【沖縄のタナバタ】仏壇の配置や向きに決まり事は?3つの考え方と注意点

2022.07.22
【沖縄のタナバタ】仏壇の配置や向きに決まり事は?3つの考え方と注意点

現代の沖縄では仏壇の配置や向きに決まり事はないか、相談が多くあります。昔ながらの仏壇を継承したものの、自宅に仏壇を入れるには大きすぎるとして、新しく仏壇を新調する家が増えたためです。今回は仏壇を迎える時の配置や向きについてお伝えします。

昔の沖縄では仏壇の配置は「二番座の表座」と決まっていて、沖縄の家の造りから、お仏壇の大きなスペースが用意されていました。

けれども現代沖縄の住まいでは、仏壇を置くスペースがない間取りも多いため、分譲マンションなど、どのような住まいでも違和感なく設置できる、モダン仏壇コンパクトな仏壇が選ばれ、買い替えられています。

そこで現代の沖縄で増えた事柄が、「仏壇に向きはありますか?」と言うものです。
沖縄で仏壇の配置が自由になった分だけ迷う人々も増えました。

今回は現代の沖縄で相談の多い、仏壇の配置や向きについて、昔から伝わる慣習や注意点をお伝えします。

 

沖縄では西方に極楽浄土がある

沖縄では西方に極楽浄土がある
全国的には人が亡くなると頭を北向きに眠る「北枕」で、故人を寝かせますが、沖縄では頭を西向きにする「イリマックァ(西枕)」の慣習があることはご存知でしょうか。

沖縄には西方に「ニライカナイ」と呼ばれる極楽浄土があり、人が亡くなると西方にあるニライカナイへ向かいます。

ただし近年では、全国的にも沖縄でも「十方浄土」と呼ばれる考え方も現れました。

ただ沖縄では臨済宗の寺院も多いので、臨済宗が推奨する「南面北座説」を唱える人もいるでしょう。

<沖縄に伝わる仏壇の配置>
(1)西方浄土説(ニライカナイ)
(2)十方浄土説
(3)南面北座説

…この他、本州では真言宗を中心に、信仰する寺院の総本山(その仏教宗派の頂点となる寺院)に向けて手を合わせるよう、仏壇を配置する「本山中心説」などもあります。

ただ檀家制度が根付いておらず、特定の仏教宗派に熱心な家も少ない沖縄では、本山中心説に倣い仏壇を配置する家はほとんど見かけません。

(1)西方浄土説(ニライカナイ)

(1)西方浄土説(ニライカナイ)
ニライカナイを由来として沖縄では仏壇を配置しますが、実は全国的にも西方浄土説を推奨する仏教宗派があります。

大乗仏教の御本尊である「阿弥陀如来(あみだにょらい)」は、他力本願の力で、この世の全ての魂を西方にある極楽浄土(西方浄土)へ連れて行くとされてきました。

<阿弥陀如来の西方浄土説>
●沖縄で最も多い仏壇の配置や向きが、西へ向いて手を合わせるよう、西を背にして仏壇を配置する「西方浄土説」です。

沖縄で阿弥陀如来を御本尊とする干支は戌年・亥年、沖縄の御願で有名な「首里十二支巡り」では、西来院達磨寺が拝み処です。

全国的には浄土宗・浄土真宗・天台宗が御本尊としている仏様で、西方に向かい拝むよう、東を背に沖縄では仏壇を配置します。
(天台宗は阿弥陀如来の他、釈迦如来も御本尊)

(2)十方浄土説

(2)十方浄土説
十方浄土説は全国的には、無宗教の家で生まれた慣習です。

もともと沖縄では特定の仏教宗派を信仰する文化がなく、独自の祖霊信仰が根付いているため無宗教に近い環境の家も多く、十方浄土説は提供なく受け入れられました。

<無宗教に多い十方浄土説>
十方、十二方位、どちらを向いても果報は来る
・果報(福)は東西南北の十方角から訪れる
十二方位、全ての方向に極楽浄土がある

沖縄で仏壇を配置する所以としては、干支の十二支が御願の重要な位置にあることから、十二方位をなぞらえた「春夏秋冬説」としても広がりつつあります。

春夏秋冬の季節を十二方位になぞらえ、十方浄土説と同じく、あらゆる方角に極楽浄土があり福が訪れる、とするものです。

現代の沖縄では、仏壇の種類がよりカジュアルでコンパクトになり、どこでも祀りやすくなったことも、十方浄土説が広まった背景にあるでしょう。

十方浄土説を採用するメリットは、沖縄で仏壇を配置する方角に気を揉むことなく、どこに向かっても良い点です。

 

