【図解!】沖縄の旧盆で重箱の並べ方に決まり事は?おかずをキレイに詰めるコツも紹介!

【図解!】沖縄の旧盆で重箱の並べ方に決まり事は?おかずをキレイに詰めるコツも紹介!

2024.05.19

旧盆など沖縄の旧暦行事に重箱は欠かせませんよね。「ジューバク(重箱)」とも呼ばれ、沖縄の法要「スーコー(焼香)」まで、あらゆる儀礼で供えられてきました。本記事を読むことで、沖縄の重箱料理を供える際の並べ方、キレイに詰めるコツが分かります。

・沖縄の旧盆で供える重箱とは?
・沖縄で重箱の並べ方に決まり事はある?
・重箱料理をキレイに詰めるコツは?

旧盆やシーミー(清明祭)など、沖縄の旧暦行事に重箱料理は欠かせませんよね。
「ジューバク(重箱)」やこの世のご馳走「ウサンミ(御三味)」とも呼ばれ、沖縄の法要「スーコー(焼香)」まで、あらゆる儀礼で供えられてきました。

沖縄で御仏前や墓前に重箱料理を供える際、並べ方に決まり事がいくつかあるのはご存じでしょうか。

本記事を読むことで、沖縄の重箱料理を供える際の並べ方が分かります。
後半では沖縄の重箱料理をキレイに詰めるコツなどもご紹介していますので、どうぞ最後までお読みください。

 

沖縄で旧盆の重箱料理を準備する

沖縄旧盆、重箱料理に詰めるおかず
◇沖縄で重箱料理はお供え物の定番です

沖縄では旧盆やシーミー(清明祭)などの旧暦行事の他、全国的な法要を意味する供養行事「スーコー(焼香)」でも欠かさず重箱料理を供えてきました。

沖縄の重箱には天・地・海と、この世のご馳走「ウサンミ(御三味)」を、縁起の良い奇数品目をキッチリ詰めます

 

<沖縄のお供え重箱とは>
①重箱料理 ・おかず重
・もち重
②定番おかずがある ・昆布
・かまぼこ(赤・白)
・カステラかまぼこ
・豚肉の三枚肉の煮付け
③品数は奇数 ・奇数の品目
・奇数の数

 
沖縄で御仏前に重箱料理を供える際には、初めてのおかずを意味する「ウハツ(御初)」を取り分けます。

重箱からおかずを取り出してひっくり返し、重箱の上に置くことで、ご先祖様へウハツを供えたことになるでしょう。
現代ではウハツを小皿に取り分けて供える家も増えました。

また、沖縄の旧盆では最終日の「ウークイ(御送り)」で、重箱料理を供えます。
夕方頃から重箱料理を供えたら、ウークイ(御送り)の儀式を済ませると良いでしょう。

 

 

沖縄の重箱料理はおかず重ともち重

◇沖縄の重箱料理は、おかず重ともち重が対になっています

沖縄の重箱料理は、おかず重ともち重が一対になっているため、「おかず2重+もち2重」の合計4重、もしくは「おかず1重+もち1重」の合計2重のいずれかが一般的です。

沖縄では、この重箱料理の数え方を「チュクン(両方)」「カタシー(片方)」と呼び訳します。

 

<チュクン・カタシーとは>
[呼び方] [重箱の数]
①チュクン
(両方)
・「おかず重+もち重」2組(合計4重)
②カタシー
(片方)
・「おかず重+もち重」1組(合計2重)

 
どちらで準備するかは、その儀礼で集まる人々の規模で異なります。
身内のみで行う行事ならば2重のみで良いですし、親族が大勢集まるならば4重を用意すると良いでしょう。

近年では仏壇じまいや仏壇交換によりコンパクトな仏壇が増え、カタシー(片方)を供える家庭も増えています。

 

沖縄の重箱料理の詰め方

重箱料理は「奇数」品目
◇沖縄の重箱料理は、定番おかずの定位置があります

沖縄の重箱料理で欠かせないおかずは、赤かまぼこ・豚肉の三枚肉の煮付け・昆布・カステラかまぼこなどです。

この沖縄の重箱料理の定番おかずには、それぞれ詰める場所に決まり事があります。
昆布や豚の三枚肉の煮付けの位置により、並べ方も変わるので注意をしてください。
下記は沖縄の重箱料理で最も多い、品数9品として定位置をご紹介しています。

