遺骨を郵送できるのはゆうパックのみって本当?送骨サービスや梱包の仕方、送り方を解説

2024.01.25
遺骨を郵送できるのはゆうパックのみって本当?送骨サービスや梱包の仕方、送り方を解説

合祀墓や委託散骨など、遺骨を郵送する機会が増えましたが「宅配業者に断られた」との体験談も聞きますよね。ゆうパックで適切に梱包すれば郵送は可能です。本記事では遺骨の郵送が法的に違法にならないか、必要な道具や注意点、郵送方法が分かります。

・遺骨の郵送は法律的に合法?
・遺骨の郵送で違法になるケースは?
・遺骨の郵送ができる宅配業者は?
・遺骨を郵送する注意点や方法は?

合祀墓や委託散骨など、遺骨を郵送する機会が増えましたよね。
「宅配業者に遺骨の郵送ができるか尋ねたら、断られた」との体験談も聞きますが、遺骨の郵送はできます

本記事を読むことで、遺骨の郵送が法的に違法にならないかどうか、遺骨の郵送するために必要な道具や注意点、郵送方法が分かります。

 

遺骨の郵送は違法にならない?

遺骨の郵送は違法にならない?
◇国内間での遺骨の郵送であれば合法です

宅配業者に依頼して遺骨を郵送することは「送骨」と呼ばれます。
近年は新しい供養の形の広がりに比例して、遺骨を移動させるケースが増え、一般的にも広まっているのが現状です。。

遺骨をお墓まで持ち運ぶことが難しい高齢のご遺族も増え、実際に永代供養を含めて送骨を受け付ける寺院墓地や、民間霊園も急増しました。

 

<違法になる遺骨の扱い>
●下記は遺棄罪、器物損壊罪に該当します。
・遺骨をゴミとして捨てた
・公共の場所に遺骨を放置した
・墓地ではない場所に遺骨を埋めた

 
このように遺骨の扱いで法的に問題となるのは、人の遺骨を粉骨しないでゴミとして捨てた、放置した場合です。
また私有地であっても、墓地以外の場所に捨てたり、埋葬してはいけません。

 

[参照]
・厚生労働省|昭和23年5月31日(法律第48号)「墓地、埋葬等に関する法律

 

遺骨を郵送する人が増えた理由

◇お墓の形式を取らない、遺骨の供養方法が広がっているためです

遺骨の郵送は、墓地管理者が家族に代わって永代に渡り、遺骨の管理・供養をする「永代供養」のお墓や納骨堂にお骨を納める人が増えています。
また海や山林に散骨・埋葬などをして自然に還す「自然葬」も人気です。

このような永代供養や自然葬では、ご遺族は必ずしも、住まいの近くにお墓を用意する必要がありません。
そのためお墓選びの対象は、住まいに関わらず日本全国に広がっています。

 

<遺骨を郵送する事例>
(1)散骨 ・遺骨の粉骨を依頼する
・海洋散骨を業者に委託する
(2)永代供養 ・合祀墓への合祀を依頼する
(3)手元供養 ・粉骨を依頼する
・遺骨のメンテナンス
(4)墓じまい ・遠方のお墓から自宅へ郵送
・取り出した遺骨を永代供養

 
「粉骨」とは、遺骨を2mm以下の粉末状に砕くことです。
粉骨をすることで、自宅てコンパクトに遺骨を祀ることができたり、海や山林へ散骨できます。

住まいから近い場所ならばご遺骨を直接持って行けますが、住まいから遠い永代供養墓を検討される場合、ご遺骨を持っていくことは困難になるため、遺骨の郵送が増えているのです。

 

遺骨の郵送が違法になるケースとは?

◇海外への遺骨の郵送は違法です

日本国内の遺骨の郵送は合法ですが、海外への遺骨の郵送は禁止されています。
もしも「遺骨の郵送は違法」と言われてならば、海外への遺骨の郵送と混合している可能性があるでしょう。

 

●ただし国内での遺骨の郵送に関しては何の問題もありません

 
宅配業者から「違法ではないけれど遺骨の郵送はできない」と言われた場合には、日本郵便以外の宅配業者である可能性が高いです。

実は、ほとんどの宅配業者では、契約条項で遺骨の郵送が禁止されています。
けれども全ての宅配業者で禁止されているわけではありません。

 

遺骨の郵送はゆうパックのみ?

