「沖縄の旧正月に美味しいレシピは?」
「お家でソーキ、ラフテーのレシピは?」
「中味汁やテビチは家で作れる?」
沖縄の旧正月は別名「豚正月」、かつての沖縄では大晦日のトゥシヌユール(年の夜)に各家庭で豚を一頭おろして、ご馳走としてありがたく「声以外は全て」調理しいただきました。
次回の沖縄の旧正月旧暦1月1日は2025年1月29日(水)、せっかくなら家庭で美味しい豚肉料理をいただきたいですよね。
本記事を読むことで国内外で人気が高い沖縄料理、ソーキ・ラフテー・中味汁・テビチを美味しくいただくレシピが分かります。後半ではニッチな沖縄料理「チーイリチャー」やミミガーレシピもご紹介しますので、どうぞ最後までお読みください。
沖縄の旧正月に役立つ2つの出汁
沖縄の旧正月には欠かせない出汁が、豚だし・かつお出汁です。豚だしは豚の下茹でと一緒に作る家庭も多く見受けますが、豚骨を使って出汁を取ると尚コクが出るでしょう。
最初にこの2つの出汁を作っておくことで、ほとんど全ての料理に使用することが出来ておすすめです。現代は市販の和風だしで代用できますが、より深みが増しますので、今年は試してみてはいかがでしょうか。
①豚だし
豚骨は水洗いをしておきます。たっぷりの水を入れて豚骨を入れ沸騰させましょう。骨から出汁がでるので豚骨がベストですが、豚骨ではなくても大きめの豚肉ブロックなどでも良いです。
沸騰したら豚骨をザルにあげましょう。一回目は茹で汁も捨ててしまいます。再び新しい水を入れた鍋に豚骨を投入し、弱火でじっくりと茹でてください。
二回目の茹で時間は約2時間~3時間ほど、途中でこまめにアクを取りながら弱火で茹でることで豚だし汁ができあがります。
②かつお出汁
沖縄のスーパーでは出汁用のかつお節が大きな袋で販売されています。かつお出汁にはこちらのかつお節を利用しましょう。ただ全国的にはうす削りのかつお節が好まれますね。
鍋の底に昆布を敷き、たっぷりの水を入れてしばらく置きます。昆布は日高昆布以外のものを使用しましょう。
30分ほど置いたら火を入れて、弱火~中火で沸騰直前まで煮立たせます。昆布を水に浸けておく時間に制限はないので、前日から入れておいても良いですね。
昆布を取り出し沸騰させて火を止め、かつお節をひと袋投入します。アクを取りながら5分ほど煮出し、かつお節をザルにあげれば完成です!
沖縄の旧正月(1)ソーキレシピ
沖縄料理「ソーキ」とは、豚の骨付きあばら肉を差します。沖縄でソーキと言えば豚の骨付きあばら肉の煮付けです。
全国的には沖縄そばの具材として人気がありますね。ソーキには本ソーキと軟骨ソーキがあります。本ソーキは骨が硬いソーキ、軟骨ソーキは骨をプリプリと柔らかくなるまで煮込んだものです。
今回は簡単に圧力鍋を使用しますが、鍋でも弱火でコトコト長時間煮ることで美味しいソーキが仕上がるでしょう。
①ソーキの材料
沖縄のスーパーや精肉店では豚軟骨が販売されているでしょう。軟骨ソーキも販売されているので、本ソーキ・軟骨ソーキいずれも好みで選びます。
・豚軟骨…500g
[味付け]
・出し汁(鰹出汁)…400ml
・泡盛…100ml
・醤油…大さじ1
・みりん…大さじ2
・砂糖…大さじ3
[臭み消し]
・生姜…1欠片分
・青ネギ…1本分(青い部分のみ)
[好みの具材]
・大根
・卵
…など
基本的なソーキの材料は以上ですが、お肉の臭みが気になる方は青ネギの青い部分・生姜の薄切りを加えると良いでしょう。
またソーキだけでは物足りないならば大根などを煮るのも美味しいです。子ども達には茹で卵も人気がありますよ。圧力鍋をかけた後、最後に茹で卵を加えます。
②豚軟骨を茹でる
豚軟骨は一度鍋で煮てアクを取ります。鍋に豚軟骨を入れたらかぶるくらいの水を加え、フタは外して沸騰するまで強火にかけましょう。沸騰したらアクをとるためにザルに一度あげます。
③圧力鍋にかける
ザルにあげた豚軟骨は洗ってアクを取りましょう。圧力鍋も洗ったら豚軟骨を入れます。臭みが気になる方は、この時に青ネギの青い部分や生姜の薄切りも加えましょう。
味付けの材料を加えたら圧力鍋で40分~50分を目安に加圧します。圧力がかかっているうちに無理して開けることはせず、充分に圧力が下がるまで放置しましょう。
④味を観ながら調整する
豚軟骨は時間がかかるので50分加圧しても固いようでしたら、10分~20分再び加圧しても良いでしょう。
