ひと昔前まで沖縄の葬儀と言えば、規模の大きな一般葬でしたよね。
沖縄の新聞二誌のお悔み欄に葬儀のインフォメーションを載せ、広く参列者を受け入れてきました。
そのため参列者100人を超える規模の、沖縄の葬儀も多く見受けたのですが、最近ではコロナ禍の影響も受け、人数を限定した家族葬などが増えています。
また、より自由度が高い家族葬をきっかけにして、沖縄では葬儀の御遺族の希望を取り入れ、多岐に渡る沖縄の「葬儀スタイル」がうまれているのはご存知でしょうか。
今回は近年沖縄では新しい10の葬儀スタイルについて、前半として5つの沖縄で人気の葬儀をお伝えします。
(1)現代沖縄で増える葬儀「家族葬」とは
家族葬は「家族など身内のみで執り行う沖縄の葬儀」とは限りません。
一般葬と比較して、規模の小さな沖縄の葬儀を「家族葬」とする人が多いです。
●そのため、現代の沖縄の葬儀で「家族葬」と言うと、一般葬と比較して①規模が小さい、②自由度が高い、葬儀を差すことが多いでしょう。
そこで、下記より一般葬と家族葬の違いを比較するため、それぞれの特徴を解説します。
①一般葬とは
沖縄の葬儀で一般葬と言えば、従来の規模の大きな葬儀を差すことが多いです。
昔ながらの風習と仏教に倣い、読経供養をして供養をします。
また沖縄の葬儀では広く参列者を受け入れることも特徴的ですよね。
そのため必然的に会場が大きくなり、会場に合わせて祭壇も大きなものになります。
●一般葬の特徴
・広く参列者を受け入れる(50人以上が目安)
・沖縄の新聞二誌で、インフォメーションを掲載する
・葬儀の御案内は出さない
・香典返しは当日返し
・従来のしきたりに倣った葬儀(仏教が多い)
ただ最近では、沖縄で行う一般葬の葬儀であっても、家族のみで火葬を済ませてから、焼骨した骨壺を前に行う「骨葬」が多い傾向です。
②家族葬とは
このような沖縄で行う一般葬の葬儀と比較して、家族葬は参列者を限定しています。
参列して欲しい人々へ電話や訃報ハガキでご連絡をして、沖縄の新聞二誌のお悔み欄には、インフォメーションは掲載しません。
●家族葬の特徴
・参列者を限定する(50人以下が目安)
・参列して欲しい人へご案内する
・御香典や御香典返しはご遺族で決定
・自由度が高い葬儀
・会食を振る舞うことも多い
…などなどがあります。
特にコロナ禍で火葬場がひっ迫し、「できる時に火葬を済ませる」ことも一因として、家族葬でも火葬を済ませた後に行う「骨葬」が増えました。
またホテルなど会場によっては、骨葬以外は受け付けない施設もあります。
・【家族が亡くなったら】沖縄のお葬式で、昔と違う10の選択肢|その1
(2)今、沖縄でニーズが高い5つの葬儀
このような現代沖縄での葬儀の流れから、ご遺族や故人の遺志を叶えた、自由度が高い家族葬として、さまざまな葬儀スタイルが定着しつつあります。
①一日葬
②リビング葬
③ガーデン葬
④音楽葬
⑤花葬
ひと昔前の沖縄の葬儀では、ご遺族は「規模の大きな葬儀を行うことで、故人への供養になる」と考える傾向があったのですが、最近では「故人を心から偲ぶ人々が集まった、心を込めた葬儀が供養になる」と考える傾向にあります。
形の供養から、心の供養への意識が、形になったのでしょう。
①一日葬
●「一日葬」は、一日で全ての法要を済ませる葬儀です。
通夜が省かれて時間が短縮されるので、高齢者の親族や近親者の多い故人の葬儀で選ばれることが多いでしょう。
また沖縄では、葬儀費用を抑える目的でも選ばれます。
・時間を短縮できる
・高齢の人々が参列しやすい
一日葬のなかには、火葬場で全ての法要を済ませる「直葬」などもあり、直葬になると数時間で全ての供養が完了です。
【注意点】
※特に直葬などの場合、沖縄ではあまりにも葬儀が簡素で、結果的にご遺族の哀しみが増したり、親族からクレームが出る可能性もあります。
事前に関係者と話し合いながら決めるとともに、自分の心に添った選択も必要です。
②リビング葬
●「リビング葬」は、まるで家にいるようなリビング空間で行う葬儀です。
