そもそも「仏壇」とは?仏壇はないけど、位牌を祀ってもいい?位牌のみを祀る供養とは?

2023.04.05
そもそも「仏壇」とは?仏壇はないけど位牌を祀ってもいい?位牌のみを祀る供養とは?

仏壇じまいが広がる今、仏壇のない供養がしたい人が増えていますよね。今は仏壇なく位牌を祀る供養もできます。また仏壇も位牌もない供養も増えました。本記事を読むことで仏壇の役割とはなにか、仏壇がない時の位牌の扱いや供養の仕方、注意点が分かります。

・そもそも仏壇の役割とは?
・仏壇がない位牌の祀り方は?
・仏壇はないけど、供養はできる?

今、位牌の継承や引っ越しを機に仏壇を処分する「仏壇じまい」が増えています。仏壇じまいにより仏壇がない、位牌のみ残る場合、どうすれば良いでしょうか。

仏壇がない場合も供養はできます。
本記事を読むことで仏壇の役割とはなにか、仏壇がない時の位牌の扱いや供養の仕方、注意点が分かりますので、どうぞ最後までお読みください。

 

そもそも仏壇とは?

そもそも仏壇とは?
◇仏壇とは、御本尊や位牌を祀り供養を行うための場所です

特定の寺院に代々家で信仰する檀家制度が根付く本州では、仏壇では「家のなかの小さなお寺」ともされ、神聖な場所として扱われてきました。

 

<仏壇とは>
①本州…御本尊様を祀る「家のなかの小さな寺院」
②沖縄…祖霊審を祀る「家のなかのご先祖様の家」

 

沖縄では、ご先祖様の霊魂が宿る依り代である位牌を中心に祀る存在として、ご先祖様の家とされます。沖縄には祖霊信仰が根付くため、神棚としての役割もあるでしょう。

近年は本州でも、故人やご先祖様と対話できる供養の場として扱う家が多いです。

 

仏壇がない、置きたくない!

位牌の種類
◇マンションやアパート住まいが増え、信仰や生活様式の変化から、仏壇がない家が増えています

2019年4月にインターネットで実施された調査によると、全国的に20代~60代を対象に1,000人以上へ行ったアンケート結果では、仏壇のない家が57.8%でした。

 

<仏壇がない家>
・仏壇がある…42.2%
・仏壇がない…53.7%
・以前はあったが処分した…4.1%

 

このうち「以前はあったが処分した」と回答した世帯は4.1%です。特に20代~40代の若い世代において仏壇のない家が多く、仏壇離れの加速が進んでいることが分かるでしょう。

[参考]調査会社楽天インサイト「終活に関する調査」より

 

仏壇の継承ができない

◇両親が亡くなり仏壇の継承ができない・しなかった

実家の両親が亡くなったことを機に、仏壇じまいを行った家は多いです。マンションやアパートなど、住まいの間取りやスペース問題もありますが、より多かったのは継承が続く心配でした。

 

<仏壇がない:継承問題>
・仏壇のお世話ができない
・仏壇のお世話で子どもや家族に迷惑を掛けたくない

 

前述したように仏壇は位牌を祀る場所ですが、それとともに「ご先祖様の家」「小さな寺院」の役割を果たします。それだけに、ぞんざいに扱うこともできません。

継承を機に仏壇じまいをする選択が増えたことは、それだけ人々の間で仏壇が大きな存在になっていることが伺えます。

 

分家なので仏壇のない供養がしたい

◇位牌分けにより、分家で位牌を祀るケースです

「位牌分け(いはいわけ)」では、位牌を複数作成します。両親が亡くなった時に兄弟など、子ども達それぞれを祀り手とする供養祭祀の形態です。

主には長野県・山梨県・群馬県・静岡県などで行われてきた風習ですが、沖縄でも本家が仏壇じまいをするタイミングで、位牌分けが見られるようになりました。

 

<仏壇がない:位牌分け>
・本家の仏壇じまい
・両親の位牌を分ける
・遠方に住む兄弟姉妹での位牌分け

 

また無宗教の家では、血の繋がりに拘らず故人を偲ぶ方法としての位牌分けも、時折見受けます。

なかには妻・夫の位牌を持ち歩く人もいますが、このような位牌分けでは、仏壇のない供養を希望する家族が多いです。

 

