沖縄で手元供養により家族の死を受け入れた体験談。この症状はあなたのせいじゃない

2022.02.21
沖縄で手元供養により家族の死を受け入れた体験談。この症状はあなたのせいじゃない

沖縄では手元供養が増えていますよね。今回は、沖縄で手元供養を選んだことにより、自然と温かく家族の死を受け入れるようになった体験談を、自分では気づかない哀しみの症状、気付いたきっかけからお伝えします。

沖縄では手元供養が増えていますよね。本州のように思い立った時、頻繁にお墓参りに行くことを良しとしない沖縄では、残された家族が哀しみを癒す場所を求め、沖縄では特に、手元供養が人々の心を癒しています。

大切な家族を亡くした時、「従来からのしきたりに従わなければ」「親族から何を言われるか…」と、自分の心を無視して葬儀後すぐに納骨しなければならない…、時代ではありません。まずご家族の心が壊れぬよう、生きるためのケアが本当は必要です。

今回は、沖縄で手元供養を選んだことにより、自然と温かく家族の死を受け入れるようになった体験談を、自分では気づかない哀しみの症状、気付いたきっかけからお伝えします。

機能不全になった家族

機能不全になった家族
男女平等、共働きが一般的になった現代においても、母親・妻の存在が大きな役割を示している家庭は多いのではないでしょうか。

ちょっとした食器洗いや掃除、片付けなどの家事はもちろんですが、「母親・妻の存在」が家に明るい光を灯していた…、と言うことに失ってから気付く家族は少なくありません。

A夫さんご家族も、妻のK子さんを失ってから、灯りが消えた家族でした。

とは言え、K子さんは長く癌を患い自宅治療を行っていたなかで亡くなったため、食事や家事は他の家族で行ってきました。二人の子どもも高校生で、立派に食事も作れれば片付けもできます。

掃除や洗濯も、子ども達とA夫さん、三人交代で行ってきた生活のなかでK子さんが亡くなったため、今の部屋中が散らかり、ぐちゃぐちゃになった現状に驚くほどでした。

【 沖縄で手元供養。「お母さんに戻ってもらおう?」 】

● 「困ったなぁ、片付ける気力も出ない…。何だか家に帰るとひどく疲れているみたいで…。」、会社から帰宅したA夫さんが部屋中を見回してひとり言を言うと、高校三年生の長男が「俺も。家に帰ると何もやる気がしないんだよ。」と言います。

→ そこに長女がふと、「あのさ、お母さんに戻ってきてもらわない?」と言い出しました。

※ 「え?どうやって?」驚いた長男がよくよく聞くと、どうやら長女は母親の遺骨を取り出して、沖縄の自宅に手元供養で迎え入れたいと言うのです。

一度納骨してしまったK子さんの遺骨を取り出す(※)ことは大変な作業でしたが、このままでは残された家族がみな、ダメになってしまう…。この家に住み続けることができなくなる!と考え、沖縄の自宅で手元供養を行いました。

(※)遺骨を取り出すことは「改葬(かいそう)」の手続きとなります。詳しくは別記事「沖縄で納骨した遺骨を手元供養にしたい!遺骨を取り出す改葬手続きとは」でお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

【 沖縄で手元供養。K子さんを中心に回る家族 】

● 沖縄の家では、テレビ横に手元供養の仏壇を仕立てました。K子さんの好きだった青い海色の骨壺にお倫(おりん)とウコール(香炉)、ちょっとしたお水やお茶などを供える器を揃えるだけの、小さくおしゃれな仏壇です。

→ そこで自然と生まれたのが、K子さんとの会話でした。長女がまず、朝にご飯を出しながら「お母さん!今日は私が朝ごはんの当番したからね。」などと言います。

※ 学校から帰宅すると、長男も「じゃあ母さん、トイレ汚いから掃除するかなぁ~」と話したり、「兄ちゃんってば、今日も布団上げないの!」などと文句を言いつける様子が伺えました。

日々のなかで「妻を想う時間を少なくしよう」「母親との時間を忘れよう」としていた日々が、沖縄の家に手元供養で迎え入れることにより、「忘れなくてもいいんだ」「想っていてもいいんだ」と想えるようになると同時に、なぜか家事が回るようになったのです。

また、沖縄でリビングに手元供養をしたことで、「お父さん、○○が好きってよ~!お母さん!」など、親子の会話にK子さんも入るようになりました。

これまで、家族の間で「哀しくなるからK子さんの話はタブー」のような空気が流れていましたが、その空気が払拭されるとともに、亡きK子さんを中心に明るい光が灯るようになっています。