遺骨の郵送はゆうパックのみ?
◇遺骨を実際に郵送できる宅配業者は、日本郵便のゆうパックのみです

数多くある配送業者のなかでも、遺骨を郵送できる業者はゆうパックひとつです。
遺骨は非常にプライベートな郵送物で、交換できるものではありません

 

<遺骨の郵送はゆうパックのみ>
(1)日本郵便「ゆうパック」のみ
(2)損害賠償の対象外
(3)一般の荷物と同様の取り扱い
(遺骨特有の補償などはない)

 
ゆうパックの「損害賠償制度」は、荷物の受け取りから配達までの間に、紛失や破損が発生した場合、賠償を受けることができる制度です。

けれども遺骨は金銭的な価値を付けることができないため、損害賠償の対象外となるので注意をしてください。

遺骨の郵送手続きをする際は、遺骨が損害賠償の対象外であることを理解したうえで行いましょう。

 

[参照]
・ゆうパック|公式サイト

 

日本郵便以外の利用規約

◇日本郵便以外の宅配業者では、独自の規定により宅配できません

法律上は問題がないと説明しましたが、日本郵便以外の大手宅配業者者も遺骨の郵送を禁じているのは、もし万が一、紛失した場合に対応できないためで、利用約款にもこのことが明記されています。

 

<大手宅配業者の遺骨に関する利用規約>
[宅配業者] [遺骨などの利用規約]
(1)ヤマト運輸 …遺骨・位牌・仏壇
(2)佐川急便 …遺骨・位牌・仏壇
(3)西濃運輸 …遺体・遺骨
(4)福山通運 …遺体・遺骨

 
このようにどの宅配業者でも禁じられている宅配物に遺骨が含まれているため、送ることができない場合がほとんどです。

遺骨であることを隠して郵送してしまうと、配達員が遺骨を紛失・または破損した場合、自己責任になる可能性もあります。
余計なトラブルを招かぬためにも、遺骨の郵送はゆうパックで送りましょう。

 

 

[参照]
・ヤマト運輸|宅急便で送れないもの

 

遺骨を郵送する料金は?

◇遺骨を郵送であっても、料金は通常のゆうパックと同様です

ゆうパックで荷物を送る際の料金は、重さ、サイズ、距離によって決まります。

ゆうパックを利用できるのは、縦・横・高さの合計で算出する荷物の大きさが170cm以下、重さが30kg以下の荷物です。
ただ、その料金は重さによって料金が変わり、利用できるサービスも変わります。

 

<重さで違うサービス>
[重さ] [利用できるサービス]
・25kg以下 …通常のゆうパック
・25kg~30kg以下 …重量ゆうパック

 
またゆうパックの料金は荷物の大きさによっても料金が違い、大きさは「縦の長さ(cm)+横の長さ(cm)+高さの長さ(cm)」で計算しますので注意をしてください。

 

<ゆうパックの大きさ(サイズ)>
[サイズ] [大きさ]
(1)60サイズ ・60cm以下
(2)80サイズ ・60㎝~80cm以下
(3)100サイズ ・80cm~100cm以下
(4)120サイズ ・100cm~120cm以下
(5)140サイズ ・120cm~140cm以下
(6)160サイズ ・140cm~160cm以下
(7)170サイズ ・160cm~170cm以下

 
また、ゆうパックは都道府県別の基本運賃表があり、送り先・送り元の都道府県によっても料金は変動するでしょう。
重量ゆうパックの料金は、ゆうパックの基本運賃に+500円です。

 

 

遺骨の郵送は船便?空輸?

◇遺骨の郵送に指定はありませんが、空輸はできます

ゆうパックでは船便・空輸を指定するサービスはありませんが、遺骨の郵送であっても空輸ができるでしょう。

運輸省の「航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示」により、主に安全運航を妨げるものに対して航空機に乗せられませんが、遺骨は安全運航を妨げる要素はありません。

 

<空輸ができないもの>
・火薬類
・高圧ガス
・引火性液体
・可燃性物質
…など。

 
当然遺骨は爆発物ではないので、空輸もできます。
ちなみに船便で遺骨を郵送した場合でも、配送の遅れは約1日~4日が最大です。
ただし海外への遺骨の郵送は、日本郵便の規約によりできません。

 

 

[参照]
・国際宅配便|UGX(ゆうグローバルエクスプレス)「お引き受けできないもの

 

