・お彼岸にいただく食べ物は?
・お彼岸のおはぎはいつ食べる?
・お彼岸にお赤飯を食べるのはなぜ?
・お彼岸に控えたいタブーの食べ物は?
全国的に?お彼岸の食べ物と言えばおはぎ(ぼたもち)ですよね。
ただお彼岸の食べ物は彼岸そばや彼岸だんごなど、他にもたくさんあります。
2023年、秋のお彼岸は9月20日(水)~9月26日(火)、本記事を読むことでお彼岸の食べ物やいただくタイミング、お彼岸時期に控えたい食べ物が分かります。
沖縄のお彼岸のお供え物や食べ物にも触れていますので、どうぞ最後までお読みください。
お彼岸の食べ物の役割とは?
◇あの世と繋がるお彼岸には、邪気祓いやご先祖様と繋がる食べ物をいただきます
春と秋のお彼岸とは、春分の日・秋分の日を中心とする前後3日間、合計7日間の期間です。
春分の日と秋分の日は太陽が赤道線に到達する日で、真東から昇り真西に沈みます。
沖縄ではニライカナイ、全国では西方浄土と呼ばれますが、真西の方向には「此岸(あの世)」があると信じられてきました。
<お彼岸の食べ物とは?> | |
[お彼岸とは] | ・ご先祖様供養 ・仏道の修行 ・季節を捉える「雑節」 |
[お彼岸の食べ物とは] | ・お供え物 ・ご先祖様とのご縁を繋ぐ ・悪霊祓い ・季節を感じる食べ物 ・精進料理 |
お彼岸自体は日本独自の年中行事で、インドなど他の国では見られないものです。
けれども日本では寺院でも「彼岸会(ひがんえ)」を開催する仏教行事として根付いています。
神仏習合の日本では、仏教と古来太陽信仰がミックスされたことが由来ですが、全国的に仏教行事として、お彼岸の食べ物は精進料理が中心です。
・【沖縄の春彼岸】仏前で彼岸に行う「六波羅蜜」とは?意味と行い方を分かりやすく解説!
お彼岸の「雑節」とは
◇「雑節(ざつせつ)」とは、季節の移り変わりを捉える暦です
お彼岸は太陽が赤道線に達する春分の日・秋分の日を軸としているため、お彼岸を境に春は暑く、秋は寒くなります。
日本では季節を感じる暦として、二十四節気や五節句がありますが、より的確に季節を感じる節目として、雑節が設けられました。
<日本の「雑節」> | ||
[雑節] | [内容] | [時期] |
[節分] (せつぶん) |
・立春の前日 | ・2月3日頃 |
[彼岸] (ひがん) |
・春分と秋分をそれぞれ中日とする7日間 | ・3月20日頃 ・9月20日頃 |
[社日] (しゃにち) |
・春分と秋分に最も近い戊の日 | ・3月20日頃 ・9月20日頃 |
[八十八夜] (はちじゅうはちや) |
・立春から88日目 | ・5月2日頃 |
[入梅] (にゅうばい) |
・立春から135日目 | ・6月11日頃 |
[半夏生] (はんげしょう) |
・夏至から11日目 | ・7月2日頃 |
[土用] (どよう) |
・立春、立夏、立秋、立冬の前各18日間 | |
[二百十日] (にひゃくとおか) |
・立春から210日目 | ・9月1日頃 |
[二百二十日] (にひゃくはつか) |
・立春から220日目 | ・9月11日頃 |
この時期は季節を捉える「雑節」の季節を愛でる、季節の移り変わりを感じる行事でもあるため、お彼岸の食べ物は「季節を感じる食材」がふんだんに使われます。
2023年秋のお彼岸日程は?
◇2023年秋のお彼岸は、9月20日(水)~9月26日(火)です
お彼岸は沖縄と全国で同じ日程ですが、毎年2月に国立天文台が発表する「暦象年表」に基づき設定されるため、正確な期間は毎年少しずつ変わります。
<2023年、秋のお彼岸日程> | |
[彼岸入り] | ・2023年9月20日(水) |
[秋分の日] | ・2023年9月23日(土) |
[彼岸明け] | ・2023年9月26日(火) |
全国的にはお彼岸の食べ物をなぞらえた「入りおはぎに明け団子、なかの中日の小豆飯」との唄があり、お彼岸の時期によっていただく食べ物がある地域も多いです。
・2023年沖縄の秋彼岸は9月20日(水)~9月26日(火)。秋彼岸の3つの過ごし方
お彼岸の食べ物とは?
