【沖縄のタナバタ】仏壇の移動にピッタリの日取り☆けじめのスーコー

2022.07.20
【沖縄のタナバタ】仏壇の移動にピッタリの日取り☆けじめのスーコー

沖縄ではタナバタをきっかけに仏壇を移動する家も多いですよね。そこで心配する事柄はトートーメーの移動です。タナバタは旧暦7月7日、2022年度は8月4日(木)!今回は、仏壇を移動する時に行う開眼供養と閉眼供養、及びしきたりをお伝えします。

沖縄ではタナバタをきっかけに仏壇を移動する家も多いですよね。
沖縄で仏壇を移動しやすい日とされるタナバタは旧暦7月7日、2022年度は8月4日(木)です!

実家の仏壇を引き取る、引っ越し、リフォームなど、さまざまなケースがありますが、沖縄で仏壇を移動する時には、トートーメー(御位牌)も移動しなければなりません。

なかには「トートーメーは家から出してはいけない」と言う人もいます。
ただ家の老朽化や現代の暮らしでは、現実的ではありません。
キチンと後生(あの世)への礼儀を持って移動すれば、祟りを恐れる必要はないでしょう。

今回は、沖縄のタナバタに向け、仏壇を移動する時に行う開眼供養と閉眼供養、及びしきたりをお伝えします。

 

沖縄で仏壇事、お墓事の日取りを気にする理由

沖縄で仏壇事、お墓事の日取りを気にする理由
昔ながらのアミニズム(自然崇拝)や祖霊信仰が広がる沖縄では、「死は穢れ(けがれ)」の考え方があるため、ウティン(天)の神様の目に人の死にまつわる物事が目に入らぬようにされてきました。

特に顕著な本州と沖縄の違いは、お墓参りです。
本州のお墓参りがいつでも、思い立った時にお参りできるのに対して、沖縄では決まったお墓参り行事に、大勢や複数人で参ります。

● その理由として、沖縄の高齢者のなかには、「死の穢れが移らぬよう」「故人に引っ張られぬよう」などと言う人もいるでしょう。

 

昔から伝わる日取り

沖縄で仏壇事やお墓事に良い日取りは、地域や家によっても違いはありますが、よく言われているものとして「干支」があります。

<沖縄で仏壇事やお墓事に良い日取り>
●御願などで干支を重視する沖縄では、仏壇事やお墓事を行う日の干支が、その祭事に集まる人々と重ならない日が良い、とされてきました。

ただし、集まる全ての人々の干支日が重ならない日取りを設定することは困難です。
そのため、下記のような方法が取られるようになりました。

・主催者の干支日と重ならない日取り
十干十二支を利用する

ちなみに「十干十二支(じゅっかんじゅうにし)」とは、甲乙丙丁…の十干で、暦では干支の前に付きます。

十干十二支で日取りを考えると重なる確率が少なくなり、より日取りが自由になるためです。

日本全国で伝わる日取り

一方、日本全国では沖縄とは違い、仏壇事やお墓事に「六曜(ろくよう)」を意識した日取りを設定する風習がありました。

六曜」とは、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の6つの暦注で、全国的には友引と仏滅の日取りを避けるとされます。

ただ本州の影響も受けている沖縄では、仏壇事やお墓事に六曜を意識する家も増えました。

沖縄の仏壇事に多い日取り

けれどもこれらの日取りを気にしてしまっては、忙しい現代にあまりにも沖縄でお仏壇事やお墓事を進めることができません。

そこで沖縄で仏壇事やお墓事を進めるのに、積極的に用いられてきた日取りが、沖縄の旧暦7月7日のタナバタと、ユンヂチです。

<沖縄の仏壇事とお墓事に良い日取り>
(1)タナバタ(旧暦7月7日)2022年8月4日(木)
(2)ユンヂチ
…2023年1月22日(旧暦1月1日)~2024年2月9日(旧暦12月30日)

 

この2つの日取りは、神様の目が届かない日取りとして、いわば「無礼講」となり、自由に沖縄でお仏壇事とお墓事ができます。

※本記事では大まかに日取りのお話をしました、詳しくは下記記事をご参照ください。
沖縄のヒーナシタナバタ(日無し七夕)ってなに?お墓事や仏壇事を行う日とは?

