神道の供養で祀る「霊璽(れいじ)」とは?作り方や費用相場・タイミング、置き方を解説

2023.04.11
神道の供養で祀る「霊璽(れいじ)」とは?作り方や費用相場・タイミング、置き方を解説

霊璽(れいじ)とは、神道において位牌にあたるもので、位牌と同じく霊璽には故人の御霊(みたま)が宿っています。本記事では霊璽とはなにか?位牌との違いや、神道における霊璽の作り方の流れ、正しい置き方・祀り方、費用の目安も解説しています。

・神道の霊璽(れいじ)とは?
・霊璽の作り方や費用の目安とは?
・霊璽の正しい置き方、祀り方とは?

霊璽(れいじ)とは、神道において位牌にあたるもので、位牌と同じく霊璽には故人の御霊(みたま)が宿っています。

本記事を読むことで霊璽とはなにか?位牌との違いや、神道における霊璽の作り方の流れや、正しい置き方・祀り方が分かります。後半では費用の目安も解説していますので、どうぞ最後までお読みください。
 

霊璽とは、神道の位牌

霊璽とは、神道の位牌
◇「霊璽(れいじ)」とは、神道における位牌にあたるものです

霊璽とは古来から信仰の対象とされ、神様や祖先の力を呼び込むために使用される特別な紋章です。

故人の霊魂が宿るとされ神社内に安置される場合も多く、家庭ではお仏壇にあたる「祖霊舎(それいしゃ)」に祀られます。

<霊璽(れいじ)とは、神道の位牌>
●霊璽は、大切な人が亡くなった際に作られます。故人の霊魂を祀り、その人が生前に身に着けていた物や写真を飾ることもあります。

また霊魂が宿るとされるため、神社の安置場所によっては、その地域に縁起が良いとされることもあります。
 

霊璽の形

◇霊璽は、神社によって異なる形式がありますが、一般的には木製の箱型をしており、金属の枠で囲まれています

日本で神様は人の目に触れてはならないためです。中に入れられる紙や布には、故人の名前や生年月日、没年月日、生前の功績や趣味などが記されます。

また、写真や身に着けていたアクセサリーなどが飾られることもあるでしょう。
 

霊璽を作る流れ

◇霊璽は、神社の神職によってかかる費用や手作りする場合もあり、故人の遺言に基づいて作られることもあります

一般的には、故人の霊魂を祀るためのものであることから、神社で受け取った寄付金や募金が用いられる場合が多いです。

霊璽は、故人の霊魂を大切に祀り、故人を偲びながら、自分自身も大切に生きることを願います。
 

霊璽と位牌はどう違うの?

継承にムリのない位牌を選びましょう
◇霊璽と位牌の違いとは、位牌は故人を祀るもの、霊璽は神様を祀るものです

霊璽と位牌は、いずれも故人の霊魂が宿る依り代となっており、多くの人々によって供養の対象として大切に扱われています。一般的に、霊璽と位牌は故人を祀るために使用されますが、霊璽は神様の依り代としての役割も持ち、その意味や用途には違いがあります。

<霊璽と位牌の違いとは>
①位牌 故人を神格化して祀る 通常は仏壇に飾られる
②霊璽 神様を祀る 神社や祖霊舎(神棚)に祀る

霊璽は、神の使命を受けた人物が使用することができるとされており、その信仰深い意義から、かつては天皇や皇族など限られた人々しか使用することができませんでした。
 

祭祀に使用される霊璽

◇霊璽は神の力を借りて願いをかなえることができる

神社で保管する霊璽は、現代は特定の神社が使用権を持っているものもあるでしょう。使用権を持つ神社は、その神社のご神体において使用される霊璽を所有します。このような霊璽は、祭祀などの儀式に使用され、神の力を借りて祈りを捧げることができます。
 

故人を供養する位牌

◇位牌は故人の魂を慰めるためのもの

位牌は故人を祀るために使用されることが多く、家族や親族が所有しています。位牌は故人の位を示すために使用されるものであり、仏壇に飾られることで故人の魂を慰めるものです。
 

古来の霊璽

古来の霊璽
◇古来から霊璽は、古代の王権や宗教的な権威を象徴する重要な品物です

起源は中国の古代にまで遡ることができ、さまざまな形状やデザインがあります。日本でも奈良時代から平安時代にかけて、多くの霊璽が作成されました。

<古来の霊璽>
天皇家や延暦寺、真言宗などが保管していたものが数多く存在するとされます。…また、戦国時代や江戸時代にも各地で作成された霊璽が存在しました。

霊璽は一般的に神秘的だったり神聖だったりするものであり、それらを持っている人は権威を与えられたと考えられています。また、これらの品物が伝わることで行われる儀式や祭りは強力な宗教的感情を呼び起こすこともあります。
 

