仏壇に供える花にルールやタブーはある?沖縄の旧盆でおすすめの花々、初盆に良い花は?

2024.07.15
仏壇に供える花にルールやタブーはある?沖縄の旧盆でおすすめの花々、初盆に良い花は?

仏壇には先祖様に失礼のない花々を選びます。また丈夫で長持ちする花々はお手入れも楽ですよね。本記事では仏壇に適した花々や整え方、避けたい花々が分かります。仏壇に花を供える意味もご紹介しているので、より心を込めて日々の手入れができるでしょう。

・仏壇に花を供える意味は?
・仏花と供花、墓花の違いとは?
・仏壇に供える花にルールやタブーはある?
・仏壇に供えるおすすめの花々は?
・仏花の供え方は?

日常的に仏壇に供える花は、故人やご先祖様に失礼のない花々を選びます。また丈夫で長持ちする花々は、日々のお手入れも楽ですよね。

本記事を読むことで、仏壇に供えるのに適した花々や整え方、避けたい花々が分かります。
仏壇に花を供える意味もご紹介しているので、より心を込めて日々の手入れができるでしょう。

 

仏壇やお墓に供える花「仏花」

仏壇やお墓に供える花「仏花」
◇仏様に供える花の全般が「仏花」です

仏花(ぶっか)」とは、仏壇やお墓、通夜や葬儀で供える花など、故人やご先祖様へ供える花全般を指します。

つまり仏壇やお墓参りに供える花は、どちらも「仏花」です。一般的には日々、仏壇に供える仏花は数百円から千円台ほどの仏花ですが、命日や法要などの特別な日には、より豪華な仏花を供える習慣があります。

 

①「供花」とは

供花(くげ・きょうか)」は故人とのお別れに弔意を表す、お別れの花です。そのため通夜や葬儀で祭壇に供えたり、棺に入れる花も供花と言います。

この他、故人やご遺族に送る花輪も供花のひとつです。故人とのお別れに手向ける花である供花は、基本的に白を基調とし、華やかにまとめるアレンジが求められます。

 

②「墓花」とは

「墓花(ぼか・はかばな)」はお墓参りに供える花です。お墓の大きさに合わせた本数やサイズで準備し、お墓参りに持参します。

花は朽ちて腐るため、お墓参りで供えた花は持ち帰ることが現代のマナーです。花を持ち帰らずに供える場合、花が朽ちる7日後までには、花を回収しに行きましょう。

 

仏壇の花にタブーはある?

仏壇の花にタブーはある?
仏壇の花には、供えるにはふさわしくない花々もあります。ただ近年では、故人が生前に好きだった花を供える場合など、タブーの花を供えるケースも増えました。

仏壇にタブーの花を供える場合、その理由を取り除いて供えることもできます。ご遺族へ花を送る場合、美しい花であっても、相手を傷つけてしまうことがあるので、注意をして選んでください。

 

①棘のある花

棘(トゲ)のある花も、仏壇に供える花としてタブーです。つんけんした様子を「トゲトゲしい」などと例えるように、どこか攻撃的な印象を与えます。

 

<①棘のある花>
・バラ
・アザミ
…など

 
また、実際に供える時にケガもしやすいですよね。
お仏前や墓前で血が流れることは良くないため、その意味合いでもトゲのある花々は避けた方が良いでしょう。

ただ、故人が生前にバラが好きだったなどの理由で、バラを供えたい時には棘(トゲ)を取って供えれば問題はありません。

 

②毒のある花

仏壇には、毒を持つ花々も供え花として相応しくありません。
その昔の日本では、暗殺のために「毒を盛る」行為などもありましたから、仏様へ毒を供えることになってしまいます。

 