 

<沖縄の重箱料理:詰め方>
[おかず] [定位置]
①昆布 ・中央上段(奥側)
②かまぼこ(赤・白) ・中央
③豚の三枚肉の煮付け ・中央下段(手前側)
④カステラかまぼこ ・右上段(奥側)

 
現代はカステラかまぼこを省略する方も少なくありあませんが、中央列の上段から昆布・かまぼこ・豚の三枚肉の煮付け、の3品と詰める位置は定番です。

いずれも沖縄では旧盆などが近くなると、スーパーで販売しているでしょう。
豚の三枚肉の煮付けや昆布は、家で煮付ける方も多くいます。

 

 

慶事と弔事に注意をする

◇沖縄の重箱料理は慶事と弔事でおかずや詰め方が変わります

仏教に倣った全国的なお供え物の精進料理とは違い、沖縄では慶事・弔事に関わらず豚肉料理を供えますが、慶事と弔事では供えるおかずや詰め方が違うので注意をしてください。

沖縄では旧盆やシーミー(清明祭)などの旧暦行事は慶事として重箱料理も準備しますが、「あの世の正月」と呼ばれるお墓参り行事「ジュールクニチー(十六日祭)」などは弔事です。

 

<沖縄の重箱料理:慶事と弔事の違い>
[おかず] [慶事と弔事の違い]
①かまぼこ 慶事…紅かまぼこ
弔事…白かまぼこ
②昆布 慶事…結び昆布
弔事…返し昆布
③豚の三枚肉の煮付け 慶事…豚肉の皮が下
弔事…豚肉の皮が上
④おもち 慶事…あんこや色付きも良い
弔事…あんこなし白もちのみ

 
沖縄の旧暦行事ではお祝い事が多いものの、重箱料理を供える際には慶事か弔事か、一度確認をしておくと良いでしょう。

また弔事で供える重箱料理には、おめでたい席で振る舞われるターンム(田芋)やベニイモ(紅芋)なども控えます。

現代では子ども達も喜ぶエビなどを詰める方もいますが、こちらも弔事ではタブーです。
この他、沖縄の重箱料理における慶事と弔事の違いについては、下記コラムをご参照ください。

 

 

沖縄で重箱料理の並べ方

沖縄で供える重箱料理の基本的な特徴
◇沖縄の重箱料理は、一列でも重ねても良いです

沖縄で重箱料理を供える時には、一般的には一列に4重を並べます
けれども供えるスペースが狭いなど、状況によって重箱を重ねて供えたり、奥と手前に2列で並べて供える方もいるでしょう。

特におかず重ともち重が合計で4重になるチュクン(両方)では、いくつかの並べ方がありますが、それぞれに決まり事があります。

 

<沖縄で重箱料理を供えるパターン>
①カタシー(片方)一列
②チュクン(両方)一列
③チュクン(両方)二列
④チュクン(両方)二段
(重箱を重ねて供える)

 
沖縄での基本的な重箱料理の並べ方は、家族から見た時、向かって左側がもち重です。
おかず重は前述したように、基本的に5品・7品・9品・11品などの奇数品目を詰めます。

ただ沖縄の旧盆にまだ慣れていないのであれば、重箱料理の並べ方にある程度の決まり事もあるので、並べ方が分かりやすく判断しやすい9品がおすすめです。

9品と言われると品数が多いですが、かまぼこやカステラかまぼこもはいっています。
また重箱料理の注文受付も見受けますが、手作りの他、スーパーなどでは総菜のみが販売されていることも多いので、利用してみてはいかがでしょうか。

 

①カタシー(片方)一列

①カタシー(片方)一列
◇向かって左側がおかず重、右側にもち重です

沖縄で重箱2重のカタシー(片方)供える場合、仏壇やお墓に向かって左側がおかず重、右側がもち重で並べます。

沖縄旧盆のお供えで重箱料理を詰める時、昔ながらの風習としては、中央にかまぼこ、その上に昆布、下には豚肉が入ります。
そこで供える時のポイントは、「豚肉がお仏壇側と拝む側のどちら側にあるか」です。

