コロナ禍の沖縄で増えた月命日供養☆ミニ仏壇でも行う自宅供養

2021.10.14
コロナ禍の沖縄で増えた月命日供養☆ミニ仏壇でも行う自宅供養

沖縄で月命日供養にお墓参りの習慣はありませんよね。沖縄ではお仏壇が中心です。さらに近年ではより気軽に親しい故人を偲びたい方々、コロナ禍でも丁寧な供養をしたいとする方が増え、それぞれの家での自宅供養が増えました。今回は新型コロナ到来によりさらに加速した、沖縄で増える月命日供養と、それに伴い広がる新しい供養の形についてお伝えします。

沖縄で月命日供養を行うと言っても、お墓参りをする習慣はありませんよね。全国的に月命日はお墓参りをする方が多い一方、沖縄で増えた月命日供養はお仏壇が中心です。

ただ沖縄ではトートーメー(先祖代々位牌)がありますから、供養をしようと思うと沖縄でトートーメーを継承・管理をしているムチスク(宗家)へ行こうとする方も多いのですはないでしょうか。

けれども近年ではより気軽に、細やかに親しい故人を偲びたい方々や、コロナ禍でも丁寧な供養をしたいとする方が増え、それぞれの家での自宅供養が増えました。

今回は新型コロナ到来によりさらに加速した、沖縄で増える月命日供養と、それに伴い広がる新しい形のミニ仏壇やモダン仏壇についてお伝えします。

沖縄で広がる月命日供養とは

沖縄で広がる月命日供養とは
故人が亡くなった月日である一年ごとの「命日」は、本来は「祥月命日(しょうつきめいにち)」と呼ばれます。「祥月命日」の「祥」は本来お祝いの意味合い(正月=祥月)がありますが、一年が経ち喪が明けたためです。

対する月命日は故人が亡くなった「日」の数字と同じ日を差します。

例えば、2000年5月5日に亡くなった場合、祥月命日は2001年5月5日、2002年5月5日、2003年5月5日…と続き、2001年5月5日はイヌイ(一年忌=一周忌)、2003年5月5日はサンニンチ(三年忌=三周忌)です。

一方、月命日は2000年5月5日に亡くなった場合、2000年6月5日、2000年7月5日…と、毎月訪れます

【 沖縄で増えた月命日供養☆月命日とは 】

★ 祥月命日にはイヌイ(一年忌=一周忌)やサンニンチ(三年忌=三周忌)と、ニンチスーコー(年忌焼香=法要)が行われますが、月命日は大きな法要は行いません

→ 主に家族で故人を偲ぶためにあり、全国的には月命日に毎月お線香を上げに行く習慣もありますが、沖縄の月命日ではお仏壇へ向かってご馳走を供え共食する人々が多いです。

祥月命日には法要の他、全国的には故人が健やかに成仏することを願い卒塔婆を建てたり、お墓参りに訪れることも多いですが、沖縄の月命日供養は毎月訪れるので、より故人が生前に好んでいた食事を供えるなど、身近な供養になります。

祥月命日と月命日の違い

祥月命日と月命日の違い
このように、もちろん近しい人々の間で故人を偲ぶ目的もありながら、故人が成仏するための「追善供養」としての意味合いが祥月命日では大きい傾向です。

また、対外的に故人が亡くなってからの生活を見守ってきていただいた、知人や友人、親族の方々へのお礼とおもてなしの意味合いも込め、法事を執り行う方も多いのではないでしょうか。

そのため祥月命日には一定の区切りがありますが、月命日は始まりに関しても終わりに関しても、大きな決まり事はありません

【 沖縄で増えた月命日供養☆祥月命日との違い 】

★ 祥月命日は追善供養として弔事用の重箱料理(ウサンミ=御三味)が並びます。供え膳やムィグワーシ(お菓子)、果物の盛り合わせ、ダーグ(団子)など、追善供養としての形式に沿ったお供え物です。

→ 一方、月命日では多くは故人が生前に好きだった食べ物やお酒をお供えし、拝んだ後にウサンデー(下げていただくこと)して、故人を偲びます。

特にナナニンチ(七年忌=七周忌)までの月命日では、亡くなった故人の魂の人の心を残すと言われますので、生前に好きだったお供え物をウサンデー(下げること)したら、故人に味覚(舌など)を「貸す」意味合いも兼ねて、お仏壇を前に食事を一緒に楽しむ家が多いです。

また沖縄では月命日に近しい親族がお仏壇に向かって拝みを捧げたり、仏教に倣い(※)観音経や仏教を読経し供養する家族も見受けます。

亡くなり方や遺族の想いによって、毎月月命日にお坊さんを呼び読経供養をお願いすることがありますが、この場合法要よりも包むお布施は少なめです。

★ 沖縄で月命日にお坊さんへ読経供養を依頼する場合、お布施は3,000円が相場となります。読経後に説法をお願いしたり、相談をお願いする場合はそこに気持ちを加えてください。

沖縄の月命日はお仏壇が中心

沖縄の月命日はお仏壇が中心
実は沖縄では月命日など、頻繁にお墓参りをすることを良しとしません。周辺のお墓の人々に嫉妬されるとか、故人が後ろ髪を引かれる…などとも言われます。