<②毒のある花>
・鈴蘭(スズラン)
・水仙(スイセン)
・彼岸花(ヒガンバナ)
…など

 
彼岸花(ヒガンバナ)」はお彼岸に供えるお花のイメージを持つ人々も多いですよね。
実は彼岸花は、墓地を囲む畦道などに植えられてきた花です。

彼岸花が咲き誇る境界線を越えると、お墓が並ぶ「あの世(彼岸)」に辿り着くとして「彼岸花」と呼ばれてきました。

ではなぜ、墓地周辺に彼岸花を植えたかと言うと、ネズミなどの野生動物対策です。

昔の日本では遺体を土葬してきましたから(沖縄では風葬)、ネズミなどがお墓を荒らさぬよう、毒のある彼岸花を墓地周辺に植えてきた歴史があります。

 

③不吉な花

不幸や死を連想させる不吉な花も、仏壇の花としては不向きです。
弔事と言えば白×黒ですが、供え花に関しては白をベースにして淡い色を揃えますが、不吉な色合いの黒いお花も、避けた方が良いでしょう。

 

<③不吉な花>
・椿(ツバキ)
・黒百合(クロユリ)
・黒薔薇(クロバラ)
…など

 
椿(ツバキ)は、花が枯れると花首からポトンと落ちます。
武士社会だった昔の日本で、この花の落ち方が斬首のように見え、不吉な花とされました。

また黒百合(クロユリ)や黒薔薇(クロバラ)は、その深みある漆黒の色合いが不吉に見える他、花言葉も怖いものとして避けられています。

 

黒百合(クロユリ)…呪い/復讐
黒薔薇(クロバラ)…憎しみ/恨み

 
供え花を贈る時には、現代ではネットも広がりすぐに調べるため、花言葉も重視される傾向です。
個性的な花を贈りたい場合には、花言葉までチェックして選ぶと良いでしょう。

 

④香りの強い花

仏壇に欠かせない仏花は、確かに香りをご先祖様や故人の魂へ届ける役割を果たしますが、あまりにキツイ香りは避けた方が良いでしょう。

「香(こう・かおり)」に当たるお供え物はお線香ですが、あまりにお花の香りの主張が激しすぎるとお線香の香りも届かなくなってしまいます。

 

<④香りの強い花>
・百合(ユリ)
・薔薇(バラ)

 
お墓に備える仏花の場合、香りの強すぎる花は虫が集まりやすい点も難点です。
また仏壇に供える花はあまり香りが強すぎると、お線香の香りを消してしまうデメリットもあります。

百合(ユリ)はキリスト教式の葬儀では献花として知られていますが、実は百合(ユリ)も香りが強く出来る限りは避けたい花のひとつです。

 

⑤枯れやすい花

特に夏場の仏壇に供える花は、枯れやすい花を避けましょう
もともと花は切ってしまうと高温に弱く、直射日光や蒸し暑い場所が苦手です。
気温の上昇は花立ての水のバクテリアが繁殖し、さらに腐りやすくなります。

お盆・旧盆時期は蒸し暑い真夏になるので仏壇に花を供える季節にも考慮しながら、日持ちを考えて選んでください。

 

<⑤枯れやすい花>
・スイートピー
・イングリッシュローズ
●ダリア
・フリル咲き
・ストレートカクタス咲き

 
冬場であれば椿(ツバキ)やサザンカなども枯れやすい部類です。また、フリル咲きのダリアは3日間の内にどんどん花を散らしてしまいます。このように、咲き姿がゴージャスな花々ほど枯れやすい傾向にあるようです。

ただ切り花はいずれ枯れる花ではあるので、少しでも長持ちできるよう家でも工夫をして供えると良いでしょう。

切り花を長持ちさせる方法については、後ほど詳しくご紹介しますので、どうぞ最後までお読みください。

 

⑥食べられる花

菜の花など調理して食べる食用の花々も、かつては縁起が悪いと考えられてきました。
収穫祭や祈願祭では、神様に穀物を供えますが、仏壇に供える仏花としてはタブーです。

 

<⑥食べられる花>
・菜の花
・穀物

 
近年では食べられる花「エディブルフラワー」も注目されていますよね。
デイジーチューリップ、ベゴニア、ニチニチソウ、ラベンダーなどがあります。

ただ「エディブルフラワー」は種類があまりにも多岐に渡るため、仏壇に供える花のタブーには入りません。

 

