沖縄で増えた一次相続後の終活☆家とお墓、財産は母へ分配する理由とは

2022.03.03
沖縄で増えた一次相続後の終活☆家とお墓、財産は母へ分配する理由とは

昔の沖縄で、相続税対策や終活が広まったばかりの頃、二次相続まで見据え、一次相続で子ども達が遺産を多く分配された時代もありました。けれども最近では一次相続で親の分配が多い家が増えています。ではなぜ、親に多めに分配する流れが起きているのでしょうか。今回は、終活現場の声や体験談から、一次相続で親が多めに遺産を分配される理由をお伝えします。

沖縄では相続税対策を柱とした終活が増えていますよね。特に配偶者を亡くした後の相続「一次相続」後からのおひとりさま終活が目立ちます。

ひとつの家族で起きる相続は二回、夫婦が配偶者を亡くした時の一次相続と、夫婦ともに亡くなり子どもが相続をする二次相続です。

以前の沖縄…、相続対策や終活が始まったばかりの時代は、夫婦が元気なうちから二次相続まで見据えて、一次相続から子ども達に多めの財産を分配してきた時代もありましたが、最近の沖縄では一次相続で親の分配が多くなる終活活動が増えています。

ではなぜ、沖縄で一次相続時に親に多めに分配する終活の流れが起きているのでしょうか。今回は、それぞれのケースから、沖縄の相続対策の終活として、親が多めに分配される理由をお伝えします。

法定相続分に基づいた一次相続・二次相続

法定相続分に基づいた一次相続・二次相続
沖縄では一次相続後の終活が増えていますが、これは親が一次相続で相続した財産はいずれ子どもへと相続されるためです。

一次相続で受け取る時、配偶者は減税措置が取られるため相続税は0円の家が多いですが(※)、二次相続では相続税が掛かります。

※ 詳しくは別記事「【沖縄の終活】相続トラブルを防ぐ、家じまいとお仏壇じまいはどのタイミング?」などでご参照ください。

特に住み続けない空き家となった実家は、売却しなければお金にはならないなかで、評価額相当の相続税が掛かりますので、子どもにしてみると負担になるでしょう。(同居して住み続ける場合は、相続税額は軽減されますが…。)

そこで昔の沖縄では一次相続前から終活を始め、二次相続での負担を軽減する家が増えていました。

【 沖縄の相続対策を終活で☆一般的な分配 】

● では、法定相続分に基づいた一次相続の分配です。※相続税額1億5千万円(実家1億2千円/預貯金3千万円)子ども2人として、おおまかな相続税まで計算しています。

<一次相続>
(1) 親(配偶者)… 相続財産の1/2
→ 相続税額7,500万円、相続税額0円(配偶者の減税措置により)

(2) 子ども… 相続財産1/2を人数分で分配
→ 相続税額3,750万円/1人、相続税額2人で745.5万円

以上が法定相続分に基づいた分配ですが、ここで気になるのは実家(不動産財産)が1億2千万と言うところです。そのため法定相続分通りに分配しながら住み続けるためには、実家の一部を共有名義にしたり、親が子どもに差額を現金で支払わなければなりません。

もしくは沖縄の相続対策として終活を通して、実家を売却して現金化して分配し、親は小さくコンパクトな賃貸住宅に住むケースも見受けます。

近年沖縄で増えた一次相続の分配

近年沖縄で増えた一次相続の分配
けれども近年、沖縄では一次相続前の「親子終活」を通して、「一次相続の財産は全額親に」の流れが起きてきました。この方が相続税額として得なのかと言えば、そうとも限りません

けれども、最近の沖縄の相続税対策は、親子終活を進めるなかにありますので、「相続税額よりも親の暮らしを優先」した結果です。

【 沖縄の相続税対策を終活で☆子どもの相続放棄 】

● 配偶者を亡くした後、親のおひとりさま生活を充実させるため、一次相続で子ども達が相続放棄を行い、親が全額を受け取るケースが増えています。
※ 前項と同じく相続財産1億5千万円、子ども2人とした計算です。

<一次相続>
(1) 親(配偶者)… 相続財産全額
→ 相続税額15,000万円、相続税額0円(配偶者の減税措置により)

<二次相続>
(2) 子ども… 相続財産1/2を人数分で分配
→ 相続税額15,000万円/1人、相続税額2人で1,840万円

…ただし現実的には一次相続と二次相続の間に親がお金を使うことになりますので、二次相続時点での相続財産は減少していることでしょう。

この点も含めて実際には相続税の差は数十万円ほどだったりもします。ただ数百万円の差額が起きたとしても、近年ではその後の親の老後生活を第一に考える傾向が強いです。

母親の老後人生を優先する

母親の老後人生を優先する
この背景には、超高齢化社会によってシニア人生が長くなったことがありました。また一次相続(配偶者が亡くなった時)から、二次相続(夫婦とも亡くなった時)の間が長くなったこともあります。

