沖縄にもグリーフケアの輪が広がっていますよね。沖縄でも広がり始めた「グリーフケア」とは、大切な人を亡くした喪失感や哀しみを癒すためのアプローチです。
ほんの10年前まで沖縄では「グリーフケア」や「グリーフ」の言葉自体を知らない方々が多くいましたが、今では多くの人々が言葉を理解しています。
それでも今もなお沖縄では、グリーフケアと言うと配偶者や子どもなど、ごく近しい家族を、交通事故や自死など、とても大きなショック下で亡くした遺族が受けるもの…、と考える方々が多い傾向です。ただ、そればかりではありません。
今回は、沖縄でグリーフケアによって喪失感や哀しみを乗り越えるヒントを、自分でも気づかないグリーフの症状とともにお伝えします。
沖縄でグリーフケアが必要な症状とは
大切な人や存在を失い哀しみは自覚していても、沖縄では「グリーフケアが必要なほどではない」「時間が解決してくれる」として、何事もなかったように日々を過ごそうとする事例が多いです。
けれども、「何事もなかったように」日々を過ごす解決策は、より哀しみや喪失感が膨らむことをご存知でしょうか。その結果、沖縄では無自覚にグリーフケアが必要な状態のまま、症状を悪化させてしまうことが少なくありません。
【 沖縄でグリーフケア。自覚したい症状とは 】
● そこでここでは、まず本人がグリーフ(喪失感や哀しみ)のなかにいることが自覚できる症状をご紹介します。
(1) 感情的な症状
<攻撃性>
・イライラする/周囲の人々に敵意が生じる/非現実的な幻想を信じる
<乖離症状>
・日常に現実味がない/やる気がおきない/一日中故人への思慕の情のなかにいる
<うつ症状>
・絶望感が消えない/罪悪感に苛まれる/自信喪失/孤立した気分になる
(2) 周囲から見える症状
<習慣性の欠如>
・毎日のルーティーンがなくなる/故人が生前に行っていた習慣を真似る/注意散漫になりミスが多い/突然号泣したり感情が不安定
(3) 身体的な症状
<身体の不調>
・胃のむかむか/吐き気(嘔吐)/頭痛/動悸/息が苦しい/食欲がなくなる/眠れない/すぐに疲れる/生前の故人が抱えていた身体的不調が再現される
※ 以上の不調から、沖縄ではグリーフケアをしないまま、自分で改善しようと焦り、アルコール依存に陥るなどの事例もあります。
…沖縄ではこのように、グリーフケアが必要な症状が数々出ているものの、本人は「何とかなる」「早く何とか日常に戻らなければ…」と焦って頑張り、どんどん沼にはまっていく方々も少なくありません。
特に仕事は待ってくれませんから、お通夜や葬儀の最中にも、日程を終えればすぐに復帰する方々も多く、グリーフと向き合うことを無意識に避けるため、次第にワーカホリックへと転じる事例も多い傾向です。
※ 沖縄でグリーフケアが必要な方々がワーカホリックになると、家を掃除しない、汚部屋になっていく事例も多いので、早めに掃除代行会社などにも頼りながら対処すると良いでしょう。
沖縄でグリーフケアを進める3つの柱
沖縄でグリーフケアを進める第一歩は、自分の哀しみや喪失感に気付くことから始まります。
寂しさや哀しみは自覚していても、目の前に仕事や家事育児などの仕事があると、その哀しみから目を背けてしまいがちですが、沖縄では「グリーフケアの流れを理解するだけで、焦らずに日常を過ごすようになった…」などの声もあります。
【 沖縄でグリーフケア☆グリーフの流れ 】
● 大切な人を亡くした時の哀しみは、下記のようなプロセスを辿って再生します。
(1)ショック(思考が止まる/哀しみが自覚できないなど)
(2)喪失(落ち込み/絶望感/深い哀しみや孤独を自覚するなど)
(3)閉じこもり(周囲の人々との交流を遮断する/無気力感)
(4)再生(一歩ずつ再開する)
それぞれの長さやタイミングは違いますが、理解しているだけで自身がどの段階にあるのかが分かり、より冷静になる点はメリットです。沖縄で自らできるグリーフケアの3つの柱として、下記があります。
【 沖縄でグリーグケア☆自分で進める3つの柱 】
● 沖縄で下記のようなグリーフケアを、日常的に意識しながら行う、過ごすことが大切です。
(1) 自身の心の内で起きている哀しみを押さえ込まない