◇お彼岸の食べ物は「入りおはぎに明け団子、なかの中日の小豆飯」です
お彼岸の食べ物といえばおはぎですよね。
おはぎはもち米を半分ついておにぎりにした後、あんこで包みます。
お彼岸にあんこをいただくのは、あの世とこの世が通じるお彼岸に、邪気祓いの「赤い食べ物」である小豆をいただいて、祓うとされました。
(1)お赤飯
(2)彼岸そば・彼岸うどん
(3)精進料理
(4)季節の食材
(5)寿司
(6)彼岸だんご
(7)おはぎ(ぼたもち)
「入りおはぎに明け団子、なかの中日の小豆飯」は、昔からお彼岸の食べ物について歌われてきた言葉です。
彼岸の入りにおはぎ(ぼたもち)、彼岸明けには団子、春分の日・秋分の日にあたる中日には小豆飯をいただく、ことを歌っています。
お彼岸の食べ物(1)お赤飯
◇お赤飯の小豆の「赤」が魔を祓う、邪気を祓います
また沖縄で秋のお彼岸の食べ物にお赤飯をいただくのは、神様へお米の収穫を感謝する「収穫祭」としての役割もあるでしょう。
沖縄では米の収穫祭としても拝まれてきたので、小豆ともち米のおこわ「赤カシチー(強飯)」と呼ばれる赤飯を供える家もあります。
・邪気祓い
・厄除け
・お祝い
今ではお赤飯も簡単に炊飯器で作れるようになりました。
茹で小豆なども販売しているので、下ごしらえのいらない小豆を利用するのも良いですね。
炊飯器で作るお赤飯の目安として、下記もご参照ください。
[材料]
・もち米…2.5合
・小豆…50g
・酒…大さじ1
・塩…小さじ1
お彼岸は彼岸入り~彼岸明けまで、7日間に掛けて行われるため、家族でお赤飯を食べ終えると、続いて季節の食材でおこわを炊く家も見受けます。
お赤飯が終わったら栗ご飯をいただく、もしくはお赤飯の代わりに栗ご飯をいただく家もあるでしょう。
お彼岸の食べ物(2)彼岸そば・彼岸うどん
◇彼岸そば(うどん)は、先祖代々の御縁を繋ぐお彼岸の食べ物です
お彼岸の食べ物には「彼岸そば・彼岸うどん」があります。
本州でも地域によってさまざまですが、大まかに東日本エリアで彼岸そば、西日本エリアで彼岸うどんが多いでしょう。
もともと東日本ではそばが多く食され、西日本ではうどんが多いため、このように分かれるのではないでしょうか。
<お彼岸の食べ物:彼岸そば・うどん> | |
[ご先祖様との繋がり] | ・ご先祖様から続く血筋 ・ご縁を繋ぐ |
[季節の変わり目] | ・五臓六腑を清める |
お盆ではご先祖様と繋ぐものとして「素麺(そうめん)」を供える、いただく風習がありますが、これがより太くなったイメージですよね。
ただお彼岸の食べ物は精進料理に添っているので、上の乗せる具には気を付けます。
<彼岸そば・うどんの具> | |
[タブー] | ・肉・魚は控える (殺生をイメージする) |
[おすすめ] | ・季節の野菜 ・キノコの天ぷら (季節を感じる) |
キノコや秋野菜の天ぷらの代わりに、油揚げを乗せることもあります。
きつねそば・うどんなども美味しいですね。
お彼岸の食べ物(3)精進料理
◇仏道修行の7日間ともされるお彼岸は、精進料理をいただきます
ただ沖縄ではお彼岸のお供え物、重箱料理のご馳走「ウサンミ(御三味)」でも、豚の三枚肉の煮付けを供えるため、昔からあまり気にする家は少ないです。
全国的には精進料理をいただくとされてきました。
「精進料理は味気ないのでは?」との声もありますが、季節野菜やキノコの天ぷらなど、なかなか豪華です。
<お彼岸の食べ物(3)精進料理> | |
[おすすめの食材] | ・野菜 ・麦 ・穀物 ・昆布 ・キノコ類(どんこなど) |
[タブーの食べ物] | ・肉 ・魚 |
精進料理では殺生をイメージさせる肉や魚を一切いただきません。
そのためお出汁を取る時にも、どんこ(キノコ)や昆布などを使用します。
精進料理は「7日間も続けて精進料理なんてパワーが出ない!」との声も多くです。
そこで下記日程の夜ご飯を精進料理にする家も見受けます。
