・墓じまいの費用は平均いくらかかる?
・墓じまいの費用内訳や、相場は?
・墓じまい費用を抑えるにはどうしたらいい?
「墓じまい」とは現存するお墓から遺骨を全て取り出し、墓石を撤去・墓地は更地にして墓地管理者に返還することです。
墓じまい自体は約30万円~50万円ほどですが、取り出した遺骨の永代供養先によって、墓じまいの総額費用は大きく異なる点には、注意をしてください。
本記事を読むことで、墓じまい費用の平均的な相場や掛かる項目、墓じまい費用の抑え方や誰が出すのか、払えない時の対処法などが分かります。
墓じまい費用の平均は?
◇墓じまいの費用総額は、平均で約30万円~300万円ほどです
墓じまいは墓石を撤去するだけではなく、墓じまいにより取り出した遺骨を、新しい納骨先などで供養しなければなりません。
そのため行政手続きも含めて、新しい納骨先までのプロセスが墓じまいです。
・お墓の撤去
・行政手続き
・新しい納骨先
墓じまいでお墓の撤去費用のみであれば、約20万円ほどでできるでしょう。
また行政手続きは、墓じまいで取り出した遺骨の柱数にもよりますが、ひとつの書類に対して約300円~1000円ほどです。
墓じまいの費用相場が幅広いのは、僧侶へ包むお布施の金額、新しい納骨先の費用などが幅広いためで、状況や選択肢によって異なります。
墓じまい費用の平均が幅広い理由
◇墓じまい費用は、新しい納骨先で調整できるでしょう
墓じまいは、単にお墓の撤去工事だけではありません。
遺骨をまだ納骨していないお墓の墓じまいなどであれば、撤去工事のみなので、墓じまいの費用平均は約10万円~50万円ほどになります。
・お墓の撤去費用
・行政手続き費用
・閉眼供養の費用
・離檀料
・新しい納骨先への費用
・納骨式や開眼供養の費用
一方で、取り出した遺骨の供養方法によっては総額数百万円になることもあるため、最初にお墓の内部調査を依頼して、お墓に納骨されている遺骨の柱数や状態を確認することも、予算内に納めるポイントです。
墓じまいの遺骨はどうする?
◇墓じまいで取り出した遺骨は、何らかの方法で供養します
遺骨を破棄する行為は、法律上では死体遺棄罪として扱われるため、墓じまいで取り出した遺骨を勝手に処分したり、公共の場に放置したりすることはできません。
・死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。
また「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」第4条によれば、火葬場で焼かれた遺骨であっても、人の遺骨は墓地以外の場所に埋葬することはできません。
・埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。
・火葬は、火葬場以外の施設でこれを行つてはならない。
墓地は知事が認めた墓地に限られるため、一般の人々が家の庭などに埋葬することは違法となるため、一般的には霊園や寺院墓地が提供する、合祀墓(永代供養墓)などに供養する流れが多いでしょう。
・法令検索:刑法(明治四十年法律第四十五号)
・厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)」
墓じまいの手順ごとの費用平均は?
◇墓じまいの手順ごとに費用を調整し、予算内に納めます
墓じまいの手順事に費用を把握していると、法外な料金を請求された時に気づくことができたり、他の依頼先を探すなどの対応ができるでしょう。
沖縄では少ないですが、例えば寺院墓地に建つお墓では、墓地管理者である菩提寺から、法外な「離檀料」を請求されることもありますが、離檀料の平均的な相場は約3万円~20万円です。
この他、石材業者からも請求幅が広いことがあります。
全体的な相場を理解するとともに、相見積もりを取ることで対策となるでしょう。
①永代供養先への支払い
◇墓じまいの遺骨は、約5万円~200万円以上です
「永代供養(えいたいくよう)」とは、霊園や寺院墓地などの墓地管理者が家族に代わり、永代に渡って遺骨を供養・管理してくれることを指します。
墓じまいでは継承者がいない、お墓の維持管理が大変、などの理由が背景にあるため、一般的に、墓じまいで取り出した遺骨は永代供養される流れです。
<永代供養先の選択肢> | |
①永代供養 | ・合祀墓(永代供養墓) ・納骨堂 ・集合墓 ・一般墓(永代供養付き) ・ガーデニング型樹木葬 |