⑦花粉の多い花

花粉が落ちて仏壇に付くと、なかなか簡単に取り除くことはできないため、仏壇に供える花としては避けた方が良いでしょう。

またお墓参りに供える花としても、花粉が服に付着してしまうと、洗濯だけではなかなか綺麗になりません。

 

<⑦花粉の多い花>
・百合(ユリ)
・ハイビスカス
・向日葵(ヒマワリ)
・ポピー
・山茶花(サザンカ)

 
ただ仏壇に花粉の多い花を供えたい時には、花粉を取り除くことで供えることができます。
花屋さんで「花粉を取ってください」と依頼すると、花粉を取って束ねてくれるでしょう。

 

仏壇に供える花のルール

仏壇に供える花のルール
◇両脇に2つの一対でしたが、近年では1つのみも増えました

仏具には花を供えるための「花立て(はなたて)」があるので、そこに供えます。
沖縄では「ハナイチ」とも言いますね。

仏壇は左右対称が良いとされ、花を供える時にも左右一対、両脇に2つの花を供えることが一般的です。

ただ近年ではコンパクトな仏壇が増え、置くスペースに合わせて1つの花を供える家庭も増えました。

 

①仏壇に供える花の本数

◇仏壇の花は5本・7本・9本の奇数本です

仏壇やお墓に供える花の本数は、5本・7本・9本の奇数本を束ねるとされています。
古くから奇数の数字は縁起の良い「陽数」とするためです。

対照的に偶数は「陰数」とされ、縁起が悪いとして避けてきました。
偶数は割り切れるため「結んだ事柄が別れてしまう・割れてしまう」ことが由来です。

奇数を陽数、偶数を陰数とする考え方は、古代中国から伝承されました。

琉球王朝時代から中国の影響を色濃く受けてきた沖縄でも、重箱料理の品数、法要の年忌など、奇数を意識しています。

 

②仏壇に供える花の色

◇普段は5色「五金色」、もしくは6色「六金色」です

仏壇に供える花は、5色もしくは6色が良いとされてきました。
諸説ありますが、中国に古くから伝わる「五行説」からきています。

「五行説(ゴギョウセツ)」とは、この世にある全ての恩恵である万物は「木・火・土・金・水」の5つの要素からなるとした考え方です。
「陰陽五行説(インヨウゴギョウセツ)」「五行思想(ゴギョウシソウ)」とも呼ばれます。

仏壇に供える花も、この五行説を基にした5色、もしくは6色が一般的です。
この色数を「五金色(ゴコンジキ)」「六金色(ロッコンジキ)」とも言います。

 

<五金色・六金色>
(1)五金色
(ゴコンジキ)
・青・白・紫(黒)・黄・赤
(2)六金色
(ロッコンジキ)
・青・白・薄紅(橙色)・黄・赤
・5色の混合色

 
五金色には「黒」も入りますが、仏壇に供える花としては避けましょう。
黒い花の多くはクロユリやクロバラなど、基本的に仏花としてタブーな花ばかりです。
黒い色も不吉な色と捉えられるため、紫の花が良いでしょう。

 

③四十九日までの花

◇四十九日まで仏壇に供える花は白が基調です

故人が亡くなってから四十九日までの期間「忌中(キチュウ)」に供える仏壇の花は、白を基調とします。

仏教において忌中は、故人が冥土の道を辿る道程にあり、まだ成仏していないためです。
この期間は故人の成仏を願い、穢れのない純真な白い色の花を供え追善供養をします。

 

③花の選び方

◇季節の花を選びましょう

仏壇に供える際、季節の花を選ぶことで、故人やご先祖様と季節を感じて、愛でることができます。日々季節の花を選ぶことで故人やご先祖様に時の流れを伝えることができるでしょう。

 

<季節の花>
●オールシーズン ・菊
・スプレーマム(菊)
●春 ・牡丹(ボタン)
・マーガレット
・カーネーション
・桜
●夏 ・向日葵(ヒマワリ)
・ケイトウ
●秋 ・秋桜(コスモス)
・ダリア
・リンドウ
・ワレモコウ
●冬 ・冬菊

