沖縄では特に女性によるおひとりさま老後対策が多いですよね。
男性よりも女性が現実をシビアに見ていることもありますが、長寿県沖縄では、将来的に女性がおひとりさま老後になりやすいとして、対策を講じる事例が多いのです。
夫婦二人の老後は「夫の年金+妻の年金」で生活を賄うことができますが、夫が亡くなると、残された妻は「自分の年金+遺族年金」で生計を立てなければなりません。
今回は、沖縄に多い女性のおひとりさま老後リスクの具体例と、いくつかの対策をお伝えします。
女性のおひとりさま老後対策が多い理由
沖縄では女性のおひとりさま老後対策が多いですが、これは「女性の方が寿命が長い」とされるためです。
令和元年(2019年)の簡易生命表(厚生労働省より)によると、男性の平均寿命は81.41歳、対して女性の平均寿命は87.45歳で、平均的に女性は男性より約6歳、長生きすることになります。
<女性の平均寿命は、男性より高い>
●では沖縄県内における令和元年の平均寿命は、男女比にすると、どのようになっているでしょうか。
・男性(全国40位)…72.11歳
・女性(全国25位)…75.51歳
※沖縄では女性の平均寿命が男性よりも3.4歳高い計算です。
このデータから女性は今現在、結婚していても、いなくても、最期にはおひとりさまの老後暮らしになる可能性が高いのです。
健康寿命と平均寿命は違う
また沖縄県で女性のおひとりさま老後への対策が広がっている理由には、「平均寿命と健康寿命は違う」と言う点もあるでしょう。
全国でも沖縄でも、おひとりさま老後で最も心配な事柄は孤独死ですが、生きている時に穏やかに過ごしたい想いは皆、同じです。
老々介護の問題はありますが、夫婦二人暮らし世帯であれば、何かあった時にも助け合える安心感があります。
<健康寿命と平均寿命>
(1)平均寿命…0歳の赤ちゃんが生存するであろう平均年数
(2)健康寿命…日常的に介護の手を借りず、自立した生活ができる年齢
ですから寿命と健康寿命の差があれば、介護期間が長いことになるわけです。
ちなみに平均寿命と似た言葉に「平均余命」があります。
平均余命の場合、その年のとある年齢の人に期待できる、平均的な余命年数(あと何年生きていけるか)です。
健康寿命と平均寿命の差
ちなみに令和元年(2019年)における沖縄に住む男女の平均寿命が、それぞれ全国40位(男性)・25位(女性)だったことに、驚く人もいるのではないでしょうか。
かつては全国1位の長寿国だった沖縄ですが、平成27年(2015年)には男性が全国41位、女性は42位と、平均値を下回りました。
それだけ現代の沖縄では、かつてよりもおひとりさま老後対策が、終活や相続まで広がっています。
<健康寿命と平均寿命の差>
●平成27年(2015年)、全国の平均寿命
・男性…81.41歳
・女性…87.45歳
●平成27年(2015年)、全国の健康寿命
・男性…72.68歳
・女性…75.38歳
●平成27年(2015年)、全国の平均寿命と健康寿命の差
・男性…8.73歳
・女性…12.07歳
(参考:厚生労働省「健康寿命の令和元年について」より算出)
男性では約9年、女性になると約12年も介護生活になる可能性がある訳です。
沖縄では特に女性のおひとりさま老後において、特に最後は介護のお世話になる可能性も見据えた資金計画を立てる人が増えています。
※孤独死を避ける対策については下記に詳しいです。
・【沖縄のおひとりさま老後】孤独死は避けたい!自分でできる8つの対策とは
夫が先に亡くなると、収入はどれだけ減るの?
