樹木葬とは?納骨後お参りはできる?タイプ別費用の目安や、メリット・デメリットを紹介

2023.08.17
樹木葬とは?納骨後お参りはできる?タイプ別費用の目安や、メリット・デメリットを紹介

「樹木葬」とは、墓地(霊園)で樹木を墓標として遺骨を埋葬する供養の形です。いくつかのタイプによって、費用の目安も変わるでしょう。本記事では樹木葬と永代供養との違いやタイプ、費用の目安の他、メリット・デメリット、お参りの仕方などを解説します。

・樹木葬とは?永代供養との違いは?
・樹木葬のタイプは?
・樹木葬のタイプ別、費用の目安は?
・樹木葬のメリット・デメリットとは?
・樹木葬は納骨後にお参りができるの?

自然に還る自然葬のひとつの形として、土に埋葬される樹木葬が注目されています。
樹木葬には埋葬の仕方により、いくつかのタイプがあり、タイプにより費用の目安も変わるでしょう。

本記事では注目される樹木葬とはなにか?永代供養との違いやタイプ、費用の目安の他、メリット・デメリット、お参りの仕方などを解説します。
 

樹木葬とは

樹木葬とは
◇「樹木葬」とは、樹木のふもとの土に遺骨を埋葬することです

樹木葬」は、人が亡き後に自然に還る供養の形「自然葬」のひとつの種類で、主に遺骨がだんだんと土に還るよう、遺骨を樹木のふもとの土に埋葬します。

お墓や納骨堂との違いは、墓標が墓石ではなく樹木であること、そして遺骨が土に還ることを前提に埋葬する点です。
 

<樹木葬とは>
[樹木が墓標] 樹木のふもとに埋葬する
・遺骨は土に還る
・霊園や墓地で埋葬
[遺骨] 土に還る骨壺
・遺骨を粉骨化
・骨袋から出して埋葬
・土に還る骨袋

 
土に還るための遺骨の埋葬方法はさまざまです。
木の素材など、埋葬することでいずれ土に還る素材の骨壺や骨袋に遺骨を入れて埋葬する方法もあります。

一方で骨袋から出して埋葬したり、粉骨した状態で埋葬する方法もあるでしょう。
 

 

樹木葬と永代供養の違いとは

◇樹木葬と永代供養は違いを比べるものではありません

ただ自然葬のひとつである樹木葬は、永代供養のひとつの形と言えるでしょう。
「永代供養」は、管理者が家族の代わりに遺骨を供養することを差すためです。

また納骨堂などで契約する永代供養は、多くが一定年数後に合祀墓に合祀埋葬されますが、樹木葬の多くは遺骨が年々土へと還ります
 

<樹木葬と永代供養の違いとは>
[樹木葬] ・霊園や墓地で樹木を墓標として供養する
・土に還る前提で遺骨を埋葬する
[永代供養] 管理者が家族に代わり永代に渡って遺骨を供養する
・(一定年数後もあり)合祀墓に合祀埋葬する

 
樹木葬には山林の大樹のふもとに遺骨を埋葬するものもありますが、個人的に所有する山林に埋葬することはできません。

遺骨を埋葬する際は「墓埋法(墓地、埋葬に関する法律)」により、知事による許可を得た墓地(霊園)に埋葬することが義務付けられているためです。
 

樹木葬も永代供養も、墓主を必要としません。

 
ただし永代供養も樹木葬も、どちらも墓主を必要としない点は共通しています。

そのため樹木葬も永代供養も、子どもや孫にお墓継承や維持管理の負担を掛けたくない高齢の人々などが、生前契約で選ぶことの多い供養の形です。
 

 

樹木葬のタイプ(種類)とは?