【 沖縄で相続対策を終活で☆おひとりさまの長さ 】

● 税理士法人レガシイの調べでは2014年と古いデータにはなりますが…、

が亡くなった場合は二次相続まで17.6年
が亡くなった場合は二次相続まで10.6年

でした。

これだけの年数、老後を暮らすと考えると、二次相続まで考えた相続財産の分配よりも、老後の暮らしを優先したい、とする気持ちも分かるのではないでしょうか。

沖縄で相続対策として終活の柱にもなりやすい不動産名義も、本来であれば一次相続時に子ども名義にした方が相続税が安くなるケースも多いでしょう。

けれども同居や二世帯住宅で名義も子どもになった時、親が肩身が狭くなるなどの理由で元気がなくなった体験談も増え、敢えて親名義にする決断が増えています。

相続税対策の問題は二次相続

相続税対策の問題は二次相続
【沖縄の終活】相続トラブルを防ぐ、家じまいとお仏壇じまいはどのタイミング?」などで詳しくお伝えしてきましたが、配偶者が相続する一次相続では、よほど相続財産が膨大でない限りは、相続税が0円になる家がほとんどです。

そのため、現代の沖縄で相続対策を終活で行うとすれば、一次相続ではなく、子どもが相続する二次相続前と言えるでしょう。

残された子どものために、両親が沖縄で相続税対策を終活を通して行うとすれば、おおまかに下記のような対策があります。

【 沖縄で相続税対策を終活で行う方法 】

(1) 家のリフォームなど、不動産に掛かるコストは生前に出しておく

→ 預貯金はそのまま相続税の課税対象になるので、相続対象になる不動産に必要なリフォームや改造・改築は生前に親がコストを出して行ってしまいましょう。

※ 不動産財産も相続税の課税対象ではありますが、固定資産税評価額なので土地面積や築年数を重視することが多く、室内の細かなクオリティーに対して、大幅に評価額が上がることはありません。(評価額が下がることで、相続税や固定資産税も比例して下がります。)

(2) お墓やお仏壇など「祭祀財産」は生前に整理しておく

→ 例えば、お墓の改葬(引っ越し)をして永代供養サービスを付加したい、お仏壇じまいをして、よりコンパクトでおしゃれなお仏壇に慎重したい、などです。

※ お墓やお仏壇などの祭祀財産は相続税の課税対象にはなりません。一方で預貯金財産は相続税の課税対象ですので、生前にお金を出してお墓やお仏壇と言った「祭祀財産」にしておく方が割安になります。

(3) 生前贈与

→ 沖縄の相続税対策として終活で進めることが多いのが生前贈与ですよね。生前贈与の方法は3種類あり、賢く使い分けることで、よほど相続財産が残る家ではない限り、大きな相続税対策になるでしょう。

・暦年贈与… 子どもの名義で毎年少しずつ(年間110万円まで)贈与していく方法
・教育資金贈与… 30歳未満の孫・ひ孫へ教育資金として1,500万円/1人まで非課税
・住宅取得等資金贈与… 成人(20歳以上)の子どもが家を購入する時の贈与

…沖縄で相続対策に終活で行うことの多い、「住宅取得等資金贈与」に関しては、年度によって限度額が変わったり、住宅性能によっても違ってきますので、その時々でチェックしてください。

2016年度は非課税枠一般住宅で700万円、高性能住宅(省エネ住宅や耐震住宅など)で1,200万円でした。

今の沖縄では一次相続から終活で多めに子どもへ分配するよりも、過去のさまざまな体験談から、一次相続から二次相続の間に、以上のような対策を取るケースが増えています。

いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で近年増えた相続税対策について、親子終活を通して増えた「一次相続では親が全財産を相続」の風潮をお伝えしました。

一次相続と二次相続が10年~17年と長くなったことは、新しい風潮には大きな背景でしょう。途中で介護が必要になったとしても、充分な財産を相続していることで、老人ホームなどもより選択肢が広がります。

また一次相続から二次相続までが長いので、昔はあまり注目されなかった生前贈与「暦年贈与」も相続税対策として注目されているのも特徴です。

一年110万円までの貯蓄ですが、17年も経てば1,870万円/1人と考えると、一次相続後から始めてもそれなりに相続できるのではないでしょうか。
まとめ

一次相続で親の配分が増えた理由

・相続税対策としては親の配分が少ない方が良い家も多い
・超高齢化により老後が長くなった

●一次相続から二次相続までの間が長くなった
・夫が亡くなった場合…約17.6年
・妻が亡くなった場合…約10.6年

・一次相続から二次相続までに使うお金も増えた
・二次相続までにできる相続税対策を行う
・寿命が延びて暦年贈与も相続税対策の柱になり得る


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