現代の霊璽の価値

◇現代では霊璽は単なる宝物ではなく、歴史的遺産や文化財として価値が高く評価されています

収集家や美術館などが保有することでその地域の文化的・歴史的な価値を高めることができるでしょう。

霊璽の美学や意味は、今でもひとつのテーマとして研究され、多くの人に愛されるようになりました。それらを継承し、未来に残すことが大切です。
 

霊璽の種類とは

霊璽の種類とは
◇霊璽は、「一体型」と「繰り出し型」の2種類があります

また、神としての役割も持つ霊璽の製作には数多くの伝承技術が必要であり、伝統的な方法を守らないと、神々のお怒りを買うとも言われてきました。そんな霊璽は種類だけではなく、形状にも意味があります

<霊璽の形状による意味とは>
瓢箪(ひょうたん)型の霊璽…五穀豊穣・商売繁盛
渦巻き模様…清めの力

渦巻き模様は水の流れを表現しているため、清めの力とされるのでしょう。現代でも、このような霊璽は多くの神社や寺院で使用されています。
 

霊璽の種類:一体型

◇「一体型」の霊璽とは、一霊位につき一柱です

一霊位(故人一人)に対して一柱を仕立てます。お仏壇にあたる祖霊舎内のスペースに余裕があれば、基本的には一体型の霊璽です。
 

霊璽の種類:繰り出し型

◇「繰り出し型」の霊璽とは、複数の霊璽を納めます

祖霊舎内のスペースがいっぱいになり祀る場所がなくなったり、夫婦など一緒に祀りたい場合は、繰り出し型が便利です。回出型とも言います。

・配偶者の霊璽も祀る
・夫婦で祀る

一般的な繰り出し型の霊璽は、札板に故人の霊魂を移して納めますが、ひとつの繰り出し型霊璽に対して、10柱前後の札板を納める造りです。

本来は複数の霊璽をひとまとめにするのは良くないともされましたが、現代は居住環境や家族構成の変化から、繰り出し型の霊璽を用いる家族が増えました。

 

霊璽の作り方とは

霊璽の作り方とは
◇霊璽を作成する際には、神社で神葬祭を依頼します

霊璽は神社での神葬祭でのみ作成されるということは、それだけに非常に厳粛さを持つものです。また、霊璽は神の力を宿すものであり、その力は非常に高いとされています。

神道では位牌のように仮位牌はありません。霊璽に故人の霊魂を移す神葬祭は、故人が亡くなってすぐに行われますので、神道では葬儀とともに霊璽も仕立てる流れです。

<霊璽の作り方とは>
●霊璽は神が宿る場所である神社で作成されます。神道の葬儀を依頼する際、神職の方々が霊璽を用意してくれるでしょう。

霊璽は神道において非常に重要なアイテムであり、その制作方法も非常に厳粛であることが分かるでしょう。そうした理由から、霊璽を購入できる場所は少なく、入手すること自体が非常に難しいとされています。
 

霊璽を作る神葬祭とは

◇「神葬祭(しんそうさい)」とは、神葬祭は、神様が宿る神体を新しい神体に移す儀式です

神が宿る霊木を用い、神主や巫女、宮司などの神職が厳粛な儀式を執り行います。この儀式によって、霊木は神々の力を宿し、霊璽は神の力を具現化するのです。
 

霊璽を受け取る条件とは?

◇霊璽を受け取るには、神職や信徒に対する信仰心や純粋性、そして神社に対する敬意が大切です

また霊璽を授与するにあたって、祭祀料を求める神社も多いでしょう。費用目安としては一般的に約10万円~50万円ともされますが、地域によっても違いがあるので、「皆さまどれくらい包まれているでしょうか?」などと、直接確認を取っても構いません。

いずれにしても霊璽は、神様からの神秘的な力を授けられたものであり、使用に際しては、慎ましく祈りを捧げることが大切です。
 

霊璽を作る「遷霊祭」とは

霊璽を作る「遷霊祭」とは
◇遷霊祭(せんれいさい)とは、魂を霊璽に写す儀式です

遷霊祭では死者の魂を故人を偲ぶ参列者たちが集まり、神職の儀礼によって故人の霊魂を霊璽に移すことで、霊璽に故人の霊魂が宿り、安らかな眠りへと導きます。

<遷霊祭で伝える故人の生き様>
●遷霊祭は、故人がいなくなってしまった悲しみの中で行われる儀式ですが、同時に故人を偲び、故人の生き様を後世に伝えることも目的のひとつです。

参列者たちは故人に感謝し、故人の生涯に思いを馳せることによって、故人への愛着や尊敬を再確認することができるでしょう。遷霊祭は人々の生と死、そして輪廻転生という仏教的な考え方をも反映されている伝統行事です。
 

遷霊祭はいつ行う?

