【図解】沖縄の旧正月はどう過ごす?お飾りや過ごし方、ヒヌカンや仏壇へのお供え物は?

【図解】沖縄の旧正月はどう過ごす?お飾りや過ごし方、ヒヌカンやお仏壇へのお供えもの

2025.01.10

沖縄の旧正月では、朝一番のお水「若水」を汲み、ヒヌカン(火の神)やお仏壇へお飾りやお供えもの、一年の健康安泰祈願「タティウグァン(立て御願)」です。本記事では沖縄の旧正月の過ごし方、お飾りやヒヌカン(火の神)やお仏壇へのお供えが分かります。

沖縄の旧正月、旧暦1月1日は2025年1月29日(水)、前日の大晦日「トゥシヌユール(年の夜)」から、ソーキ汁を家族でいただきながら新年を迎えるでしょう。

沖縄の旧正月で行うことは朝一番のお水「若水」を汲み、ヒヌカン(火の神)やお仏壇へお飾りやお供えもの、一年の健康安泰祈願「タティウグァン(立て御願)」です。

本記事を読むことでイラストの分かりやすい図解から、沖縄での旧正月の過ごし方、お飾りやヒヌカン(火の神)やお仏壇へのお供えものが分かります。

沖縄の旧正月:朝一番の「ワカミジ(若水)」

沖縄の旧正月で「ワカミジ(若水)」とは、朝一番で組んだお水です。
その昔、沖縄では旧正月の朝に地域の井戸「ガー(井戸)」からお水を汲んできて、そのお水でお茶を立ててご先祖様へお供えし、家族でいただきました。

昔は地域の井戸「ガー(井戸)」から汲みましたが、現在は朝一番に汲んだお水で良いでしょう。

「ワカミジ(若水)」は名前の通り、沖縄では「若返りの水」と呼ばれています。
縁起の良いお水なので、お仏壇ヒヌカン(火の神)床の間(リビング)へお供えを終えた後の水で、「ウビナディ(水撫で)」をする習慣もあります。

沖縄の旧正月ではワカミジ(若水)を汲んだら、最初にヒヌカン(火の神)・お仏壇へ供えます。仏壇にはワカミジ(若水)でお茶を立てて供えましょう。

ワカミジ(若水)は「生命力」を表し、飲んだり洗ったりすると若返るとされてきました。ワカミジ(若水)の残り水で手や足を洗ったりもします。

かつて沖縄の旧正月で挨拶をする際、「お若くなりましたか?」などと交わす地域もありました。

沖縄の旧正月で行う「ウビナディ(水撫で)」は、子どものおでこに生命力のあるワカミジ(若水)を付けて、1年の健康を祈願する儀礼です。

ウビナディ(水撫で)は主に母親や祖母が子どもに対して行います。まず、ワカミジ(若水)を右手中指の腹に浸け、子どものおでこに3回付けて健康祈願をしてください。

沖縄では縁起の良い旧正月にお屠蘇に当たるお酒をいただきますよね。けれども赤ちゃんや子どもは、当然お酒が飲めません。そこでウビナディ(水撫で)をして、新しい一年の健康安泰を祈願します。

沖縄の旧正月では、みかん・炭・炭の昆布巻き・ウカリーを用意します。「ウカリー」とは、赤・黄色・白の3色の色紙を重ねたお飾りです。

沖縄の旧正月では新正月と同じように玄関先にしめ縄や門松を供えますが、それ以上にヒヌカン(火の神)・お仏壇へのお飾りやお供えものを大切に扱うでしょう。

沖縄では旧正月の朝からお供えものとともに、お飾りを準備する家もあります。
朝一番に整えるため、沖縄の大晦日「トゥシヌユール(年の夜)」にはスーパー等でお飾りを揃えると安心です。

それでは、沖縄の大晦日トゥシヌユール(年の夜)に購入しておきたい、沖縄旧正月でのお飾りをご紹介します。

全国的なしめ縄にあたる沖縄旧正月のお飾りです。沖縄本島では広く「注連飾り」を玄関に飾ってきました。

沖縄の注連飾りは子孫繁栄のミカン安心して住む墨(炭)喜ぶ(こぶ)の昆布が中央に飾られます。炭は黒い色から厄祓いや「炭(たん)と喜ぶ」などの語呂合わせもありますね。