・彼岸入り
・秋分の日
・彼岸明け
このような機会に、精進料理ではなくとも天ぷらなどの御馳走をいただきに、祖父母と一緒に外食する家庭も多いです。
お彼岸の食べ物(4)季節の食材
◇雑節のひとつであるお彼岸は、季節の食材をふんだんにいただきます
精進料理では、季節を感じる食材をいただきます。
秋のお彼岸では、なすやキノコの天ぷらが人気です。
このような季節を感じる野菜で揚げた精進料理を「精進揚げ」と言います。
<お彼岸の食べ物(4)季節の食材> | |
[秋の精進揚げ] | ・ナス ・キノコ ・かぼちゃ ・さつまいも ・蓮根(れんこん) |
[春の精進揚げ] | ・タラの芽 ・たけのこ |
[定番の天ぷら] | ・大葉 ・野菜のかき揚げ |
この他ピーマンなども人気ですね。
衣は薄力粉大さじ5に片栗粉大さじ4、冷水を100ccの分量が丁度良いです。
天ぷらの出しもどんこや昆布など、動物由来の鰹節などを避けて作ります。
お彼岸の食べ物(5)寿司
◇ちらし寿司など、肉や魚を用いないお寿司をいただきます
沖縄でお彼岸の食べ物と言えば重箱料理のウサンミ(御三味)ですが、沖縄では近年ではちらし寿司を振る舞う家も増えました。
肉や魚を避けるため、おいなりさん(いなり寿司)など、肉や魚を用いなくても美味しくいただけるものを作ります。
・いなり寿司
・五目寿司
・巻き寿司
ただ日ごろからスーコー(焼香)でもお肉を供えてきた沖縄では、「お彼岸に肉や魚を使わない!」とは、あまり気にしていない家が多いでしょう。
全国的にもお彼岸だからと精進料理にこだわらなくなってきています。
お彼岸の食べ物(6)彼岸だんご
◇お彼岸の食べ物には「彼岸だんご」も知られています
彼岸の入りから春分の日・秋分の日までのおだんごを「入りだんご」、春分の日・秋分の日から彼岸明けまでのおだんごが「明けだんご」です。
<お彼岸の食べ物(6)彼岸だんご> | |
[意味] | ・ご先祖様へのお土産 ・丸いだんご (ご先祖様がころがして持ち帰る) ・意志を貫く (串で刺す場合) |
[供え方] | ●地域で違う ・白いだんごを積み重ねる ・三食団子を串に刺す ●個数は奇数個 ・3個 ・6個 ・7個 |
[タイミング] | ●お彼岸の最終日 ・お供え物を下げていただく (ウサンデー) |
お彼岸の食べ物を歌う時は「入りのおはぎに明け団子、中の中日に小豆飯」と歌われるため、広くは彼岸明けに仏壇からおろしていただくおだんごが多いでしょう。
ピンク・白・ヨモギ色の三食だんごを供える地域では、自然(生命)・空・大地を表すとされます。
また串に刺すことで、(故人の)遺志・(己の)意思を貫く、などの意味があるとされてきました。
お彼岸の食べ物(7)おはぎ
◇お彼岸のおはぎは邪気祓いの他、お祝いの意味もあります
あの世(彼岸)とこの世(此岸)が交差するとされるお彼岸は、ご先祖様だけではなく悪霊や無縁仏も降りてくると言われてきました。
そのため邪気祓いの効力があるとされる小豆は、お彼岸を通してお赤飯や小豆粥、おはぎなど、あらゆる調理法でいただく風習があります。
ただ小豆は邪気祓い以外にも、五穀豊穣の象徴としても供えられてきました。
・米の収穫祭と五穀豊穣祈願
・お祝い
・邪気祓い
おはぎは全国的な風習で、沖縄では「赤おこわ」の意味がある「赤カシチー」と呼ばれるお赤飯を供えてきました。
ただ、最近ではコンビニやスーパーのお惣菜コーナーなどでもおはぎが販売されるようになっています。
簡単に楽しむおはぎの作り方
◇炊飯器やあんこの缶詰で、手軽におはぎが作れます
おはぎは小豆を柔らかく茹でる工程が大変ですが、今では小豆の缶詰も販売されているので、賢く利用して親子で楽しむクッキングにおすすめです。
もち米も炊飯器を上手に利用して、簡単に作れますので、おはぎに使うもち米の割合をご紹介します。
<手作りおはぎ(10~15個)> | |