◇遷霊祭は、故人が亡くなった後50日目まで、10日ごとに行われます

遷霊祭は、故人を偲ぶために行われるだけでなく、故人の霊が成仏するためにも大切な行事です。

<遷霊祭の終了>
●五十日祭りが行われると、遷霊祭は終了し、忌明けとなります。

「忌明け」とは、故人の死から50日が経ち、喪が明けることです。忌明けの日は、故人を偲ぶために行う法要の日になるでしょう。
 

霊璽を作る遷霊祭の流れ

◇遷霊祭では故人に敬意を表すために、お供え物を用意します

この行事では、家族や親族が集まり、故人の好物や好きなものを供えます。果物やお菓子といった食べ物や、お酒、線香、花などです。

<霊璽を作る遷霊祭の流れ>
・お供え物を供える
・宗教者による祈り(読経)
・お供え物を共食

その後、宗教者による祈りや読経が行われ、参列者たちは、故人の側に座り、故人を偲びながら、一緒にお供え物を食べることができます。
 

霊璽に入れる霊号とは

霊璽に入れる霊号とは
◇霊号(れいごう)とは、神道における「戒名」にあたる、故人の没名です

ただし、現代の日本ではどちらも故人が亡くなってから授かりますが、仏教で授かる戒名(かいみょう)は生前に授かることもあり、その意味合いは大きく違います。

<霊号と戒名の違い>
(1)戒名 仏様の弟子としての名前
(2)霊号 故人の没名

つまり戒名は仏様の弟子として、仏道に進み生前に積み重ねた功徳や、成し遂げた業績を称えた名前です。一方で、霊号は故人の没名を指し、個人的な意味合いが強くなります。これは特に、家族や親族の間で使われます。
 

霊璽に入れる霊号の付け方とは

◇霊号の付け方には、一定の決まりがあります

霊号は戒名とは違い、故人が生前に自分で決めることはできません。亡くなった後、生前に残された遺言などに基づいて、家族や僧侶、寺院などが与える流れです。霊号の付け方はとてもシンプルで、名前の下に下記のような霊号を付けます。

<霊号の一般的な付け方>
・男性…「~之霊」「~霊位」など
・女性…「~ノ霊」など

墓石などにも刻まれるため、後世に伝えられる役割も持つでしょう。
霊号は、歴史的には、身分や地位に応じた称号として用いられたことがありますが、現代では、あくまでも故人を讃える名前として用いられています。
 

霊号を継承することもある?

◇霊号には、父方の祖先や母方の祖先といった、家族の中で特定の役割を果たした人々の名前を継承することもあります

霊号は、故人の人格や人間性を表し、その人が生前に果たした役割や、家族や人々に与えた影響を表すものです。そのため、霊号は故人の人生や歴史的な背景を知るうえで重要な情報となります。
 

霊璽を作る費用の相場とは

霊璽を作る費用の相場とは
◇霊璽を作る費用相場は、一般的に約5千円~1万円ほどです

しかしながら、霊璽の種類や素材、加工方法、大きさなどによって、費用相場はさまざまでしょう。なかには2万円以上の霊璽もあります。

<霊璽の費用相場が変わるポイント>
●霊璽に用いる素材
・石の種類や色
・稀少性

●加工方法
・手作業は費用が高くなる傾向

●霊璽の大きさ
・小さいものは費用が安くなる傾向

また霊璽を作成する工房によっても異なるでしょう。霊璽はひとつひとつエネルギーが異なり、持ち主との良きパートナーとなります。

自分自身の成長や、ご先祖さま、神様のパワーを借りて、自らの未来を切り開くためのお守りとしても利用することがあるので、詳しい相場は問い合わせることをおすすめします。
 

霊璽の置き方・祀り方とは

霊璽の置き方・祀り方とは
◇霊璽は、先祖が祀られている祖霊舎の一番上の段に祀ります

祖霊舎(それいしゃ)」は、先祖の霊を祀る為に建てられた建物であり、霊璽はこの場所に祀られる事で先祖を敬い祭り上げるためです。

霊璽は、祖霊舎の中央にある祖霊舎で最も神聖な場所、中扉に祀ります。先祖の霊を表す不可欠な道具である霊璽に対して、大きな敬意を表す配置です。
 

霊璽の祀り方

◇霊璽には米・塩・水などを供え、まず二礼二拍手一礼を行います

神道のお祈りは、まず二礼二拍手一礼が基本作法です。手を合わせることで、自分自身を整え、身体を清める目的があります。

<霊璽の祀り方>
①お供え物を供える
・米
・塩
・水
・故人の好きだったもの

②二礼二拍手一礼
(手を合わせ、お辞儀をする動作)

二礼二拍手一礼は、拍手をすることで悪霊や邪気を払う力もあるでしょう。そして、一礼をすることで神の存在に感謝し、その恩徳に報いることができます。
 
 

神道では位牌に代わり霊璽を仕立てます

神道では位牌に代わり霊璽を仕立てます
神道では位牌に代わり霊璽を仕立てますが、位牌のように四十九日法要まで使用する白木位牌(仮位牌)はありません

そのため霊璽に故人の霊魂を移す遷霊祭は、仏式の通夜にあたる「通夜祭」までに準備をしなければなりませんが、多くは神職の人々が準備をしてくれるでしょう。

位牌は数千円~7万円台・10万円台と費用相場が幅広いですが、なかには2万円台の霊璽があるものの、基本的に約5千円~1万円台で整えられています。

霊璽は故人の霊魂が宿るばかりではなく、家を守護する神様でもあるため、ぜひ気持ちの良い場所にお祀りしましょう。
 
 


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