充分に柔らかくなったらフタを外して、茹で卵や大根などの具材を加えます。それから普通に10分ほど煮ながら味を調整します。
最後に火を止めて、さらに10分ほど放置すると味が適度に染み込み美味しく仕上がるでしょう。
沖縄の旧正月(2)ラフテー
沖縄料理で「ラフテー」とは沖縄風豚の角煮です。全国的な豚の角煮との違いは、豚皮がついたかたまり肉を使用すること、そして日本酒や料理酒ではなく泡盛を使用する点でしょう。
ただし泡盛がない家では日本酒を使用しても問題はありません。豚肉の臭みが気になるようでしたら、生姜のせん切りを一欠片ほど入れます。
また砂糖も沖縄では黒糖を使用する家が多いです。黒糖を使用することにより、より料理にコク・深みが増しますので試してみてはいかがでしょうか。
①ラフテーの材料
ソーキは豚の骨付きあばら肉でしたが、ラフテーは豚バラブロック肉を用意します。特に重箱料理に詰める時には、豚皮の付いた豚バラブロック肉を選ぶとされてきました。
・豚バラブロック肉…約500g
[味付け]
・豚の茹で汁…約500ml
・泡盛(日本酒)…100ml
・黒糖(砂糖)…大さじ2
・醤油…大さじ3
・白だし…小さじ1
[臭み消し]
・生姜…1欠片分
・青ネギ…1本分
豚バラブロック肉は肉にもよりますが、1本で約500gほどが目安です。脂質がしっかり付いていますが好みもあるでしょう。脂質を見て吟味してください。
②下ごしらえ
豚バラブロック肉のアク取りです。鍋に豚バラブロック肉を入れたら、かぶるほどの水を足して中火で沸騰するまで煮立たせます。沸騰したら弱火にした後、さらに60分ほど茹でながらアクを取りましょう。
それから豚バラブロック肉をザルにあげますが、茹で汁は後で使うので取っておきます。豚だしが料理にコクを出してくれるでしょう。
ザルにあげた豚バラブロック肉は水で洗ってひと口サイズに切り分けます。
③煮付け
鍋に[味付け]の調味料を加えて肉を入れ、落し蓋をして弱火で煮付けます。臭みが気になるようでしたら臭み消しとして生姜・青ネギの青い部分を一緒に入れて煮付けましょう。
中火ですがこげないように様子を見ながら少し弱い中火ほどで、約30分~50分ほどです。竹串を差して確認しながら柔らかくなるまで煮付けます。
【おまけ】炊飯器・圧力鍋
手間暇をかけない時短方法として炊飯器や圧力鍋を利用しても良いでしょう。
圧力鍋では豚バラブロック肉がかぶるくらいの水に青ネギ・生姜ひと欠片とともに、一度30分ほど加圧します。豚バラブロック肉だけ食べやすい大きさに切り分け、分量の味付け調味料とともに中火で熱した後、弱火で15分ほど加熱すれば完成です。
炊飯器では茹でる工程まで鍋で済ませた後、分量の味付け調味料と切り分けた豚バラブロック肉を加えていつも通りに炊飯します。
沖縄の旧正月(3)中味汁
沖縄の料理で「中味汁(中身汁)」は大腸・小腸・胃など豚の内臓「モツ」を具材とした汁物料理です。
沖縄のスーパーや精肉店では下処理を済ませた豚の内臓が販売されていますし、家庭でも丁寧な下処理で嫌な臭いは解消しますよ!
味付けはお吸い物が一般的ですが、家庭では白みそで合わせた中味汁も見かけます。
①中味汁の材料
豚のモツ以外で具材は自由ではありますが、一般的には干しシイタケやこんにゃくなどが多いです。今回はお吸い物として材料を揃えますね。
・豚モツ(茹で)…400g
・干しシイタケ…3枚ほど
・カマボコ…2切れほど
・つきコンニャク(下茹で)…100g
・おろし生姜…小さじ1
・小麦粉…少々
[味付け]
・醤油…大さじ1
・白だし…大さじ1
・塩…適量
・干しシイタケの戻し汁…300cc
・水…800cc
沖縄で中味汁はご馳走として、お祝いの席で振る舞われたのでカマボコを入れることもあります。沖縄の旧正月に向けては紅白カマボコを使用してもおめでたく良いでしょう。
②具材の下ごしらえ
干しシイタケを300ccの水で戻しながら、具材のカマボコを同じ幅のせん切りで整えていきましょう。干しシイタケの戻し汁は後ほど使うので、捨てずに残しておいてください。
下茹でつきコンニャクを使用すると便利ですが、ないときはコンニャクをサッと茹でた後に取り出し、カマボコと長さや幅を揃えたせん切りにします。
③豚モツの下ごしらえ
豚モツはしっかりと下ごしらえをすることで臭みがなくなり、より透き通った中味汁になります。お祝いの席では透き通ったお汁が好まれるので、丁寧に済ませてしまいましょう!