冒頭で夫が生きているうちは「夫の年金+妻の年金」になりますが、夫が亡くなると妻は「自分の年金+遺族年金」となり、収入が大幅に減額することに触れました。
このことから、沖縄では女性のおひとりさま老後対策が多いのです。
<遺族年金があるから大丈夫では?>
●「でも、遺族年金がプラスされるから大丈夫なのでは?」との声もありますが、現実として、遺族年金は厚生年金の75%です。
まだ年金受給を受けていない夫婦なら、ねんきん定期便の正しい見方を知り、具体的な数字を出してみてはいかがでしょうか。
※ねんきん定期便の見方については、下記で詳しくお伝えします。
・【沖縄で老後資金計画】老後資金は「ねんきん定期便」から☆見込み額の見方
ここでは、今の定年後の夫婦に多い形を想定し、夫が60歳まで会社員として働き、妻が専業主婦だった場合の事例で、収入の変化を具体的に見て行きましょう。
夫が会社員、妻が専業主婦だったケース
夫が定年退職の65歳まで会社員として40年間ほど働いていたとします。
妻はアルバイトなどをしていたものの、基本的に専業主婦でした。
この事例でも奥様が夫の退職前に、沖縄で女性のおひとりさま老後対策まで進めています。
決して夫婦仲が悪い訳ではなく、将来的な不安に備える意味合いが強い傾向です。
<夫が会社員、妻が専業主婦の場合>
(1)夫が生きていた頃
・夫…厚生年金10万3,000円/月+老齢基礎年金6万5,000円/月
・妻…老齢基礎年金6万5,000円/月
・合計…23万3,000円/月
(2)夫が亡くなった場合
・夫…遺族年金10万3,000円×75%(※)=7万7,250円/月
・妻…老齢基礎年金6万5,000円/月
・合計…14万2,250円
数字を一見しただけで分かりやすいですが、計算をすると、夫が亡くなる前と後では、9万750円の差額が生じる計算です。
確かに夫が亡くなっているとそのぶん食費はかかりません。
けれども住居費や光熱費など、あまり料金が変わらない項目も多く、9万750円と言う数字は、そんなに今日から明日に節約できる金額ではないでしょう。
沖縄でおひとりさま老後の資金計画
このように沖縄の終活における「おひとりさま老後」対策は、現在結婚している、していないに関わらず、多くの人々にとって重要事項に上がっています。
沖縄で快適なおひとりさま老後に備えるためには、下記のような流れで資金計画を立てると効果的です。
<沖縄おひとりさま老後☆資金計画の流れ>
(1)定年後の家計を把握する
(2)定年後の支出は3つの項目に分けて予算化する
(3)定年後の収入はねんきん定期便で確認する
(4)「私的年金」で「公的年金」の中継ぎ計画
(5)定年後の住居費を検討する
人生100年時代と謳われる今、「老後2000万円問題」に不安を覚える人が少なくありません。
確かに現代の日本では、年金だけで長い老後を生き抜くには不安要素も多いです。
ただ、令和元年(2019年)6月3日に金融庁が発表した、老後2000万円問題の根拠は総務省が2016年に調査をした「家計調査報告書」に基づき、老後働かずに年金のみで暮らした夫婦世帯をモデルケースとした平均を出しています。
(参考:金融審議会ワーキンググループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」より)
個々のケースとは違うため、やみくもに不安になる前に、上記の流れで自分の家の資金計画を立てていきましょう。
※老後2000年問題の根拠や平均的な家計について、下記をご参照ください。
・【沖縄のおひとりさま老後】老後2000万円問題に勝つ!50代からの対策
(1)定年後の家計を把握する
沖縄での「おひとりさま老後」対策における家計おいては、定年後の収入・支出のバランスです。
ただし、沖縄でのおひとりさま老後には介護や医療などのリスクが予想されるでしょう。
そこで沖縄で定年後におひとりさま老後への資金対策を立てる際には、退職金などの大きな収入をあてにしない、資金計画がポイントです。
※詳しくは別記事でお伝えします。
・【定年後の沖縄暮らし】定年後の生活費の不安解消!収入と支出を整理する
