沖縄では四十九日までのナンカスーコー(週忌焼香=法要)を大切に扱ってきましたが、特に初七日(ハチナンカ)から始まる奇数週の「ウフナンカ」では、焼香客も迎え入れたスーコーを執り行う家が、今も多いですよね。
葬儀後すぐに納骨を済ませる沖縄では、ナンカスーコーの朝には家族でお墓参りを済ませ、それから仏前でスーコーを執り行います。
偶数週のマドゥナンカは近しい身内のみですが、奇数週のウフナンカでは焼香客を迎え入れる家では準備もしますので、週によってお供え物や進め方が少しずつ違い、本位牌(塗り位牌)へと変わる四十九日が締めくくりです。
今回は、沖縄のナンカスーコーのなかでも特に、奇数週のウフナンカの進め方をお伝えします。どうぞ参考にしてください。
沖縄で行う奇数週のナンカスーコー
沖縄のナンカスーコー(週忌焼香)は故人が亡くなった日から七回執り行われ、四十九日が締めくくりです。
ハチナンカ(初七日)/タナンカ(二七日)/ミナンカ(三七日)/ユナンカ(四七日)/イチナンカ(五七日)/ムナンカ(六七日)/シジュウクンチ(四十九日)の七回ですが、沖縄では偶数週と奇数週で少しだけ進め方が違います。
ちなみに沖縄のナンカスーコーでは偶数週がマドゥナンカ、奇数週がウフナンカです。
【 沖縄のナンカスーコー。ウフナンカ 】
(1) マドゥナンカ → ごく近しい身内のみで執り行うスーコーです。規模も小さく、お供え物もウフナンカと比べて少なくなります。
(2) ウフナンカ → 焼香客も迎え入れるスーコーです。お供え物もマドゥナンカと比べて多く、ハチナンカ(初七日)とシジュウクンチ(四十九日)にはお坊さんを読んで読経供養を行う家が多いです。
沖縄には檀家制度が根付いていませんので、スーコーの度にお坊さんを読んで読経供養を行うことはほとんどありません。(初七日と四十九日のみ、読経供養をお願いします。)
さらに沖縄のナンカスーコーでは自宅を会場にしている家が多いため、本州の法要ほどお金や労力も掛かりにくいことも、今も習慣の残る背景のひとつかもしれません。
ただ那覇市や浦添市など都心部では、自宅でスーコーを執り行う家も少なくなり、沖縄でもナンカスーコーを繰り上げて、ハチナンカ(初七日)とシジュウクンチ(四十九日)のみ焼香客を迎え入れる、本州と似た形式が増えました。
ウフナンカでのお墓参り
沖縄ではナンカスーコーの早朝は、家族でお墓参りに行きます。これはマドゥナンカでもウフナンカでも変わりありませんが、ウフナンカではウサンミを墓前に供える家も多い傾向です。
ウサンミとは沖縄の言葉で「御三味」と書いてご馳走を意味します。沖縄ではナンカスーコーはもちろん、旧暦行事やお祝い事などあらゆる行事で定番の重箱料理のことです。
【 沖縄のナンカスーコー。ウフナンカ、墓前でのお供え物 】
● 同じウフナンカでもミナンカ(三七日)/イチナンカ(五七日)ではお墓参りにウサンミ(重箱料理)を持参しない家もありますが、特にハチナンカ(初七日)とシジュウクンチ(四十九日)にはウサンミ(重箱料理)を供えます。
<お供え物>
・供え花(一対の二束)
・ミジトゥ(お水)
・ウチャトゥ(お茶)
・ウサク(お酒)
・シルカビ(白紙)
・ウチカビ(打紙)
・カビバーチ(ウチカビを焚く容器)
・お線香(ジュウゴフンウコーとサンブンウコー)
※ ハチナンカ(初七日)/シジュウクンチ(四十九日)やウサンミ(重箱料理)を供える家では、カタシー(おかず重とおもち重を一重ずつ、合計二重)です。
お線香のジュウゴフンウコーは「十五本御香」の意味合いで、お線香が十五本を差しています。このジュウゴフンウコーは、一般的に神様へ供える本数です。
日本線香であれば十五本(もしくは「三位一体」として五本)、沖縄線香(平御香)ではタヒラ半(二枚半)を拝します。
またサンブンウコーは「三本御香」で、日本線香三本、沖縄線香(平線香)なら半ヒラ(半分に割ったもの)となり、故人へ供える本数です。
【 沖縄のナンカスーコー。ウフナンカのお墓参り 】
● 沖縄ではナンカスーコーに限らず、お墓に来たら墓地を守っているヒジャイガミ様(左神様)へ拝んでください。
(1) ヒジャイガミ様の前にヒジュルウコーを供えます。
