沖縄でミニ仏壇が広がるのはなぜ?意外な5つのニーズとは

2021.09.25
沖縄でミニ仏壇が広がるのはなぜ?意外な5つのニーズとは

おしゃれな戸建てや分譲マンションが増えた沖縄では、モダン仏壇やミニ仏壇の需要が高まっていますよね。なかでも最近は特にミニ仏壇が、お仏壇としてだけではなく沖縄の御願文化において、あらゆる用途で使われるようになりました。今回は、ミニ仏壇がどのような理由で求められているのか…、意外な5つのニーズについてお伝えします。

ひと昔前、沖縄では大きなお仏壇が一般的でしたよね。昔ながらの赤瓦の平屋では、家の中心となる二番座に大きなお仏壇スペースが設けられていました。

けれども昔ながらの沖縄家も少なくなり、近代的でおしゃれな戸建て住宅や分譲マンションも急増した現代の沖縄では、昔のような大きなお仏壇を家の中心に据えることにムリが生じています。

そこで沖縄ではモダン仏壇やミニ仏壇の需要が高まっていますが、最近では特にオシャレで可愛いミニ仏壇があらゆる用途で使われるようになりました。

今回は、現代沖縄で需要が急増するミニ仏壇について、どのような理由で求められているのか…、意外な5つのニーズについてお伝えします。

手元供養として

手元供養として
全国的にも手元供養は年々ニーズが高まっていますが、特に沖縄ではミニ仏壇による手元供養が急増傾向が目立ち、その背景には、沖縄ならではのお墓制度やしきたりが関係しています。

【 沖縄で増えるミニ仏壇☆手元供養として 】

☆ 檀家制度を持たず独自の供養文化がある沖縄では個人墓地に建つ父方血族の「門中」を中心として門中墓が多いです。

→ この門中墓に入りたくない、もしくは門中のしきたりにより入れない、などの理由の他、そもそもしきたりの多い門中墓を墓じまいし、お墓を持たない選択をする事例が増えました。

※ 寺院や霊園である程度の管理が期待できない「個人墓地」の習慣があったため、継承者がいない、継承者が高齢化するなどの理由で墓じまいを希望する声があります。

さらに沖縄ではお墓参りを行うのはお参り行事の日だけ、しかも親族皆で墓前祭として歓談しながらお参りをする習慣があるものの、まだ故人を亡くして心の整理がついていない遺族にとっては辛いとして、心の整理が着くまで落ち着いて丁寧に供養ができる声も多いです。

沖縄で手元供養のニーズが高い理由について、詳しくは別記事「沖縄で手元供養が広がる3つの理由と3通りの方法」でもお伝えしますので、楽しみにお待ちください。(後ほどアップします。)

 

永代脇位牌として

沖縄でミニ仏壇が広がるのはなぜ?意外な5つのニーズとは
ご先祖様をヤー(家)を守る神様とする「先祖崇拝」は、本州とは違う沖縄の信仰です。

そのため、先祖崇拝の象徴でもあるトートーメー(先祖代々位牌)には、継承や管理においてさまざまなしきたりやタブーがあり、なかには継承者がいないまま預かる位牌(アジカイグゥアンス)があります。

アジカイグゥアンスは、今の世代でトートーメー継承者がいない場合、次の世代の継承者が現れるまで、「仮に」預かる位牌のことで、主に嫁いだ嫁の実家の位牌などを預かるケースなどです。

けれども次世代でも継承者がいないままアジカイグゥアンス(預かり位牌)が続いた時に、「永代脇位牌」として、沖縄では本仏壇の脇に祀る家があります。

【 沖縄で増えるミニ仏壇☆永代脇位牌 】

★ 沖縄では本仏壇の脇に添えたり、台所に祀るお仏壇に丁度良いとして、ミニ仏壇が選ばれる傾向です。

・アジカイグゥアンス(預かり位牌) → 一時的に預かるトートーメー(先祖代々位牌)です。沖縄では主に本仏壇の隣りに祀られます。

・永代脇位牌 → アジカイグゥアンス(預かり位牌)が続き、そのまま家で供養を続けることになると「永代脇位牌」です。継承者がいないと分かったタイミングで、沖縄ではミニ仏壇を求める方もいます。

・サギブチダン(下げ仏壇) → 沖縄では離婚して戻った女性や独身女性、子どもの位牌などを本仏壇で供養してはいけないとする家もあり、この場合は「サギブチダン(下げ仏壇)」として台所に祀る習わしです。

どの習慣も現代の暮らしにはズレが生じるしきたりですが、このしきたりを色濃く残す家が今も沖縄にあります。

特にサギブチダン(下げ仏壇)などは現代の価値観とは合いませんが、そのなかでもより手厚く供養したいと思う人々にミニ仏壇が選ばれる傾向です。

※ 沖縄でのトートーメーについては別記事「沖縄のトートーメー信仰☆人々を悩ませる禁忌と変わる現代」でもお伝えしています。

 

トートーメーを永代供養して(祖先神)

