【余命宣告】突然の告知でショック。冷静になるために心の5段階を知る

2022.10.16
【余命宣告】突然の告知でショック。冷静になるために心の5段階を知る

余命宣告でショックを受けると、この時がずっと続くような気分になりますが、これからの心の変化を理解しておくことで、その辛さが軽減しますよね。今回は余命宣告でショックを受けた時心に冷静さを取り戻すために、心が回復するまでの5段階をお伝えします。

余命宣告を受けると誰もがショックを受けますよね。
特に何事もなく日常生活を過ごしていると、「余命宣告」についての予備知識がありません。

そのため余命宣告によってショックを受けるのは、「死」が一気にやってくるためです。
感情に振り回されてしまいがちですが、実は余命宣告を告げられた時期までに亡くなった確率は5割と言われます。

余命宣告でショックを受けると、この時がずっと続くような気分になりますが、これからの心の変化を理解しておくことで、その辛さが軽減するでしょう。

今回は、余命宣告でショックを受けた時、心に冷静さを取り戻すために知っておきたい、心が回復するまでの5段階をお伝えします。

 

余命宣告はショックだけど…

余命宣告はショックだけど…
誰もが無意識にでも「自分に限ってガンにはならない」と日常を過ごし、余命宣告を受けてショックを受けた体験談を聞いても、他人事のように思えるのではないでしょうか。

けれども日ごろから意識をして情報を受け取るだけで、いざと言う時の心の落ち着きは大きく違うでしょう。

<医師が余命宣告をする時>
●医師が余命宣告を行う時は、一般的に標準治療でできる対処がなくなった時です。
・放射線治療
抗がん剤
・手術

以上の標準治療を施しても改善が見られなかった時、予め余命宣告を行うことで、ショックを緩和する目的があります。

余命宣告の確率は5割

余命宣告を受けるとショックのまま、「2ヶ月」「1年」などの数字が頭から離れない人もいますが、生存期間中央値から見ると、余命宣告までに臨終を迎える人の確率は5割です。

余命宣告を受けてからの治療方針や、暮らし方によっても変わりますし、医療技術も日進月歩で進んでいます。

<余命宣告を告げる意味>
●突然の死にご遺族とのトラブルを避けるため・家族が最期の時間を過ごす
・家族に心の準備ができる
残された時間を効果的に使うため
・本人が身辺整理を行うため

特に医師が余命宣告を告げるのには、突然の死でショックを受けたご遺族とのトラブルを避ける側面もあるでしょう。

突然の死により「病院側に問題があったのではないか」と取り乱す事例も少なくありません。
反対に考えると、余命宣告を受けたからと言って、確実ではないことも分かります。

※余命宣告やそれに相当する病気が見つかったら、高額医療制度や保険の確認も必要です。
【老後の暮らし】高額医療制度や保険の確認。まずチェックしたい5つの事柄

 

余命宣告を受けたメンタルケアの5つ段階

余命宣告を受けたメンタルケアの5つ段階
代表的な著者: エリザベス・キューブラー=ロスが出した本の一説に、余命を受け入れるまでの5つの段階を経ると提唱しました。

<余命宣告を受けたショック:ケアの5段階>
(1)否認…事態が深刻なことを心が受け入れられない
(2)怒り…なぜ自分がこのようなことになるのかと怒りがある
(3)取り引き…事態をどうにかできないものかともがく
(4)抑うつ…改善できないと分かり、気持ちが凹む
(5)受け入れ…全てを受け入れる

余命宣告を受けてショックを受けた本人や家族が、この心の5段階を知ることで、「今の動揺や苦しみ、戸惑いがずっと続く訳ではない」と理解できるだけでも、今この時の苦しみが、少しばかりでも軽減できます。

これらは一説なので、個人個人で気持ちの持ちようなどが異なりますが、上記の5段を家族は目の当たりにするでしょう。

…それでは、下記より詳しく解説します。

(1)否認

人間誰しも深刻な状況に陥った時に、今の状況を判断し、全てを理解することは難しいですよね。
病気で余命宣告を受けた場合でも同じことです。

「死」のビジョンしか浮かばない時、心が受け入れられないことでしょう。
周囲の人々は、余命宣告でショックを受けた本人が、否認のプロセスを踏むと理解するだけで、冷静な対応ができます。

<余命宣告のショックから回復(1)否認>
●ショックにより反射的に感情が逃避しようと、否認へと向かい、家族や周囲の人々とのすれ違いが起きやすく、孤独になる時期でもあります。
ショック
・否定/否認
逃避
・すれ違い
孤独

このような事態になった時は、まずは自分の心を落ち着けるまでかなりの時間が掛かりますが、表面的には否認をしていても、頭では理解しようと努力していることを、周囲も本人自身も理解することで、辛さも少しばかり緩和するでしょう。

