沖縄では仏壇の新調や買い替えなどに、旧暦7月7日のタナバタ(2022年8月4日)が良い日取りとされてきました。
特に最近沖縄で増えているのが、「実家の仏壇を継承したものの、自宅に迎え入れるには大きすぎる」として、自宅にあった仏壇に買い替えるパターンです。
現代の沖縄で仏壇を買い替える時は、古い沖縄仏壇には閉眼法要(閉眼供養)を、新しい仏壇には開眼法要(開眼供養)を行います。
今回は沖縄で仏壇を買い替える際、新旧2つの仏壇前で行う閉眼法要(閉眼供養)・開眼法要(開眼供養)についてお伝えします。
沖縄で増える仏壇の買い替え
冒頭でお伝えしたように、最近の沖縄では「仏壇(トートーメー)を継承したけど自宅に迎えるには、今までの仏壇が大きすぎる」と言うケースが増えています。
また沖縄では仏壇の継承以外にも、家のリフォームや引っ越しによって、新しい住まいの間取りには合わない、スペースがない、などのケースも多いです。
<沖縄で増える仏壇の買い替え>
・仏壇の継承
・リフォーム
・引っ越し
また沖縄ではトートーメータブーに迷う人も多く、先祖代々位牌であるトートーメー自体を永代供養やお焚き上げをして、タブーのない自由な位牌に切り替える人も増えました。
トートーメーは家から出せない?
そもそも昔ながらの沖縄では、仏壇を継承するにあたり、「トートーメーは家から出してはならない」などのタブーが悩みの種になる家もありました。
<閉眼法要と開眼法要>
●けれども現代の沖縄では仏教を採用し、仏壇や位牌(トートーメー)の閉眼法要(閉眼供養)を行うことで、トートーメーは家から外に出すことができると考える人が多いです。
そして移動した後、開眼法要(開眼供養)を行うことで祖霊の魂は戻り、日々の供養は再開されます。
閉眼供養・開眼供養の手順
仏教による閉眼法要(閉眼供養)・開眼法要(開眼供養)は、いずれも読経供養により行われるため、僧侶へ依頼しなければなりません。
ただ沖縄では本州のように檀家制度が根付いていないので、信仰する特定の寺院「菩提寺(ぼだいじ)/檀那寺(だんなでら)」なども持たない家がほとんどです。
そのため沖縄では、新しい仏壇を購入した仏壇仏具店で相談する人が多いでしょう。
<閉眼供養・開眼供養の手順>
(1)新しい仏壇を購入
(2)僧侶に読経供養の依頼
(3)新しい仏壇を迎え入れる日取りを決定
(4)閉眼供養・開眼供養
(5)古い仏壇の処分
全国的には菩提寺がある家では、最初に菩提寺のご住職に相談をしますが、沖縄では先に仏壇を購入して、その仏壇仏具店で僧侶を紹介してもらう手順がスムーズです。
(1)新しい仏壇を購入
伝統を守ると言う意味合いでは、昔ながらの沖縄仏壇が好ましいですが、分譲マンションも増えた現代の沖縄では、昔ながらの仏壇はスペースも充分ではなく、間取りとしてもなかなか難しいのが現状です。
<新しい仏壇を購入>
・家に置くスペースを決める
・スペースの大きさを計る(縦○○cm×横○○cm×奥行○○cm)
・新しい仏壇を購入する
・搬入日を決める
…このような流れになるでしょう。
現代は沖縄でもさまざまな仏壇の種類があるため、どんなに小さなスペースでも、まずは大きさを計って沖縄の仏壇仏具店へ出向き、相談をしながら決めて行くと良いでしょう。
※現代の沖縄で購入できる仏壇については別記事に詳しいです。
・今沖縄で仏壇の買い替えをするなら理解したい☆3つの種類と家具調仏壇
(2)僧侶に読経供養の依頼
前述したように菩提寺を持たない家が多い沖縄では、先に新しい仏壇を購入して、そのお店で開眼法要(開眼供養)・閉眼法要(閉眼供養)を請け負ってくれる僧侶の紹介を相談するとスムーズです。
<僧侶に読経供養の依頼>
(1)僧侶を探す
・仏壇仏具店の紹介
・近隣の寺院に相談
・ネットで僧侶派遣サービスを利用
(2)日程調整
…このような流れになるでしょう。
昔の沖縄では、近郊の寺院でご住職にお願いしていました。
もしくはネットで「僧侶派遣サービス」などもあるので、このような僧侶派遣で依頼するのも一案です。
※ネットで見つける僧侶派遣サービス「やさしいお坊さん」
(3)新しい仏壇を迎え入れる日取りを決定
沖縄で新しい仏壇を搬入する日は、新旧2つの仏壇前で閉眼法要(閉眼供養)・開眼法要(開眼供養)の両方を行う流れが多いため、僧侶や業者との調整があります。
