沖縄のナンカスーコー①偶数週マドゥナンカの進め方

2021.12.19
沖縄のナンカスーコー①偶数週マドゥナンカの進め方

沖縄では四十九日までのナンカスーコー(週忌焼香)を大切に扱ってきましたよね。初七日から始まる奇数週の「ウフナンカ」と、偶数週の「マドゥナンカ」で、お供え物や進め方が少しずつ違います。今回は、沖縄のナンカスーコーについて、特に偶数週のマドゥナンカの進め方をお伝えします。

沖縄では四十九日までのナンカスーコー(週忌焼香)を大切に扱ってきましたよね。那覇市や浦添市など都心部では少しずつ省略されるようになってきましたが、地方の沖縄では今でもナンカスーコーを行う家は多い傾向です。

沖縄のナンカスーコーではハチナンカ(初七日)から始まる奇数週の「ウフナンカ」と、タナンカ(二・七日)から始まる偶数週の「マドゥナンカ」で、ウサギムン(お供え物)や進め方が少しずつ違います。

今回は、沖縄で四十九日までのナンカスーコー(週忌焼香)の進め方について、特に偶数週のマドゥナンカの進め方をお伝えしますので、どうぞ参考にしてください。

沖縄で四十九日まで行うナンカスーコー(週忌焼香)

沖縄で四十九日まで行うナンカスーコー(週忌焼香)
初七日や四十九日、百か日、一周忌などの法要を、沖縄では「スーコー(焼香)」と言いますが、「ナンカスーコー」は沖縄の言葉で「週忌焼香」の意味合いで、故人が亡くなった日から数えて四十九日まで、毎週執り行われる法要です。

全国的にも四十九日までの週忌法要を執り行う家や地域はあるのですが、取り分け沖縄では四十九日までのナンカスーコーを、故人の魂にとって重要な役割として扱ってきました。

【 沖縄のナンカスーコー●追善供養 】

● 仏教でも四十九日までは「中陰」と呼ばれる期間とされ、この時期はまだ故人の魂はこの世とあの世を彷徨っている期間です。

→ 初七日で故人の魂は三途の川を渡り、七日ごとにそれぞれ生きし頃の罪が裁かれます。殺生や不貞、嘘などさまざまな罪が裁かれ、四十九日は最後の審判です。

※ この期間に遺族が心を込めて追善供養を行うことで、故人の生前の罪が軽減されます。

これは仏教の教えですが、沖縄でも四十九日までのナンカスーコーによって、故人の生前の罪を少しでも軽くなり、グソー(後生)での暮らしを良くなるとされてきました。

さらに沖縄では故人の魂は四十九日までお墓とお仏壇を彷徨っているとも言われ(葬儀後すぐに納骨されることも背景にあるでしょう)、沖縄では四十九日までのナンカスーコーで、墓前とお仏前の両方で執り行われます。

【 沖縄のナンカスーコー●特徴 】

(1) 沖縄ではナンカスーコーの早朝に家族でお墓参りをします。

(2) 奇数週のウフナンカと、偶数週のマドゥナンカに分かれ、奇数週には遺族以外の焼香客も迎え入れる傾向です。(特にハチナンカ/イチナンカ/シジュウクンチ)

偶数週のマドゥナンカは基本的にごく近しい身内のみで執り行います。

もともと檀家制度がないので全くお坊さんに読経供養を依頼しない家もありますが、現代ではハチナンカ(初七日)とシジュウクンチ(四十九日)のみ、近隣や知り合いのお坊さんに読経供養を依頼する家が一般的です。

※ 沖縄で行う四十九日までのナンカスーコー、ウフナンカとマドゥナンカについては別記事「沖縄のナンカスーコー☆葬儀から四十九日までのスーコー」で詳しくお伝えしています。

 

マドゥナンカの進め方、早朝のお墓参り

沖縄のナンカスーコー①偶数週マドゥナンカの進め方
沖縄のナンカスーコーでは家族が早朝にお墓参りに行きます。沖縄ではほとんどの家で葬儀後に納骨を済ませるため、お墓にも故人の魂があるためです。

※ そのため沖縄ではナーチャミーと呼ばれる、葬儀翌日(納骨後)にお墓参りをする習慣もあります。

下記は、沖縄のナンカスーコーでマドゥナンカの朝に行うお墓参りの進め方です。

【 沖縄のナンカスーコー●マドゥナンカのお墓参り 】

(1) ウサギムン(お供え物)

→ ハチナンカ(初七日)などではお墓参りにウサンミ(御三味=重箱料理)を供える家も多いですが、マドゥナンカでは料理は持参しない家が多い傾向にあります。

・ ウチャトゥ(お茶)
・ ミジトゥ(お水)
・ ウサク(お酒)

