沖縄で守り本尊を祀るミニ仏壇☆ニーズ急増の背景と迎え入れ

2022.01.13
沖縄で守り本尊を祀るミニ仏壇☆ニーズ急増の背景と迎え入れ

沖縄ではミニ仏壇を床の間に見立て、トゥクヌカミ(床の神)を祀る家が増えています。トートーメーの永代供養が進み、代わりに床の神が見直されるようになりました。沖縄で祀る神様仏様は比較的自由ですが、今選ばれているのが干支を司る「守り本尊」です。今回は、現代の沖縄で増えた守り本尊についてお伝えします。

沖縄で守り本尊を祀るミニ仏壇☆床の間が見直される理由とは」では、沖縄の深刻化する仏壇(トートーメー※)継承問題の解決策として、トートーメーの永代供養が急増していることをお伝えしました。

また家(ヤー)を守る「カミ(祖霊)」としてのトートーメーが永代供養されたことにより、家を守る男性の心の拠り所として、沖縄ではミニ仏壇に「トゥクヌカミ(床の神=床の間に祀る神様)」が見直されていることまでお伝えしています。

ただ檀家制度が広く根付き宗旨宗派を持つ家が多い本州とは違い、沖縄では祀る神様仏様は家によって自由に選ぶ風潮がありますが、干支を大切にする沖縄でミニ仏壇に多く祀られているのが、干支を司る「守り本尊」です。

そこで今回は、現代トゥクヌカミ(床の神)として、沖縄でリビングのミニ仏壇に祀られるようになった守り本尊についてお伝えします。どうぞ参考にしてください。

(※)トートーメーとは位牌を差しますが、位牌単体は「イフェー」と呼ばれるように、位牌に魂が入ったご先祖様を含めて「尊い方(トートーメー)」です。

沖縄のトートーメーは代々の位牌札が並び祀られているので、ここでは「先祖代々位牌」とも訳しています。

沖縄では祀る仏様神様は比較的自由

沖縄では祀る仏様神様は比較的自由
本州では江戸時代に檀家制度が設けられ、ほとんどの家で菩提寺を持っていました。菩提寺の寺院墓地にお墓を建て、菩提寺の宗旨宗派に倣い信心深く供養をしてきた歴史があります。

そのため沖縄では仏壇の中心に祀るのはトートーメー(先祖代々位牌)ですが、本州では沖縄の仏壇とは違い、中心に菩提寺の宗旨宗派にならった御本尊(※)、その両脇に位牌が祀られる配置です。

(※)御本尊… その宗旨宗派の信仰対象となり、真言宗では大日如来、浄土真宗では阿弥陀如来など、その宗旨宗派で違います。

【 沖縄でミニ仏壇に祀る神様仏様 】

★ もともと祖霊信仰が根付く沖縄の仏壇ではトートーメーが中心に祀られるうえ、独自の御願文化によりアミニズム(自然崇拝)も含んだ神仏混合文化が深い傾向にあります。

→ そのため沖縄では仏壇のトートーメー(先祖代々位牌)を永代供養し、両親や祖父母など、近しい個人の位牌のみを残した場合にも、個人の位牌を中心に祀る家が多いです。

※ 一方で本州の「御本尊」に代わる存在が、床の間に祀られてきたトゥクヌカミ(床の神)です。沖縄の仏壇に祀る、トートーメーも祖霊である「カミ」を象徴していますが、御本尊に代わる存在としては、トゥクヌカミ(床の神)が適当ではないでしょうか。

そしてこのトゥクヌカミ(床の神)ですが、琉球王朝時代に中国福建省からやってきた技能集団「久米三十六姓」は関帝公を祀るなど、そのルーツによって傾向はありますが、基本的にはその家々で祀る神様仏様は自由です。

子どもが病弱など、家族に健康上の不安がある場合は観音様を祀るなど、その家々の状況によって選ぶ家も多く、なかには龍や寅、福禄寿や弁財天など、神様も仏様も混合して、その選択は多岐に渡ります。

そのなかで十二支を大切にする沖縄で近年ミニ仏壇に祀られている存在が、「十二支の守り本尊」です。

十二支の守り本尊

十二支の守り本尊
十二支の守り本尊」は本州の宗旨宗派によって分かれる「御本尊」とは違い、子・丑・寅・卯…の十二支それぞれを司ります。

沖縄では拝みの際に、干支と住所・氏名を神様にご報告したり、旧正月には家族の干支が最初に当たる日に拝む(マドゥトゥシビーの拝み)など、「十二支」をとても大切に扱ってきました。

【 沖縄でミニ仏壇に祀る守り本尊☆十二支 】

● 十二支は十二時間、十二カ月と時間を司り、四方八方と方位も司るためです。

→ そして一年過ごすごとに、年神様(その干支の神様)が付くとされ、十二年(十二歳)を過ぎると全ての年神様が揃うとして、成人の祝いも行われてきました。(十三祝い)

また本州の厄年とは違い、沖縄では十二年ごとに厄年が訪れますが、この時にも「トゥシビーの厄祓い」として十二支巡りをする家は多いのではないでしょうか。

ですから心の拠り所として、トゥクヌカミ(床の間)に祀る神様として、沖縄ではミニ仏壇に干支を司る守り本尊を選ぶ家が増えています。

【 沖縄でミニ仏壇に祀る守り本尊 】

● 沖縄で十二支の守り本尊は、下記です。
(1)子(ねずみ)→千手観音
(2)丑(うし)/寅(とら)→虚空蔵菩薩
(3)卯(う=うさぎ)→文殊菩薩
(4)辰(たつ)/巳(み=へび)→普賢菩薩
(5)午(うま)→勢至菩薩
(6)未(ひつじ)/申(さる)=大日如来
(7)酉(とり)→不動明王
(8)戌(いぬ)/亥(い=いのしし)→阿弥陀如来