②自然葬 | ・散骨 ・樹木葬 |
③その他 | ・手元供養 |
…などがあります。
最も安い納骨先は合祀墓(永代供養墓)、もしくは自然葬となる散骨や樹木葬、そして自宅で遺骨を供養する手元供養も、予算に合わせて費用を安く抑えることができます。
墓じまい後の永代供養、それぞれの費用目安については後ほど詳しく解説しますので、どうぞ最後までお読みください。
②離檀料
◇離檀料の一般的な相場は、約3万円~20万円です
沖縄では少ないですが、もしも墓じまいをするお墓が寺院墓地に建っている場合、墓地管理者である寺院は「菩提寺」となり、お墓がある家は「檀家」となります。
墓じまいは檀家を辞めることになるため、感謝の気持ちを表すために包むお金が「離檀料」です。
●約3万円~20万円ほど
・閉眼供養のお布施と併せて包む場合、約7万円~30万円ほどを目安とし、檀家が金額を決めて包むとされます。
一般的な目安は、法要を1回行うのと同じくらいの金額ですが、寺院によっては離壇料を受け取らない場合もあるでしょう。
…離檀料トラブルが解決しない場合は、消費者センター、弁護士、行政書士などへ相談しましょう。
離壇料が分からない場合は、事前に親戚や近所の石材業者に相談し、その地域の相場を調べると安心です。
また、ご住職へ直接「皆様いくらくらいお包みしていますか?」などと伺っても良いでしょう。
③行政手続き
◇行政手続きに掛かる費用は、数百円~千円ほど/1書類です
墓じまいでは墓地管理者から書類を入手し、現存のお墓がある自治体の役所窓口で「改葬許可申請」を行います。
「改葬(かいそう)」とは遺骨を移動することを指すため、墓じまいは行政手続き上「改葬」です。
自治体や管理者によって料金は異なりますが、発行時手数料として数百円~千円ほどが発生するので、事前に問い合わせてご確認ください。
<行政手続きに必要な書類> ●役所窓口で改葬許可証を発行してもらう |
|
[書類] | [入手先] |
①改葬許可申請書 | ・改葬の申請をする書類 ・役所窓口 ・ホームページでダウンロード |
②埋葬許可証 | ・現存のお墓がある墓地 |
③受入証明書 | ・遺骨の新しい納骨先 |
埋葬証明書は、そのお墓に埋葬されている柱数分の枚数が必要になる自治体が多いので、注意をしてください。
特に古くからある沖縄の門中墓などでは、納骨されている遺骨の柱数が多いと、思いのほか、時間や手数料がかさむケースが多いです。
墓じまいの行政手続きは、引き受けてくれる行政書士事務所も多いですが、その分費用が掛かります。
④閉眼供養
◇墓じまいの閉眼供養に掛かる費用相場は、約3万~5万円です
「閉眼供養」とは「魂抜き」とも呼ばれます。
故人の魂が宿った、礼拝の対象であるお墓を、閉眼供養により「ただの石」に戻すことが目的です。
●閉眼供養では、僧侶をお呼びして読経供養をお願いします。
…参列者は僧侶が読経を始めたら、お線香をあげる流れです。
閉眼供養で僧侶へ包むお布施金額は、施主が感謝の気持ちとして包むものなので、特に定まってはいません。
けれども全国的な相場として、約3万円~5万円ほどを包みます。
・沖縄の法要でお布施を包む。僧侶へ渡す時の準備やマナーとは
⑤お墓の撤去
◇墓石を撤去する費用目安は、約10万円/1㎡です
墓石の撤去費用は、墓石の大きさや撤去方法によって異なります。
ただ一般的な墓地であれば、約10万円/1㎡が相場です。
墓じまいでは墓石を撤去するだけではなく、撤去後の墓地を更地にします。
・石材業者を指定する墓地もある
・複数の石材業者へ相見積もりをする
(自分で選ぶ場合)
現存するお墓の墓地管理者や、石材業者、墓じまいで取り出した遺骨の納骨先となる墓地管理者などに、信頼できる石材業者を尋ねてみても良いでしょう。
なかには墓じまいにあたり、石材業者を指定する墓地管理者もいるため、まずは現存のお墓がある墓地管理者に確認をします。
⑥遺骨の手入れ
◇遺骨の取り出しの費用目安は、約3万円~5万円です
遺骨を取り出すことは自分で行うことも可能ですが、通常は墓石の解体工事を担当する石材業者に依頼します。
また、長く納骨されている遺骨は溶解やカビの発生もあるため、メンテナンスが必要になるケースも多いです。
<遺骨の取り出し、手入れ> | |
・遺骨の取り出し | …約3万円から5万円ほど |
・遺骨のメンテナンス (洗骨、乾燥、粉骨など) |
…約1万円~5万円ほど |