 

けじめの法要を行う

けじめの法要を行う
ただ現代では、このような日取りを細かく決めなくても、移動の際に後生(あの世)に対して失礼のないよう、けじめの法要を行えば良い、との考え方が広まっています。

ユタさんを呼んで沖縄の御願による法要を行う家もありますが、現代では家付きのユタさんもほとんどいません。

そのため本州の風習に倣い、僧侶を呼んで閉眼供養・開眼供養の法要を行い、沖縄で仏壇を移動する家が増えています。

<現代の沖縄で仏壇移動の手順>
(1)僧侶の手配
(2)引っ越し業者(仏壇移動)の手配
(3)閉眼法要(閉眼供養)
(4)仏壇の搬出入
(5)開眼法要(開眼供養)

 

(1)僧侶の手配

沖縄でお仏壇を移動する一カ月前ほどから相談をすると良いでしょう。

本州では菩提寺(家墓が建つ寺院)のご住職に相談をしますが、沖縄では檀家制度(寺院にお墓を建てる習慣)が根付いていないため、菩提寺もありません
そのため、現代では下記のような方法が多いです。

<僧侶の手配>
・近隣の寺院に相談をする
・ネットで僧侶派遣を予約する
仏壇仏具店で相談をする

昔ながらの沖縄の方法では、近隣の寺院に相談する家が多いのではないでしょうか。

沖縄では宗旨宗派に拘りのない家が多いですが、沖縄の寺院は臨済宗が多いため、臨済宗でのお供養になることが多いです。

現代の沖縄では仏壇仏具店に相談をして、僧侶の紹介や仏壇を移動してくれる業者の紹介を受ける家が増えました。

●ネットで調べる僧侶派遣サービスでは、「やさしいお坊さん」などがあります。

(2)引っ越し業者(仏壇移動)の手配

一般的な引っ越し業者でも相談をすることで、仏壇のみの移動を受けてくれる業者は少なくありません。

引っ越し侍」など引っ越し業者の比較サイトで情報を入力すると、最後に家財情報を入力する画面になるため、ここで仏壇のみとすれば、複数の引っ越し業者の相見積もりを出してくれるでしょう。

ただ仏壇は工芸品でもあり繊細な家財ですので、仏壇の扱いに慣れた業者が好ましいです。

<沖縄で仏壇移動の手配>
仏壇仏具店に相談をする
・近郊の寺院で相談をする
・引っ越し業者に相談をする

仏壇仏具店は仏壇の扱いに慣れているので、前述した僧侶派遣も一緒に相談できて、頼りになる存在です。

また閉眼供養・開眼供養を近郊の寺院へ依頼したのであれば、その際に仏壇の移動についても相談してみることで、仏壇移動に適切な業者を知っているかもしれません。

また近年人気のコンパクトな棚上仏壇などであれば、慎重に個人で運び出すのも良いでしょう。

(3)閉眼法要(閉眼供養)

沖縄で仏壇を移動する当日はバタバタするので、閉眼法要(閉眼供養)は、前日までに済ませてしまうと楽でしょう。

閉眼法要(閉眼供養)を行うことで、一度トートーメー(位牌)の魂は閉じられる(抜かれる)ので、「物」として扱うことができて、家から移動ができます。

<閉眼法要(閉眼供養)>
●読経供養のお礼として、お布施を準備してください。
・お札が透けない、厚手の白い封筒
・表書きは、黒墨で「お布施」
・包む金額の目安は約3万円~5万円(平均約3万円ほど)

僧侶がいらっしゃったら、指示に合わせて手を合わせて拝めば問題はありません。
喪服である必要はありませんが、僧侶を迎えて問題のない、地味な色目の平服(へいふく)で迎えると安心です。

お布施をお渡しするマナーについては、下記をご参照ください。
沖縄の法要でお布施を包む。僧侶へ渡す時の準備やマナーとは

 

(4)仏壇の搬出入

仏壇の搬出入は基本的に業者が行いますので、特別な注意点はないのですが、沖縄で引っ越しに伴う仏壇の移動であれば、ほんの少しのしきたりがあります。

<仏壇の搬出入>
(1)沖縄で仏壇を出す時
→全ての家財を家から出した後、最後に沖縄の仏壇を搬出する。

(2)沖縄で仏壇を入れる時
いちばん最初に仏壇を入れる。

…とは言え、絶対的な決まり事ではありません。
順番にこだわらない地域や家もありますので、柔軟に対応してください。

(5)開眼法要(開眼供養)

沖縄で移動先に仏壇が搬入されたら、再び僧侶を呼んで開眼法要(開眼供養)を行います。

基本的に閉眼法要(閉眼供養)と手順は同じですが、故人の祥月命日年忌焼香(年忌法要)と重なる日取りであれば、一緒に行うのも良いでしょう。

沖縄の御願式でお仏壇の移動

沖縄の御願式でお仏壇の移動
祖霊信仰が広がる沖縄では、仏壇移動で気に掛かるものはトートーメー(御位牌)ではないでしょうか。

トートーメーの霊魂が地面に根付くと言われますが、仏教としては地面に根付いてしまっている霊魂は成仏していないことになります。

ただ気になるようでしたら、家を出る前にヒジュルウコー(冷たいお線香)12本で移動するのが沖縄の御願式です。

<沖縄の御願式「ヌジファー(魂抜き)」>
(1)お線香を準備
(2)トートーメーへご報告
(3)魂をヒジュルウコーへ移動
(4)お仏壇の移動
(5)お線香に火を付けて供える