 
あの世には時間がない」とも言われますが、仏壇に季節の花を供えることで、故人やご先祖様に、今の季節をご報告することもできるでしょう。

 

④花の束ね方

◇仏壇やお墓に供える花は、ひし形にまとめます

華やかな向日葵(ヒマワリ)や、花粉を取った百合(ユリ)などを1本、中央に配置します。
寄り添うように花々を添えていくので、中心の花は茎を長く取ると良いでしょう。

中心の花を囲うように、カーネーションや菊などの花々を配置するとまとめやすいです。
カスミソウなど、添え役として適切な花々をバランス良く選んでください。

 

⑤花を選ぶポイント

◇故人が好きな花を供えても大丈夫です

仏壇に花を選ぶ時には、タブーや適した花々、束ね方までルールもありますが、現代では縛りが緩くなっています

通夜や葬儀に供える供花であれば、ルールに沿うことでご遺族への配慮になり、知らずに傷付ける心配が軽減されるでしょう。

ただ日常的に仏壇に供える花であれば、多少ルールに沿っていなくても、故人が生前に好きだった花、故人を思い出す花などを選んでも問題はありません。

 

沖縄の旧盆で、仏壇に供える8つの花々

沖縄の旧盆で、仏壇に供える8つの花々
◇季節を感じる、長持ちする花々が適切です

沖縄の旧盆は旧暦7月13日~15日までの3日間、少なくとも3日間は仏壇へ供えるため、旧盆の最終日まで持つよう、長持ちする丈夫な花を選びましょう。

特に沖縄で旧盆の時期は毎年8月~9月頃、真夏の暑い真っただ中で供える旧盆の花なので、暑さや湿気に強い花々が適切です。

それでは下記より沖縄の旧盆時期、仏壇に供える花としておすすめの花々をご紹介します。

 

①菊

日本で代表的な仏花は「菊」です。
仏壇に供える花はもちろん、通夜や葬儀に供える供花としても、安心して贈ることができます。

現代はオシャレな菊も多く出回っているので、カジュアルな家具調仏壇や、コンパクト仏壇にもおすすめです。

可憐な花姿の「スプレーマム」、ポロンと丸く可愛い「ポンポンマム」などは、家具調仏壇に人気がありますね。

 

<菊の花言葉>
・ご冥福をお祈りします
黄色…長寿と幸福
紅色…愛情

 
仏教では菊は尊い存在として重宝され、場の空気を滅し邪気を祓う花です。
長持ちする花ですので、沖縄の暑い旧盆時期にも、丈夫に咲いてくれるでしょう。

 

②トルコキキョウ

トルコキキョウは、特にお祝いとして供える供養行事におすすめです。
例えば沖縄の旧盆は供養行事ですが、お祝い事(慶事)として準備します。そのため結婚式など慶事でも用いられるトルコキキョウは最適です。

色合いも紫や青など、華やかながら落ち着いていて白や淡い色目の花々と合わせやすいでしょう。

 

<トルコキキョウの花言葉>
・紫…希望
・青…あなたを想う
・白…思いやり

 
またトルコキキョウの場合、いつでも購入しやすい点も便利です。

 

③スターチス

スターチスは水分が少ないため日持ちが良く、仏壇に供える花として通年使われます。
特に暑さに強い花ですので、真夏のお盆・沖縄の旧盆でも枯れにくいでしょう。

 

<スターチスの花言葉>
・変わらぬ心
・永久不変
・途絶えぬ記憶

 
スターチスは花色が豊富で、差し色にも最適です。
仏花として花束にした時、メインになることは少ないですが、通夜や葬儀に送る供え花ではメインの花を彩る名脇役・差し色として活用されます。

 

④リンドウ

リンドウも沖縄の仏壇に供える花としては、旧盆に選ばれます。
リンドウは秋の花として知られていますが、沖縄の旧盆時期には花を咲かせてくれるものも多く、青紫の落ち着いた色目で選ばれやすい花です。

 