そのため沖縄の月命日供養はお仏壇が中心です。

そこで最近の沖縄では、お仏壇のない家でも単独のカライフェー(唐位牌)やミニ仏壇を仕立て、ムチスク(宗家※)のみならず、兄弟親族それぞれの家で、月命日供養を行う流れが起きています。

【 沖縄で増えた月命日供養☆しきたりなく故人を偲ぶ 】

★ 「カライフェー(唐位牌)」とは、昔ながらの先祖代々の名前が並ぶ沖縄位牌ではなく、故人単独の魂を乗せたイフェー(位牌)です。

→ 名前を彫る家もあれば、ムチスク(宗家)に祀られているからと、名前を彫らないままのイフェー(位牌)を祀る家もあります。

※ムチスク(宗家)とは、沖縄に伝わるトートーメー(先祖代々位牌)を継承し祀る家です。

お仏壇のない家でも月命日供養を行う

お仏壇のない家でも月命日供養を行う
これは地域や家、門中によっても見解はさまざまです。ただ特に新型コロナ到来により、家族親族と言えどもそれぞれの家を自由に行き来しにくくなったことから、沖縄でも月命日供養をしたい家族に広がっています。

沖縄の月命日のみならず、シジュウクンチ(四十九日)までのナンカスーコー(周忌焼香)なども以前よりも弔問が難しくなり、簡易的なお仏壇を仕立てて遠隔で供養する家族が増えました。

【 沖縄で増えた月命日供養☆故人の魂を迎え入れる 】

※ 重要なのはウコール(香炉)の灰です。

→ 沖縄ではムチスク(宗家)やお墓などで拝んだ時、ヒジュルウコー(火を灯さないお線香)を供えて持ち帰り、そのウコー(お線香)を、新しく仕立てた自宅のウコール(香炉)に火を灯して拝することで、故人の魂が移ります。

コチラも「必ずムチスク(宗家)に弔問に行かなければならない」など、家や門中、地域によってさまざまにこだわりはありますが、今の沖縄ではリモートによる月命日供養も見られるようになりました。

沖縄の月命日に供える花々

沖縄の月命日に供える花々
沖縄では故人は亡くなると成仏するまで過去(生前)に生きるため、「時間が止まる」とされてきました。

けれども故人を想ったウコー(お線香)の煙が天に上る時間のみ、故人の止まった時間が動きます。

【 沖縄で増えた月命日供養☆供える花々 】

★ ですから故人の時間が動いた時に、「今どの季節なのか」分かるよう、その季節の花々を供えると良いと言われます。

→ 追善供養の法要や忌中は「白い花」とされますが、月命日ではカラフルな花々でも良いとする家が多い傾向です。

ですから例えば、5月であればカーネーション(母を想う花でもあります)、初夏以降はトルコキキョウなど、季節を象徴する花々を選んでみてはいかがでしょうか。

ただし亡き人々は香りを食べるものの、それだけ香りには敏感でお祓いにも使われるほどですので、あまりキツイ香りの花々やトゲを持つ花々は避けた方が良いでしょう。

また花言葉も考慮して選ぶと良いかもしれません。

 

いかがでしたでしょうか、今日は沖縄で増えた月命日供養についてお伝えしました。以前は旧暦行事や法要など、門中や親族単位で行う大規模な供養事が主流だったのですが、現代の忙しい日々からムチスク(宗家)の負担が大きくなり、無理が生じるようになりました。

そのなかで新型コロナ到来起き、さらに加速する形で新しい供養の形が産まれたのですが、より儀礼よりも心を重視したことで、気軽に沖縄でも月命日供養ができるようになっています。

そのため、それぞれの沖縄の家で月命日供養ができるため、カライフェー(唐位牌)ウコール(香炉)だけを購入して簡易的なお仏壇を仕立てたり、手元供養などの小さなお仏壇で日々手を合わせる家族も増えました。

グリーフワークの一助ともなりますので、この機会に簡易的なお仏壇も検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

沖縄で増えた月命日供養とは
・祥月命日は故人が亡くなった月日(年1回)
・月命日は故人が亡くなった日(月1回)
・法要とは違い、家族でより気軽に故人を偲ぶ
・儀礼に倣わず、故人が生前に好きだったものを供える
・故人に「口」を貸し、ウサンデー、共食する
・それぞれの家で供養する時はお線香で迎え入れる
・季節を感じる花々を供える


前の記事
次の記事

関連記事

沖縄の先祖代々位牌「トートーメー」とは?そもそも家を守護する「祖霊信仰」ってなに?
沖縄の先祖代々位牌「トートーメー」とは?そもそも家を守護する「祖霊信仰」ってなに?
【沖縄のタナバタ】仏壇の移動にピッタリの日取り☆けじめのスーコー
【沖縄のタナバタ】仏壇の移動にピッタリの日取り☆けじめのスーコー
【家族が亡くなったら】沖縄のお葬式で、昔と違う10の選択肢|その1
【家族が亡くなったら】沖縄のお葬式で、昔と違う10の選択肢|その1
【沖縄のお供養】御願で違う☆ヒラウコー(お線香)の本数とは
【沖縄のお供養】御願で違う☆ヒラウコー(お線香)の本数とは

カテゴリー

topへ戻る