【沖縄のお墓】沖縄で今のお墓を霊園へ移す「改葬」。経験者が語る5つのトラブル体験談

2023.01.23
【沖縄のお墓】沖縄で今のお墓を霊園へ移す「改葬」。経験者が語る5つのトラブル体験談

沖縄でお墓の改葬を進める時には、トラブル事例も多いですよね。「改葬」とは、お墓の引っ越しです。事前にトラブル事例を理解しておくと対策ができます。今回は、個人墓地から霊園へ改葬する人も多い沖縄ならではの、トラブル事例と解決策をお伝えします。

【沖縄のお墓】沖縄で今のお墓を霊園へ移す「改葬」。経験者が語る5つのトラブル体験談
沖縄でお墓の改葬を進める時には、トラブル事例も多いですよね。
改葬(かいそう)」とは、お墓やすでに納骨された遺骨を、他の墓所やお墓へ移動することを差します。

経年劣化や墓主の事情などで、沖縄ではお墓の改葬を希望する人が増えました。
そこで事前に沖縄の改葬に多いトラブル事例を理解しておくと、事前に対策ができます。

・親族や門中とのトラブル解決法は?
・古い墓石をそのまま移動できる?
・近隣墓地とのトラブル事例は?
・沖縄の改葬での注意点は?

今回は、沖縄は個人墓地から霊園へ改葬する人も多いなか、トラブル事例を解決策とともに、いくつかお伝えします。
 

[1]親族からの反発

親族から「成仏できないよ」と説得される
●沖縄の改葬で親族トラブルに多い事柄は、①金銭、②しきたり、③供養がしたい、の3通りの意見が多くあります

沖縄の改葬で親族トラブルを軽減するのには、やはり高齢者の理解が欠かせません。
現在では墓主自身が高齢になり、終活の一環として門中墓の改葬を試みる事例も多いですが、いずれにしても関係者で早い段階から、誠実な話し合いが必要です。
 

<沖縄の改葬トラブル[1]親族からの反発>
・今のお墓を残して、建て替えや修繕をすべき
・改葬の予算は誰が出すの?(模合費用が足りない時は?)
お墓参りがしにくくなる

 
門中墓ではお墓の修理修繕年中行事での費用を模合で集めている一族もありますが、特に大きな沖縄の門中墓の改葬になると、その費用でトラブルも起きる可能性はあるでしょう。

今まで貯蓄してきた模合費用では足りなかった場合、特別にお金を集めなければなりませんが、沖縄の改葬では模合費用でトラブルが発生し、墓主とその家族のみで、費用を賄った体験談もありました。
 

②親族トラブルの解決策

●沖縄で親族間の改葬トラブルを避けるためには、早い段階で相談をしておくことです

法的には名義人である墓主に決定権がありますが、だからと言って突然、「立地の良い那覇市内に改葬します。」と言われても、戸惑いますよね。

その戸惑いが怒りになり、本来であれば冷静に話し合えるところを、沖縄の改葬では大きな親族間トラブルに発展する体験談も少なくありません。
 

<沖縄の改葬トラブル②親族トラブルの解決策>
早めに相談をしておく
・高齢者の人々には先に話しておく
ご先祖様への尊厳を保つ
・改葬の予算は出してから話し合う
・魂抜きやお祓いなどの儀礼を大切にする

 
今でも、高齢のなかには「ご先祖様の霊が土地に宿っているので、墓地の移動はできない」などの理由で反対する親族もいます。

そのため少しでも安心してもらうために、魂抜き(閉眼供養)やお祓いなどの儀礼を軽んじず、丁寧に進めると、少しでも納得してもらえるでしょう。
 

開眼供養や閉眼供養については、下記をご参照ください。
開眼供養・閉眼供養とは、いつ行うの?しないとだめ?進め方やお布施、お供え物まで解説

 