コンパクトな平屋戸建てを貸し切って行うリビング葬も多いため、ご遺族は一日中、故人とゆっくり過ごしながら、参列者を迎え入れます。
・焼香時間が自由
・自宅にいるような雰囲気
・通夜の日は、一晩中付き添える(※)
・最期のお見送りまで、一緒にいられる
(※)葬儀社などが提供する安置施設にご遺体がある場合、閉館時間に合わせてご遺族も退出しなければなりませんが、戸建てを貸し切る場合、ひと晩中、故人の傍に寄り添えます。
リビング葬ではタイムスケジュールが決まっていないものも多く、参列時間もまばらになるため、コロナ禍において人が密集しにくい点もメリットです。
【注意点】
※ただし、平屋戸建てを一棟貸し切るリビング葬では、参列者の人数を限定した家族葬であっても、一般葬と同等の葬儀費用が出る可能性も高いでしょう。
③ガーデン葬
●「ガーデン葬」は、屋外で行う沖縄の葬儀です。
大きなお家では自宅の庭で執り行うこともできますし、景色の良い施設の庭を貸し切って行うガーデン葬もあります。
・自由度が高い
・コロナリスクが少ない
自由葬として、沖縄ではどの宗旨宗派にも倣わず行う葬儀スタイルが多く、故人を偲ぶ人々が集まって、故人の思い出話に花を咲かせながら、思い思いに偲ぶスタイルが多いでしょう。
【注意点】
※庭を貸し切る場合、骨壺を前にして行う「骨葬」のみ受け付ける施設が多いです。
また骨葬も受け付けない施設もあるので、この場合には遺影などを前に偲びます。
④音楽葬
●「音楽葬」は、生前に故人が好きだった音楽で送り出す葬儀です。
一般的な葬儀で故人が好きだった音楽を流す場合もありますし、特定の宗旨宗派に倣わず、自由に執り行う葬儀で、読経供養の代わりに音楽を流すものもあります。
・空まで届く音楽で見送る
・葬儀会場にいる人の気持ちがひとつになる
音楽葬の場合、生前に故人がエンディングノートなどで希望していることも多いです。
またカセットやCDなどで音楽を流す方法もあれば、特に故人が音楽が好きだった時には、奏者を読んで、生演奏を流す葬儀もあります。
【注意点】
※カセットやCDで音楽を流す場合には、大きな費用は掛かりませんが、生演奏を流す場合には、奏者への謝礼などもあるため、一般葬と葬儀費用が変わらないこともあるでしょう。
⑤花葬
●「花葬」は、花々に囲まれて故人を見送る葬儀です。
ご遺族がお見送りの際、故人を美しく花々に包んでお見送りがしたいと花葬を決めるケースが多い一方、生前に故人が花を好きだったり、ガーデニングを趣味としていたケースもあります。
・参列者の心が癒える
・故人が生前に花々が好きだった
・花言葉のメッセージを乗せて見送る
生前に故人が花々を好きだった場合、好きな花を選んで飾る人が多いです。
一般葬では四十九日までの法要は白い花とされますが、花葬では、色とりどりの花々を選んで、故人をきれいにしてあげることができるでしょう。
最後に
以上が現代、沖縄の葬儀で新しく見られる5つの葬儀スタイルです。
全国的にも自由度が高い葬儀スタイルが増えていますが、特に沖縄では、もともと特定の寺院を信仰する「檀家制度」がないため、菩提寺(※)のご住職へ配慮する必要がありません。
(※)菩提寺とは、家が信仰する特定の寺院を差します。
(本土では一般的な檀家制度については「沖縄で戒名は付けるの?寺院墓地にお墓を建てる他県に見る「檀家制度」とは」をご参照ください。)
そのため参列者を限定した家族葬において、読経供養を行わないほどの自由な葬儀も、本土以上に選びやすいでしょう。
・【沖縄の葬儀】家族葬や一日葬、ホテル葬。現代10の葬儀スタイル|その2
まとめ
現代の沖縄で新しい葬儀の形
●従来の一般葬
・広く参列者を受け入れる(50人以上が目安)
・沖縄の新聞二誌で、インフォメーションを掲載する
・葬儀の御案内は出さない
・香典返しは当日返し
・従来のしきたりに倣った葬儀(仏教が多い)●家族葬の特徴
・参列者を限定する(50人以下が目安)
・参列して欲しい人へご案内する
・御香典や御香典返しはご遺族で決定
・自由度が高い葬儀
・会食を振る舞うことも多い●現代の沖縄、5つの葬儀スタイル
①一日葬
②リビング葬
③ガーデン葬
④音楽葬
⑤花葬