<リンドウの花言葉>
…あなたの哀しみに寄り添う

 
花言葉としてご遺族の哀しみに寄り添うメッセージも強く、贈り花としても選ばれやすいでしょう。

 

⑤アルストロメリア

アルストロメリアの日本名は「百合水仙」です。
百合(ユリ)に似たエレガントな花姿の花ですが、百合(ユリ)よりもエキゾチックな印象を与えます。
色数も白・ピンク・オレンジなど豊富で、仏壇を明るくしてくれる花です。

 

<アルストロメリアの花言葉>
・幸い
・幸福な日々
・穏やかな生活
・友情
・愛情

 
百合(ユリ)と同様にアルストロメリアも花粉があるので、仏壇に供えるならば、花粉を取り除いてから供えましょう。

 

⑥向日葵(ヒマワリ)

向日葵(ヒマワリ)は真夏のお盆・旧盆で、仏壇を彩る季節の花です。
向日葵(ヒマワリ)をメインに、アンスリウムやカスミソウなどを添えると良いでしょう。

 

<向日葵(ヒマワリ)の花言葉>
・あなただけを見つめる
・情熱
・憧れ

 
向日葵(ヒマワリ)は元気なイメージを持ち、太陽に向かって茎を伸ばす前向きな花。
故人が亡くなって間もないミーボン(初盆)では、大切な人を亡くして沈んだ気持ちを和らげる効果も期待できます。

 

⑦カーネーション

母の日にカーネーションを贈るようになった始まりは、南北戦争でした。
負傷兵を助けていた母親を想った娘、アンナ・シャービスが1907年5月12日に、母が生前に好きだった白いカーネーションを、教会で配ったことがきっかけです。

そのため生きている母親に対しては赤いカーネーションを、亡き母親に対しては白いカーネーションを供えるようになりました。

 

<カーネーションの花言葉>
…亡き母を偲ぶ・尊敬
…誇り・気品
ピンク…あたたかい心・感謝

 
この他、橙色のカーネーションは「清らかな慕情」などの花言葉もありますが、全般的に「熱愛」など、恋愛に向けたものが多い印象です。

黄色のカーネーションは「嫉妬」「軽蔑」など、ネガティブなものが多く避けられる傾向も見受けます。

 

⑧ミソハギ

全国的なお盆では、お供え物の水の子に添える花としても有名で、お盆の供え花としては代表格です。沖縄ではネバリミソハギが咲いていますね。

ミソハギは別名「禊ぎ萩」と言い、人々の禊(みそぎ)を落とすとされてきました。
仏様もミソハギの露(つゆ)を好み、水の子に添えるように(※)ご先祖様に付いてきた無縁仏やチガリムン(餓鬼)の喉を潤す花と言われます。

 

<ミソハギの花言葉>
…慈愛、愛の哀しみ、純愛

 
その昔からミソハギがお盆のお供えとされたのには、丁度旧盆時期に花を咲かせることもあるでしょう。
(※)水の子は沖縄の旧盆で供える「ミンヌク」で、ご先祖様につられてやってきたチガリムン(餓鬼)に供えるお供え物です。

 

初盆の花は?

故人が亡くなって四十九日を過ぎ、初めて迎える旧盆が「初盆」です。全国的には「はつぼん」「しんぼん」ですが、沖縄では「ミーボン」と呼びます。

故人が亡くなってまだ間もない初盆では、仏壇に白い花を供えるのが基本です。
白い菊や花粉を取った百合(ユリ)などが多いでしょう。

 

生花でなくてはダメ?

生花でなくてはダメ?
仏壇に飾る花は生花とは限りません
仏壇用の造花も販売されていますし、通夜や葬儀に送る花でもブリザーブドフラワーが増えました。

ただしドライフラワーは「枯れた花」として、通夜や葬儀・仏壇に供える花としては縁起が悪いとされるため避けましょう。

何よりも大切なことは、日々故人やご先祖様に想いを馳せ、手を合わせることです。
忙しい毎日のなか、より世話がしやすい生花以外の花々を供えても良いでしょう。

通夜や葬儀に送る供花としては、弔電の扉に添えられた押し花も人気です。
また近年では石鹸で作られたソープフラワーなどもありますが、ここでは一般的な生花以外の花々をご紹介します。

