突然喪主になった時、沖縄の葬儀でまず気になるのは服装マナーですよね。どのような状況でも、一日でも長く生きて欲しいと願うご遺族にとって、訃報は突然訪れるものです。
昔ながらの沖縄の葬儀では、服装マナーも地域の人々に相談することができましたが、特に那覇市や浦添市など都心部になると、本州式の一般葬や家族葬も増え、個々の家で執り行う葬儀も増えたために、相談できる相手が少なくなった…、などの声もあります。
そこで今回は、沖縄の葬儀で喪主が配慮したい服装マナーを、本州式の葬儀を含めてお伝えします。
喪主が着る、お通夜の服装マナー
沖縄のお通夜や葬儀では、服装マナーは比較的緩い傾向にありますが、那覇市や浦添市の都心部などでは、沖縄でも本州式のお通夜や葬儀が増え、服装マナーも変化しつつあります。
男性であれば沖縄の場合、お通夜も葬儀も服装マナーは、黒のかりゆしと黒ズボンで問題はありません。ただ、故人やご遺族の仕事先や弔問客によって、ある程度は配慮した方が、良いでしょう。
【 沖縄の葬儀。お通夜での服装マナー 】
(1) 男性 … 基本的には黒のかりゆしに光沢のないマットな黒のズボン、黒靴下に、こちらも光沢のないマットな黒の革靴であれば、沖縄ではお通夜も葬儀も問題はありません。
→ ただ本州のお通夜や葬儀に倣うのであれば、お通夜はブラックスーツ、もしくは濃紺や深いグレーなど、地味な色味のダークスーツを着てください。ネクタイはマットな無地の黒、足元も光沢のない黒の革靴を選びます。
(2) 女性 … 女性の場合も黒のアンサンブル・ワンピース、もしくはツーピースが良いですが、時間的に間に合わなければ、地味な色合いのワンピースやアンサンブルでも良いです。
→ 沖縄では滅多にありませんが、仮にお通夜に女性が和装を選ぶのであれば、喪服でなくても構いません。ただ黒の帯、無地の地味目な色目の着物を選びます。柄があっても地味な細めの縞でしょう。
双方とも沖縄のお通夜や葬儀での服装マナーは、基本的に黒×白で統一し、同じ黒・白であっても、透け感のある素材や、光沢のある素材は避けます。
女性はアクセサリーなどの装飾物は全て外し、パールのみが身に付けられますが、パールであっても二連はタブーです。髪の毛は後ろにひとつに束ね、ストッキングはマットな黒かナチュラルな肌色を選びます。
もちろん、沖縄のお通夜や葬儀で男性の服装マナーでも、装飾物は避けてください。なかでも最も見落としがちなポイントが、足元でしょう。
【 沖縄のお通夜や葬儀、男性の服装マナー。足元 】
● 理想的な足元は、「マットな黒の内羽根付きストレートチップ」です。続いて、プレーントゥでも良いでしょう。ただし、ウィングチップは遊び心がありすぎますので、避けてください。
→ 内羽根付きとは、紐を結ぶ部分が内側に縫い込まれているものです。紐を結ぶ部分が外に出ている革靴は「外羽根付き」となります。
ウィングチップは縫い柄が付いているタイプです。ストレートチップは◎、プレーントゥは〇、ウィングチップは×、と捉えると良いでしょう。いずれも光沢のないマットな黒、シルバーでもゴールドでも、装飾物は避けてください。
喪主男性が着る、沖縄葬儀の服装マナー
南国で気候も温かい沖縄の葬儀では、喪主男性の服装マナーであっても、「ブラックかりゆし+ズボン」の組み合わせでも問題はありません。
ただ沖縄であっても本州式の葬儀として、喪主男性の服装マナーを整えるのであれば、略式にはなりますがブラックスーツで整えると良いでしょう。
【 沖縄の葬儀、喪主男性の服装マナー 】
(1) 黒のかりゆし … 沖縄では喪服用のブラックかりゆしがありますので、ブラックかりゆしを着用してください。
→ マットなブラックのため、なかには埃がつきやすい素材もあります。ブラックの布地は埃が目立ちますので、事前にエチケットブラシなどで埃を取ります。
※ ズボンも光沢のないブラックスーツの黒ズボンなどを選び、足元も光沢のないマットな革靴を選びます。靴下も黒で統一してください。
(2) ブラックスーツ … 沖縄の葬儀でも、喪主男性の服装マナーとしては、葬儀にスーツを選ぶのであれば、ダークスーツではなくブラックスーツです。
→ お通夜では喪章が間に合わないこともありますが、葬儀では喪章を付けて出席します。
沖縄の葬儀で喪主男性の服装マナーは、上記の2タイプが多いですが、本来はどちらも略式の喪服です。和装やモーニングコートなどの正式礼装と比較すると、「格下」の喪服ですので、葬儀の規模や状況によっては和装やモーニングコートを選びます。
【 沖縄の葬儀、喪主男性の服装マナー。正式礼装の場合 】
(1) モーニングコート … 昼間の葬儀で、全国的な正式礼装はモーニングコートです。黒×白で統一しますが、ズボンは細めの地味な縞模様、白襟は外します。