 

<①カタシー(片方)一列の並べ方>
①向かって左から順番に ・おかず重
・もち重
②おかずの向き ・豚肉が奥
(仏壇・お墓側)

 
豚肉がお仏壇側にあると言うことは、お仏壇(ご先祖様)から見た供え方になっています。
重箱料理におかずを詰める時には、ご先祖様の位置から詰めると良いでしょう。
(詳しくは後ほど「沖縄の重箱料理をキレイに詰めるコツ」でお伝えします。)

 

②チュクン(両方)一列

②チュクン(両方)一列
◇向かって左側からおかず重、もち重の繰り返しです

チュクン(両方)を供える場合、おかず重箱2重ともち重2重の合計4重になります。
大きなお墓の墓前に供える時など、供えるスペースに余裕がある場合は、全ての重箱のおかずが見えるよう、一列に並べて供えると良いでしょう。

この際、おかず重ともち重でまとめずにカタシーでの並べ方を繰り返すように、交互に供えてください。

 

<②チュクン(両方)一列の並べ方>
①向かって左から順番に ・おかず重
・もち重
・おかず重
・もち重
②おかずの向き ・豚肉が奥
(仏壇・お墓側)

 
おかず重と同じように、もち重もご先祖様から見て美しく配膳されるように整えます。
おもちの一番うえがキレイに見えるよう、重ねるように詰めてください。

 

③チュクン(両方)二列

③チュクン(両方)二列
◇奥側はご先祖様へ向けて、手前は家族に向けて並べます

沖縄旧盆のお供えでは、仏間やお仏壇の幅が小さいなど、供えるスペースがあまり大きくない時に二列で供えることもあるでしょう。

このような場合、奥側にあるお仏壇・お墓側に並べる重箱料理は、ご先祖様から見た配置でカタシー(片方)と同じように並べます。
一方、手前の重箱料理は家族から見た配置で並べるのが基本です。

 

<③チュクン(両方)二列の並べ方>
①奥
(仏壇・お墓側)
・向かって左側…おかず重
・向かって右側…もち重
・豚肉が奥側(仏壇・お墓側)
②手前
(家族側)
・向かって左側…もち重
・向かって右側…おかず重
・豚肉が奥(家族側)

 
これはご先祖様とこの世に生きる家族が、お供え物を共食するための並べ方です。
ただしこの世とあの世には隔たりがあり、その境界線は鏡のようだとされます。

そのためあの世とこの世の区別をハッキリとするために、沖縄では二列に供える際の重箱料理の並べ方は、左右上下が交互に配置される「逆向き(さかむき)」で並べられてきました。

 

④チュクン(両方)二段

④チュクン(両方)二段
◇沖縄で重箱料理を重ねる時は、カタシー(片方)と同じです

沖縄旧盆でお供えスペースが狭いなどの場合、チュクン(両方)を用意しても重ねて供えることがあります。

このような場合は基本的にカタシー(片方)の向きと変わりはありません。
ただ、もち重はもち重で重ね、おかず重はおかず重で重ねる家が多いでしょう。

 

<④チュクン(両方)二段の並べ方>
①重箱の重ね方 ・もち重ともち重で重ねる
・おかず重とおかず重で重ねる
②重箱の並べ方 ・向かって左側…おかず重
・向かって右側…もち重
③おかずの向き ・豚肉が奥(仏壇・お墓側)

 
家によっては重箱に家紋が付いているものもありますが、この場合は家紋をお仏壇(ご先祖様)向けにして供えてください。
(そのため、豚肉は家紋側に詰めることになります。)

チュクン(両方)を一列で供えるイラストと同様、カタシー(片方)やチュクン(両方)の二段でも、お箸やウチカビ(打ち紙)を乗せます。

 

 

沖縄の重箱には、詰め方がある!