豚モツを10分ほど煮たらザルにあげ、小麦粉をまぶしてよくもんだ後、水でよく洗います。この工程を煮た時の水が透き通るようになるまで、約2回~3回ほど行うことが美味しく仕上げるポイントです。
④豚モツを煮る
干しシイタケの戻し汁・水を入れた鍋に下ごしらえを済ませた豚モツを入れます。さらにカマボコやつきコンニャクなどの具材を入れて、沸騰するまで煮込みましょう。
沸騰したら弱火にした後、白だし・醤油を加えてさらに煮込みます。途中で塩を加えて味を調整しながらアクをこまめに取り、約20分~30分ほど煮込むと良いでしょう。
⑤盛り付け
弱火でじっくりと煮込んだ中味汁が出来上がったら盛り付けです。お椀に適量を盛り付けたら、おろし生姜を中央に乗せます。
沖縄の旧正月(4)テビチ
沖縄料理で「テビチ」は豚足です。沖縄ではテビチもスーパーや精肉店で販売しています。テビチ・豚足の他、豚の後ろ足「チグマー」とも呼ばれていますね。
テビチの煮付けは豚肉の脂がゼラチン状になっていてプルプル、コラーゲンたっぷりのお肌の美容食とも呼ばれるほどです。
①テビチの材料
テビチも他の豚肉料理と同様に、臭み消しとして青ネギの青い部分と生姜ひと欠片を一緒に煮込むのが一般的です。
テビチの煮付けも味付けは日本酒や料理酒ではなく泡盛が定番、たっぷりのかつお節で出汁を取り調理をしてきました。
・市販のテビチ…4本ほど
・大根…1/4本ほど
・乾燥昆布…10gほど
[味付け]
・砂糖…大さじ6
・醤油…大さじ6
・みりん…大さじ6
・泡盛…大さじ4
・かつお出汁…200cc
[臭み消し]
・青ネギ(青い部分)…1本分
・生姜の薄切り…1欠片
テビチの他に具材は必ずしも必要ではありませんが、大根や昆布と一緒に煮る家も多いでしょう。テビチは市販の水煮があれば、下ごしらえの必要がなく便利です。
②下ごしらえ
鍋に水を入れて沸騰させたところにテビチを入れ、最初は茹でこぼしてしまいましょう。再びたっぷりの水と泡盛と一緒にじっくりと柔らかくなるまで茹でます。
茹で終わったらひと口サイズに切り分けて下ごしらえは完成です。前述したようにテビチの水煮は下ごしらえが終わっているので、この工程は必要ありません。
大根や昆布を入れるならば厚めの半月切りに、乾燥昆布は戻した後に結んでからハサミで切り分け、結び昆布にしておきます。
③かつお出汁
かつお出汁は鍋にたっぷりのかつお節を入れて煮立たせてから、かつお節をザルにあげてこしましょう。こしたかつお出汁で煮付けます。
④テビチを煮詰める
味付け調味料を入れた鍋にテビチを加え一度中火で煮立たせた後、弱火にして生姜1欠片と青ネギの青い部分を加えましょう。
煮込みの間は様子を見ながらテビチにまんべんなく火が通るように移動させながら煮詰めることがポイントです。
⑤完成
約20分ほど煮込んで煮汁が半分くらいになると、コラーゲンで煮汁がねっとりとしてきます。テビチも美味しそうに色づいているので、これが完成の合図です。
青ネギや生姜は取り分けてテビチを盛り付けいただきましょう!青いさやいんげんなどで飾ると沖縄の旧正月らしいご馳走になりますよ。
沖縄の旧正月(5)チーイリチャー
「チーイリチャー」とは沖縄の言葉で「血炒め」、沖縄で古くからある郷土料理で豚の血を食材と炒める調理法です。一般的には豚の血に出汁や味噌を併せます。
ビックリする人もいますが、弱っている体と同じ豚の部位をいただくことで癒す「以類補類(いるいほるい)」と呼ばれる沖縄の考え方に基づきます。全国的な「医食同源(いしょくどうげん)」と考え方は同じですね。
沖縄では特に中部の金武町近辺で、チーイリチャーが美味しい食堂があります。現在は休業していますが、久松食堂が有名です。この他「菜菜」なども人気があります。
AGU-OKINAWA.comではチーイリチャーの通販もしているようですね。現在は完売していますがチェックしてみてはいかがでしょうか。
・2025年沖縄の旧暦大晦日「トゥシヌユール」はいつ?過ごし方やお供えレシピ、祝い方
①チーイリチャーの材料
チーイリチャーは主に金武町で愛されてきたメニューですが、2017年に豚の血の販売が一時期だけ禁止されてしまいピンチになりました。