心の整理がつかない

◇家族が亡くなって間もなく、まだ仏壇を置きたくない家族もいます

本来、家族が亡くなって仏壇を新調する場合には、忌明けとなる四十九日法要を目安に仏壇を迎え入れます。四十九日法要で僧侶に開眼供養(位牌に魂を入れる)を依頼する流れです。

●けれども家族を亡くした喪失感やショックから、仏壇の準備ができないケースもあります

このような時にはムリをせず、家族親族や僧侶など司祭者と相談をしながら、落ち着いた段階で仏壇をどうするか、検討すると良いでしょう。

 

無宗教でありたい

◇子どもや家族に位牌や仏壇継承の迷惑を掛けないため、無宗教として仏壇を新調しない家もあります

特定の寺院を信仰する風習はないものの祖霊信仰が残る沖縄では、「せっかく仏壇じまいをしたのに、再び仏壇を新調すると扱いに困る」と、仏壇を迎え入れないケースが増えました。

 

<仏壇がない:無宗教>
・仏壇を新調すると継承問題が再燃する
・離檀をしたため、特定の宗派に倣った位牌の祀り方をしたくない

 

本州では、昔から代々家で信仰してきた寺院「菩提寺(ぼだいじ)」から離れる「離檀(りだん)」をしたケースで、仏壇のない家が増えています。

 

※本州に根付く檀家制度や離檀については、下記コラムに詳しいです。
「檀家制度」とは、「戒名」は必ず必要?菩提寺(檀那寺)との関係性

 

仏壇がない位牌の祀り方

仏壇がない位牌の祀り方
◇仏壇がない位牌は、座った時に目線が上に行く場所に祀ります

仏壇がない位牌はそのまま祀っても構いませんが、供養する時の様子を想像して、目線が下にならないよう配慮が必要です。

そのまま祀っても構いませんが、一般的には「三具足(みつぐそく)」と呼ばれる、供養に必要な仏具を揃える供養方法が一般的です。

 

<仏壇がない位牌の祀り方>
①置き場所
・供養の時に目線が上になる場所を選ぶ
・床に直置きしない

②三具足(みつぐそく)
・香炉
・ロウソク立て
・花活け

 

三具足の仏具はそれぞれ1器ずつですが、スペースがあれば、香炉・ロウソク立てを左右1対の2器、花活け左右1対の2器で整えた「五具足(ごぐそく)」でも良いでしょう。

一方無宗教であれば手元供養と同じように、位牌のみを祀っても構いません。

 

仏壇がない位牌:適した場所

仏壇がない位牌:適した場所
◇仏壇がない位牌を祀る適した場所は、湿気が少なく通気の良い環境です

黒檀や紫檀など唐木木材などを用いる(唐木位牌)ことも多い位牌は、湿気に弱い性質があります。そのため通気環境の良い、人が暮らしても快適な環境下で祀ると良いでしょう。

 

<仏壇がない:位牌を祀る場所>
・位牌や仏具に快適な環境
・ご先祖様に失礼のない場所
・供養がしやすい場所

 

一年忌(一周忌)や三年忌(三回忌)など、年忌法要を行うならば、人々が集まりやすい場所に位牌を整えると便利です。また日ごろから家族が集まる場所に祀る家庭も増えています。

 

リビングに祀る

家族が集まる生活の中心であるリビングに祀ることで、故人亡き後も一緒に暮らす感覚で供養ができます。

人が暮らしていても快適な環境下で位牌にも良く、常に故人を偲び供養できる場所として、最も選ばれる場所です。

 

仏間に祀る

仏間がある場合は、落ち着いた仏間に祀る家もあるでしょう。静かな環境で、法要を行う時にも適した場所です。

畳間であっても位牌は直置きできないので、タンスなど置台を準備すると良いでしょう。できれば腰上ほどの高さの置台を準備します。

 

床の間に祀る

沖縄では本来、床の間は神様を祀る場所ですが、神様を祀っていない場合、床の間に位牌を祀っても良いでしょう。

床の間はもともと、家族が暮らす場所より一段上になるよう設計されているため、古いご先祖様であるカミ(神)「祖霊神」を祀るうえでも適しています。

ただし床の間と同じく床に位牌を直置きしたり、家族が手を合わせる際に目線が下にならないよう、タンスなど置台を準備してください。

 

寝室に祀る

特に無宗教に多い仏壇のない位牌の祀り方として、寝室やベッドサイドに安置する方法があります。

なかでもアクセサリーに粉骨した位牌を納める手元供養ではベッドサイドが多いです。

家族が寝起きする寝室に位牌を祀るケースでは、朝と夜に挨拶をするなど、故人を身近に感じながら供養ができます。

 