また注連飾りの縄は結界を張るために左に縄をなう「左ない」で縄ないを行います。注連飾りは年神様を出迎える目印ですが、同時に家内に結界を張る役割も果たすためです。

また久高島など、沖縄の一部地域では独自のしめ縄が飾られてきました。果物や荷物を頭に乗せる時に用いる縄の輪「ガンシナ」に麦穂やフボー(桑)などで飾り付ける作り方から「ガンシナしめ縄」と呼ばれています。

沖縄の旧正月では玄関の門前に若木を飾ります。全国的な門松と同じ役割ですね。注連飾りと同じく、その年を司る神様「年神様」をお迎えするとともに、若木を境に家内の結界を張る役割りがあります。

一般的には旧正月から7日間は正月祝いの期間「松七日」とされ、旧暦1月8日に若木を片付けて日常生活へ戻る家も多いです。

沖縄の旧正月で床の間には、縁起物の若木や生け花を飾ります。南天・千両(せんりょう)・ユズリハなどの他、松・竹・梅、菊水仙なども飾られますね。

<旧正月の縁起物>
南天…難が転じて福を成す
千両…葉の形が小判に似ている
ユズリハ…古葉が3年越しに新葉へ譲る

かつて沖縄の一般的な住まいだった平屋では、玄関に入ってすぐの一番座に床の間がありました。けれども現在は床の間がある家も少なくなり、リビングに飾る家も多いです。

お米も床の間に飾ります。沖縄の旧正月ではお米を3合分盆に盛り付けて供える風習がありました。そのままのお米は無垢を表し、清められた存在です。

沖縄では旧暦行事のウグァン(御願)において、貴重な収穫物であるお米を供えてきました。このお米を沖縄では「花米(ハナグミ)」「御花(ミハナ)」などと呼びます。

「花米」を3合供えた後は「タティウグァン(立て御願)」をして、新しい一年が良き年になるよう祈願する流れです。

今回はお米そのまま3合を床の間に供えますが、お米を7回すすいだ「洗い御花(アライミハナ)」などもあります。お米「ミハナ(御花)」の供え方について詳しくは下記をご参照ください。

橙(だいだい)」とは、みかん科の常緑小高木に実が成る果物です。沖縄の旧正月のお飾りは、「代々(だいだい)栄える」の語呂合わせである「橙(だいだい)」を飾ります。

注連飾りに飾る果物も本来は橙(だいだい)が良いですが、沖縄では橙の代用としてみかんを準備する家庭も多いです。

みかんも多くの袋を子宝とし子孫繁栄の縁起の良い果物なので、橙の代用として用いても問題はありません。

炭の昆布巻き…5個
ウチャヌク…5組
ウカリー…5組

沖縄在住であれば旧正月に必要なお飾りは、スーパーやホームセンターなどで販売していることでしょう。

炭の昆布巻きも、かつては各家で作ってきましたが、現代は炭に昆布を巻いた状態で販売しています。

沖縄旧正月のお飾り:炭の昆布巻き

炭の昆布巻き」は、炭を昆布で巻いて作る沖縄旧正月のお飾りです。昔の沖縄では炭を「たーん」と呼ぶ地域も多くありました。

昆布は全国的にも「喜ぶ(よろこぶ)」の語呂合わせで「よろ昆布(よろこぶ)」とし、おめでたい席の食材として有名です。

沖縄行事の開幕で披露される「かぎやで風」の歌詞、「あらたまる年に 炭と昆布かざて 心からしがた 若くなゆさ」でも有名ですよね。

●かつては家庭で炭と昆布を用意して、少し昆布を湿らせて巻き紐で括ってきましたが、現代はきれいに飾り付けられた炭の昆布巻きが販売されています。

値段も100円以下、高くても200円ほどなので、購入する家庭が多いでしょう。

沖縄では炭については注連飾りの項でお伝えしましたが、家内のお飾りとしては万年・長寿を祈願するお飾りとしても知られています。昆布(こぶ)は「よろ昆布」の縁起物なので、炭の昆布巻き 「たーんとよろ昆布(たくさん喜ぶ)」おめでたい旧正月のお飾りです。

ウチャヌク」は、もち粉で作った白もちを3段重ねたお供えです。ウチャヌクは沖縄言葉で「お茶の子」、名前の通り「お茶の子ども」として気軽な食べ物、軽食を差します。

ウチャヌクが白もち3段に積まれるのは、沖縄のウグァン(御願)で拝む神々様、つまりこの世を司る「ウティン(御天)・ジーチ(地)・リュウグ(竜宮・海)」です。

一番下は下台を意味する「シチャデー(下台)」、リュウグ(竜宮・海)を表します。「ナカデー(中台)」は中央のおもち、ジーチ(地)です。てっぺんのおもちは「ウヮーデー(上台)」、ウティン(天)となります。