<新しい仏壇の搬入日>
・新しい仏壇の搬入
・閉眼法要(閉眼供養)
・開眼法要(開眼供養)
・古い仏壇の搬出(引き取り)
ただ沖縄の仏壇仏具店に僧侶まで紹介してもらう場合、お店でお仏壇の搬入・搬出と、僧侶の日程調整は、スムーズに進めてくれるでしょう。
(4)閉眼供養・開眼供養
閉眼法要(閉眼供養)・開眼法要(開眼供養)当日は、古い仏壇と新しい仏壇を前に行います。
家族は露出が少なく派手ではない、カジュアル過ぎない平服(へいふく)を目安に服装を整えると良いでしょう。
<閉眼供養・開眼供養の服装>
(1)平服(へいふく)
・ダークスーツ
・ワンピース
・ツーピース
・深緑や濃紺など、地味な色目
・露出は少なく
・アクセサリー類は避ける
(2)お布施を用意する
・厚手の白封筒に入れる
・表書きは黒墨で「お布施」
・金額目安は約3万円~6万円
僧侶派遣サービスで読経供養のみの場合、約3万円/1回の読経供養が相場なので、開眼供養と閉眼供養を行うとして、1.5倍ほどの約4.5万円を包む家もあります。
不安があれば紹介いただいた沖縄の仏壇仏具店に金額相場を確認しても良いですし、僧侶へ直接「みなさまおいくらくらい包まれているでしょうか?」と確認しても、失礼には当たりません。
※お布施マナーについては下記記事をご参照ください。
・沖縄の法要でお布施を包む。僧侶へ渡す時の準備やマナーとは
仏壇の処分
沖縄で新しい仏壇の開眼供養が終わったら、古い仏壇は仏壇仏具店に引き取ってもらう流れが一般的です。
あらかじめ確認しておくと安心でしょう。
<仏壇の処分>
●もともと沖縄では仏壇ではなくトートーメーに魂が込められているため、閉眼供養も終わり「物」として扱われる仏壇自体は、そのまま処分されることになります。
全国的には、しばしば思い入れがある物として、菩提寺に仏壇のお焚き上げをお願いして供養するケースも見受けますが、最近では環境問題により受け付けない寺院が増えました。
自治体でも仏壇のお焚き上げを「野外焼却」として、禁止する地域が増えています。
仏壇を処分する時の注意点
ちなみに沖縄では古い仏壇を焼却した後、「大切な書類が仏壇に入っていた!」と慌てる相談も少なくありません。
<沖縄で仏壇処分時に確認>
・墓地の使用許可証(霊園など)
・遺影の原本
・過去帳
沖縄で新しい仏壇を搬出する前には、仏壇の引き出しなどを確認して、重要書類が残っていないか確認をしてください。
位牌の交換
ちなみに最近の沖縄では仏壇の買い替えをきっかけに、先祖代々位牌のトートーメーも交換するケースが増えています。
<沖縄で仏壇と一緒に位牌の交換>
(1)トートーメータブーをリセットしたい
(2)新しい仏壇に沖縄位牌が入らない
(3)沖縄位牌の存在感が強い
…などなどの理由です。
(1)トートーメータブーをリセットしたい
沖縄で仏壇と一緒にトートーメータブーをリセットしたいと考えるケースでは、
・霊園や寺院でトートーメーの永代供養
・近しい家族のみ個人で祀るカライフェー(唐位牌)に切り替え
…などの方法が取られます。
(2)新しい仏壇に沖縄位牌が入らない
また単純に新しい位牌に沖縄位牌が入らない理由で交換するケースでは、それほどトートーメータブーを恐れていない人が多いです。
・沖縄では仏壇と一緒に閉眼供養・開眼供養
…などの方法が多いです。
最後に
以上が沖縄で仏壇を買い替える時に行う、閉眼法要(閉眼供養)・開眼法要(開眼供養)の一連の流れです。
沖縄でお仏壇とともに位牌の交換も増えたことはお伝えしましたが、トートーメーの永代供養を依頼すると、トートーメーは霊園や寺院の「位牌堂」などに合祀供養されます。
この他にも、霊園や寺院では一時的にトートーメーを預かり、家族に代わり供養や管理をしてくれるサービスもあるでしょう。
ただ、閉眼供養・開眼供養で魂を抜いたトートーメーであれば、お焚き上げなどで処分する方法が一般的です。
トートーメーのお焚き上げに関しては、沖縄で新しい仏壇を購入した仏壇仏具店や、読経供養を依頼した僧侶や寺院、霊園などに相談すると良いでしょう。
まとめ
仏壇の買い替えでの手順とは
(1)新しい仏壇を購入
(2)僧侶に読経供養の依頼
(3)新しい仏壇を迎え入れる日取りを決定
(4)閉眼供養・開眼供養
(5)古い仏壇の処分