仏壇がない位牌の祀り方:注意点

仏壇がない位牌の祀り方:注意点
◇位牌や仏具が傷みにくいよう、水回りや埃の多い場所を避けます

位牌のみを祀ることに問題はありませんが、位牌も仏具ですから湿気や埃に弱いです。そのため痛みにくい場所に祀ると良いでしょう。

 

<仏壇がない:位牌を祀る注意点>
湿気の多い場所を避ける
が多い場所を避ける
位牌に失礼な場所を避ける

 

仏壇がないとは言え、位牌は故人の霊魂が宿る、故人そのものです。敬意を払うとともに家族として快適な環境を選び祀ると良いでしょう。

 

水回り

水回りは湿気が多く、水が掛かる心配があるため、仏具としての位牌にとっても不適切です。劣化が激しくカビの心配も生じます。

また水仕事をする水回りは、何かと騒がしい場所でもあり、落ち着いて供養ができないばかりではなく、位牌にとっても静かな環境ではありません。

 

玄関

人が出入りする玄関も、騒がしく落ち着いた環境を保つことができないため、位牌の適切な置き場所とは言えないでしょう。

また玄関の開け閉めにより埃が立ちやすく、仏具としての位牌の保全環境としても最適とは言えません。

 

キッチン

しばしば沖縄では、独身女性や子どもの位牌をキッチンに祀る家を見掛けますが、キッチンも水回りのひとつです。

また昔の風習としてキッチンに祀る「サギブチダン(下げ仏壇)」は、本来家の仏壇に祀れない位牌を、キッチンに下げて祀る習わしであり、故人にとってあまり喜ばしい風習ではありません

 

仏壇も位牌もない供養はできる?

過去帳はご先祖様のとりまとめに便利です
◇仏壇や位牌がなくても、供養はできます

無宗教であれば仏壇や位牌がなくても、故人を想い偲ぶことで供養となるでしょう。位牌の永代供養をした場合、寺院や霊園で手を合わせます。

ただ手を合わせる時には、仏壇や位牌の代わりとなるものを、供養の対象として祀る家が多いです。

 

過去帳を位牌代わりに

◇「過去帳(かこちょう)」とは、代々ご先祖様を取りまとめた帳面です

過去帳には、位牌に記載されている情報が先祖代々で記載され、供養の対象として祀る(浄土真宗など)他、その家の系譜としての役割を果たします。

 

<仏壇がない:先祖代々位牌の代わり>
沖縄位牌(トートーメー)の代わりにしたい
・普段は引き出しなどに閉まっておきたい

 

沖縄位牌(トートーメー)や繰り出し位牌は、先祖代々を祀る先祖代々位牌の役割を果たしますが、これらをお焚き上げや永代供養とした場合、過去帳が代用できます

沖縄位牌(トートーメー)とは違い、日ごろは引き出しなどに保管しておいて、供養の時には対象のご先祖様のページを開き、手を合わせることも可能です。

 

手元供養に位牌はいらない

◇「手元供養(てもとくよう)」とは、遺骨を祀る方法です

手元供養では遺骨を粉骨してコンパクトにまとめ、小さな骨壺やアクセサリーに納めて供養します。特に夫婦や家族など、個人の位牌代わりになるでしょう。

 

<位牌がない:個人位牌の代わり>
・小さな骨壺を自宅に祀る
・アクセサリーに入れて持ち歩く

 

より故人を身近に感じ、共に生きながら供養する方法なので、大切な人を失ったショックや喪失感を癒す「グリーフケア」にも役立ちます。心の整理が付かずに仏壇を迎え入れることが難しい時にも良い選択肢です。

 

 

仏壇がない、位牌のみの供養はできます

仏壇がない、位牌のみの供養はできます
仏教の教えでは仏壇は小さな寺院、沖縄の祖霊信仰においても仏壇はご先祖様の家とされますが、仏壇がない家でも、充分供養はできるでしょう。

・位牌のみを祀る
・寺院や霊園で、位牌を永代供養する
・仏壇なし、位牌なしで供養する

近年では沖縄でも全国的にも、仏壇や位牌を迎え入れることで、後々の継承問題を気にする人々も少なくありません。

本記事を参考にして、仏壇や位牌がない、子どもや孫にも継承問題で迷惑を掛けずに済む供養方法を選んでみてはいかがでしょうか。

 

 


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