この他、沖縄では墓じまいで火葬されていない遺骨を発見するケースもあるでしょう。
古い門中墓などでは、風葬時代の遺骨が発見されることも多いですが、現代では一度火葬をしなければ、納骨できない墓地が多いです。
⑦遺骨の搬送
◇遺骨は自分で運搬、もしくはゆうパックによる郵送もできます
一般的に墓じまいで取り出した遺骨を、新しい納骨先に移動する際、車や公共交通機関を利用して、自分達で搬送することが多いです。
けれども自分達で遺骨を搬送するのが困難な場合は、郵送もできます。
<遺骨の搬送> | |
・ゆうパック | …約千円ほど |
・送骨サービス業者 | …数万円ほど |
送骨サービス業者以外で、荷物として郵送する場合は「ゆうパック」のみが受け付けてくれるので注意をしてください。
日本郵便でも遺骨の郵送は「ゆうパック」のみとなり、他の運送業者では、遺骨の郵送は規約違反です。
送骨サービス業者はサービス内容によって異なりますが、数万円は掛かるケースが多いでしょう。
⑨納骨式
◇納骨式のみであれば、約3万円~5万円ほどです
納骨式は一般的な法要と同じく、お呼びした僧侶へ読経供養のお礼として、1回の読経供養に付き、約3万円~5万円をお布施として包みます。
また納骨式の後に会食の場を設け、僧侶が欠席した場合には、約1万円~3万円ほどの「御膳料」を、別封筒に準備します。
僧侶が来てくださった場合には、交通費としてタクシー代を目安に約3千円~5千円、こちらも別封筒に準備して、お布施と一緒にお渡しするのが習わしです。
墓じまいで永代供養の平均費用は?
◇墓じまいの遺骨の永代供養は、約5万円~200万円以上と幅広いです
墓じまいで取り出した遺骨は永代供養される選択が多く、費用は選択肢によって約5万円~200万円ほどとなります。
納骨先の選択肢として以下が考えられます。
<墓じまい後の永代供養先は?> | |
[種類] | [費用目安] |
①一般墓 | (約50万円~200万円ほど) |
②樹木葬 | (約30万円~100万円ほど) |
③納骨堂 | (約30万円~100万円ほど) |
④永代供養墓 | (約5万円~150万円ほど) |
⑤散骨 | (約5万円~70万円ほど) |
⑥手元供養 | (数百円~50万円ほど) |
永代供養の他には、大樹のふもとに埋葬して土に還す「樹木葬」や、海や山林に散骨する「散骨」などの自然葬も人気です。
この他、自宅で遺骨を保管する手元供養では、予算に合わせて仏具を選ぶこともできます。
①新しくお墓を建てる
◇お墓を建てる費用は約100万円~175万円ほどです
…平均は約125万円ほどとなります。
遺骨を別の場所にある、一般墓に納骨しますが永代供養付きがポイントです。
「遠方にいてお墓の維持管理ができない」などの悩みを持つ墓主に多く選ばれます。
お墓の永代供養では、25年・33年・50年など、契約期間が長いプランが多いです。
継承者のいらない永代供養を付けるなら、寺院墓地や民間霊園などを選びます。
また地方によっても費用に差があり、都市部では高額になる傾向があります。
この他、石そのものの代金や戒名・俗名を彫刻する費用もかかります。
墓石は石の種類やグレード、デザインや彫刻の複雑さなどによって費用幅が広く、約80万円~数千万円のものもあるほどです。
②お墓を搬送する場合
◇墓じまいではお墓を搬送するケースもあります
しばしば、墓じまいで撤去した墓石を処分せずに、新しい納骨先へ搬送するケースもありますが、重い墓石の搬送費は数十万円ほど掛かるので注意をしてください。
墓じまい後、再び一般的なお墓に埋葬する方法には、以下の2通りがあります。
②新たに墓石を作り直す
古い墓石を移動して再利用するのも良いですが、墓石の移送費用は高いです。
墓石の輸送費は新しい墓地までの距離によって異なりますが、数十万円は見積もっておいてください。
②永代供養墓に埋葬する
◇墓じまいの遺骨は、一般的に永代供養墓に合祀されます
「永代供養墓」とは合祀墓・合葬墓などとも言われ、最初から他の遺骨と一緒に合祀埋葬され、合同供養される永代供養の形です。
永代供養墓は墓石を新たに建てる必要もないため、永代供養の種類としては、墓じまい後に最も選べれます。
<永代供養墓の費用目安> ●費用相場…約10万円~150万円ほど |
|
[種類] | [費用目安] |
①個別安置タイプ | …約50万円~150万円 |
②集合安置タイプ | …約20万円~60万円 |