※ ネクタイはマットな黒、内側に着るチョッキはシングルとし、フロントボタンは拝み合わせを避けてください。
(2) 和装 … 和装の正式礼装は袴です。袴も細く地味な仙台平(せんだいひら)や博多平(はかたひら)の縞を選び、黒羽二重(くろはぶたえ)の五つ紋付き、帯は地味な色目の角帯、半襟は白を用います。
※ 和装の場合、ひと昔前とは違い、今では「不幸を重ねない」二重を避けるため、下着と着物を重ねて着ることが避けられるようになりました。
…和装の場合でも足袋や草履(鼻緒)、羽織ひもまで黒を用います。夏場など、しばしば和装に扇子を持つ様子も見受けませすが、本来は扇子はタブーとされますので、ご注意ください。
沖縄の葬儀で喪主男性が服装マナーとして、和装やモーニングコートを選ぶのであれば、葬儀社に相談すると良いでしょう。
喪主女性が着る、沖縄葬儀の服装マナー
沖縄の葬儀では喪主女性であっても、服装マナーは洋装が多いでしょう。基本的には参列者と同じように、黒のワンピースもしくはアンサンブル、ツーピースでも問題はありません。
【 沖縄の葬儀、喪主女性の服装マナー 】
● 全国的には喪主女性が着る喪服と言えば和装(黒喪服)ですが、沖縄では洋装が多い傾向です。広く和装(黒喪服)を正装、洋装を略式と捉える向きがありますが、実際は洋装でも和装でも同格(正装)です。
→ ただ喪服には「格」があり、年齢による格を配慮しながら、沖縄の葬儀での服装マナーとしては、「喪主→遺族→参列者」の順番で格下の喪服を着るとされます。
※ 洋装の場合、一般的にはスカート丈の長さで格を決めることが多く、沖縄の葬儀で喪主女性は丈の長いワンピースかアンサンブルなどが多いでしょう。
この「格」を配慮して、全国的に葬儀で和装の黒喪服を着るのはご遺族のみとなっています。(和装の場合、格を計るものがないためです。)
ただ一方で、沖縄の地方などで葬儀を行う場合、喪主でも服装マナーとは違いますが、黒のパンツスーツを選んだり、ゆったりとした服装を選ぶことが多々あるでしょう。
これは弔問客への通夜振る舞いなどのおもてなしで、動き回ることが多いためです。
【 沖縄の葬儀、和装の服装マナー 】
● 念のため、沖縄の葬儀で和装の場合の服装マナーもお伝えします。
(1) 黒喪服… 一般的には黒羽二重の染め抜き五つ紋と言われますが、暖かな気候の沖縄では、気温によって黒喪服・五つ紋であれば、一重でも問題ありません。夏場は一重の平絽(ひらろ)、もしくは紗(しゃ)を選んでも良いです。
・ 半襟は白無地、帯は黒無地が基本でしたが、今では紋織りも見受けます。小物類も含め黒と白で統一し、男性同様、「不幸が重なる」ことの内容、下着を付ける場合でも着物に重ねて着ないように配慮します。
檀家制度が根付いていない沖縄では、数珠を持ちあるく習慣もないですが、読経供養をお願いする葬儀が一般的ですから、沖縄の葬儀であっても服装マナーとして数珠は手に用意しておく方が丁寧です。
本来は仏教宗派によってそれぞれの数珠がありますが、多くの宗派で通用する略式数珠があります。コチラを持参すると良いでしょう。
※ 喪主が理解したい、僧侶へのお布施などの包み方や渡し方マナーなどは別記事「沖縄の法要でお布施を包む。僧侶へ渡す時の準備やマナーとは」などをご参照ください。
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄の葬儀で喪主が配慮する服装マナーについてお伝えしました。
同じ沖縄でも地方の葬儀では、服装マナーもより緩くなり、長い時間に渡り訪れる弔問客への対応やおもてなしに動き回るため、パンツスーツやゆったりとしたワンピースなど、「動きやすさ」を重視した服装になります。
今回は特に那覇市や浦添市などで、葬儀社の会館やセレモニーホールを用いて行う、本州式に近い葬儀寄りの、沖縄で行う葬儀の服装マナーをお伝えしました。
また、沖縄の葬儀に参列する時の服装マナーについては別記事「沖縄の葬儀に参列する時の服装マナーを解説。お通夜と葬儀の違いや数珠の有無まで」でお伝えしていますので、コチラをご参照ください。
まとめ
沖縄の葬儀、喪主の服装マナー
●お通夜
(1)男性
・黒のかりゆしに黒のズボン、黒靴下・黒の革靴
・ブラックスーツ
<平服でも可>
・ダークスーツ
※ネクタイはマットな無地の黒(2)女性
・黒のアンサンブルやワンピース、ツーピース
<平服でも可>
・地味な色合いのワンピースやアンサンブル●葬儀
(1)男性
・黒のかりゆしに黒のズボン、黒靴下・黒の革靴
・ブラックスーツ
<本州式では正装として>
・モーニングコート(昼)
・和装(袴)
…もあり(2)女性
・黒のアンサンブルやワンピース、ツーピース
※スカート丈は長めの方が良い
<本州式では正装として>
・和装
…もあり