 

①造花

仏壇に供える造花は、広く市販されていますよね。
「シルクフラワー」「フェイクフラワー」と呼ばれる花々も造花のひとつです。

生花のような精密な造花で、より美しさを演出した「アーティフィシャルフラワー」もあります。

 

②ブリザーブドフラワー

ブリザーブドフラワーの「ブリザーブド」は、翻訳すると「保存された」です。
美しい花姿の時期に水分を抜き取り、特殊な液体で加工することで、手入れなく長持ちする美しい花のまま保存されます。

ドライフラワーや一般的な造花とは違い、触れても手触りが花そのもので、生きているような温かさが人気です。

 

③ハーバリウム

ハーバリウムは液体のなかで美しく咲く花々で、ガラス瓶などに詰められています。
「ハーバリウム」を翻訳すると「植物標本」、本来を植物研究を目的とした長期保存方法でした。

そのためシリコンオイルやミネラルオイルに浸された花々は、太陽光に美しく光る花姿に定評があります。近年では仏壇に飾る花としての需要もあるでしょう。

 

仏壇の花を長持ちさせるポイント

仏壇の花を長持ちさせるポイント
仏壇に供える切り花は、風通しの良い涼しい環境が適切です。仏間は決まっていますが、出来得る限り直射日光を控え、暑い場所を避けます。

沖縄の旧盆は夏場の盛りですが、クーラーや扇風機が直接当たる環境も、花が傷みやすいため注意が必要です。

 

①水をこまめに取り換える

切り花を入れた花立ては雑菌にとって絶好の繁殖場所です。そのため水はこまめに取り換えることを心掛け、清潔な環境を整えます。

少なくとも毎日花立ての水を取り換えることで、仏壇の花は栄養分を補給しながら、清潔な水環境を保つことができるでしょう。

 

②浅水・深水

浅水(あさみず)」とは、花立てに入れる水の量を浅く取ることです。
水に溶けやすい茎の柔らかい花、茎の中心が空洞になっている花などに向いています。

例えば、ダリア・ガーベラ・チューリップ・スイートピー、向日葵(ヒマワリ)などの花々には、茎が3cm~5cm浸かるほどの浅水が良いでしょう。

深水(ふかみず)」とは、たっぷりの水で花々を生けることです。
たっぷりの水は水圧が掛かるため、より勢い良く多くの水分を取るでしょう。

例えば草木類の他、百合(ユリ)・薔薇(バラ)・シャクヤクなどは、茎が10cm以上浸かる深水が適切です。

 

③水切り

買ってきた花束は仏壇に供える前に、まず水切りをします。
切り口に添えたティッシュなどを外したら、切り口が湿っているうちに切りましょう。

「水切り」とはバケツなどに水を張り、水のなかで草花を切ることです。
スパっと切れる切れ味の良いハサミを使用し、切り口の面積が広くなるよう、斜めに切り落とします。

花が弱ってきた時にも茎を再び短く切り詰めることで、より長持ちするでしょう。

 

④浸水法

花をバケツにいっぱいの水に長時間浸して、元気にする「浸水法」があります。
バケツを2つ用意し、ひとつのバケツは茎の根本から3cm以上を目安に水切りをしましょう。
花に傷みがあれば、傷んでいる部分も取り除きます。

もうひとつのバケツで行うことは、キレイな水をたっぷり張り花を葉の下まで浸ける「浸水法」です。花を新聞紙でキツク巻き、約1時間以上はキレイな水に浸けることで、花が復活することがあります。

 

⑤延命剤を利用する

花屋さんでは切り花の延命剤を販売しています。
1回ごとに使用する小袋タイプは100円前後、ボトルタイプでは500mlほどで約500円前後の価格帯です。

「水のみの場合よりも数日~数週間も長持ちした」などの感想もあります。
延命剤を入れることで水が腐らないため、延命剤には水替えの必要はありません。

 

 