③合祀タイプ | …約5万円~30万円 |
最も安価なのは合祀タイプの永代供養墓は、墓じまい後の費用相場が約5万円~30万円となり、金額に比例して個別参拝や法要スペースなど、埋葬後のサポートが充実している傾向です。
③納骨堂に収蔵する
◇墓じまい後、納骨堂の費用目安は約10万円~100万円ほど/1柱です
納骨堂は、遺骨を骨壺に入れたまま室内に安置し、供養・管理する施設となり、一般的に納骨堂には永代供養が付属しています。
納骨堂の費用相場は、全体で約10万円~100万円/1柱ほどです。
また納骨堂によっても、納骨方式によって費用が異なります。
<墓じまい後:納骨堂の費用相場> | |
[種類] | [費用目安] |
①ロッカー型 | ・約20万円程度 |
②仏壇型 | ・約30万円程度 |
③可動型 | ・約100万円程度 |
④墓石型 | ・約100万円程度 |
⑤位牌型 | ・約10万円程度 |
昔からある納骨堂はロッカー型が多いですが、ロッカー型の時代は一時的にお墓が建つまでの、遺骨の保管場所でした。
近代では遺骨を一同に収蔵し、参拝に訪れた人は個別の参拝ルームに通した後、その家族の遺骨を参拝ルームに自動的に運ぶ、「可動型(自動搬送型・ビル型)」が人気です。
④樹木葬をする
◇樹木葬は大樹など樹木のふもとに遺骨を埋葬する供養方法です
「樹木葬」とは永代供養のひとつとして、墓石の代わりに樹木を墓標とします。
墓じまい後、樹木葬の費用相場は約10万円~約70万円ほどですが、選ぶ埋葬方法や供養方法によって費用が異なるでしょう。
<樹木葬の種類と費用相場> | |
[種類] | [費用目安] |
①合祀型 | ・約5万円~30万円程度 |
②集合型 | ・約15万円~60万円程度 |
③個別型 | ・約20万円~80万円程度 |
永代供養墓と同様に、合祀型の樹木葬が最も安く、約5万円~30万円ほどですが、個別に遺骨が残りやすい個別墓などは費用も高くなる傾向です。
ただ樹木葬の場合、自然へ還元する自然葬のひとつなので、一度埋葬すると二度と個別に取り出せない規約が一般的でしょう。
⑤散骨をする
◇粉状にした遺骨を海や山林に撒きます
「散骨(さんこつ)」とは、2mm以下の粉末状にしたご遺骨を、海や山などの自然環境に撒く供養方法です。
墓じまい後の費用相場であれば、約5万円~30万円ほどでしょう。
例えば、海に散骨する「海洋散骨」には以下のような費用がかかります。
<散骨の種類と費用相場> | |
[種類] | [費用目安] |
①個別散骨 | ・約15万円から30万円程度 |
②合同散骨 | ・約10万円程度 |
③代行散骨 | ・約5万円程度 |
個別散骨は約15万円~30万円と最も高い価格帯ですが、それだけご家族だけの個別チャーター便も手配するなど、サービスも充実しているでしょう。
⑥手元供養をする
◇「手元供養」とは、自宅で遺骨を管理供養する方法です
自宅で遺骨供養をする「手元供養」は予算に合わせた準備ができます。
最近では遺骨を使用してダイヤモンドを作る「ダイヤモンド葬」も興味深いです。
手元供養の場合、一般的には数万円から数十万円の費用がかかります。
・遺骨を分骨する
・遺骨ペンダント
・ミニ骨壺
…など
墓じまい後の費用は状況によって異なりますが、遺骨の取り出し後に特別な、費用はかかりません。
ただし、手元供養は管理者がいなくなった後のことを考慮し、将来的にはどうするかを検討する必要はあります。
墓じまいで費用を抑える方法
◇墓じまいの費用は永代供養先で押さえます
墓じまいの費用は、新しい納骨先である永代供養先や、納骨する柱数で大幅に変化するため、安く抑えたいならば、新しい遺骨の納骨先「永代供養先」を調整すると良いでしょう。
複数の遺骨があった場合、身近な故人の遺骨は個別に安置できる供養方法を選び、遠いご先祖様の遺骨は永代供養墓や自然葬を選ぶケースも多くあります。
①石材業者を比較検討する
◇相見積もりを取ります
墓石の撤去費用は、前述の通り約10万円/1㎡ですが、それよりも安く引き受けてくれる業者もあるでしょう。
自分で墓石業者を選ぶ場合、複数の石材業者から相見積もりを取ることで、自分のお墓の工事費の相場が分かり、より安い石材業者に依頼できるでしょう。
ただし金額だけでなく費用項目も確認し、信頼できるかどうかもチェックが必要です。
例えば、許可証を取得しているかどうかなども確認します。
②墓じまいの工事費用が高額になるお墓とは?