[2]墓石の受け入れ拒否

[2]墓石の受け入れ拒否
●沖縄の改葬トラブル事例では、現存の墓石をそのまま運搬し、新しい墓所に建てようとしたところ、墓地管理者から拒否された事例があります

沖縄では経費削減のため、現存の墓石をそのまま移動しようと検討する墓主もいますが、現代の民間霊園などでは、安全面や景観などの事情から、古い既存の墓石の持ち込みを受け入れない施設も多くあります。
 

<沖縄の改葬トラブル[2]墓石の受け入れ拒否>
・霊園が古い墓石を受け入れない
・既存の墓石に合わせると、広い墓地区画が必要だった
・既存の墓石を持ち込む、充分な経路が確保されない

 
このような沖縄の改葬トラブルでは、結果的に既存の墓石の持ち込みを諦め、新しく建てる選択が多いです。
 

※現代の沖縄に多い改葬先、霊園の種類や特徴については、下記をご参照ください。
【沖縄のお墓】沖縄で現代増える「霊園」とは?霊園の種類や選び方、見学のポイントまで

 

②墓石の移動が高かった!

●「既存の墓石を運搬しようとしたところ、思った以上に費用が掛かった!」との体験談も多くありました

そして霊園側の受け入れ拒否だけではなく、実際に既存の墓石を新しい墓所まで運搬・設置するには、意外と費用も掛かります。
そこで墓石の運搬・設置費用を見て、断念した体験談も少なくありません。
 

<沖縄の改葬トラブル②墓石の移動が高かった!>
●既存の墓石を移動する費用項目
・撤去作業費
・更地にする修復費
・墓石の解体/運搬費
・新しい墓所での、墓石の設置費

●その他懸念される事柄
・既存の墓石に合わせて、大きな墓地区画が必要
・古い墓石の場合、早い段階で修繕や建て替えが必要

…などなどの事情があります。

 
一方、新しくお墓を建てる場合、ひと昔前は約300万円ほど~約600万円とも言われていましたが、コンパクトながら今では100万円弱から購入もできるうえ、2017年度の建墓費用、平均値は167.3万円でした。
[参考]一般社団法人 全国優良石材店の会「2017年度お墓購入者アンケート調査」より
 

※そもそも改葬とは、どのような方法があるのかは、下記に詳しいです。
【沖縄のお墓】現代の沖縄で進む「改葬(かいそう)」とは?老朽化したお墓7つの選択肢

 

[3]お墓の境界線トラブル!

[3]お墓の境界線トラブル!
●個人墓地が多い沖縄では、建墓時の境界線が曖昧で起きるトラブル体験談があります

本州のお墓の多くは寺院墓地など、運営者が管理する墓地に建つお墓が多いため、見受けませんが、個人墓地が主流だった沖縄では、改葬時の境界線トラブル相談がもあるのです。

そもそも建墓時に境界線を正確に定めていなかった墓地も多く、なかには共同で墓地を購入して、ひとつの墓地に建つお墓も見受けます。
 

<沖縄の改葬トラブル[3]境界線トラブル>
①そもそも境界線が曖昧
②隣の墓主が分からない

 
沖縄の古い個人墓地の改葬で境界線トラブルが起きるのは、戦後の混乱のなかで建てられ、書類上でも正確には分からないまま、代替わりした背景が多いです。
そのためお互いに祖父母や両親と、代々伝聞で残っています。
 

①そもそも境界線が曖昧

●建墓時に境界線を正確に定めていないため、お互いに境界線を主張して起きる、沖縄ならではの改葬トラブルです

現状、沖縄の個人墓地の立地環境はさまざまです。
住宅街のなかにポツンと残る個人墓地もあれば、お墓参りが困難な辺境にあるものもありますが、個人墓地が密集した地域で起こりました。
 

