平成28年から段階的に始まったマイナンバー導入により、沖縄の終活現場では「相続税対策に影響するのでは?」との不安の声も多くありましたよね。
税務署にとってはマイナンバー導入によって、相続人それぞれの複数の銀行口座が紐づくため、明瞭にお金の流れが分かり脱税を摘発しやすくなるでしょう。一方相続人にとっては、隠し事さえなければ何も問題はありません。
ただ、今まで曖昧なラインとされてきた相続税対策については、リスクが高くなるかもしれません。今回は、沖縄の終活で相続税対策を進める際に意識したい、「曖昧なライン」の線引きをお伝えします。
相続税の「境界線対策」とは
沖縄の終活で相続税対策を進める個人では、もちろん脱税を検討する方はいないでしょう。財産を隠したり、虚偽の申告を故意に行う脱税行為は明らかに違法であり、見つかった時には重い加算税が課せられます。
【 沖縄の終活で相続税対策☆脱税と判断された場合 】
● 映画「●サの女」などで自宅に多額の現金を隠していて税務署が摘発する…、などのシーンもありますが、相続税の申告漏れには過失(知らなかったなど)のもの、故意のものがあります。
(1)過失と判断されると「過少申告加算税」
(2)故意と判断されると「重加算税」
(3)申告期限からの延滞日数として「延滞税」
…とそれぞれに重い加算税が掛かるため、意図的に脱税を計ることなく適切な申告を進めてください。
ただ、今まで線引きが曖昧で「グレーゾーン」、「境界線対策」と呼ばれてきた、沖縄の終活でも質問の多い相続税対策があります。それが名義預金を筆頭とした「租税回避」です。
合法と非合法の境界線
では「租税回避」とは、どのようなものでしょうか?せっかく沖縄の終活を通した相続税対策を進めて、相続人の税負担を少しでも軽減したつもりだったのに、相続発生後に過少加算税や重加算税を請求されては、ガッカリしますよね。
【 沖縄の終活で相続税対策☆租税回避とは 】
● 租税回避を理解するためには、税金対策で使われる3つの用語を理解すると分かりやすいでしょう。
(1)脱税 … 前述したように違法行為です。課税対象の財産を隠すなど、意図的にごまかす行為となります。
(2)租税回避 … 大まかに言えば合理的ではない方法で、課税対象の財産を減らすなどして、税金負担を軽減します。例えば、「名義預金」や「遠隔地預金」がそれに当たります。
・名義預金→ 子どもや孫などの名義で口座を作り、相続財産を移動する。
・遠隔地預金→ 居住区ではない遠方の地銀(沖縄であれば北海道など)に口座を作り、そこに相続財産を預ける。
…などなどです。
(3)節税→ 法的に定められた特例などを賢く活用して、合法的に相続税負担を軽減する方法となります。例えば、下記のような事柄が当てはまります。
・不動産にお金を掛ける
・養子縁組
・生前贈与
ちなみに名義預金ですが、相続税回避のために意図的に行ったものを差します。そのため非課税枠の生前贈与を用いた「暦年贈与」がありますが、これは口座名義が他者(子や孫)であってもそれに当たりません。
※ 暦年贈与について、詳しくは別記事「【沖縄で終活】相続税を節約する生前贈与3つの種類。祭祀財産はどこまで準備する?」でお伝えしていますので、コチラをご参照ください。
安全な節税対策、3つの柱
沖縄の終活では相続税対策を進める際に、マイナンバーを恐れて遠隔地預金や名義預金を避けるあまり、タンス預金や海外口座を試みる方も見受けますが、どちらも根本的には注意が必要です。
タンス預金は確かに銀行口座にない財産なのでマイナンバーを照会しても紐づきませんが、見つかった時のリスクの他、盗難の可能性もあるでしょう。海外口座は見つかった時のリスクの他、為替変動、政情不安まで考慮しなければなりません。
では前項でお伝えした3つの節税対策について、より詳しくお伝えします。
【 沖縄の終活で相続税対策☆安全な3つの節税 】
(1) 不動産にお金を掛ける … 不動産の相続税額は固定資産税評価額を基準としているため、リフォームを施したところで相続税額にあまり影響はありません。
→ 今後子どもや孫が住む家はもちろんのこと、売却予定の場合でも時価(売買価格)では評価額が高くなる可能性も高く、買い手も付きやすいでしょう。
(2) 養子縁組 … 養子縁組をして子どもとして相続人の権利を与えることで、基礎控除額が600万円/1人分だけ増える点がメリットです。
→ 孫を子どもに迎える他、同居している長男嫁など、相続人ではない立場の人と養子縁組をするケースもあります。(夫婦関係には影響しません。)
(3) 生前贈与 … 暦年贈与/教育資金贈与/住宅取得等資金贈与について、贈与税の非課税枠があり、これを賢く活用した生前贈与が多い傾向です。
以上が節税対策3つの柱となりますが、孫を養子縁組して子どもにした場合、相続税が二割加算になるため、それぞれ具体的な数値を出した検討すると良いでしょう。
沖縄の終活で相続税対策として、孫を養子縁組して子どもとして迎えるデメリットについて、詳しくは別記事「【沖縄のおひとりさま終活】相続人になる人と優先順位を知っておく」でもお伝えしていますので、重なる部分もありますがご参照ください。
また不動産財産(土地や家屋)で相続税額を算出する計算式などについても、別記事「【沖縄の終活】相続財産の範囲はどこまで?生前整理をしておこう」でお伝えしています。
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄の終活で質問の多い、「相続税対策はマイナンバーの導入によってどのように変わるのか?」についてお伝えしました。
平成28年から段階的に始まり、令和3年現在では相続時にマイナンバーの記載が義務化されていますが、その大きなポイントは税務署にとって、「相続人それぞれの銀行口座が全て紐づくことによって、お金の流れが明瞭になる」と言うことです。
税務署は名義預金を中心的に調査していますが、例えば収入に対して貯蓄が不自然に多い、不自然に少ないなどの現状があると、「あれ?」と疑問を感じて調査を進めます。
この時、以前は被相続人(故人)の電話帳など、家の状況から目ぼしい金融機関を割り出して、地道に調査しなければなりませんでしたが、現在では関係者全員の銀行口座が明瞭に分かり、すぐに発見できる訳です。
けれどもマイナンバー導入によって、戸籍謄本の取り寄せなど、煩雑な手続きが省略され、相続人にとっても随分とシンプルで楽になってもいます。
※沖縄のおとりさま終活に多い質問、相続人の範囲や優先順位に関しては、別記事「【沖縄のおひとりさま終活】相続人になる人と優先順位を知っておく」をご参照ください。
まとめ
マイナンバー導入後に人気の節税対策
●堂々と対策できる節税対策がおすすめ
・預貯金を不動産に変える(リフォームなど)
・生前贈与
・養子縁組など