オシャレなヒヌカン
そもそも永代脇位牌やアジカイグゥアンス(預かり位牌)、サギブチダン(下げ仏壇)をはじめとした、昔ながらのトートーメーのしきたりやタブーに違和感を感じている方々や、トートーメー継承問題に悩む沖縄の方々にも、ミニ仏壇は選ばれます。

【 沖縄で増えるミニ仏壇☆トートーメーの永代供養 】

★ その背景として、先祖崇拝の象徴であるトートーメーを永代供養して身軽になってしまおう、とする沖縄の方々が、変わるものとしてミニ仏壇を選ぶ傾向です。

→ タブーや継承問題、しきたりはリセットしながらも、近しい親族を供養したい遺族や、「祖先神としての拝みの象徴」は残したい、として改めて身軽なミニ仏壇にイフェー(位牌)を祀ります。

このような事情により沖縄でミニ仏壇を選ぶ事例では、イフェー(位牌)も名前が残り再びトートーメー問題が起きないように、単独のカライフェー(唐位牌)などが選ばれる傾向です。

トートーメーの永代供養については別記事「沖縄ではモダン仏壇でも供養はできる?現代の新たな拝み方」に詳しく記載します。(後ほどアップします。)

 

ヒヌカンとして

ヒヌカンとして
また、特に新型コロナ感染拡大が起きた2020年以降の沖縄では、ミニ仏壇を祭壇と見立ててヒヌカンを迎え入れるケースが増えました。

先祖崇拝が沖縄信仰のひと柱であることはお伝えしましたが、残る信仰は「御嶽(ウタキ)信仰」と「ヒヌカン(火の神)信仰」です。特にヒヌカンは台所に鎮座され、日々の一家の妻・母である女性との対話を通して、パーソナルにその家を守ってきました。

【 沖縄で増えるミニ仏壇☆ヒヌカンとして 】

★ そこでコロナ禍による経済不安が続く沖縄で、代々継承ではなく新しくヒヌカン(火の神)を仕立てて祀り、守っていただく流れが起きています。

→ ただ、昔と違い最近の家ではヒヌカンを置くためのスペースが台所に設けられていないので、よりコンパクトなうえに現代の家にもマッチしたおしゃれな祭壇として、沖縄でミニ仏壇が選ばれています。

昔ながらのヒヌカンでは代々実家や義実家のヒヌカンからウコール(香炉)の灰をいただいてきました。

けれども新しく仕立てる最近のヒヌカンでは、自ら御嶽(ウタキ)など、神様の元に出向いて拝みを捧げ、そのお線香(ヒラウコーなど)を持ち帰り仕立てたウコール(香炉)にくべます。

※沖縄でミニ仏壇を利用したヒヌカンについては別記事「沖縄のヒヌカンは聖地と繋がる☆今、若い世代から注目」でもお伝えしていますので、コチラも併せてご参照ください。

 

ウータナ(御棚)として

ウータナ(御棚)として
ウータナ(カミウタナー)」とは門中のトートーメーのさらなるグァンスを差し、主に長くトートーメーを祀ってきたムートゥーヤー(門中本家)に見受けられる神様です。

【 沖縄で増えるミニ仏壇☆ウータナとして 】

★ トートーメーを祀るムートゥーヤーのなかでもさらに門中本家となる、ウフムートゥー(大宗家)などにしか見られないので少ないものの、建て替えなどをきっかけに、よりコンパクトで現代の家にもマッチしたミニ仏壇を選ぶ方もいます。

ウータナ、ウタナー、カミウタナー、など呼び名はさまざまですが、神棚のような存在です。

前項でお伝えしたヒヌカンも、以前は実家や義実家がなかったり、実家や義実家にヒヌカンがない場合、新居にヒヌカンを祀りたい時には、このウータナ(ウタナー・カミウタナー)のウコール(香炉)から灰をもらうこともありました。

 

いかがでしたでしょうか、今回は今特に沖縄でミニ仏壇が広がっている5つのニーズをお伝えしました。

どれも檀家制度を持たない沖縄ならでは供養文化により増えたミニ仏壇ニーズですが、これをきっかけにより遺族や家の心を繁栄した、気持ちの入った拝み文化・供養文化に変わりつつあります。

確かにしきたりを未来へ残すことも大切な要素ですが、故人の心を想った時に大切な家族にタブーを設けるかと言えば…、それもまた違和感を感じている沖縄の人々が多いのも事実です。

新しく変わりつつある沖縄の仏壇・供養文化を選ぶのか、昔ながらの沖縄の御願を残すのか…、それはそれぞれの環境や暮らし、そして価値観なのかもしれません。

まとめ

沖縄でミニ仏壇のニーズが広がる理由とは

・門中墓から独立するなど、手元供養の選択が増えた
・永代脇位牌など本仏壇以外の仏壇として
・トートーメーを永代供養で浄化するため
・新しくヒヌカンを仕立てるため
・本家建て替えなどでカミウタナーの祭壇として

 


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