… グリーフから再生する工程のなかには、周囲の人々を拒絶する段階もありますが、まずは「ムリをして普段通りに過ごす必要はない」「明るく振る舞う必要はない」ことを理解して、哀しみを自ら感じてみます。
(2) 心の内を外に出す、吐き出してみる
… 後々哀しみから抜け出せない体験談では、葬儀などで「泣かなかった」との声も少なくありません。気持ちを周囲に話すことを試してみてください。
※ もしも周囲に哀しみを共有できる人がいないのであれば、グリーフケアのワークショップも良いかもしれません。「グリーフワークおきなわ」なども有名です。
(3) セレモニーを行う
… セレモニーの場には、故人を偲ぶ同じ想いを抱えた人々が集まります。そして故人を偲ぶセレモニーなので、自身の哀しさを吐き出しても問題はありません。
今、沖縄では「0葬」と呼ばれるように、遺骨も何も残さない質素な葬儀も注目されていますが、この多くが故人が自ら終活を通して選んでいます。けれども残された遺族にとって、0葬ではなかなかグリーフから立ち直ることができません。
そう考えると、お通夜・葬儀・初七日・四十九日…と故人亡き後に法要が続くのも、その「セレモニー」のなかで遺族が哀しみを癒すためなのかもしれません。
日常で向き合うこと、セレモニー
※海洋散骨セレモニーの画像
そこで沖縄で広がるグリーフケアには、手元供養が多く見受けられます。手元供養の他にも、住まい近くの納骨堂などに納骨をして、頻繁にお参りに訪れる遺族も多いです。
【 沖縄で広がるグリーフケア☆手元供養 】
● その背景には、全国的にはいつでもお墓参りに行く習慣があるものの、沖縄では年中行事以外のお墓参りがはばかられる、タブーとされる風習があり、会いたくても故人になかなか会いに行けないことにあります。
→ 沖縄のグリーフケアでは、「日常的に行う」ことがはばかられる風習のなか、手元供養により自宅で日々故人へ手を合わせる事例が増えました。
さらにバタバタと勢いのまま過ぎてしまった葬儀や四十九日法要の後、グリーフ(深い喪失感や哀しみ)に苛まれている人々のなかには、遺骨の一部を海洋散骨する事例も増えています。
【 沖縄で広がるグリーフケア☆海洋散骨 】
● 遺骨の一部を粉骨して海に散骨を行う「セレモニー」です。一連の葬儀を終えた後も、敢えてセレモニーを設けてグリーフケアを進めています。
特に沖縄ではサーファーや海人など、海を愛する人々も多いこともあるかもしれません。
ただ、手元供養や海洋散骨は一度納骨してしまうと、後々遺骨の取り出しが手続き上大変だったり、なかには取り出せないケースも考えられます。後々納骨を行うことはできますので、火葬場で分骨して取っておくのも一案です。
※ 分骨の仕方について、また埋葬後の遺骨の取り出しや手元供養体験談について、下記コラムでも触れていますので、コチラもご参照ください。
・沖縄で増えた分骨の手続きと予算の目安。埋葬した後も分骨はできるの?
・沖縄で納骨した遺骨を手元供養にしたい!遺骨を取り出す改葬手続きとは
・沖縄で手元供養を通して気付いたグリーフ。自分では気づかなかった症状に気付くまで
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で広がるグリーフケアについて、自身のグリーフ(大切な人を失った喪失感や哀しみ)に気付くための症状や、グリーフを乗り越え再生するまでのプロセス、沖縄で広がるグリーフケア3つの柱をお伝えしました。
また沖縄では檀家制度は広がっていませんが、お坊さんの説法を聞きながら、沖縄でグリーフケアを行った体験談もあります。
手元供養のお話をしましたが、近年の沖縄では大きな先祖代々伝わる沖縄仏壇を「お仏壇じまい」して、小さくコンパクトなお仏壇を新調する事例も多くあり、この過程を通して、おしゃれなお仏壇を選びながら哀しみが癒される体験談もありました。
※ 詳しくは別記事「沖縄で子どもを手元供養にした体験談☆ほっぺのような可愛い仏具を選びながら」でお伝えします。
まとめ
グリーフケアの気付きとプロセス
・感情、身体、行動の変化からグリーフに気付く
・ショック→喪失→閉じこもり→再生のプロセス●グリーフケア3つの柱
・哀しみを認める
・話す、吐き出す
・セレモニーを行う●沖縄で広がるグリーフケア
・手元供養
・海洋散骨(セレモニー)※火葬場で分骨した方が手続きがスムーズ