樹木葬のタイプ(種類)とは?
◇樹木葬は遺骨の埋葬の仕方により、大まかに3つのタイプがあります

樹木葬は人が亡くなった後、自然に還る供養の形「自然葬」のひとつです。
沖縄の自然葬では、樹木葬と並んで散骨が注目され、主に海に粉骨した遺骨を撒く「海洋散骨」などがあるでしょう。
 

<樹木葬の3つのタイプ(種類)とは>
[タイプ] [内容]
(1)合祀型
[費用目安]
・5万円~20万円/1柱
他の遺骨と一緒に合祀埋葬
・骨袋から遺骨を出す
・シンボルツリー(大樹)など
(2)共同埋葬型
[費用目安]
・10万円~30万円/1柱
・他の遺骨と一緒に合祀埋葬
骨袋に入れたまま埋葬
・シンボルツリー(大樹)など
(3)個別埋葬型
[費用目安]
・15万円~60万円/1柱
個々のスペースに埋葬
・遺骨の埋葬方法はさまざま
・植樹など

 
この他、ガーデニング型樹木葬がありますが、ガーデニング型樹木葬はコンパクトなお墓の下に遺骨が収蔵されるため、正確にはコンパクトな永代供養墓です。

ガーデニング型樹木葬は、区画が美しい庭園で草花に囲まれているものの、お墓で遺骨が収蔵される「カロート」に遺骨があるため、土に還ることはありません。

契約した一定年数が過ぎると墓地(霊園)内の合祀墓に、他の遺骨と一緒に合祀される流れが一般的です。
 

樹木葬では何人まで入れるの?

◇樹木葬を扱う墓地(霊園)のプランによりさまざまです

樹木葬には「家族プラン」など、複数人で契約し埋葬できるプランもあります。

納骨堂やお墓とは違い自由度が高い埋葬方法ではありますが、墓地(霊園)が提供するプランに沿った人数分の契約となるでしょう。
下記は全国的な樹木葬プランの一例です。
 

<樹木葬は何人まで入れるの?>
(1)個人用 …個人1柱で埋葬
(2)夫婦用 …夫婦2柱で埋葬
(3)家族用 …家族3柱~5柱で埋葬
(4)ペット …ペットと埋葬

 
ただ合祀型の樹木葬は1柱ずつの供養ですし、一般的に樹木葬は1柱ごとの契約が多い傾向にあります。
(前述したガーデニング樹木葬には、複数のプランを見受けるでしょう。)
 

●複数で入る樹木葬の費用目安は、3柱~4柱の家族用で約20万円~80万円ほどです。

 
樹木葬の多くは1柱ごとの契約になるため、例えば、亡き後の遺骨の供養や葬儀プランを立てる「終活」を行っている夫婦など、複数で契約したいケースでは、隣同士の区画で並んで契約する方法などが取られます。
 

 

樹木葬のメリットは?

樹木葬のメリットは?
◇樹木葬のメリットは、埋葬後に家族の負担が少ない点です

樹木葬の最大のメリットは、自然(土)に還る供養の形なので、一度埋葬すると維持管理の負担がなく、継承者を必要としないことでしょう。
「永代供養のひとつの形」と言うのは、このことを差します。
 

<樹木葬のメリット>
[永代供養] 継承者が必要ない
・遺骨の維持管理が必要ない
[金銭面] お墓と比べて割安
・納骨後の支払いがない
[環境] 美しい自然の元に埋葬
・樹々の成長で月日を感じる
・明るい雰囲気
[契約] 宗旨宗派を問わない
・戒名を必要としない

 
樹木葬は自然葬であり、キリスト教や仏教など、特定の宗旨宗派を定めるものではありません。戒名がなくても埋葬はできます。

また屋内の納骨堂や一般的なお墓と比べても、美しい樹々のふもとで埋葬される樹木葬は、自然の清々しい気分のなかでお参りができる点もメリットです。
 

樹木葬のデメリットは?

◇樹木葬の最も重要な注意点は、遺骨は戻らないことです

自然に還る供養の形である樹木葬は、特に子どもや孫に墓守の負担を掛けたくない高齢の人々の終活で人気があります。

ただ注意をしたいポイントとして、樹木葬の場合、遺骨が一度埋葬されたら、個別に取り出すことができません
 

<樹木葬のデメリット>
[遺骨について] 埋葬したら取り出しはできない
・粉骨をする樹木葬もある
[環境] 辺境地の樹木葬もある
・秋冬に樹木が寂しい時もある
[契約] 家族で入るプランが少ない
・個別の墓標にお参りできない
・個別法要が難しい墓地もある
[親族] 親族に理解されないこともある

 
ただ樹木葬でも埋葬後の個別法要やお参りができる墓地(霊園)は多いです。
また1ヶ月に1度など、定期的に合同供養祭を催す墓地(霊園)もあり、いつでも参加できるものも少なくありません。

契約面でのデメリットを避けるためには、確認を取ると良いでしょう。
 

樹木葬は埋葬後、お参りができる?