家長の干支に合わせて選ぶ家が多いですが、家族で複数の干支もあるため、この守り本尊様のなかで、家の祈願事に最も近しい御本尊を選ぶ家もあります。

例えば、学問や学業、成績に重きを置いている家であれば、絶大な記憶力を制する虚空蔵菩薩や理想的な修行僧とされる文殊菩薩様、「魔心(邪心)に打ち勝つ」悲願が家にある場合は、魔を打ち破る不動明王を祀る、と言った具合です。

また、沖縄では子どもの健やかな成長や健康を守ってくださるのは観音様、とされているため、観音様(千手観音様など)を祀る家も多く見受けます。

※ 近年、沖縄のミニ仏壇(床の間として)祀る神様仏様の特徴については、別記事「沖縄でミニ仏壇を床の間に見立てる☆祀る神様仏様とは」でお伝えしていますので、コチラをご参照ください。

沖縄のミニ仏壇に守り本尊を迎え入れる

沖縄のミニ仏壇に守り本尊を迎え入れる
沖縄でリビングにミニ仏壇をトゥクヌカミ(床の神)として見立て、守り本尊を迎え入れる場合、基本的には沖縄で仕立てたミニ仏壇にウコール(香炉)、お塩、お酒、供え葉(花)、お水を供えれば良いです。

ただ昔から沖縄の床の間には拝む対象として、掛け軸が掛けられていたように、現代の沖縄では掛け軸に代わり、仏壇に小さな像を祀る家も多く見受けます。

日々拝むことで守り本尊の魂が入ると考える家も多いですが、守り本尊を祀る寺院へ出向いてお迎えの拝みをする家が多いのではないでしょうか。

【 沖縄でミニ仏壇に守り本尊を迎え入れる 】

● 沖縄で十二支の守り本尊を祀る寺院は下記です。

(1)千手観音(子)/虚空蔵菩薩(丑・寅)/普賢菩薩(辰・巳)/勢至菩薩(午)→首里観音堂(那覇市首里山川町3-1/098-884-0565)

(2)文殊菩薩(卯)/阿弥陀如来(戌・亥)→達磨寺(那覇市首里赤田町1-5-1/098-884-1077)※西来院とも呼びます。

(3)大日如来(未・申)→盛光寺(那覇市首里儀保町3-19/098-884-3869)

(4)不動明王(酉)→安国寺(那覇市首里寒川町1-2/098-884-2735)

現代の沖縄ではミニ仏壇に守り本尊を迎え入れる時でも、クバンチン(お賽銭)として三十五円(十円×三枚/五円×一枚)を差し出し、家族の氏名と干支、住所を伝えて、家に来ていただきたい旨を伝える拝みが多いです。

ただ昔ながらの沖縄の御願では、お供え物や拝み方、グイス(祝詞=拝み言葉)などもありました。気になる方は昔ながらの方法で御願を行い、迎え入れると良いでしょう。

いかがでしたでしょうか、今回は沖縄でリビングにミニ仏壇を仕立て、家(ヤー)を守り繁栄を祈願する、トゥクヌカミ(床の神)として、守り本尊を選ぶ家が増えた背景について、守り本尊の詳細とともにお伝えしました。

沖縄ではヒヌカン(火の神様)は女性が御願を担い拠り所となる信仰対象である一方、トゥクヌカミ(床の神)は家長である男性が御願を担い、拠り所となる信仰対象です。

一時期は廃れつつあったトゥクヌカミ(床の神)ですが、経済的にも情勢的にも不安定な現在、男性の心の支えとして、改めて見直されるようになりました。

それぞれの目的に合わせて観音様や菩薩様、龍神様など自由に選んで問題はありません。ただ「どの神様仏様を祀れば良いのだろう…」と迷うのであれば、沖縄のミニ仏壇には、十二支を司る(つまり時間と方位=空間を司る)守り本尊を選ぶ家が増えています。

まとめ

リビングのミニ仏壇に祀る守り本尊
・廃れつつあった床の神が見直されている
・沖縄ではどの神様仏様を祀るのかは比較的自由
・観音様や関帝公、福禄寿なども祀られる
・最近では十二支の守り本尊を祀る家が増えた

●十二支それぞれの守り本尊
(1)子(ねずみ)→千手観音
(2)丑(うし)/寅(とら)→虚空蔵菩薩
(3)卯(う=うさぎ)→文殊菩薩
(4)辰(たつ)/巳(み=へび)→普賢菩薩
(5)午(うま)→勢至菩薩
(6)未(ひつじ)/申(さる)=大日如来
(7)酉(とり)→不動明王
(8)戌(いぬ)/亥(い=いのしし)→阿弥陀如来

●沖縄で守り本尊を祀る寺院
(1)首里観音堂
・千手観音(子)
・虚空蔵菩薩(丑・寅)
・普賢菩薩(辰・巳)
・勢至菩薩(午)
(2)達磨寺
・文殊菩薩(卯)
・阿弥陀如来(戌・亥)
(3)盛光寺
・大日如来(未・申)
(4)安国寺
・不動明王(酉)


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