔ながらの沖縄の葬儀儀礼を大切にして、家族で丁寧に執り行う沖縄の葬儀が求められるようになりました。
心を込めた沖縄の葬儀は、決してお金が掛かるものではありません。ましてや「お金」と言うイチミ(生きる身)から解放された故人の霊魂は、心の供養を求めていると感じるご家族が多い傾向です。
今回は、そんな沖縄でニーズが増えた、家族が行う沖縄の葬儀儀礼について、葬儀社との打ち合わせまでの流れをお伝えしていきます。
ご臨終の時
病院でご臨終を迎えると病院と契約している葬儀社スタッフの方々などが、ご臨終後の一連の作業を進めてくれるため、今まではあまり興味深く注力する家族は少なかったのですが、自宅で最期の時を迎える方が増え、ご臨終での沖縄の葬儀儀礼に興味を持つ家族が増えました。
病院で最期を迎えた時には良いのですが、自宅の場合はケースによって(突然死など)は検死案件になってしまう可能性があります。つい動かしてしまいそうですが、そのまま救急車を呼んでください。
在宅医療を受けていてかかりつけ医がいる場合には、お医者様を呼んでも良いでしょう。このタイミングでかかりつけ医、若しくは病院から死亡判定を受け、死亡診断書をいただいてください。
【 沖縄の葬儀。ご臨終時の流れ 】
● 沖縄の葬儀儀礼ではアミチュージの儀礼から始まることも多いですが、現代では末期の水(死に水)を取る流れも多く見受けます。
(1) アミチュージ → 体を拭いてこの世の穢れを清める儀礼です。病院ではアルコールで拭いたり、シャワーで洗う作業になりますが、昔ながらの沖縄の葬儀儀礼としては「サカミジ」を作り、拭き清めることになります。
※ サカミジは「逆さ水」のことで、地域(産まれた土地)のウブガー(井戸)で水を取り、湯を足してぬるま湯にしたものです。産湯の反対と言う意味合いですが、ウブガーの水を取るのは大変なので家のお水で問題はありません。
(2) グソースガイ → あの世へ旅立つ服を着せます。2時間以内を目安に着てもらいますが、間に合わなければ上から被せても構いません。
※ 現代は在りし日によく着ていた服を着せ、納棺する家族も多いです。
(3) お化粧 → 健やかなお顔になるよう、瞼を閉じて口が空いていたら下あごからそっとお口を閉じ、お化粧をしてください。
※ お鼻や耳、口、お尻など穴に脱脂綿を詰めてあげます。
スケジュールの関係で火葬までに時間が掛かるようでしたら、(3)の死に化粧だけでは衛生面を保つことができません。ご自宅で最期を迎えた場合であっても、エバーミング(※)を依頼してください。
エバーミングはご遺体を衛生的に保つための作業ですが、葬儀社と契約をすることで葬儀社が行ってくれる、もしくはサービスを提供してくれるケースが多いです。
エバーミングを行ったとは言え、日数によっては自宅での安置はおすすめしません。ご自宅で家族葬を行う予定があっても、それまで葬儀社などに相談をしながら、ご遺体の安置場所を確保してください。
※ アミチュージやグソースガイの儀礼について、詳しくは別記事「【沖縄の葬儀】自宅で臨終を迎えた時。アミチュージの儀礼」でお伝えしますので、もう少々お待ちください。
ご遺体の移送
病院で最期を迎えた場合、沖縄では葬儀前に病院の霊安室でご遺体の安置ができますが、それも状況によっては数時間、長くても一日ほどで移動しなければなりません。
この段階で沖縄で依頼する葬儀社を決める流れが一般的です。
病院の霊安室にご遺体を安置している間に葬儀社が決まった場合には、その葬儀社が霊柩車を出してくれますが、決まらない時には病院で契約している葬儀社に移送のみお願いすることもあります。
ただ、その後の葬儀などを他の葬儀社と契約したい(している)のであれば、「移送のみで」とここで伝えてください。
【 沖縄の葬儀。ご遺体の安置と移送 】