樹木葬は埋葬後、お参りができる?
◇ほとんどの墓地(霊園)でお参りができます

樹木葬の埋葬後も、個別の遺骨に対する墓標はないものの、合同の焼香台や献花台に向かってお参りができるでしょう。

個別埋葬型では遺骨の上に植樹されるので、個別スペースに向かい手を合わせることもできます。
 

<樹木葬のお参りの仕方>
[合同のお参り]
(設備に合わせた供養)
献花台がある…献花をする
焼香台がある…お線香を供える
合同の供養祭…希望者は参加

 
基本的には施設側の用意した設備に合わせて、お線香や献花を行います。
多くは樹木葬スペースに足を踏み入れることができません。
敷地の外から埋葬した方向へ手を合わせる形になるでしょう。

納骨堂では家族以外の友人知人がお参りをしたい時、事前に家族に連絡を取る必要がある施設も多いですが、樹木葬は場所が分かれば、家族以外でも思い立った時にいつでもお参りできる傾向にあります。
 

樹木葬の合同供養

◇多くは樹木葬の合同供養にお布施は必要ありません

樹木葬を提供する墓地(霊園)では、1ヶ月に1回、お彼岸やお盆など、定期的に読経供養を行う「合同供養」を設ける施設も多いです。

合同供養は家族が参加できる墓地(霊園)も多いので、参加したい家族は事前に確認をすると良いでしょう。
この合同供養で戸惑う人が多い事柄が、お布施を持参するか否かです。
 

<樹木葬の合同供養にお布施は必要?>
●お布施は必要ない墓地(霊園)が多いです。
[お布施箱がある場合] お布施は自由
[お布施の目安] 約千円~3千円
[お布施の準備] 家族で入るプランが少ない
・個別の墓標にお参りできない
・個別法要が難しい墓地もある
[親族] 白い厚手封筒
・表書きは「御布施」
・裏面に住所と氏名
(金額を入れても良い)

 
基本的にお布施は持参する必要のない墓地(霊園)が多いですが、参加者が「故人の供養のためにお布施を持参したい」と考えることもあります。
そのため会場ではお布施箱が設置されたり、回ることもあるでしょう。

もしもお布施を持参したい時には、お布施は香典ではなく徳行なので、白い厚手の封筒に黒墨で「御布施」、裏面に住所と氏名、金額を入れます。
 

まとめ:樹木葬は遺骨を土に還す供養の形です

まとめ:樹木葬は遺骨を土に還す供養の形です
樹木葬は美しい樹木や花々のもと、遺骨を土に還すことを前提として埋葬される、自然葬のひとつの方法です。

埋葬後に遺骨の維持管理や継承者を必要とせず、墓地(霊園)の管理者が家族に代わり、永代に渡って遺骨を供養してくれる「永代供養」のひとつでもあります。

そのため一度遺骨を埋葬すると、個別に取り出すことができない一方、家族は墓守や継承の負担がありません

お墓を建てるよりも割安で、自然に還す温かみもある供養として、現在は高齢の人々の終活でも人気が高い埋葬先です。
 

 

まとめ

樹木葬とは

[樹木葬とは]
・樹木のふもとに埋葬する
・遺骨は土に還る
・自然葬のひとつの方法
・永代供養のひとつの形

[樹木葬の種類]
・合祀型
(5万円~20万円/1柱)
・共同埋葬型
(10万円~30万円/1柱)
・個別埋葬型
(15万円~60万円/1柱)

[入る人数]
●墓地(霊園)のプランによる
・個人用(1柱)
・夫婦用(2柱)
・家族用(3~4柱)
・ペット

[メリット]
・永代供養
・お墓と比べて割安
・納骨後の支払いがない
・美しい自然の元に埋葬
・樹々の成長で月日を感じる
・宗旨宗派を問わない

[デメリット]
・取り出しはできない
・辺境地の樹木葬もある
・秋冬に樹木が寂しい時もある
・家族で入るプランが少ない
・親族に理解されないこともある

[お参り]
・設備に合わせたお参り
・合同供養も確認

 


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