・ シルカビ(白紙)
・ ウチカビ(打ち紙)
・ お線香
・ カビバーチ(ウチカビを燃やす火鉢)
・ 供え花

(2) お墓についたらまず、お墓を守る土地神様である「ヒジャイガミ様(左神様)」へ拝みます。ヒジャイガミ様はお墓の左側(向かって右側)です。

※ お線香はヒジュルウコー(※1)で、シルカビ(※2)の上にジュウゴフンウコー(十五本御香)を供えてください。

・ 日本線香の場合 → 15本、もしくは5本(香り高いお線香など)
・ ヒラウコー(平線香=沖縄線香)の場合 → タヒラ半(二枚と半分)

(3) 墓前(故人)へお線香を拝します。故人へのお線香はサンブンウコー(三本御香)ですので、下記の本数です。

・ 日本線香の場合 → 3本、もしくは1本(香り高いお線香など)
・ ヒラウコー(平線香=沖縄線香)の場合 → 半ヒラ(半分)

(4) ヒジャイガミ様の前でカビバーチ(ウチカビを燃やす火鉢※3)にウチカビを燃やします。燃やす枚数の目安は一人につき三枚です。

ウチカビは故人のグソー(後生=あの世)で使うお金と言われていますので、家によっては「多いほど良い」としてたくさん燃やす様子も見受けます。一般的には一人三枚家長は五枚の家が多いのではないでしょうか。

(※1)ヒジュルウコーは冷たい御香ですので、火を灯さないまま供えるお線香です。主に神様へのお線香に多く、神様への税金とされるシルカビ(白紙)の上に乗せて供えます。

(※2)シルカビは神様への税金と言われ、半紙を手で千切って作ります。作り方は簡単ですが別記事「【沖縄の御願】ヒラウコーの供え方と、シルカビ・ウチカビ」などをご参照ください。

(※3)カビバーチ(カビアンジ)はホームセンターなどに専用の者も販売されるようになりましたが、金属ボウルに水を張り、魔除けのネギなどを入れる家も多いです。

お墓にジングラ(銭蔵)があれば、ジングラはウチカビを燃やすための場所なので、カビバーチは必要ありません。

マドゥナンカ、お仏前での進め方

マドゥナンカ、お仏前での進め方
沖縄のナンカスーコーで、マドゥナンカとウフナンカの大きな違いはその規模です。マドゥナンカの多くはごく近しい身内のみで執り行う家が多いので、特に重箱料理は少なくなります。

【 沖縄のナンカスーコー●マドゥナンカの進め方 】

● マドゥナンカのウサギムン(お供え物)

・重箱料理はカタシー(片方)、おもち重一重+おかず重一重
ムィグァーシ(お菓子の盛り合わせ)を一皿
果物の盛り合わせ一皿
ハーガー(※1)は、左右対の二皿で用意
ダーグ(※2)も、左右対の二皿

※ お坊さんの読経供養は行わない家が一般的で、焼香客もできるだけ迎え入れません。

沖縄のナンカスーコーでは重箱料理も弔事用(スーコー用)です。手作りで詰める時には、沖縄では中央に白かまぼこその上に返し昆布(結び昆布は慶事用です)、白かまぼこの下に豚三枚肉の煮付けとし、左右列は比較的自由な傾向にあります。

ただし祝い事で使われるターンム(田芋)などのイモ類は避けます。供える時には返し昆布がお仏壇側になるように供えると良いとされてきました。

重箱料理について、詳しくは別記事「沖縄で供える重箱料理☆スーコーとお祝い行事で違う供え方」や「沖縄で供える重箱料理☆お家で簡単につくるおかずのレシピ」でお伝えしていますので、コチラも併せてご参照ください。

【 沖縄のナンカスーコー●マドゥナンカに弔問したい場合 】

● しばしば日程が合わずにマドゥナンカに弔問をしたい焼香客もいらっしゃいます。この場合にはウフナンカのように弔問客を迎え入れる準備ができていない家が多いため、予め電話などで確認を取ってください。

また弔問客を迎え入れるウフナンカでは、香典返しや仕出し弁当を振る舞うなどの準備を整えている家が多い一方、マドゥナンカでは準備をしていない家がほとんどですので、お香典も千円~三千円と、あまり気を使わない金額を包む方が良いでしょう。

マドゥナンカ

いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で行う偶数週のナンカスーコー(週忌焼香)、マドゥナンカについてお伝えしました。

ごく近しい身内のみで執り行う沖縄のナンカスーコーですが、故人と生前から深い付き合いのあった友人やお隣さんなどは、気軽にお焼香に訪れることも多いです。

沖縄ではナンカスーコーは平服(喪服ではないスーツなど)が基本ですが、地方に行くほどマナーは緩く、マドゥナンカにもなるといつも着ている私服でお焼香に訪れる方々も多くいます。

お坊さんもいない家が多いので、本州の法要のイメージよりもカジュアルで、故人を良く知る友人やお隣さんなどが集まってお酒を交わしながら、故人の思い出話をして偲ぶ、弔うマドゥナンカが多いです。
まとめ

マドゥナンカの進め方

・四十九日まで偶数週に執り行う
・身内のみで行うスーコー
・早朝にお墓参りをする
・お墓参りに重箱は持参しない
・お供え物は控えめで良い
・弔問したい時は確認を取る
・お香典も千円~三千円と控えめに


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