【沖縄のお墓】沖縄で増える霊園への改葬。流れや手順、改葬にかかる費用目安まで解説!

2023.01.21
【沖縄のお墓】沖縄で増える霊園への改葬。流れや手順、改葬にかかる費用目安まで解説!

個人墓地が多い沖縄では改葬の手順も違い「辺境の門中墓を改葬したい」との相談も多いですよね。「改葬」とは、お墓や遺骨の引っ越しです。今回は、個人墓地が多い沖縄ならではの改葬手順を、費用目安とともにお伝えします。

【沖縄のお墓】沖縄で増える霊園への改葬。流れや手順、改葬にかかる費用目安まで解説!
個人墓地が多い沖縄では、改葬の手順も全国的なものとは少しずつ違い、「辺境にあってお墓参りができない門中墓を改葬したいのですが…」などの相談も多いですよね。

改葬(かいそう)」とは、一度納骨された遺骨やお墓自体を新しい場所へ引っ越すことを差しています。

・沖縄で改葬を進める手順は?
・沖縄の改葬の費用目安は?
・今のお墓ごと移動できる?

今回は、個人墓地が多い沖縄ならではの改葬手順を、どの場面でいくら支払うのか…、沖縄の改葬項目、それぞれの費用目安をお伝えします。
 

沖縄で改葬を進める手順

沖縄で改葬を進める手順
●個人墓地に建つ沖縄のお墓の改葬手順は、新しい墓所で受け入れ許可証をもらえれば、後はスムーズです

全国的には霊園から霊園への改葬がほとんどですが、個人墓地のお墓が多い沖縄での改葬では、手順に古い墓所から「埋葬(埋蔵・収蔵)証明書」の署名捺印をしてもらう段階がありません。
※「埋葬(埋蔵・収蔵)証明書」の名目や形式は、自治体により異なります。
 

<沖縄の改葬:手順>
【新しい墓所(霊園)】
[1]墓所を決める

【古い墓所(個人墓地)がある自治体】
[2]改葬許可証の交付

【古い墓所(個人墓地)】
[3]遺骨の取り出し
[4]墓石の撤去

【新しい墓所(霊園)】
[5]お墓を建てる
[6]お墓の完成・納骨

 
特に本州では寺院墓地にお墓を建てていた家も多く、この場合は「埋葬(埋蔵・収蔵)証明書」の署名捺印にあたり、昔から深いお付き合いのある寺院墓地のご住職に協力を仰がなければなりません。

ここでしばしばトラブル事例もあるのですが、沖縄で個人墓地から改葬する手順であれば、古い墓所に管理者がいないため、よりスムーズです。
 

※本州では寺院墓地との関係性は沖縄の人には分かりにくいかもしれません。
詳しくは下記をご参照ください。
「檀家制度」とは、「戒名」は必ず必要?菩提寺(檀那寺)との関係性

 

[1]墓所を決める

●複数の霊園を見学して墓所を決め、永代使用権数(約85万円~95万円)を購入します

霊園の場合、個人所有の墓地ではありません
霊園の施設管理者から、希望する墓地区画を永代に渡り使用する「永代使用権」を購入する契約を交わします。
 

<沖縄での改葬手順[1]墓所を決める>
①霊園見学
②契約
③受け入れ許可証の発行

 
墓所を決めて契約をしたら、受け入れ許可証を発行してもらいましょう。
この受け入れ許可証は、続く役所での改葬許可申請の手続きで提出する書類です。

ちなみに沖縄では「霊園で墓地を契約したら、登記は必要ですか?」との相談も多く受けますが、個人墓地とは違い、霊園の墓地区画はあくまでも永代使用権を購入しています。
所有者は霊園管理者ですので、登記も必要ありません
 

 

[2]改葬許可証の交付

●新しい墓所(霊園)のある役所で、改葬許可証を交付(無料~約500円ほど)してもらいます

改葬許可証」は役所の窓口でもらえますが、HPでもダウンロードできるため、予め準備をしておくと良いでしょう。

ここで改葬許可申請書は、遺骨1柱につき1枚ずつ必要です。

そのため改葬許可申請をする前に、古い墓所(個人墓地)の内部調査を行い、お墓に納骨されている遺骨の柱数を把握しておくことをおすすめします。
(お墓の内部調査の費用目安:約3万円~5万円)
 

<沖縄での改葬手順[2]改葬許可証の交付>
●必要書類の提示(自治体により異なる)
①改葬許可申請書
②受け入れ許可証

③この他申請に必要な書類
・本人確認書類(マイナンバーカードなど)
・代理の場合は委任状
・返信用封筒(住所や氏名、切手貼り付け)
・電話番号

④納骨堂など、施設管理者が遺骨を管理していた場合
・収蔵証明書(納骨堂)
埋蔵証明書(古い墓所が霊園などの場合)

⑤個人墓地の場合
・墓所が分かる地図など(自治体により異なる)

 
個人墓地が主流の沖縄の改葬手順では、多くは上記のような書類を用意しますが、自治体によって異なりますので、それぞれの役所に問い合わせ、もしくはHPを確認するなどして、必要書類を揃えてください。