⑥漂白剤を利用する

延命剤の代わりとして漂白剤を数滴入れる方法もあります。
目安としては水200ccに対して1滴ほど、ほんの数滴が適切です。

仏壇の花が傷みやすい原因は雑菌の繁殖ですが、漂白剤には強い殺菌効果があるため、水替えも頻度を減らすことができます。

 

⑦10円玉を入れる

仏壇の花を生ける前に、花立てはよく洗い雑菌を取り除きましょう
銅製の10円玉は水に浸けることで銅イオンが溶け出し、雑菌の繁殖を防ぐためです。
銅製の花立てであれば、同じ効果を得るでしょう。

 

仏壇に供える花の金額相場

仏壇に供える花の金額相場
日常的に供える仏壇の花は、左右一対で約千円~3千円ほどで良いでしょう。
通夜や葬儀で供える供花は約7千円~2万円と豪華な花々が一般的ですが、法事や法要でない限り、1束500円ほどでも良いのです。

その代わり花を絶やさぬよう供えて、故人やご先祖様に香りと季節を伝えます。
造花でも良いのですが、香りを持ち日常の儚さを伝える生花を供えることが、より良いとされます。

旧盆や(※)スーコー(焼香)など、特別な日に供える花の金額相場は約5千円~1万円です。
(※)「スーコー(焼香)」とは、全国的な法要を指します。詳しくは下記コラムをご参照ください。

 

 

①花屋さんで仏花を購入する

花屋さんで仏花を購入する時は、「仏壇に供えます」「お墓参りの花をお願いします」など、目的を伝えることで仏花として整えてくれるでしょう。
故人が生前に好きでぜひ供えたい花があれば、要望を伝えてください。

また旧盆やお彼岸など、供養行事の前後には仏花が店頭に並ぶ花屋さんが多いです。
霊園の周辺にある花屋さんでは、常時お墓参りの花束が店頭に並ぶ光景を見受けます。

 

②仏壇の花は必ず一対?

本来、仏壇に供える花は左右一対とされてきました。
特に沖縄の仏壇は、先祖代々位牌「トートーメー」を中心に左右対称にお供え物を供え、花もトートーメーの左右に一対並べます。

けれども近年では大きな仏壇から、小さなコンパクト仏壇に買い替える家庭も増えました。
スペースが充分にないため、現代は花をひとつのみを供える配置も多いでしょう。

 

③お墓参りの花は持ち帰っても良い?

お墓参りに供える花は、終わったら持ち帰りましょう
お墓に供えたまま帰ると花が朽ちて汚れてしまったり、カラスや野生動物に荒らされてしまうからです。

霊園に建つお墓の場合、なかには花が枯れる頃に処分してくれる場所もありますが、頻繁にお墓参りをしない現代では、その日のうちに持ち帰るのがマナーです。

 

④仏花は使い回しても良い?

お墓参りで持ち帰った花を仏壇に供えることもありますが、基本的に仏花の使い回しはタブーとされます。

他所で供えた花を供えることは故人やご先祖様に失礼にあたるためです。花立てのサイズもありますので、お墓参り用・仏壇用に花を分けましょう。

 

⑤仏壇の花に鉢植えはダメ?

現代では仏壇の傍に鉢植えの花を供える家庭も見受けるようになりました。
けれども仏壇には切り花を左右対称に供えるとされたため、鉢植えをタブーとする人々もいるでしょう。

また鉢植えは虫が出やすく土があり不衛生になりやすいため、避ける傾向もあります。
ただ切り花と比べて毎日の水交換がなく長持ちするメリットもあるでしょう。

 

仏壇に花を供える意味

仏壇に花を供える意味
仏壇に供える花は仏様の慈愛を表します。
故人やご先祖様へ弔いを込めて供えるとともに、生きる者にとっても癒しとなるでしょう。

仏壇に供える仏花にはルールはありますが、基本ばかりにとらわれず故人が生前に好きだった花を供える家庭が増えました。

 

①故人やご先祖様へ想いを届ける

故人やご先祖様はこの世の食事をいただくことはできません。そのため生花やお線香で香りを届け、想いを伝えます。故人やご先祖様へ美しい花々を供えて冥福を祈ることで、故人への供養ができるでしょう。