ちなみにウチャヌクのお供えは、常に1個を多く用意します。お供えをしてしばらく経ったら、真ん中に供えられたてっぺんのおもちを1個交換するためです。

1個を交換することで、お供えを新しくしたと捉えます。

ウカリー(御嘉利)」とは、赤・黄・白3色の祝い紙です。沖縄の旧正月では、おめでたい色を3色重ねた「ウカリー(御嘉利)」の上にお供えものを供えます。

ウカリー(御嘉利)はこの他にも、「カリーカビ(嘉利紙)」「イルカビ(色紙)」とも呼ばれ、沖縄では「紙=カミ(神)」として大切な旧正月のお飾りです。

ただ、なぜウカリー(御嘉利)が3色なのかについては地域によって伝承がさまざまで、なかには2色のウカリー(御嘉利)を飾る地域もあります。

<ウカリー(御嘉利)の3色>
【一番上】赤色
・紅白のお祝い
・日の出
・血液(健康)
・誕生

【二番目】黄色
・幸福の色
・日の入り
・黄金(金銭)
・人生

【三番目】白色
・紅白の色
・夜
・清浄(豊穣)
・人生の終焉

ただ地域によって諸説あるので確認をしてください。一般的にはお祝い事の意味合いが強い「赤色」を一番上に置いて黄色・白色と重ねますが、幸福の黄色を上に置く地域もあります。

全国的に用いられる「ハレの日」の紅白、源氏平氏の紅白として2色のみのウカリー(御嘉利)もあるでしょう。

沖縄の旧正月:ヒヌカン(火の神)へのお供えもの

沖縄の旧正月は旧暦1月1日なので、毎月の「ヒヌカン(火の神)へチィタチの拝み(1日の拝み)」と重なりますので、チィタチの拝みは朝一番に行うと良いでしょう。

ワカミジ(若水)を汲んだらお水・お酒も取り替えて「チィタチの拝み」を捧げます。

続いてウカリー(アカカビとも言います)の上に、喜びの昆布を墨に巻いたもの、そしてみかん(橙)ウチャヌクも供えてください。

ヒヌカン(火の神)に日ごろから供えているお供えものを整えましょう。
マース(お塩)が固まっていたら取り換えて、お水はワカミジ(若水)に交換します。ウサク(お酒)もハレの日ですから交換してください。

<日ごろのお供え物>
・マース(お塩)
・ウサク(お酒)
・ワカミジ(若水)
・供え葉

沖縄ではヒヌカン(火の神)への供え葉はチャーギやクロトンなどの神葉が一般的ですが、旧正月では縁起の良い万両・千両・南天などでも良いでしょう。

旧正月にヒヌカン(火の神)へ供える特別なお供えものは赤ウブクです。「赤ウブク」とは赤いご飯のことで、赤飯や古代米を混ぜて炊いたご飯などがあります。

<旧正月のお供え物>
赤ウブク(赤ご飯)…3膳

仏飯器など小さめのお椀に赤ウブクを3膳を供えてください。赤飯や古代米の他、食用の赤い着色料を白ごはんに混ぜて供えることもあります。

沖縄の旧正月ではヒヌカン(火の神)へ正月飾りを供えます。ヒヌカン(火の神)に供える赤ウブクと揃えて、旧正月のお飾りを3組ずつ供えましょう。

<旧正月のお飾り>
・ウカリー(御嘉利)…3組
・ウチャヌク…3組
・炭の昆布巻き…3個
・橙(みかん)…3個

炭の昆布巻きを家庭で手作りするときは、バーベキュー用の墨などを少しの水で湿らせて柔らかくした昆布を巻けば完成です!