[もち米のおにぎり] | ・もち米:うるち米…1合:0.5合 ・水2合 ・お塩(ひとつまみ) |
[あずき] | ・茹で小豆缶…1缶 (小豆缶を丁度良い水分まで煮詰める) |
小豆缶は水分が多く、もち米のおにぎりに包むには緩いものもあります。
この場合、一度鍋に取って火にかけ、適度な水分量まで、水を飛ばしてみてください。
お彼岸の食べ物:おはぎとぼたもち
◇春のお彼岸には「ぼたもち」、秋のお彼岸は「おはぎ」です
ぼたもちもおはぎ、どちらももち米で炊いたお米を、茹でた小豆でくるむお供え物ですが、供える時期によって違います。
<お彼岸の食べ物:おはぎとぼたもち> | ||
[種類] | [漢字] | [季節] |
●おはぎ | ・お萩 (萩の葉から) |
・秋のお彼岸 |
●ぼたもち | ・牡丹餅 (牡丹の花から) |
・春のお彼岸 |
その昔、他県ではもち米を炊き上げると、娘やお母さん、祖母など、家の女性が皆で台所に集まり、おしゃべりをしながら作ったものでした。
それでも楽しみのひとつだったのかもしれません。
おはぎ(お萩)の特徴
◇「おはぎ」は、秋の七草「萩(はぎ)」から取った名前です
秋のお彼岸にいただく食べ物「おはぎ(お萩)」は秋にいただきます。
秋の七草のひとつ「萩(はぎ)」の花の名前を取り、「おはぎ(お萩)」です。
秋は丁度小豆が収穫されたばかりの時期です。
そのため美味しく新鮮な小豆をそのままいただくため、あまりすり潰さずに粒あんでもち米を包みます。
<秋のお彼岸の食べ物:おはぎの特徴> | |
[名前の由来] | ●おはぎ(お萩) ・秋に咲く「萩の花」 |
[あんこ] | ・粒あん (収穫仕立てなため) |
[形] | ・ひし形に整える (萩の花に見立てる) |
収穫したての小豆はまだまだ側の表面が柔らかいので、あまりすり潰さずに粒あんにしても充分に美味しいのです。
ぼたもち(牡丹餅)の特徴
◇「ぼたもち」は、春の花「牡丹(ぼたん)」から取っています
春のお彼岸では春の花である「牡丹(ぼたん)」の名前を取り、「ぼたもち(牡丹餅)」と呼ばれるようになりました。
秋に収穫した小豆をひと冬貯蔵し、春の訪れを感じ始める頃、春彼岸は訪れます。
小豆の皮が固くなってしまい、その昔は粒あんにすると味が落ちていました。
<春のお彼岸の食べ物:ぼたもちの特徴> | |
[名前の由来] | ●ぼたもち(牡丹餅) ・春に咲く「牡丹の花」 |
[あんこ] | ・こしあん (貯蔵したあんこをすり潰す) |
[形] | ・大きく丸くぽってり整える (牡丹の花に見立てる) |
ただ現代の沖縄で秋彼岸に販売されている「おはぎ」にも、こしあんの「ぼたもち」をしばしば見受けます。
これは現代は季節に関係なく、こしあんが好きな人々が多いからかもしれません。
まとめ:お彼岸の食べ物はおはぎ、そばやだんごなどもあります
お彼岸は太陽が赤道線に到達する、春分の日・秋分の日を中日とした前後3日間、合計7日間の期間です。
この時期はあの世(彼岸)とこの世(此岸)が交差するとされ、確かに悪霊や無縁仏、浮遊霊へのお祓い行事もあったでしょう。
ただ私達はその昔から、懐かしい・恋しい故人や、ご先祖様に会いにお墓参りに行きました。
今でもお彼岸時期に「故人の夢を見た」などと話す人を見受けます。
ご先祖様供養、仏道への道として、お彼岸の食べ物を楽しみながら、あの世とこの世が交わる1週間に参加してみてはいかがでしょうか。
まとめ
お彼岸の食べ物とは
[お彼岸の食べ物]
(1)お赤飯
(2)彼岸そば・彼岸うどん
(3)精進料理
(4)秋の野菜、キノコ料理
(5)寿司
(6)彼岸だんご
(7)おはぎ[おはぎとぼたもち]
[役割]
・米の収穫祭と五穀豊穣祈願
・お祝い
・邪気祓い[おはぎ]
・萩の花から「お萩」
・粒あん
・萩の花を模してひし形[ぼたもち]
・牡丹の花から「牡丹餅」
・こしあん
・牡丹の花を模してぽってり