遺骨を郵送する注意点

◇遺骨は海外に郵送できない他、遺骨保証はありません

ここで少し遺骨の郵送に関する注意点をまとめましょう。
遺骨は海外に郵送できませんが、位牌なども郵送できないので注意をしてください。

 

<遺骨の郵送に関する注意点>
(1)遺骨保証はない ・郵送中の紛失に対応しない
(遺骨そのものの保障はない)
(2)セキュリティーサービス ・金銭による補償のみ
(紛失した遺骨は返らない)
(3)遺骨は捨てない ・梱包の際、遺骨は捨てない
(遺骨を処分は法律で禁止)
(4)家族・親族の合意を得る ・遺骨の郵送は新しい形

 
遺骨を郵送する際、遺骨を自宅に引き取り梱包作業などを行うことになりますが、この時に少量であっても、人の遺骨を捨てると刑法190条の遺棄罪にあたります。
私有地でも遺骨の埋葬も禁じられていますので、全てを梱包してください。

また遺骨の郵送は近年、永代供養の広がりにより人々が利用するようになった新しい形です。

家族や親族によっては、相談なく遺骨を郵送することで大変驚いたり、反対によるトラブルに発展することもあるので、まず家族や親族には相談をすると良いでしょう。

 

[参照]
・日本郵便UGX(ゆうグローバルエクスプレス)「お引き受けできないもの

 

[参照]
・日本郵便郵便物等の損害賠償制度「損害賠償の対象とならないサービス

 

遺骨をゆうパックで郵送する方法は?

遺骨をゆうパックで郵送する方法は?
◇遺骨を郵送する窓口は、普段のゆうパックと同じです

遺骨の郵送であっても扱いは通常とゆうパックと変わりはありません。
郵便局の窓口だけでなく、コンビニなどの取扱店からも郵送できるでしょう。

また、指定の場所まで郵便局員が荷物を取りに来てくれる、集荷サービスも利用できます。

 

<遺骨を郵送する窓口>
・郵便局
・コンビニなどの取扱店
・集荷サービス

 
ただしコンビニや各種取扱店から遺骨を郵送すると、セキュリティサービスが利用できません。
セキュリティサービスを利用したい場合の窓口は、郵便局のみです。

 

[Web集荷サービスのお申込み]
https://mgr.post.japanpost.jp/C20P02Action.do

 

遺骨の郵送に必要な道具

◇遺骨の郵送に必要な道具は、約1,500円もあれば揃えることができます

遺骨の郵送をする準備は、ホームセンターで揃えると良いでしょう。
郵便局でも購入できる道具で、合計1,500円もあれば揃います。

また骨壺に適した正方形サイズの段ボールは、どこでも販売している訳ではありません。
出掛ける前に確認してから、買い出しに行くと二度手間を省けます。

 

<遺骨の郵送に必要な道具>
[道具] [補足]
(1)ダンボール
(約150円/1個)
骨壷(骨箱)サイズを確認
・余裕あるサイズを選ぶ
・正方形が良い(事前に確認)
(2)ガムテープ
(約150円/1個)
粘着力の強いもの
(布製のガムテープ)
(3)緩衝材
(約1,000円/10個)
10個ほど用意する
・バラ緩衝材が良い
(まゆ玉型のもの)
(4)壊れ物シール
(無料)
陶器製の骨壷は割れやすい
・郵便局で無料で提供
(5)逆さま厳禁シール
(無料)
運送時に遺骨を逆さまにしない
・「天地無用」
(「この面を上に」)
・郵便局で無料で提供
(6)郵便伝票
(無料)
・お届け先などを記入する用紙
・郵便局で無料で提供

 
緩衝材はプチプチなどのシートタイプの緩衝材が一般的ですが、遺骨の郵送には、まゆ玉型の「バラ緩衝材」が梱包しやすく、運送時も安心です。
骨壷にピッタリサイズのダンボールであれば、10個ほど用意しましょう。

 

永代供養を依頼する場合

◇永代供養を目的として遺骨を郵送する場合は、書類が必要です

遺骨を自宅に郵送して手元供養にするなど、自分で納骨や供養を行う場合は必要ありませんが、合祀墓への委託納骨など、永代供養を目的とした遺骨の郵送であれば、送り先から必要書類が求められます。

 