◇お墓の立地や状態により、工事費用が高額になるお墓です
通常では約10万円/1㎡が費用目安ですが、そもそもお墓の立地や状況によって、見積もりが高額になることもあります。
・通路が狭くて重機を入れるのが困難
・辺境地のお墓(工事に手間がかかる)
・複数の墓石を撤去する
…などのケースです。
墓石業者に見積もりを依頼するにあたり、現地確認をしてもらうと良いでしょう。
③遺骨の供養方法を抑える
◇取り出した遺骨の永代供養方法を、より安い方法に変えます
取り出した遺骨の新しい納骨先をより安い方法に変えることで、墓じまい費用は大幅に抑えることができるでしょう。
最初から他の遺骨と一緒に合祀される永代供養方法は、個別安置期間があるものよりも、格段に安くなります。
・合祀墓(永代供養墓)
・シンボルツリー型樹木葬
・散骨
・手元供養
低価格の永代供養を選ぶと約3万円~10万円ほど/1柱などの料金があり、なかには複数の遺骨をまとめたプランもあるので、検討してみてはいかがでしょうか。
ただし一度納骨されると、再び個別に遺骨を取り出すことはできないので、この点は注意をしてください。
墓じまいの費用が払えない時の対処法
◇ローンや分割払いもできます
墓じまい費用が払えない時には、ローンや分割払いを利用する墓主が多いです。
若い墓主であれば、目的を持たない「多目的ローン」なども利用できますが、「ローンを組むには年齢的に厳しいのでは?」など、不安がある場合には、霊園など業者が提供するメモリアルローンもあります。
なかには霊園など業者側が分割払いを受け付けるケースもあるので、まずは相談してみると良いでしょう。
①墓地管理者に相談する
◇寺院墓地であれば、ご住職に相談をしてみます
沖縄では少ないですが、墓じまいをするお墓が寺院墓地の場合、寺院のご住職に相談してみるのも一案です。
寺院墓地のお墓を墓じまいするケースでは、寺院へ今までのお礼として「離檀料(りだんりょう)」を包みますよね。
素直に事情を話すことで、離檀料をはじめとした、墓じまいに必要な費用を考慮してくださることもあります。
②補助金制度をチェックする
◇墓じまい補助金制度を設けた自治体もあるので、確認しましょう
まだ少ないですが一部の自治体では、お墓を片付けることをサポートし、促進している場合があります。
自治体による墓じまい補助金制度の事例は、以下です。
・墓石の撤去や処分、更地工事への助成金の支給
・市営合葬墓の利用を優遇
・これまで納めた墓地使用料の一部を返還
特に墓じまいをするお墓が公営墓地に建つ場合、補助金制度を設けている可能性もあるので、墓地管理事務所に問い合わせてみましょう。
③メモリアルローンを利用する
◇メモリアルローンなど、各種ローン商品を利用する方法です
「メモリアルローン」とは、お墓や仏具の購入費用、葬儀費用などに使うことができるローンです。
多目的ローンやフリーローンなどを利用して墓じまいもできますが、借り入れの目的が制限されているため、金利は比較的安く、審査も早く終わる傾向があります。
<メモリアルローン> | |
[金融機関] | ・銀行 ・信用金庫 ・信販系カードローン …など |
[費用目安] | ・墓じまい業者 ・石材業者 ・霊園、墓地管理業者 …など |
「墓じまいを検討しているけれど費用が充分ではない」などの場合は、まず新しい納骨先の霊園や施設の管理業者、石材業者、墓じまい業者などに相談をしても良いでしょう。
・メモリアルローンとは?メリット・デメリットや注意点、永代供養に利用できるローンは?