これから先のことは分かりませんが、K子さんの死の後、やっと家族が生きる生活を送るようになったのではないでしょうか。

無気力や疲労感は、喪失による鬱症状だった

無気力や疲労感は、喪失による鬱症状だった
葬儀当日に納骨まで行う習慣を持つ沖縄では、手元供養をしばらく行い、グリーフケアをしたいと考える家族が増えています。

けれどもA夫さんの家族は、K子さんの長い闘病生活を共に暮らしてきたため、「覚悟はできていた」として、沖縄で手元供養の必要はないと考えていました。

そして、残された家族三人で「明るく送り出そう」と話し合い、温かく葬儀を行い納骨しています。とても温かな葬送ですが、この「明るく送り出そう」とした結果、無気力や疲労感と言った、喪失による鬱症状を引き起こしたようです。

【 沖縄で手元供養。悲しみは抑え込まない 】

● A夫さんご家族は、「明るく送り出そう」と笑顔で送り出そうとしたために、知らぬうちに家族間で涙を流すことができない空気になってしまいました。その後も、お互いを想い合うがために、母親の話がタブーになっていきます。

→ けれどもA夫さんも長男・長女も、心のうちでは哀しみを抱えているうえ、長い母親の自宅闘病により、外部とのお付き合いも薄れていた環境があり、家族以外で深い話ができる相手もいなかったそうです。

※ そんななかで沖縄で自宅供養をして、「妻・母親の存在」を受け入れて家族でK子さんの話ができる環境を引き出しました。みんなが、妻・母親に話し掛けるとともに、哀しみも素直に言葉にできるようになったのです。

すると家族でK子さんの話を出して、哀しみの言葉を繰り返すうちに、自然と日々に活力が生まれてきました。無気力や疲労感は、単純に疲れていたのではなく、K子さんを失った喪失を抱えた心からの叫びだったことに気付きます。

沖縄で手元供養を行ったことにより、家族でK子さんを失った喪失感を分かち合い、認めることができました。すると長男・長女は次へ…、外の友人知人へと意識が向き始め、今では元気にキャンパスライフを楽しんでいるようです。

家族で祝う月命日

家族で祝う月命日
沖縄の自宅に手元供養の仏壇を仕立てるようになり、A夫さんが毎朝のお茶、長男がお水、長女がご飯を供えるようになったそうです。

そして今では、長男長女は友達との遊びで忙しい日々、A夫さんも仕事へのやる気を取り戻し、充実して過ごしていますが、月に一日は、K子さんを囲んで、「お祝い」をするとのことでした。

【 沖縄で手元供養。いつまでも家族を繋ぐK子さん 】

● 「どんなに忙しくても、それぞれが独立するまでは、月命日を祝おう」とA夫さんが言うと、長男や長女も賛成してくれたそうです。

→ ただ、月に一回K子さんを囲んですき焼きや焼き肉、タコ焼きパーティーなどを楽しむだけですが、K子さんの思い出を話していると、自然とひとつの哀しみを乗り越えた同士のように、K子さんを中心に絆が産まれるような気がしています。

ちなみに沖縄で手元供養をする前、最初に納骨されたお墓は門中墓などではありません。生前にK子さんが希望して契約した、永代供養付きの夫婦墓でした。

今、夫婦墓にK子さんの遺骨は埋葬されていませんが(沖縄の自宅に手元供養されているため)、定期的にお墓のメンテナンスがてら、K子さんの小さな骨壺とともにお墓参りをするそうです。

A夫さんが亡き後、夫婦一緒に夫婦墓に納骨して欲しいと、長男と長女には伝えてあります。「その頃には子ども達も独立して、自分達の家族を持っているといいなぁ」とのことでした。

いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で手元供養を行ったことにより、自分達でも気付かなかった喪失による鬱症状から抜け出し、家族で哀しみと向き合った体験談をお伝えしました。

今回は亡くなったK子さんも、長い闘病生活があったとのことで、夫婦墓の生前契約をされているなど、終活の様子やご自身の覚悟が伺えます。その姿を見てきたからこそ、ご家族も哀しみに暮れることなく、笑顔で温かく見送ろうとしたのでしょう。

家族を喪失した時の鬱症状は、意外にも本人は気付かないことも多いです。無気力や疲労感の他、無性にイライラするケースもあります。このような時には哀しみを抑え込まず、外に出し、適切なケアが必要です。

詳しくは別記事「沖縄で手元供養を通して気付いたグリーフ。自分では気づかなかった症状に気付くまで」でも詳しくお伝えしています。
まとめ

手元供養により喪失と向き合った体験談

・家族みな、無気力・疲労感がひどくなった
・家がぐちゃぐちゃ、灯りが消えたようだった
・長女が手元供養を提案する
・お墓から遺骨を取り出して手元供養にした
・故人を中心に会話が動くようになった
・家族が家事を少しずつできるようになる
・故人の話を気軽にできるようになった
・「笑顔で見送る」により哀しみを抑えてしまった
・月命日には、家族でご飯を食べる日にした
・お墓は今も故人とともにお参りしている
・お墓には自分の死後、一緒に入る予定


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