●散骨であっても書類を必要とする業者が多いです。

 
寺院や霊園に遺骨を郵送して納骨をする際、手続きのための書類が必要だからです。
納骨を委託する時には、下記2点いずれかの書類を同封しましょう。

 

<永代供養に必要な書類>
[書類] [必要な場面] [補足]
①埋葬許可証 亡くなった時の納骨
(最初の納骨に必要)
・火葬場で発行
②改葬許可証 改葬時に必要
(遺骨を他の場所に移す)
墓じまい
(お墓を閉じる)
・自治体の役所
(遺骨があった地域)

 
改葬(かいそう)」とは、お墓や納骨堂に納めている遺骨を、他のお墓や納骨堂に移すことを指します。

改葬許可証」は、遺骨を納骨・埋葬していた地域の自治体で改葬許可申請を行い発行してもらいましょう。

改装許可申請には必要書類があるので、手続き前に電話などで確認をした後、用意をして窓口まで出向くと便利です。
遠方であれば郵送による手続きも受け付けてくれるでしょう。

 

 

遺骨の郵送する梱包方法

◇骨壺の蓋をしっかりと固定しましょう

骨壺の蓋には、上に持ち上げるだけで簡単に開くタイプと、回す必要があるロック式のタイプがあります。

特にロック式ではない場合は、郵送時に骨壺の蓋が開いて遺骨がこぼれてしまわぬよう、しっかりとガムテープなどで蓋を固定してから送りましょう。

 

<遺骨を郵送する手順>
[手順] [補足]
(1)骨壺の蓋を固定する ・溜まった水を取り除く
・蓋を固定する
(ガムテープや食品用ラップなどを利用)
(2)骨壺をビニール袋に入れる
(3)郵送用の箱の底にタオルを入れる
(4)③の骨壺を入れる
(5)郵送用の箱に緩衝材を入れる ・水を吸うタオルも入れると良い
(6)骨壺の周囲をしっかり固定する ・新聞などで囲んで固定
(7)書類があれば同封する (送り先に指定された書類など)
(8)郵送用の箱をしっかり閉じる
(9)ゆうパックの送り状に記入 ・品名の欄は「遺骨」
(10)シールを貼る ・割れ物シール
・逆さま厳禁シール

 
遺骨であっても扱いは通常の郵便物なので、届け先や依頼主などの欄は通常通り書いて問題ありません。

ただ品名の欄は「割れ物」などでも受け付けてくますが、「遺骨」と明記することをおすすめします。

国内間でのゆうパックによる遺骨の郵送は違法や規約違反ではありません。
遺骨と明確に記載することで、より丁寧な取り扱いが期待できます。

 

遺骨の郵送に便利な「送骨キット」

◇遺骨を郵送するための「送骨キット」も販売されています

現在では合祀墓・委託散骨など遺骨を郵送する機会が増えたため、必要なものが含まれた専用梱包キットが登場していますので、コチラを利用すると便利です。

「送骨キット」などで検索すると、約3,850円~5,000円ほどで見かけるでしょう。
専用梱包キットには、次のようなアイテムが含まれています。

 

<専用梱包キットの内容>
・骨壺サイズに合った段ボール箱
・緩衝材
・ゆうパックの送り状
・ガムテープ
・梱包の仕方(説明書)

 
専用梱包キットはサイズがいくつかに分かれており、小さいサイズもあるので注意をしてください。

遺骨の分ける「分骨」をして供養する人、喉仏のみを自宅に祀り供養する人などもいるためです。

 

 

まとめ:遺骨はゆうパックで郵送できます

まとめ:遺骨はゆうパックで郵送できます
遺骨の郵送は、国内間の郵送であれば法律的に違法ではありません

けれども遺骨の扱いは繊細なもので、損傷や紛失など問題が起きた時に対応が難しいことから、大手宅配業者も含めた、多くの業者で独自の規約により遺骨の郵送を禁じています。

そのため遺骨を郵送するなら、日本郵便のゆうパックを利用してください。
ただし遺骨には保証が付かず、セキュリティーサービスを利用したとしても、遺骨を紛失した時は、金銭の補償に限ります。

遺骨は郵送する前に骨壺の状態をメンテナンスしましょう。
水は入っていれば抜くことはもちろん、遺骨も専用業者に依頼して洗浄・乾燥してから送ると安心です。

粉骨まで済ませて送ると、よりコンパクトに手軽に送ることができます。

 

 


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