沖縄では自宅で臨終を迎える選択が増えましたよね。訪問医の支持の元、家族は介護続けますが、突然病態が急変した経験があると不安に感じる声も多いです。
一方で沖縄で自宅ではなく、病院で臨終を迎えた時にも、本人がエンディングノートで希望を残していた場合など、どこまで自由に最期の時を過ごせるのか…、また医療機器まで悩む方も多くいます。
今回は、沖縄の自宅・病院でご臨終を迎えた時、それぞれ家族が行う事柄をお伝えします。(特に現代の手順です。)
昔ながらの沖縄の儀礼については別記事「【沖縄の葬儀】自宅で臨終を迎えた時。アミチュージの儀礼」や「ご臨終を迎えた時。沖縄で家族が行う葬儀前のしきたり」などです。
病院で臨終を迎える場合
沖縄の自宅で臨終を迎えたいと思って訪問医とともに環境を整えていても、誤飲による肺炎を起こして病院で最期を迎えた体験談なども多いです。
沖縄の自宅で臨終を迎えたい場合、本人は最期の時間に多くの希望を持っているケースも多く見受けます。この時、家族は思うように病院へ意思を伝えきれず、後悔をしている体験談も聞こえます。
【 沖縄の自宅ではなく、病院で臨終を迎える 】
● 基本的に病院に搬送された時点で、病院(医師や看護師)の指示に従う必要はありますが、本人と家族で希望していた最期の時の過ごし方があれば、お願いしても良いでしょう。例えば…、
(1)延命治療を拒否したい
(2)医療機器を外して家族でゆっくりと最期の時を迎えたい
…などの希望を多く聞きます。
沖縄の自宅で臨終を迎える場合と同じように、医師が臨終の時を伝えますが、病院では末期の水は取るものの、その後のご遺体のお世話(清拭など)は、看護師さんが行う流れがほとんどです。
…では、沖縄の自宅ではなく、病院で臨終を迎えた後は、家族はどのように動けば良いのでしょうか。まずは看護師さんに清拭をお願いしている間、家族へ臨終を報告すると良いでしょう。
【 沖縄の病院で臨終を迎える。家族の手順 】
● 病院で臨終を迎えた場合、病院の霊安室へ運ばれます。ただ病院の霊安室は長くて24時間ほどしか安置できませんので、その間に次にご遺体を移送する場所(自宅や葬儀社の霊安室など)を準備しなければなりません。
(1) 使っていた病室の掃除です。手際良く、故人が使っていたベッドや持ち物などを片付けて、病室階の受け付けでお世話になった医師や看護師へ挨拶をします。
(2) 自宅の家族へ連絡をして、ご遺体を迎え入れるよう、部屋を整えてください。葬儀社の霊安室へ移送予定の場合は、葬儀社へ連絡を入れます。
(3) ご遺体の移送をするための車(寝台車など)の手配です。もともと葬儀社が決まっていれば、葬儀社から寝台車を出してくれます。病院でも寝台車を出してくれる葬儀社を紹介してくれるでしょう。
病院で葬儀社を紹介された場合、もしもご遺体の移送のみを希望するのであれば、最初にハッキリと伝えた方が良いかもしれません。普段はそのまま、お通夜や葬儀の代行も請け負う流れが多いためです。
また、子どもが亡くなった場合は、親が子どもを抱きながら、自家用車で自宅へ帰ることも多くあります。
沖縄の自宅で臨終を迎える場合
現代、沖縄の自宅で臨終を迎えるケースでは、多くが訪問医に定期的に訪問してもらいながら、備えている家庭が増えました。
その場合、本人の病状が急変した時にすぐに医師に連絡をして、臨終の時に立ち会ってもらいます。ただ急いで医師に連絡をしたとしても、間に合わない事例も少なくありません。
【 沖縄の自宅で臨終を迎える場合 】
● もしも医師が臨終に間に合わない場合でも、落ち着いて家族が集まり、最期の時を迎えてください。枕元で集まった家族がそれぞれに最期の水を含ませ、医師の到着を待ってください。
→ 医師が臨終に間に合わなかったとしても、診察をしてもらい死亡診断書を発行してもらいます。これがなければ、「変死(突然死)」として扱われ、警察に連絡することになるためです。
またとても元気だったのに、突然沖縄の自宅で臨終を迎えることもあります。訪問医もいませんので、家族は慌てるしかありませんが、まずは救急車を呼んでください。これはもともと病院で治療を受けていて、病状が急変した場合も同じです。
【 沖縄の自宅で、突然の臨終を迎えた場合 】
● 沖縄の自宅で突然の臨終を迎えた場合、死亡診断書がなければ警察へ連絡しなければなりません。警察では医師ではなく、監察医による検案書が死亡診断書の代わりになりますが、時には解剖を必要とすることもあります。
→ 訪問医も救急車も叶わず警察に連絡する場合、家族はご遺体に触れずに監察医の到着を待ってください。
救急車を呼ぶことで、沖縄では自宅での臨終ではなく、救急車や病院で最期を迎えたことになり、医師の死亡診断書が発行されます。
危篤の時は、どこまで連絡をすべきか
沖縄の自宅で臨終を迎えた体験談では、深夜や明け方の時間帯になることも少なくありません。そのため、危篤時に親族等へ連絡をしたいと思いながらも、「どこまでの範囲で危篤を知らせるべきなのか…」と迷う声も多いです。