<沖縄の改葬トラブル①そもそも境界線が曖昧>
・隣の墓主が「敷地に侵入するな!」とクレーム
・周辺のお墓を通らなければ、改葬ができない

 
…隣の墓主から敷地侵入のクレームを受けた事例では、クレームを受けた側としては、「境界線を越えていない」との認識が多いです。

ただ前述したように、書類上で境界線が曖昧になっていて、平行線を辿ることが少なくありません。

●この場合の解決策は、両家の墓主・弁護士などの専門的な第三者の立ち合いの元、改めて境界線を決める方法です

例えば実は公営墓地の識名園では、識名園内に建つお墓ももちろんあるのですが、その周辺に個人墓地が集まっています。
 

②隣の墓主が分からない

●お墓の境界線として、お隣同士の墓主で仕切りを設けたものの、自分の代になって改葬を検討した時、お隣の墓主が分からず、沖縄で改葬工事が中断したトラブルです

この沖縄の改葬トラブル事例では、古い代の墓主同士で話し合い、お墓の建造物に当たる境界線の仕切りを、費用を折半して建てていました。

ただ墓じまいや改葬を進めるにあたり、この仕切りを取り壊さなければならず、許可が必要です。
 

<沖縄の改葬トラブル②隣の墓主が分からない>
今の墓主の連絡先が分からない
代替わりにより、権利関係が分からない

 
こちらも古い個人墓地に建つお墓で、建墓時の権利関係が曖昧でした。
基本的に個人墓地ですので、墓主の連絡先は調べると分かるのですが、なかには継承者が見つからないまま放置された個人墓地も見受けます。

いずれにしろ個人墓地を建てる場合、建築物の共有はトラブルの種になりやすいです。
 

[4]納骨先が見つからない!

沖縄で墓じまいや仏壇じまいをするには。取り出した遺骨の行く先はどうすれば良い?
●先に墓じまいをしてしまい、取り出した遺骨の納骨先が見つからなかった、沖縄の改葬トラブルです

このような場合、取り出した遺骨は一度自宅で安置しなければなりません。

けれども長年お墓に入っていた遺骨はカビや汚れもひどく、専門業者で洗浄や手入れはしてくれるものの、できれば避けたい事態です。
※お墓から取り出した遺骨の洗浄や手入れは、約3万円~5万円/1柱が料金目安でしょう。
 

<沖縄の改葬トラブル[4]納骨先が見つからない!>
・個人墓地を建てるなら、自治体の受け入れはあるのか?
・お墓の内部調査をして、遺骨の柱数を確認
先に遺骨の受け入れ先を決める

 
取り出した遺骨の受け入れ先が見つからない沖縄の改葬トラブルのなかには、「予想以上に納骨されていた遺骨の柱数が多かった」などの体験談もあります。

このような事態を予防するためには、墓石業者や霊園の施設管理者などに相談をして、事前にお墓の内部調査を依頼すると良いでしょう。
お墓の内部調査の費用目安は、約3万円~5万円ほどです。
 

改葬をスムーズに進めるための手順は、下記をご参照ください。
【沖縄のお墓】沖縄で増える霊園への改葬。流れや手順、改葬にかかる費用目安まで解説!

 

②個人墓地を建てようとしたら断られた!

●沖縄の改葬トラブルでは、新しく個人墓地のお墓を建てようとしたところ、自治体により拒否された事例もあります

現状、沖縄では自治体により違いはあるものの、流れとしては新しいお墓を建てるにあたり、運営・管理者が墓地を管理する霊園での建墓を推奨しているためです。
 

<沖縄の改葬トラブル②個人墓地の拒否!>
●放置された無縁墓問題を解消するため
・建墓予定の自治体で個人墓地を受け入れているか事前に確認
・霊園では事前に申請を済ませているため許可は不要

 
今でも地方によっては新しく個人墓地を受け入れる自治体もあるのですが、特に都心部などでは新しく建てるお墓は霊園とする自治体が多いでしょう。
 

[5]隣の墓石を破損!