市販の昆布巻きの墨はおしゃれな赤紙などで飾り付けされていますが、手作りでは普通の紐などで縛って問題はありません。紅白の紙で飾り付けても良いですね。

沖縄の旧正月でヒヌカン(火の神)へ供えるお線香の本数は、「ジュウゴフンウコー(十五本御香)」です。

<ジュウゴフンウコー(十五本御香)>
日本線香…15本、もしくは5本
ヒラウコー(平線香)…タヒラ半(2枚半)

近年の沖縄では、コンパクトでおしゃれなお仏壇やヒヌカン(火の神)祭壇を揃える家庭が増えています。

そのため燃えやすい沖縄線香「ヒラウコー(平御香)」15本分を供えると、小さいウコール(香炉)が割れてしまうこともあり、略式として日本線香5本を供える家庭も増えました。

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沖縄の旧正月:お仏壇へのお供えもの

ご先祖様である仏壇には、おめでたいおかずを揃えた「ハレの膳」の御膳です。

仏壇に祀っている故人が一人であればひとつの御膳で良いですし、複数のご先祖様が祀られているならば2膳など複数のお膳を供えます。ウカリー(御嘉利)にそれぞれハレの膳を乗せて供えてください。

お仏壇へ日ごろ供えているお供え物を整えましょう。ウサク(お酒)は全て捨てて交換し、ウチャトゥ(お茶)はワカミジ(若水)で立てます

<日ごろのお供え物>
・ウサク(お酒)
・ウチャトゥ(お茶)
・縁起の良い供え花

供え花は日ごろは手頃な仏花を供える家が多いですが、旧正月のお祝いなので縁起の良い花々を供えると尚良いです。多少華やかな花を供えても問題はありません。

百合など花粉の多い花を供えたいのであれば、仏壇に花粉が付くと汚れがなかなか取れないので、花屋さんで花粉を取ってもらうと何かと助かります。

沖縄の旧正月では仏壇に「ハレの膳」を供えます。「ハレの膳」はおめでたいハレの日にご先祖様へ供えるお膳料理です。

<旧正月のハレの膳>
・赤ウブク(赤飯など)
・汁物(ソーキ汁、イナムドゥチなど)
・おかず(煮物、クーブイリチーなど)
・ウサチ(酢の物、末広漬けなど)

一般的には黒膳に4品~5品を目安に整えて供えます。神様であるヒヌカン(火の神)へのお供え物にお膳(お箸)は必要ありませんが、ご先祖様にはお膳(お箸)も添えてください。

複数のご先祖様が祀られているならばハレの膳を2膳以上、故人おひとりであればハレの膳は1膳で問題はありません。

[沖縄でハレの膳に供える料理レシピ]
・沖縄の旧正月に供える沖縄料理レシピ☆イナムドゥチ・クーブイリチー・ンムニーの作り方
[沖縄旧正月の豚肉レシピ]
・沖縄の旧正月は豚正月?ソーキ・ラフテー・中味汁・テビチまで市販のお肉で簡単レシピ!

お仏壇に飾る旧正月のお飾りは、ヒヌカン(火の神)と同じウカリー(御嘉利)・炭の昆布巻き・橙(ミカン)です。ヒヌカン(火の神)には赤ウブクの数3組を供えましたが、お仏壇には御膳の数だけ用意します。

<仏壇へ旧正月のお飾り>
・ウカリー(御嘉利)
・炭の昆布巻き
・橙(みかん)

沖縄では特に地方のスーパーなどに行くと、旧正月を迎える頃合いになるとウカリー(御嘉利)や炭の昆布巻きが販売されますが、手作りでも簡単です。

ご先祖様である祖霊神、お仏壇へ供えるお線香は沖縄の旧正月に限らず、旧暦行事ではジュウニフンウコー(十二本御香)が多いでしょう。

<ジュウニフンウコー(十二本御香)>
日本線香…12本、もしくは4本
ヒラウコー(平線香)…タヒラ(2枚)

沖縄の旧正月では家を守護する「カミ」祖霊神としてお供えものを供えますので、旧盆などとは違いウチカビ(打ち紙)などは供えません

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沖縄の旧正月:床の間のお供えもの

沖縄の旧正月ではトゥクヌマ(床の間)にお米を3合供えます。このお米が「サンゴーミハナ(三合御花)」です。床の間のない家ではリビングに飾るのも良いでしょう。

沖縄の旧正月ではヒヌカン(火の神)お仏壇・トゥクヌマ(床の間)に南天などの若木を活け、炭の昆布巻きや橙などの縁起物を飾ってきました。

昔の沖縄ではトゥクヌマ(床の間)に、収入・出世などを司る現世利益の神様が鎮座されているとされ「トゥクシン(床神)」もしくは「トゥクヌカミ(床の神)」として祀られてきました。
詳しくは下記コラムをご参照ください。