【 沖縄の自宅で臨終を迎える。危篤を知らせる範囲 】
● 一般的には六親等内の血族と配偶者、そして三親等内の婚族まで、危篤を知らせるとされています。
→ もちろん、本人が懇意にしている友人知人であれば、どのような時間でも家族の判断で連絡することは良いでしょう。
※ ただ現代の沖縄では自宅で臨終を迎えた時、血筋としての近さよりも、本人が日ごろから懇意にしていた人々、会いたいと願う人々を優先して知らせるようになりました。
近年では親族も本州や海外へと広がっていますよね。遠方に住む親族に、沖縄の自宅で臨終を迎えたことを知らせる場合には、「本人が今どこにいるのか(自宅や〇〇病院など)」を明瞭に連絡してください。
【 沖縄の自宅で臨終を迎える。訃報を知らせる 】
● 故人の訃報を知らせる場合には、下記のようにお伝えするのが一般的です。
<深夜時間帯など、普通では失礼な時間帯に連絡をする場合>
「深夜(早朝)に突然のご連絡を失礼いたします(恐れ入ります)。○○の長男(長女など)の△△でございます。
本日○○時に母が亡くなりましたので、お知らせのお電話をいたしました。」
葬儀日程を知らせる場合にも、故人との関係性(「○○の長男でございます。」など)をまず伝えた後、(1)通夜日程(2)葬儀日程(3)通夜・葬儀会場(4)形式(仏式・キリスト教式など)を明瞭にお知らせしてください。
火葬前に家族が納得する供養を考える
大切な身内が亡くなり、ショックのなかにいるお通夜や葬儀ですが、今後のグリーフ(喪失による哀しみ)を回復する長い時間を助けるためにも、今、早い段階で、家族や自分自身が納得できる供養方法は考えた方が、良いです。
現代の沖縄では自宅で臨終を迎えた後、手元供養などの方法もあります。お墓にも納骨する場合には分骨をしなければなりませんが、火葬場での分骨が最も手続き上ではスムーズだからです。
【 沖縄の自宅で臨終を迎える。供養方法を考える 】
● 沖縄では葬儀の後すぐに納骨式を執り行う家が多いですが、一度納骨してしまうと、わざわざ遺骨を取り出して分骨することはとても大変になります。
(1)手元供養… 粉骨した遺骨を自宅で祀り供養をしますので、より故人が身近にいるような感覚になり、哀しみを癒すきっかけになりやすいです。
※ 分骨をして一部だけ手元供養にすることもできますし、全てを粉骨して自宅で祀ることもできます。また粉骨した遺骨の一部をペンダントなどのアクセサリーに納める方も多いです。
(2)海洋散骨… 海に粉骨した遺骨を撒くなどのセレモニーです。遺族は葬儀やお通夜だけではなく、ごく近しい家族だけで行うセレモニーを経ることで、少しずつ日常生活へ戻るきっかけになります。
最初から分骨をすることで、より遺族が納得できる供養ができるでしょう。さらに沖縄の門中墓では、他の遺骨とともに埋葬する合葬墓も多いため、納骨を戸惑う家族も少なくありません。
手元供養であれば、後からお墓に納骨することは可能ですが、お墓に埋葬してから手元供養へ変更するためには、さまざまな手続きもありますので、最初に検討されてみてはいかがでしょうか。
※手元供養に関しては別記事でもご紹介しています。コチラをご参照ください。
・ウィズコロナの沖縄で増えた手元供養。遺骨を収納する仏壇が急増
・沖縄で手元供養を通して気付いたグリーフ。自分では気づかなかった症状に気付くまで
・沖縄で納骨した遺骨を手元供養にしたい!遺骨を取り出す改葬手続きとは
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄の自宅で臨終を迎える時、家族がまず行うべき事柄をお伝えしました。病院で臨終を迎えた時とともにお伝えしていますので、その違いも分かるのではないでしょうか。
本文中にありました「三親等内」では、故人から見ると配偶者や子どもや孫(ひ孫)、兄弟姉妹や姪甥の他、両親や叔父叔母(伯父伯母)、祖父母・曾祖父母まで入ります。婚姻親族(配偶者)では祖父母まで、兄弟姉妹とその孫までです。
近しい身内を亡くした時、お通夜や葬儀に向けて遺族が行う事柄については、さらに別記事でもお伝えしていますので、下記記事も併せてご参照ください。
・沖縄で遺族が最初に行う葬儀社の選び方。訃報を知らせる範囲や喪主決めまで
・沖縄で葬儀会場に自宅を選ぶ家が多い?それぞれの会場、メリットデメリット
・沖縄で行う葬儀社との打ち合わせのポイント。事前準備や依頼できる範囲
まとめ
病院での臨終、自宅での臨終、家族が行う事柄
●病院
・医師や看護師の支持に従う
・希望があれば医師にお願いする
<臨終の後>
(1)病室の掃除
(2)ご遺体迎え入れの準備
(3)車(寝台車など)の手配●自宅
(1)訪問医へ連絡…死亡診断書
(2)救急車で病院へ搬送…死亡診断書
(3)警察へ連絡…監察医による検案書※死亡診断書の方が良い
●危篤の知らせ
・六親等内の血族
・三親等内の婚姻親族