(2)定年後の支出は3つの項目に分けて予算化する
そして退職金などの大きな収入をあてにしない理由には、老後のライフイベントに対応できる資金力に備えるためでもあります。
沖縄でおひとりさま老後に備えるためには、下記3つの項目に分けた予算化が有効です。
<定年後の支出、3つの項目>
・生活費
・ライフイベント費
・介護、医療費
もちろん、いざと言う時の介護や医療費に備えることも大切ですが、ある程度までは介護保険や民間保険で対応してくれるでしょう。
けれども生きている限り、定期的な出費が出ることは否めません。
例えば住まいのリフォームや車の買い替え、子ども達の結婚などです。
※定年後の支出、3つの予算での整理については下記に詳しいです。
・【沖縄のおひとりさま老後】生活費だけじゃない!老後に予算化する3つの項目
(3)定年後の収入はねんきん定期便で確認する
そして沖縄でおひとりさま老後に備えるなら、定年後の具体的な年金収入は把握しておいた方が良いでしょう。
その数字を元にして、現役時代にどのようにマイナスを補填するか、老後にどのように働くのかも決まってきます。
※ねんきん定期便は見方が難しいとの声も多いです。下記をご参照ください。
・【沖縄の老後暮らし】老後資金は「ねんきん定期便」から☆見込み額の見方
(4)「私的年金」で「公的年金」の中継ぎ計画
平成2年(2000年)の法改正により、日本では年金受給年齢が60歳~65歳に引き上げられました。
それに伴い60歳から年金を受給する「繰り上げ年金」、75歳まで年金の受給年齢を引き延ばす「繰り下げ年金」制度ができました。
そこでかつては定番だった「公的年金」に私的資金をプラスする考え方から、「私的年金(私的資金)」公的年金をもらうまでの中継ぎをする考え方が増えています。
※年金受給年齢の繰り上げ・繰り下げについては下記をご参照ください。
・【沖縄で老後資金計画】年金受給年齢を決める、繰り上げ・繰り下げ受給とは?
(5)定年後の住居費を検討する
最後に老後2000万円問題の根拠となる2016年「家計調査報告書」は、あくまでも現代定年を迎えた夫婦世帯(夫/サラリーマン、妻/専業主婦)の、平均的な数字であることはお伝えしました。
そのため、特に住居費はその家によって支出に大きな差が出ます。
(例えば、総務省が2020年度の発表した家計報告書によると、おひとりさま老後の住居費が12,383円として計算されました。)
このようなことから、沖縄でおひとりさま老後に備えるためには、賃貸住宅に住むなど、どのような家に住むのか…、現役時代から検討して老後の住居費を決めたいところです。
※沖縄のおひとりさま老後に備えた住居費については、下記に詳しいです。
・【沖縄のおひとりさま老後】住居費が危ない?50代から備える老後の住まい
最後に
以上が、沖縄のおひとりさま老後に備えた老後資金計画のあらましです。
沖縄では特に女性がおひとりさま老後に備える傾向にありますが、もちろん男性が沖縄でもおひとりさま老後を迎える可能性は充分にあるでしょう。
この場合は、女性よりも生活費には余裕がありますが、日々の生活に不便が生じたり、それによって老後うつや、自分で自分自身の世話を放棄する「セルフネグレクト」が起きるリスクが増える傾向です。
また親族間の絆が強い印象が強い沖縄ですが、おひとりさま老後の備えでは「孤独死」への対策を重視する人々も多くいます。
※孤独死を避ける対策については、下記をご参照ください。
・【沖縄のおひとりさま老後】孤独死は避けたい!自分でできる8つの対策とは
まとめ
夫亡き後のおひとりさま老後への対策
●夫が亡くなる前(妻が専業主婦)
・夫=厚生年金+老齢基礎年金
・妻=老齢基礎年金のみ●夫が亡くなった後
・妻=遺族年金+老齢基礎年金
※遺族年金=厚生年金×75%●おひとりさま老後に備える流れ
(1)定年後の家計を把握する
(2)定年後の支出は3つの項目に分けて予算化する
(3)定年後の収入はねんきん定期便で確認する
(4)「私的年金」で「公的年金」の中継ぎ計画
(5)定年後の住居費を検討する