沖縄の旧正月ではトゥクヌマ(床の間)、もしくはリビングにお米を3合、お盆や竹ざるなどに盛り付けた「サンゴーミハナ(三合御花)」を飾ります。

神様へ捧げる純白なお供え物として、すすいだりせずにそのままのお米を供えてください。すすいでいないそのままのお米を「カラミハナ(乾いた花)」とも言います。

ウサク(お酒)はトゥクヌマ(床の間)の左右に徳利(とっくり)2本を対で供え、その中央におちょこに注いだウサク(お酒)を供えます。

トゥクヌマ(床の間)もしくはリビングに供えるマース(お塩)は、盛り塩の状態です。白いお皿にマース(塩)を山になるように盛って供えましょう。

トゥクヌマ(床の間)もしくはリビングには朝一番で汲んだお水「ワカミジ(若水)」も供えます。旧正月のお祝いの象徴にもなるでしょう。

ウチャワキは沖縄の言葉で「お茶脇」、沖縄のウグァン(御願)行事ではお供えをしたラフテーやソーキ、煮物などのご馳走おかずを差します。お正月のご馳走を最初にお皿に取り分けて供えてください。

床の間でも仏壇同様にお盆にウチャワキ(お茶脇)、そして御膳(お箸)まで添えて供える風習です。

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沖縄の旧正月:タティウグァン(立て御願)

沖縄では旧正月の元旦に一年の祈願をする「タティウグァン(立て御願)」が行われてきました。「タティウグァン(立て御願)」とは、神様へ一年の祈願をすることです。

沖縄の旧正月に行うタティウグァン(立て御願)では、主に新しい一年を通した家族の健康・安泰祈願になるでしょう。

沖縄で旧正月に行う「タティウグァン(立て御願)」は、地域によってさまざまな言い方があります。

<さまざまな呼び方>
・タティウグァン(立て御願)
・ハチィウグァン(初御願)
・ガンタティ(願立て)

その地域によって呼び名はさまざまですが、いずれも沖縄の旧正月で新しい年の始まりに1年の家族の健康や安泰、繁栄を祈願する「1年の誓いを立て祈願をする」ウグァン(御願)儀礼です。

沖縄の旧正月ではタティウグァン(立て御願)で祈願を立てると言っても、実は新年のご挨拶のみ伝える家も少なくありません。

タティウグァン(立て御願)では世帯主である家長から始まり、家族それぞれがお仏壇へタティウグァン(立て御願)を行います。

<タティウグァン(立て御願)で行うこと>
・新年のご挨拶
・日々の御守護への感謝
・ニントゥーウグァン(年頭御願)
・ミードゥシヌウグァン(新年の御願)
・新しい年の祈願
・家族それぞれの願い

ニントゥーウグァン(年頭御願)」とは家族がそれぞれに個々の願い事を立てるウグァン(御願)です。世帯主である家長から始まり、順番にニントゥーウグァン(年頭御願)を進めて行きましょう!

沖縄で秋のお彼岸③集まった人々が拝む

沖縄の旧正月では、ヒヌカン(火の神)・お仏壇(祖霊神)・トゥクヌマ(床の間)やリビングへそれぞれお供えものをした後、家族で新年のご挨拶です。

内容は今年も無事に家族揃って旧正月を迎えていること、日々の御守護への感謝と、新しい1年の引き続きの御守護と繁栄を祈願します。

家内の3箇所で拝む場合はヒヌカン(火の神)・お仏壇・トゥクヌカミ(床の神)の3箇所が適切です。トゥクヌマ(床の間)がない場合はリビングになりますね。

ヒヌカン(火の神)はキッチン、お仏壇はそのまま仏間です。

トゥクヌマ(床の間)がない場合はリビングでも良いですが、トゥクヌマ(床の間)のトゥクヌカミ(床の神)に代わる場所としてトイレに鎮座する「フールヌカミ」、玄関に鎮座する「トゥパシラヌカミ(戸柱の神)」へ拝む家庭も見受けます。

1箇所のみでするならば一般的にはトゥクヌマ(床の間)でガンタティ(願立て)を行います。神様は「トゥクシン(床神)」もしくは「床の神(トゥクヌカミ)」ですね。

分譲マンションなど、ヒヌカン(火の神)やトゥクヌカミ(床の神)を祀っていない家もあるでしょう。この場合は玄関の「トゥバシラヌカミ(戸柱の神)」へ向かってガンタティ(願立て)を行います。