金武町で豚の血を販売している精肉店は数多くありますが、現在では貴重とも言われています。ただ豚の血の販売は再開しているので訪ねてみても良いでしょう。
・豚のかたまり肉…500g
・ニラ…3束
・島ニンジン…4本
[味付け]
・豚の血…300g
・だし汁…約1カップ
・白だし…適量
・塩…適量
・コショウ…適量
・醤油…適量
名護市の島袋精肉店では豚の血を販売しているようです。少量と断り書きがあるので、確認してから行きましょう。
また輸入物で豚の血のボトル販売もされているのですね。豚の血は安全性を重視して調達してください。
①下ごしらえ
豚のかたまり肉は約1時間ほどじっくりと茹でて、竹串がすっと入るほどに柔らかくします。柔らかくなった豚のかたまり肉はひと口サイズに切り分けましょう。
島ニンジンも皮を剥いて食べやすい大きさに切ります。耐熱ボウルに水を少量入れ、ラップをかけて600wで約6分~7分ほどかけて柔らかくすれば下ごしらえは完成です。
ニラは5cm幅ほどに切っておきましょう。
②豚肉を炒める
豚肉を炒めて味付けします。豚の血は最後に入れるのでここでは入れません。
適量の油を入れた鍋で豚肉を炒めたら醤油で味付けして整えた後、下ごしらえを済ませたニンジンを加えます。
④炒め煮
更にかつお節で作っただし汁を加えて炒め煮です。豚肉やニンジンを充分炒めたらニラを加え、白だし・塩・コショウで味を調えましょう。焦げ付くことのないように丁寧に炒めます。
⑤豚の血を入れる
最後に豚の血を加えて煮詰めます。豚の血を回し入れて約10分ほど弱火~中火で煮詰めると
、全体的に黒くなるでしょう。黒く仕上がったらチーイリチャーの完成です!
沖縄の正月料理(6)ミミガー
沖縄料理で「ミミガー」とは豚の耳です。近年では沖縄のお土産品としてミミガージャーキーなども販売されていますね。
豚の顔「チラガー」とともに豚の耳「ミミガー」も丸ごと販売されているでしょう。真空パックで販売されているミミガーも多いです。
ミミガーは茹でるなどして酢の物にするなど和え物料理が多いでしょう。またミミガーの揚げ物も酒の肴として人気があります。
①ミミガーの材料
今回はミミガーの白みそ和えをご紹介します。沖縄でミミガーは細い千切りにして酢などで和える料理が一般的です。今回は白みそ和えですが、ごま油と会えると中華風にもなります。
・ミミガーのせん切り…50g
・きゅうり…小1本
・もやし…30g
[味付け]
・白みそ…小さじ2
・砂糖…小さじ3
・酢…小さじ3
・塩…適量
沖縄ではミミガーをすでにせん切りにした「スライスミミガー」も販売しているので、スライスミミガーを購入すると調理も簡単で便利でしょう。
②下ごしらえ
ミミガーのせん切りに合わせ、きゅうりもせん切りにします。きゅうり・もやし・ミミガーを合わせてボウルに入れ、冷蔵庫で寝かせておきましょう。
③和える
味付けの調味料を別のボウルに入れて混ぜ合わせ、冷蔵庫に寝かせておいた具材を加えて和えれば完成です!
ミミガーのせん切り(ミミガースライス)が販売されていない時には、ミミガーを圧力鍋で調理していただくこともありますが、ミミガーは圧力を強くかけると食感が悪くなるので注意をしてください。
【おまけ】中華風の味付け
ミミガーは中華風の和え物も人気があります。中華風でもきゅうりやキクラゲのせん切りと合わせて和えると相性が良いでしょう。
味付けの調味料はごま油・塩・ラー油です。切り昆布も一緒に和えるのも塩味が効いて人気があります。輪切り唐辛子などで辛くしても良いでしょう。
まとめ:沖縄の旧正月では豚肉料理がご馳走です
沖縄の旧正月では豚肉料理でお祝いをします。沖縄では鳴き声以外は全ていただくと言われているので、豚モツはもちろん、耳・足・血をあらゆる部位のレシピが豊富です。
かつては沖縄の大晦日「トゥシヌユール(年の夜)」に各家庭の庭で飼っている豚を一頭さばいて、旧正月のお祝いに調理していました。
大切なご馳走なので独自のウグァン(御願)文化が根付く沖縄では、ハチナンカ(初七日)などの弔事においてもお供え物に豚肉を供えます。それだけ豚は貴重な食材と言えるでしょう。
・沖縄のハチナンカ(初七日)☆お供え物と進め方