(3)南面北座説

(3)南面北座説
沖縄では臨済宗系の寺院が多いですが、臨済宗が推奨している沖縄の仏壇を配置する向きが、「南面北座説」です。

もともとは古代中国から伝わる慣習で、「尊い人は南向きに座る」とされました。
そのため家臣など下のものは、南に向いている尊い人に向かい、手を合わせて拝みます。

<臨済宗が推奨する「南面北座説」>
南に向かって手を合わせるよう、仏壇の背を南に向けて配置する。

臨済宗の他には曹洞宗でも、沖縄で仏壇を配置する方角として南面北座説を推奨していますが、ここでの「尊い人」はお釈迦様です。

「お釈迦様の説法」などとも言われますが、お釈迦様が説法をされる時、南を向いていたとされ、そこから人々は南へ向かい手を合わせ、智慧をいただこうとします。

沖縄で仏壇を配置する注意点

沖縄で仏壇を配置する注意点
以上が沖縄で仏壇を配置する向きに関する慣習ですが、この他にもいくつか注意したい事柄があります。

<沖縄で仏壇を配置する注意点>
(1)風通しの良い、湿気に強い環境
(2)直射日光を避ける
(3)仏壇の高さ

…以上の三点ですが、さらに近年では本州のように神棚を祀る家も増えました。

神棚を祀る場合、神仏混合の寺院などもあるように神様と仏様は決して仲違いするような関係性ではないものの、対等に祀るよう注意をしなければなりません。

・沖縄の仏壇と神棚の向かい合わせを避ける
・神棚の真下に仏壇、仏壇の真下に神棚、の配置を避ける

迎え合わせでお互いに反射しあう配置にしない、上下関係を作るような配置にしない…、沖縄で仏壇と神棚を共に祭る家では、ぜひ考慮してください。

(1)風通しの良い、湿気に強い環境

亜熱帯気候にある沖縄は高温多湿で有名です。
沖縄で仏壇を配置する場合も、向きもさながら、少しでも湿気に強い環境下に置くように注意します。

<(1)風通しの良い、湿気に強い環境>

●沖縄の仏壇は適度な湿気であれば対応できますが、位牌や仏具も湿気に弱いです。
・梅雨時期は除湿器を利用する
風通しの良い部屋に置く
水回りの近くを避ける

冷暖房が効いているリビングなどでは、現代の沖縄なら仏壇をどこに配置してもあまり影響はありませんが、基本的には風通しが良い部屋を選んでください。

(2)直射日光を避ける

湿気の問題と同じく、沖縄の仏壇は木材なので、配置する際も直射日光を避けることで、日焼け、ひび割れなどによる劣化を防ぎます。

<(2)直射日光を避ける>
日陰・半日陰に配置

沖縄ではお仏壇に、旧盆やお彼岸、お月見など、何かとお供え物を供えますよね。
このようなお供え物も、直射日光や湿気により、早々に腐ってしまいます。

(3)仏壇の高さ

沖縄で仏壇を配置する際、人が手を合わせる時に祖霊である先祖代々位牌のトートーメーが、人よりも高い位置になるようにしてください。

昔ながらの沖縄の仏壇の配置では、人が立ってもトートーメーを見上げる構図になる家が多くありました。

<(3)仏壇の高さ>
●手を合わせる時に人の目線が見上げるよう、トートーメーを配置する。

モダン仏壇やコンパクト仏壇が増えた現代の沖縄では、仏壇の配置もより自由になりましたが、棚上仏壇のように棚の上など、比較的高い位置にトートーメーを祀った方が良いでしょう。

最後に

以上が沖縄で仏壇の配置や向きの決まり事ですが、現代では基本的に必ずと言った決まり事はありません。

全国的にも菩提寺(信仰する寺院)から離檀し無宗教となる家が増え、沖縄でも仏壇とともに先祖代々位牌であるトートーメーを永代供養やお焚き上げをして、近しい家族の位牌のみを祀る家が増えています。

(沖縄ではタブーの多いトートーメーを永代供養お焚き上げをすることで、純粋に故人への供養となり、より自由な供養が実現するためです。)

そのため現代の暮らしに合わせた、リビングのテレビ横などにもフィットする、コンパクトなミニ仏壇やおしゃれなモダン仏壇などが、数多く販売されています。

※現代沖縄の仏壇やお位牌の買い替えについては下記に詳しいです。
今沖縄で仏壇の買い替えをするなら理解したい☆3つの種類と家具調仏壇
【沖縄のトートーメー問題】増えるタブーのない位牌☆唐位牌や繰り出し位牌

 

まとめ

沖縄で仏壇の配置や向きに決まり事はあるの?

●沖縄に伝わる仏壇の配置
(1)西方浄土説(ニライカナイ)
(2)十方浄土説
(3)南面北座説

●沖縄で仏壇の注意点
(1)風通しの良い、湿気に強い環境
(2)直射日光を避ける
(3)仏壇の高さ


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