トゥパシラヌカミ(戸柱の神)へウグァン(御願)を行う時には、玄関の扉を開けて扉の左右を門前に見立てて外へ向かうようにウグァン(御願)を進めてください。

ヒヌカン(火の神)・お仏壇(祖霊神)・トゥクヌマ(床の間)のそれぞれにお供えものを供え、今日の日が沖縄の旧正月であること、ご挨拶をするガンタティ(願立て)の後、家族がそれぞれに目標を掲げる「ニントゥーウグァン(年頭御願)」です。

ニントゥーウグァン(年頭御願)は、主にお仏壇前で家族それぞれが祈願事を立てます

「今年も家族でブジに、
正月をに迎えることができました。

家族みな、
元気に笑顔に溢れた
良い正月を迎えさせていただき、
ありがとうございます。

新しい年も、
家族みんなが健康で、
家庭円満に過ごせますよう、

どうか
お見守りくださいますように。

そして我が家に
果報がたくさん訪れますように。」

トゥクヌマ(床の間)でも、基本的にはヒヌカン(火の神)と同じ拝み方です。
ヒヌカン(火の神)は主に台所に立つ物がウグァン(御願)を担うため、まだまだ女性が多い傾向にあります。

けれどもトゥクヌカミ(床の神)は出世や収入を司る現世利益の神様として、世帯主である家長を中心としてウグァン(御願)を進める家が多いでしょう。

沖縄では旧正月のお供え物を供えた後、お仏壇へ向かって家長を中心としてガンタティ(願立て)を行ってきました。

「新しい年も一年を通して、
家族みなが健康で笑顔に溢れ、

夫婦和合・家族円満、
幸せに暮らせますように。

どうぞミーマンティー 
ウタビニスーリー。
(ずっと見守っていてください。)

ウートゥートゥー。
(あな尊い。)」

家長を中心にして家族が倣い行うガンタティ(願立て)に続いて、家族それぞれが今年の目標・祈願事を掲げ祈願する「ニントゥーウグァン(年頭御願)」が行われます。

「目標に到達するよう、
日々たゆまず努力ができますように。」

ニントゥーウグァン(年頭御願)には神様へ向かって個々の目標を掲げる側面もあるため、上記のように唱えます。ただ失礼な言葉でない限りは、それぞれの内容に沿って自由な言葉選びをしても問題はありません。

沖縄の旧正月では以上のウグァン(御願)を終えると、お供えものから下げる「ウサンデー」したワカミジ(若水)を、家族それぞれが中指に浸します。その指で額の中央を3回撫でながら下記のように唱えてください。

「若々しく健康になりますように」

ウビナディー(産水撫で)は前述したように、まだお酒が飲めないような赤ちゃんや子どもの健康祈願としても、行われます。

まとめ:沖縄の旧正月は1年の祈願を行います

ヒヌカン(火の神)・お仏壇(祖霊神)・トゥクヌマ(床の間)それぞれにお供えをする沖縄の旧正月では、旧暦1月1日の年明けから、それぞれにお供えをして神々様へご挨拶をする「ウグァンタティ(御願立て)」を行います。

また沖縄の旧正月、昔は家族で豚の肝を煮付けたものをいただきました。

肝をいただいて「肝(人の心)」を治す意味があります。
そのため「今年も清く広い心でいさせてください。」と願いながら、豚の肝をいただくとされてきました。

そして旧暦1月2日からは家族の干支日に「マドゥトゥシビー・ウフトゥシビー」の、厄払いのウグァン(御願)があります。

手を合わせるだけでも構いませんので、一年の厄祓いや祈願を行ってみてはいかがでしょうか。

まとめ

沖縄の旧正月の過ごし方

●ワカミジ(若水)
・朝一番で汲んだお水
・昔は地域の井戸「ガー」

①ヒヌカン(火の神)
・日ごろのお供え物
・赤ウブク…3膳
・ウカリー(御嘉利)…3組
・ウチャヌク…3組
・炭の昆布巻き…3個
・橙(みかんでも良し)…3個

②お仏壇(祖霊)
・日ごろのお供え物
・ハレの膳…1膳か2膳
・ウカリー(御嘉利)…1組か2組
・炭の昆布巻き…1組か2組
・橙(みかんでも良し)…1個か2個

③トゥクヌマ(床の間)
・サンゴーミハナ(三合御花)
・ウサク(お酒)
・マース(お塩)
・ワカミジ(若水)
・ウチャワキ(お茶脇)
・お箸

●ウガンタティ(御願立て)
・お供えをする
・ご挨拶
・ニントゥーウグァン(年頭御願)
(一年の祈願を家族がそれぞれ立てる)
・ウビナディ(産水撫で)
(若水をおでこに浸ける)

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