 

②諸行無常の心を育てる

花は永久に美しい姿を保つものではなく、いずれは朽ち果てていきます。それは人間や人の心・自然も同じことです。

日々花の移り変わりを眺めることで、時間のなかにいる限り万物は常に移り変わる、儚いなかにある「諸行無常」の心を育みます。

 

③生きる者の心を穏やかにする

仏壇やお墓に供える花は、決して自己主張することなく静かにそこに美しく儚く咲きます。その咲き姿を眺める人々の心は穏やかになるでしょう。

また暑い・寒い厳しい環境のなかでもじっと美しく咲く花姿は、厳しい修行に耐え悟りへの道を開かんとする修行僧を重ねます。

 

④お墓や仏壇を美しく祀る

お墓や仏壇に花を供えることで、華やかになりますよね。故人やご先祖様を供養する時にも、できるだけ美しい環境を整えてあげたいものです。
美しく華やかな花々を供えることで、故人やご先祖様への想いを表します。

 

⑤善い道を歩む誓いを立てる

仏壇の花を絶やさず供えることは、日々水を交換し花を慈しむことです。
毎日花の手入れをすることは、慈愛を育て善い道を歩む誓いに繋がります。

 

[豆知識]仏教と蓮の花

[豆知識]仏教と蓮の花
仏教で代表的な花は「蓮の花(はすのはな)」ですよね。お釈迦様が座る「蓮華座(れんげざ)」が蓮の花であることからも深い関係性が伺えます。

一般的なフラワーギフトは鮮やかな色目の花々が競演するように咲き誇り、華やかで自己主張するほど美しい傾向にありますが仏壇に供える花は反対です。

仏壇に供える花は仏教の教えに倣い選ぶと安心です。蓮の花に託された「5つの徳」を理解することで、花の選び方も分かるかもしれません。

 

①淤泥不染の徳

「淤泥不染の徳(おでいふぜんのとく)」とは、混沌とした世界のなかでも染まらない心を表します。蓮は泥のなかで育ちながら美しい花を咲かせることから、どんな環境でも清い心を貫き通す徳としました。

 

②一茎一花の徳

「一茎一花の徳(いっけいいっかのとく)」とは、誰もが唯一無二の存在であることを表します。ひとつの茎にひとつの花が咲く蓮の花の姿から、一茎一花の徳が説かれました。

 

③花果同時の徳

「花果同時の徳(かかどうじのとく)」とは、人々は産まれた時から仏の心を持っていることを指します。仏の心を持ち生まれてくるため、この心を磨く精進が必要です。

蓮の花が花と同時に種を作ることから花果同時の徳が説かれますが、植物学的には花と種が同時に作られる訳ではありません。

 

④一花多果の徳

「一花多果の徳(いっかたかのとく)」とは、ひとりの悟りによって多くの人々の幸せを招くことを表します。蓮の花がひとつの花にたくさんの種を作るため、一花多果の徳が説かれました。

 

⑤中虚外直の徳

「中虚外直の徳(ちゅうこげちょくのとく)」とは、己を空洞にすることで悟りを開く姿を現します。蓮の花の茎は中央に多くの空洞を作りなど表面は固く覆われるためです。

沖縄では「わんがわんが」などとも言いますが、「自分が正しい」などと凝り固まらずに中を空洞にして、まっすぐに進み精進する教えを説いています。

 

まとめ:仏壇の花は故人を想い選びます

まとめ:仏壇の花は故人を想い選びます
仏壇に供える花にルールやタブーはありますが、故人を想い選んだ花は偲び花として弔いになるでしょう。

慈悲を表し徳を積む役割もありますが、故人が生前に好きな花など理由があれば供えても問題はありません。それよりも故人やご先祖様を偲ぶ気持ちが大切です。

ブリザーブドフラワーなどの造花でも良いですが、水をあげる必要がなくても表面の埃や汚れをふき取るなどのお世話をしながら、仏壇には毎日手を合わせると良いでしょう。

 


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