[5]隣の墓石を破損!
●沖縄の改葬では、墓石業者とのトラブル事例も多いです

「墓じまいなら、墓石を撤去して処分してもらうだけだから、安い墓石業者で良いのでは?」と言う墓主もいましたが、墓石業者の作業が原因で、近隣墓地とトラブルになった事例もあります。
 

<沖縄の改葬トラブル[5]隣の墓石を破損!>
・墓石業者の見学時に見ていたお墓と違い、いざ完成すると仕上がりが雑だった
・見積もりを取って依頼をしたものの、後から後から費用がかさんだ
・墓石業者の作業が原因で、隣の墓石を破損してしまった

 
特に沖縄の改葬で、近隣墓地とのトラブルは避けたいところです。
隣の墓石を破損した場合、通常であれば墓石業者の保険で対応するところですが、状況によっては墓石業者が非を認めずに、トラブルが長引く事例もあります。
 

②墓石業者選びが大事

●お墓の改葬先が霊園ならば、霊園が提携する墓石業者が安心です

そのため、墓石業者選びは重要な要素になるでしょう。
(沖縄では少ないですが)寺院墓地や民営墓地などの霊園ならば、多くは墓石業者と提携しているため、最初に相談をすると紹介してくれるでしょう。

霊園などに紹介していただいた場合、トラブルが起きた時にも相談がしやすいです。
けれども公営墓地や、個人墓地に新しくお墓を建てるのであれば、自分達で信頼できる墓石業者を見極めなければなりません。
 

<沖縄の改葬トラブル②墓石業者選び>
改葬先の霊園に相談する
・複数の墓石業者に相見積もりを取る
・ネットでの口コミや、経験者から紹介してもらう

 
自分で墓石業者を探す場合、複数の墓石業者に相見積もりを取って、項目と費用まで確認しながら、比較検討をします。

できるだけ費用項目が細かく設定されていて、こちらの質問にも快く答えてくれる担当者などであれば、より良いでしょう。
 

2023年1月22日の旧正月より、ユンヂチセールを行う墓石業者も多いでしょう。
「ユンヂチ」とは?2023年1月22日~2024年2月9日が沖縄でお墓事に良い理由

 

最後に

沖縄ではそもそも寺院墓地がほとんどありませんが、本州では寺院墓地に建つお墓が多いため、「離檀料」を法外に請求される離檀料トラブルの体験談をしばしば聞きます。

離檀料(りだんりょう)」とは、家が寺院の信徒「檀家(だんか)」であった時、檀家を離れる際に支払う料金です。
ただ、その昔にそもそも「離檀料」の言葉はありません。

●もともとは今まで丁寧に家のお墓を維持管理してくださったお礼として、檀家側がお金を包みお布施をお渡ししました

檀家側が早め早めに寺院墓地のご住職にご相談をして、良い関係を調整しながら感謝の気持ちとともにお墓の改葬を進めることで、このようなトラブルは起きにくいでしょう。
 

※もしも本州の寺院墓地へ改葬する時に役立つ、ご住職と家の関係はこちらです。
「檀家制度」とは、「戒名」は必ず必要?菩提寺(檀那寺)との関係性

 

まとめ


沖縄の改葬で起きたトラブル事例

●親族からの反発
・早めに相談をしておく
・高齢者の人々には先に話しておく
・ご先祖様への尊厳を保つ
・改葬の予算は出してから話し合う
・魂抜きやお祓いなどの儀礼を重視する

●墓石の受け入れ拒否
・霊園が古い墓石を受け入れない
・広い墓地区画が必要だった
・充分な経路が確保されない
・結果的に費用が高くついた

●お墓の境界線トラブル
<境界線が曖昧>
・「敷地に侵入するな!」とクレーム
・周辺のお墓を通らなければ、改葬ができない

<隣の墓主が分からない>
・今の墓主の連絡先が分からない
・代替わりにより、権利関係が分からない

●納骨先が見つからない!
・個人墓地を自治体に拒否された
・お墓の内部調査をして、遺骨の柱数を確認
・先に遺骨の受け入れ先を決める

●墓石業者トラブル
・見学時と違い、仕上がりが雑
・見積もりより費用がかさんだ
・隣の墓石を破損してしまった
・改葬先の霊園に相談する
・複数の墓石業者に相見積もりを取る
・ネットでの口コミ
・経験者から紹介してもらう


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