● ご遺体移送での、昔ながらの沖縄の葬儀儀礼
(4) ヌジファ(魂抜き)の儀礼 → 故人の霊魂が最期の場所に残らぬよう、ヌジファの儀礼を行います。
※ すすきの葉を結んだ「サン」を枕元に置いた後、お線香を十二本束ねて足元から頭へ向けて大きく円を描くように回したものを白紙に包み、さらに白い封筒に入れて、グソージン(死に装束)の襟元に差す儀礼です。
(5) 部屋から出す → 足元からご遺体を出したら、家族が続いて最期の部屋を出ます。この時、家族は振り返ったり、再び部屋に戻ることはできません。
● ご遺体安置での、昔ながらの沖縄の葬儀儀礼
(6) ヌジファ(魂抜き)の結び → 自宅など移送先に着いたら、ウコール(香炉)に故人の胸元に差しているウコーを拝します。
● 寝かせ方
(7) イリマックァ(西枕) → 葬儀社との打ち合わせが終わると、葬儀社スタッフが準備を進めてくれますが、本州では北枕で寝かせる風習であるのに対して、沖縄の多く地域では西枕(イリマックァ)です。
※ ただ、沖縄本島では南部エリアや離島では、南枕の地域もあります。
沖縄では自宅で葬儀を行う家族も多いため、そのままご自宅へ移送する流れが多いですが、なかにはそのまま葬儀社が用意した霊安室へ移送することもあります。
家族葬であってもご自宅ではなく、沖縄の葬儀社が用意している戸建ての家を貸し切って、お通夜~葬儀まで行うケースもありますので、自分達が沖縄で希望する葬儀の形を、この時までには検討してください。
※ ヌジファーの儀礼やイリマックァ(西枕)の儀礼については、別記事「【沖縄の葬儀】自宅で行う通夜。ヌジファーの儀礼と迎え方」でお伝えしますので、もう少々お待ちください。
沖縄の葬儀社との打ち合わせ
ここで家族は死亡届を役所に出したり、火葬許可証をいただいたりと、役所での手続きが出てきます。また同時に沖縄の葬儀社との打ち合わせも行わなければなりません。
沖縄の葬儀社は余裕があれば複数の会社に相見積もりを取り、より納得できる沖縄の葬儀社を選んでください。
【 沖縄の葬儀。葬儀社との打ち合わせ 】
● 喪主を決め、沖縄で行う葬儀の細かな段取り(お通夜や火葬スケジュール、納骨まで)を決めて行きます。
→ 葬儀社との打ち合わせを済ませれば、後は経験のある葬儀社スタッフが先導してくれるので安心です。家族の仕事としては、遺影選びなどになります。
また沖縄の葬儀の場合、死亡広告の有無も早い段階で決めなければなりません。昔ながらの大きな規模で行う沖縄の葬儀であれば死亡広告を打つ流れが必要ですが、今では家族のみで進める家族葬も増えました。
家族葬の場合は大勢の弔問客を受け付けないため、死亡広告は打たずに訃報ハガキなどで事後報告にする家族は多いです。
家族葬で訃報を知らせるタイミングは繊細な決め事なので、親族・家族で早めに決めて、進めるようにしてください。
いかがでしたでしょうか、今回は家族葬や在宅医療の広がりとともに見直されてきた、沖縄ならではの葬儀儀礼について、ご臨終からご自宅への迎え入れまで、大まかな流れをお伝えしました。
祖霊信仰が深く根付く沖縄では、霊魂を大切に供養します。ヌジファー(抜魂)の儀礼はそれを象徴するもので、身体から故人の魂を抜いて体に添え、家まで案内する沖縄の葬儀儀礼です。
故人を偲び弔い、手厚く供養を進めるとともに、沖縄の葬儀社選びや死亡届の提出など、現実的な手続きも進めなければなりません。
具体的な手続きについて、詳しくは別記事「【沖縄の葬儀】大切な家族を亡くした時、遺族が行う手続き」でお伝えしますので、もう少々お待ちください。
まとめ
ご臨終の時、沖縄のしきたりとは
・アミチュージ(湯灌)
・グソースガイ(着替え)
・お化粧(若しくはエバーミング)●ご遺体の移送
・ヌジファー(抜魂)
・ヌジファーの結び
・イリマックァー(西枕)