(2)怒り

余命宣告を受けた事実を認識したものの、「なぜ自分がこんなことになるのか!」「なぜ自分ばっかり!」と、虚しさや怒りがこみあげてきます。

<余命宣告のショックから回復(2)怒り>
●否認の時期と引き続き、怒りの感情が湧き出ている時期で、周囲への怒り、反発も起きてくる時期です。
こんなに頑張って来たのに!
なぜ自分だけこんな目にあうのか
我慢してきた結果がこれか!
・どうせ死ぬんだから、どうなってもいい
・こんな状況になったのに、誰も心配してくれない(思い込み)

…この時期の余命宣告でショックを受けた本人の声には、上記のような言葉がありました。

余命宣告は家族にとってもショックですが、周囲の人々はこの5段階を知らないと、ケンカやすれ違い、トラブルが起きてきますので、理解をして対応をすると良いでしょう。

(3)取り引き

(3)取り引き
取り引きの段階では、余命宣告を受けてショックを受けた本人は、「事態をどうにかできないものか…」ともがく時期です。

取り引きの時期を乗り越えるポイントは、「正しい取り引きをする」と言うことでしょう。

例えば、「ガンが治る奇跡のお茶!」と数十万もするお茶を購入してしまったり、民間療法で数千万と掛けて、貴重な時間を費やすケースも少なくありません。

<余命宣告のショックから回復(3)取り引き>
●取り引きの時期の焦りは、下記のような方法で乗り越えた事例があります。
医師との関係性を深める
・医師に不安な事柄を何でも相談する
セカンドオピニオンを受ける

…などなどです。
また仏教などの本を読み、心を落ち着かせた体験談も多くあるでしょう。
この場合は仏道で言う「善行」を行ったり、突然投げ出したりする行動も見受けます。

いずれにしても余命宣告を受けてショックを受けると、嬉しい文言についつい引き込まれてしまいますが、余命宣告を受けた病気が「100%治る」「絶対治る」かどうか、他人には断言できません

(4)抑うつ

取り引きの段階が過ぎると「どうにも改善できない」事実が目の当たりに迫り、虚しさや絶望感、たまらない悶々とした諦念が襲います。

そのため、この時期に苦しみからうつ病を引き起こし、死を早めようとする行為も見受けるため、周囲の人々は注意をして過ごすケースも少なくありません。

そんな時は、これも心の5段階の変化の一部であること、長くは続かないことを、周囲も本人も理解するだけで、大きく違います。

<余命宣告のショックから回復(4)抑うつ>
・諦め
・悲観
絶望感
・虚しさ
抑うつ

またこの時期には、病気の治療が進んでいるなど、体力的にも苦しい状態にあることが、抑うつに拍車を掛ける場合が多いです。

医師も最善を尽くすと思いますが、生活習慣病(ガンなど)は完全に完治するまで時間も体力も入りますので、本人も家族も、体力的にも乗り越える必要があることを知っておくと良いでしょう。

(5)受け入れ

(5)受け入れ
余命宣告でショックを受けてから、最終段階となる受入れ(受容)の段階では、「死」を受け入れることができます。

ただ余命宣告を受けた本人はこの受け入れ段階に進んでいる場合でも、周囲の家族が追い付いていないケースは少なくありません。

この時、本人がエンディングノートを書くなど、どんどん身辺整理や死への準備を進めている様子を見て、家族や周囲の人々が胸を痛める相談も多いです。

<余命宣告のショックから回復(5)受け入れ>
●今まで恐れていた「死」に対して、誰もが通る自然の摂理だと受け入れます。
今までの価値観とは違う世界
異なる視野、次元を受け入れる
心静かに余命を過ごす

不思議なことに、当初は余命宣告で深いショックを受けていた人でも、この時期には「病気に感謝」していたり、「幸せな体験」と語る人々も少なくありません。

この時期に神仏に傾倒する人もいますが、(3)取り引きの段階とはまた違う見解です。

 

最後に

以上がスイスの精神科医キューブラー・ロス(2004年78歳没)が提言した、余命宣告を受けて深いショックを受けてから、心が回復するまでの5段階です。

ただし、本人は余命宣告を受けてはいるものの、それはその人の人生の一部です。

余命宣告を受けてショックを受けてからの5段階も、人それぞれに違いますし、回復してからの選択も、その人それぞれの生き方に基づいた選択があるでしょう。
もちろん、ケアを受ける人でなければならない訳でもありません。

・余命宣告や病気を正しく理解する
・情報は科学的根拠を踏まえて検討する
医師との関係を良好にする
家族との関係性が良いものであれば幸せな時間ができる
病気が全てではない
・病気を理由に、自分に制限を掛けない

…などなどが、余命宣告による深いショックから回復した人々のポイントです。

家族や周囲の人々も、余命宣告を受けたからと言って、世話をすべき弱い人になった訳ではありません、日ごろから変わらず尊重し合う意識によっても、大きく違うでしょう。
まとめ

余命宣告を受けてから回復まで、心の5段階とは

(1)否認…事態が深刻なことを心が受け入れられない
(2)怒り…なぜ自分がこのようなことになるのかと怒りがある
(3)取り引き…事態をどうにかできないものかともがく
(4)抑うつ…改善できないと分かり、気持ちが凹む
(5)受け入れ…全てを受け入れる


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