沖縄の重箱料理:慶事の特徴
◇沖縄の重箱料理は賽の目のようにキッチリ詰めます

行楽弁当などとは違い、沖縄の旧盆などで供える重箱料理は定番おかずがあり、それぞれキッチリと賽の目のように詰められるよう、長さや大きさが一定です。

 

●反対に言えば、ゴボウや大根、厚揚げや芋などの形を整えやすい食材で調理します。

 
また沖縄では弔事のスーコー(焼香)であっても、肉や魚を供えますが、このような食材でも白身魚などの長さを揃えやすい食材を選ぶと良いでしょう。

沖縄の重箱料理の中央には赤かまぼこ(慶事)、もしくは白かまぼこ(弔事)を詰めますので、このかまぼこ板の長さを目安に、食材を準備すると便利です。

 

①おかずの長さを揃える

◇沖縄の定番おかずは長さを揃えます

沖縄で供える重箱料理は、おかずを賽の目のようにキッチリ詰めるため、まずおかずの長さを計って調理することが大前提です。

最もキレイに詰めやすおかず品目9品の場合、重箱の一辺を三等分した長さを計ります。
そして厚手の紙で型紙を作るなどして、食材の長さを揃えて調理すると便利です。

昔ながらの沖縄の重箱であれば、ある程度大きさが決まっているため、沖縄のスーパーなどに行くと、重箱に詰めやすい長さにカットされた冷凍の魚なども販売されているでしょう。

 

②おかずを詰める順番

沖縄の重箱料理:弔事の特徴
◇重箱の四隅から中央、残りを埋める順番が詰めやすいです

沖縄で供える重箱料理のおかずをキッチリ詰めるのは、案外難しいこともあるでしょう。
そのため昔ながらの沖縄の重箱料理は、ある程度、定番おかずそれぞれの位置や、詰める順番がありました。

 

<おかずを詰める順番>
[順番と詰める位置] [定番おかず]
①右上 ・カステラかまぼこ
②左上 ・白身魚の天ぷらなど
③左下 ・厚揚げの煮物など
④右下 ・ねじりこんにゃくなど
⑤中央 慶事…赤かまぼこ
弔事…白かまぼこ
⑥中央上 慶事…結び昆布
弔事…返し昆布
⑦中央下 ●豚の三枚肉の煮付け
慶事…豚の皮が下
弔事…豚の皮が上
⑧空いたスペース
(中央段の右側・左側)
・ごぼうの煮付け
・大根の煮付け
など

 
沖縄では弔事でも豚肉を供えますが、それでもご先祖様から遠い場所に配置するとされるため、中央列の「昆布・かまぼこ・豚の三枚肉の煮付け」の並びを変えることは、ほとんどありません。

けれどもそれ以外のごぼうや大根の煮付けなどは、家族の好みや家によって違うでしょう。
漁師町ではもずく天ぷらなど、さまざまです。

 

③おもちは斜めに倒す

◇おもちは重ねるように斜めに倒します

沖縄の旧盆などで重箱料理を供える際、ご先祖様の位置からおかずを詰めます
そのためおかずを詰めている段階では、供える際の並べ方とは反対になり、向かって左側がもち重、右側がおかず重になるでしょう。

 

●この並びで一番上のおもちが丸く見えるように、おもちを重ねて斜めに倒します

 
おもちもおかずと同じように、縁起の良い陽数である奇数個を詰めてください。
奇数であれば何個でも構いませんが、3列×3段の9個、3列×5段の15個が並べやすいです。

 

まとめ:沖縄の重箱料理は残さないよういただく

沖縄の旧盆、重箱料理の基本
旧盆やお墓参り行事のシーミー(清明祭)など、沖縄の旧暦行事で供える重箱料理は、供えた後しばらくしてからお供え物を下げ、家族で美味しくいただきます

これを沖縄では「ウサンデー」と言い、その語源はお供え物をいただく「うさげる」です。
お供え物を下げる時には、ご先祖様へ「ウサンデーサビラ(下げさせていただきます)」と、ひと声かけてから下げましょう。

また沖縄の重箱料理のおかずは「ウサンミ(御三味)」とも呼ばれ、天・地・海で育つこの世の尊い食べ物であり、できる限り残さないように努めます。

特に白もちは現代、残ってしまいがちですが、全国的なおもちと同じように、きな粉にまぶしたり、焼いたり、揚げても美味しくいただけるので、さまざまにアレンジしてみてはいかがでしょうか。

冷凍することで、長くゆっくりと楽しめますので、どうしても食べきれない時は冷凍も検討してみてください。

 

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