→ ヒジャイガミ様はお墓の左側、向かって右側です。火を灯さずに(ヒジュルウコー)シルカビ(白い半紙)の上に置いて供えてください。
(2) 墓前にお供え物(お茶/お水/お酒/供え花と、供える家ではウサンミ)を供えます。
※ ウサンミを供える場合は「ウハチ(お初)」として、重箱からおかずを何品が取り出し、ひっくり返して重箱の上に添えてください。
(3) 墓前にサンブンウコーを、今度は火を灯して供えます。(日本線香なら三本/もしくは一本、沖縄線香は半ヒラ)
(4) 故人がグソー(後生=あの世)で使うお金、ウチカビ(打紙)を焚き上げます。準備をしたカビバーチで、ヒジャイガミ様の前で焚いてください。
(5) ウフナンカのお墓参りは以上です。
最近ではお墓が遠くにあって、沖縄でもナンカスーコー当日にお墓参りに行けない家族も増えました。
このようなお家では、台所のヒヌカン(火の神様)がウトゥーシドゥクル(お通し処)となりますので、ヒヌカンを通して拝んでください。
※ 実家や義理実家からではなく、自分達で一からヒヌカンを仕立てることもできます。
スーコーをきっかけにして仕立てる家もあるので、詳しくは別記事「沖縄のヒヌカンシタティ☆最初に神様を迎え入れる方法」をご参照ください。
ウフナンカ、仏前でのスーコー
沖縄でナンカスーコーの朝に家族でお墓参りを済ませたら、(多くは)自宅で焼香客を迎え入れる準備を進めます。
昔はハチナンカ(初七日)とシジュウクンチ(四十九日)のみ、500円ほどの香典返しを準備していましたが、最近ではイチナンカ(五七日)などでも香典返しを準備している家も増えました。
これはお香典の金額が高くなっていることも影響していますので、昔の習慣が今も残る地方であればお香典も千円前後ですので、香典返しはハチナンカ(初七日)とシジュウクンチ(四十九日)のみの家が多い傾向です。
【 沖縄のナンカスーコー。ウフナンカ、仏前のスーコー 】
● ウフナンカの仏前のウサギムン(お供え物)での大きな違いは、ウサンミ(重箱料理)ではないでしょうか。
<お供え物>
・ウチャトゥ(お茶)
・ミジトゥ(お水)
・ウサク(お酒)
・供え花
・ダーグ(お団子)を左右対で二皿
・ハーガー(※)を左右対で二皿
・果物の盛り合わせを左右対で二皿
・ムィグァーシ(盛り菓子)を左右対で二皿
・精進料理の御膳
●ウサンミ(御三味)をおかず重二重とむち(おもち)重二重の合計四重の「チュクン(両方)」を供える
ごく近しい身内のみで執り行う沖縄では偶数週のナンカスーコー、マドゥナンカになると、精進料理の御膳を供えない家が多かったり、ウサンミ(重箱料理)も規模が小さいためにカタシー(片方)です。
カタシー(片方)になるとおかず重一重とむち(おもち)重一重箱の合計二重となり、ウフナンカで供えるチュクン(両方)の半分です。
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で行う四十九日までのナンカスーコーについて、特に焼香客を迎え入れる奇数週のウフナンカの進め方をお伝えしました。
奇数週のウフナンカでも、本州と同じように特に最初のハチナンカ(初七日)とシジュウクンチ(四十九日)がより大きなスーコーとなり、間のミナンカ(三七日)やイチナンカ(五七日)のなかでも、よりイチナンカ(五七日)に焼香客が集まる傾向です。
お坊さんを呼び読経供養をお願いするのも、ハチナンカ(初七日)とシジュウクンチ(四十九日)の二回のみとする家がほとんどで、中間に当たるミナンカ(三七日)やイチナンカ(五七日)は、普段着での焼香客も多く見受けます。
ただ最近では都心部(那覇市など)では沖縄でもナンカスーコーの習慣が廃れつつありますので、地域性を考慮しながら進めると良いでしょう。
まとめ
ウフナンカの進め方
・四十九日まで、奇数週の週忌焼香がウフナンカ
・ウフナンカでは焼香客を迎え入れる
・ハチナンカ(初七日)と四十九日が大きな焼香
・三七日と五七日では、より五七日が焼香客が多い傾向
・沖縄では朝からお墓参りをする
・お墓が遠くてお参りできない家ではヒヌカンから拝む
・ウフナンカでは重箱料理をお墓参りに持参する家もある
・お仏前に供える重箱料理はおかず重二重+おもち重二重が多い
・お仏前のお供え物は左右対で二皿ずつ準備する家が多い