ただ沖縄の御願は仏教とは違い、民衆信仰として広がっているので、家や地域によって行い方もさまざまではあります。

そもそもトートーメーの移動自体ができないとする家もあるほどなので、今回お伝えするお仏壇移動の時の一例としてご参考にしてください。

(1)お線香を準備

沖縄の御願でお仏壇の移動時に利用するお線香は、「ヒジュルウコー」です。
「ヒジュルウコー」とは、火を灯していないお線香のことで沖縄の言葉で「冷たいお線香」の意味合いとなります。

<(1)お線香を準備>
●ジュウニフンウコー(十二本御香)
・日本線香なら12本
・沖縄線香ならタヒラ(2枚)

…この他、シルカビ、お布施を包む際に用意するような、厚手の白い封筒なども準備しておきます。

シルカビと作り方については、下記をご参照ください。
【沖縄の御願】ヒラウコーの供え方と、シルカビ・ウチカビ

 

(2)トートーメーへご報告

沖縄で仏壇移動の御願を行う前に、ご先祖様(トートーメー)へお仏壇の移動をすること、それに伴い、お仏壇移動のためのヌジファー(抜魂)を行うことをご報告します。

<トートーメーへのご報告>
「ウートゥートゥー、ウヤフジガナシー(あな尊き、ご先祖様方)。
お仏壇の移動を行いますので、ヒジュルウコーに魂を移していただき、一緒に移動してください。
無事にお仏壇の移動ができますように。」

 

簡単ではありますが、上記のような事柄をお伝えします。

家にヒヌカン(火の神様)がいらっしゃるならば、朝に白ウブクを3杯供えて、本日仏壇の移動に伴う、ヌジファー(抜魂)の儀礼を行うことをご報告しておくと、尚良いでしょう。

(3)魂をヒジュルウコーへ移動

魂をヒジュルウコーへ移動します。
これは仏教の閉眼法要(閉眼供養)と同じ意味合いだと考えてください。

<(3)魂をヒジュルウコーへ移動>

●トートーメーを取り出したら、トートーメーに向かい、ヒジュルウコーを下記のように動かします。
・上から下へ
左回りに

 

このようにヒジュルウコーを動かすことで、トートーメーに宿っている魂が抜き出て、ヒジュルウコーに移るためです。

(4)お仏壇の移動

その後ヒジュルウコーはシルカビに包み、さらに白い封筒に入れて、沖縄で仏壇が移る新居まで移動します。
御願主と共に移動できると尚良いでしょう。

ちなみに沖縄ではお仏壇に伴う仏具も、家族の手で大切に移動します。

(5)お線香に火を付けて供える

沖縄で新居にお仏壇を配置したら、最初にお仏壇のウコール(香炉)へ、移動してきたヒジュルウコーに火を灯して供えます。

ここで火を灯してウコール(香炉)に供えることで、ご先祖様の魂は煙を通してトートーメーに戻るとともに、ウコール(香炉)にも灰として残るためです。

●この作業は、仏教の開眼法要(開眼供養)と同じ意味合いになります。

最後に

以上が沖縄でお仏壇を移動する際に行いたい、閉眼法要(閉眼供養)・開眼法要(開眼供養)の流れです。

後半にお伝えした、昔ながらの沖縄に伝わる、お仏壇を家の外へ移動する際の御願の方法ですが、家や地域によっても違いがある他、今では行う家も少なくなりました。

ほとんどの家で仏教に倣い、僧侶を呼んで読経供養を行うでしょう。

これは家付きのユタさんが少なくなったこともありますが、昔は家のおばぁが自分で行うことも多くありました。
そのため気になるなら、個人で上記の御願を行うのも良いかもしれません。

また閉眼法要(閉眼供養)・開眼法要(開眼供養)は、浄土真宗など仏教宗派によって名前や流れが変わることもありますので、ご了承ください。

※この他、重なる部分もありますが、仏壇の買い替えや新調については下記に詳しいです。
【沖縄のタナバタ】仏壇の新調に良い日取り☆開眼供養で魂入れ
【沖縄のタナバタ】仏壇の買い替え☆開眼供養は新旧2つの仏壇前で

 

まとめ

沖縄でお仏壇を移動する時の流れとは

●現代の沖縄に多い仏壇移動の手順
(1)僧侶の手配
(2)引っ越し業者(仏壇移動)の手配
(3)閉眼法要(閉眼供養)
(4)仏壇の搬出入
(5)開眼法要(開眼供養)

●沖縄の御願式「ヌジファー」
(1)お線香を準備
(2)トートーメーへご報告
(3)魂をヒジュルウコーへ移動
(4)お仏壇の移動
(5)お線香に火を付けて供える


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