④親族に相談する
◇親族に相談して、墓じまい費用を分担してもらいます
昔からお墓の修理修繕、墓じまいなどの費用は、継承者である墓主が支払ってきましたが、それは嫡男が家の財産全てを相続する家督制度があった時代の名残りです。
現在は墓主の負担が大きいため、お墓に関わる親族に相談をして、費用を分担してもらう方向を探ってみましょう。
墓じまいの費用は誰が払う?
◇墓じまいの費用は、法的に特別な決まり事はありません
前述したように家督制度の名残りにより、祭祀財産であるお墓に関する費用も、継承した墓主が全てを負担してきました。
けれども現代においては、お墓を継承しても負担が多いばかりです。
そのため、お墓の名義人として墓主は立てるものの、お墓事の決定や費用に関しては、そのお墓の関係者が皆で解決する家が増えています。
①墓主が負担
◇墓主が墓じまい費用をすべて負担します
現代はお墓の維持管理や将来的な継承者の不安から、墓主から、墓じまいを切り出す流れが多いでしょう。
実際にお墓の名義人は、法的に墓じまいなどの最終的な決定権があります。
さらに日本では代々、嫡男がお墓を継承してきたことから、墓主自身が墓じまい費用を全て負担するケースは、今でも多いです。
②故人が負担
◇終活を通し、故人が生前に墓じまい費用を負担するケースもあります
高齢の墓主が将来的なお墓の維持管理や、継承者問題を解消するため、生前に墓じまいを済ませる、墓じまいや永代供養の生前契約をする事例です。
故人が生前に墓じまい費用を負担した場合、最も親族間トラブルがありません。
また年齢的なことから、墓じまいを進めるにあたり反対者も少なく、進めやすい傾向にあります。
③親族で負担
◇お墓に関わる親族が、墓じまい費用を分担します
墓じまい費用は約30万円~300万円ほどが平均的であり、取り出した遺骨の永代供養先によっては、高額になることがあります。
支払う割合などは全て話し合いで決定するため、トラブルに発展するリスクが高い側面にも配慮をしてください。
墓じまいで費用にまつわるトラブルとは
◇石材業者の請求や、寺院墓地でのトラブルケースが多いです
墓じまい費用にまつわるトラブルは、想定以上の請求などがあります。
墓じまいで最も費用が掛かる永代供養に関しては、比較的料金が明瞭に提示されているケースが多いでしょう。
関わる人々と丁寧に対することで、墓じまい費用トラブルも回避できるケースもあります。
①石材業者による請求トラブル
◇石材業者に相場以上の、法外な請求がくるケースです
墓石の撤去費用の平均は約10万円/1㎡ですが、墓地の立地やお墓の形状、重機使用の有無などにより、墓石の撤去費用は大幅に変化します。
実際に法外な金額を請求する悪質な墓石業者もいない訳ではありませんが、思った以上の費用請求があったら、一度冷静に内容を確認してみましょう。
・墓地スペースが狭い
・重機の使用が困難な立地
・山奥など、辺境にあるお墓
「自分達のお墓」に対する工事費用の相場を把握したいのであれば、複数の石材業者や墓じまい業者に相見積もりを取ると分かりやすいです。
また石材業者選びでは、見積もりを依頼した時に、現地確認やお墓の内部調査をした後、細かな費用項目で見積もりを出してくれる業者が心強いでしょう。
②周辺の墓主とのトラブル
◇墓じまいで撤去したお墓が、近隣のお墓を破損してしまうなどです
墓じまいで費用にまつわるトラブルでは、墓じまいにあたり撤去した墓石が倒壊するなどして、近隣の墓石や墓地内のものを破損してしまったケースがあります。
・安いだけの石材業者を選ばない
・責任関係を明瞭にする
安いだけで決めた石材業者の場合、経験が浅いなどで近隣のお墓を破損してしまう遠因にもなるでしょう。
この場合、先方から修理修繕費用の請求が来た時に、石材業者が負担するか、墓主が負担するかでもめるトラブル事例もありました。
③寺院墓地でのトラブル
◇法外な離檀料を請求されるトラブルです
寺院墓地のお墓を撤去する場合、離檀する家は多いですが、この際に100万円以上の法外な離檀料を請求されることがあります。
寺院墓地を持つ寺院は、檀家から受けた定期的なお布施が活動資金です。
けれども檀家の減少によって、経営が困難になることがあります。
まずは住職を始め、お世話になった方々へ、感謝の気持ちを伝えることが重要です。
また墓の撤去理由を正しく伝え、相手に理解してもらうことも大切になるでしょう。
・菩提寺・檀那寺とは?檀家になる・離檀するとは?寺院とのお付き合いで心得るマナーとは
墓じまい後に掛かる費用の平均とは?
◇個別安置期間があるプランでは、年間管理料が掛かります
最初から他の遺骨と一緒に合祀される合祀墓(永代供養墓)は、供養も合同供養が執り行われるため、基本的に年間管理料も必要ありません。
また納骨堂など、一定の個別安置期間がある永代供養を終活として「生前契約」した場合、個別安置期間の年間手数料を一括払いにするケースが多いです。
①定期的な合同供養
◇合同供養には、基本的にお金がかかりません
ただ現代の合同供養は、一般参列者を受け入れるものも多いです。
合同供養への参列を希望する場合、お布施を渡すか渡さないかは自由でしょう。
合同供養でのお布施の渡し方は施設によって異なります。
例えば、僧侶による読経供養の間にお布施箱が回ってきて、参列者は回ってきた順番から、お渡ししたい金額を決めて渡します。
この他、合同供養会場に箱が設置されていて、自由にお布施を入れる施設もあるでしょう。
②年間管理料が掛かる場合
◇個別安置期間に年間管理料を払うケースもあります
「年間管理料」とは、納骨堂や霊園、寺院墓地などで公共部分の維持管理、掃除や修理修繕費用として、毎年支払うお金です。
寺院墓地ではお布施、霊園や公営墓地では「年間管理料」として支払います。
<年間管理料> | |
・公営墓地 | …約2千円~5千円ほど |
・寺院墓地 | …約1万円~3万円ほど |
・民間霊園 | …約1万円~3万円ほど |
前述したように、故人が生前に自分でお墓事の契約を進める終活を通した契約であれば、年間使用料は一定契約期間内として、一括でまとめる決断も多いです。
お墓じまいをした・しない費用の比較
◇墓じまいをしない場合は、お墓の維持管理にお金がかかります
墓じまい費用は約30万円~300万円以上とされるため、墓じまいをしない決断も多いでしょう。
けれどもお墓を残した場合、お墓の維持費負担が継続的に掛かる点まで、長いスパンでの費用との比較検討をしなければなりません。
ここでは30年間、50歳でお墓を継承し80歳で子どもに託したケースを想定し、民間霊園でお墓を維持した場合、将来的に掛かる費用を出してみました。
<お墓を維持した場合との比較> | |
①30年間お墓を維持 | …総額約30万円~400万円ほど |
[内訳] | ・管理費…約20万円~60万円ほど ・お墓参り…約10万円~300万円ほど ・メンテナンス費…無料~約100万円ほど |
②すぐに墓じまい | …総額約30万円~300万円ほど |
このように長期的なスパンで総額を出して総額を比較検討してみると、そこまで双方に違いはないことが分かります。
けれどもお墓を維持していると、定期的なお墓掃除や法要などが生じますので、墓じまいの費用面以外の要素まで考慮し、総合的に判断することが大切です。
まとめ:墓じまいの費用平均は、約30万円~300万円です
墓じまいの費用平均は約30万円~300万円と幅広く、その理由は墓じまいで取り出した遺骨の供養方法にあります。
他の遺骨と一緒に合祀される合祀墓(永代供養墓)であれば、約3万円~10万円ほど、お墓の撤去作業などの工事費を約20万円とすると、30万円~50万円ほどで全てを賄うことができるでしょう。
一方で墓じまいで取り出した遺骨を、永代供養が付いた一般墓などに納め直すとしたら、墓石が建つためそれなりの費用が掛かります。
お墓の関係者みなで相談をして、墓じまいの費用面でも精神面でも、納得できる納骨先(永代供養先)を決めていくことが、スムーズな墓じまいのポイントです。