[参考]那覇市「改葬許可申請」
 

[3]遺骨の取り出し

●沖縄の改葬手順では、遺骨を取り出す前にお墓の魂抜き(閉眼供養)を行います(約3万円~5万円ほど/1回の読経供養)

独自の御願文化を持つ沖縄では、その昔はセジ(霊力)を持つとされる家付きのユタや、琉球王朝付きのノロが祭祀を担ってきました。

けれども、近年では家付きのユタもそう多くはありませんので、一般的には僧侶をお呼びして、仏式の閉眼供養を行います。
 

<沖縄での改葬手順[3]遺骨の取り出し>
①魂抜き(閉眼供養)…約3万円~5万円ほど/1回の読経供養
②遺骨の取り出し(墓石業者)…約3万円/1柱

 
僧侶の手配や墓石業者は、新しい墓所(霊園)で相談をすると、適切な業者を手配してくれるでしょう。

お墓の内部調査を依頼した場合には、そのまま遺骨の取り出し墓石の撤去までお願いするとスムーズです。
 

※閉眼供養ではお布施としてお金を包みます。
沖縄の法要でお布施を包む。僧侶へ渡す時の準備やマナーとは

 

[4]墓石の撤去

●古い墓所(個人墓地)では、墓石業者に依頼して墓石の撤去の後、墓地を更地にします(約8万円~約15万円/1㎡)

平均的な墓石撤去費用として約8万円~約15万円/1㎡とお伝えしましたが、お墓は大きさから立地までさまざまですので、それに伴い金額幅も大きいでしょう。

沖縄での改葬手順:墓石の撤去費用を決める要素は、墓石であれば・大きさ・形状・重量・お墓を囲む巻石(外柵)、墓地では・立地・広さなどが挙げられます。
 

<沖縄での改葬手順[4]墓石の撤去>
①墓石の撤去(墓石業者)
更地にする(墓石業者)

 
沖縄では稀に、公営墓地から民営墓地に改葬するお墓などもあります。
その場合は特に、墓石を撤去した後、綺麗に更地にして返還しなければなりません。

霊園の墓じまいをする際、しばしば「契約時の永代使用料は返還されるの?」などの質問もありますが、基本的に返還されることはないでしょう。
 

[5]お墓を建てる

●沖縄の改葬手順では、古い墓所(個人墓地)のお墓の撤去と並行して、新しい墓所(霊園)にお墓を建てます(2017年度の全国平均167.3万円)

「まず古い墓所(個人墓地)のお墓を閉じてから…」と、ひとつひとつを丁寧にこなしても良いのですが、並行して進めることで、取り出した遺骨をスムーズに新しいお墓に納骨できるでしょう。

個人墓地の場合、依頼する墓石業者も統一できるので、遺骨の移動に関してスケジュール調整の相談がしやすいです。
 

<沖縄での改葬手順[5]お墓を建てる>
●必要書類の提示
①改葬許可証
②受け入れ証明書

 
新しい墓所(霊園)の提携する墓石業者だと、霊園内で作業をするにあたりトラブルも少なく安心です。

一度納骨された遺骨を自宅に持ち帰り安置することは、あまり良い気持ちがしない人も多いため、遺骨の取り出し→納骨のスケジュール調整がスムーズだと助かります。
 

[6]お墓の完成・納骨

●お墓が完成したら魂入れ(開眼供養)を行い、納骨ができます(約3万円~7万円/1回の読経供養)

魂入れ(開眼供養)も魂抜き(閉眼供養)と同じく、僧侶を及びして行う読経供養です。
一般的に家族のみの参列で執り行うため、服装も派手すぎない地味な平服の着用が多いでしょう。
 

<沖縄での改葬手順[6]お墓の完成・納骨>
①魂入れ(開眼供養)…約3万円~7万円/1回の読経供養
②納骨式(納骨法要)…約3万円~7万円/1回の読経供養

 
沖縄の改葬手順において開眼供養時には、お供え物も準備します。
開眼供養の規模もありますので、詳しくは依頼する僧侶へ相談すると良いでしょう。
 

 

沖縄の改葬、費用項目と費用目安

沖縄の改葬、費用項目と費用目安
●2017年度の調べでは、墓石代(建墓費用)の平均は167.3万円でした
これに加えて、永代使用料や年間管理料、古いお墓の撤去費用などが掛かります。

沖縄でお墓を霊園へ改葬するならば、遺骨をそのまま新しいお墓へ納骨しますので、取り出した遺骨の洗浄や手入れに費用は掛かりません。

けれども遺骨の柱数が多いとして、一部を合葬墓などへ埋葬するならば、費用目安としては約10万円~50万円/1柱ほどです。(遺骨の埋葬先により費用幅は広い)
 

<沖縄での改葬の手順:費用目安>
[1]新しいお墓を建てる費用
●新しい墓所(霊園)
・永代使用料…数十万円ほど~(約85万円~95万円)
・年間管理料…約1万円弱~2万円ほど(公営墓地は約1千円ほど~)
・墓石代…約80万円ほど~(2017年度の全国平均167.3万円)

●スーコー(焼香/法要)
・魂入れ(開眼供養)…約3万円~7万円/1回の読経供養
・納骨法要…約3万円~7万円/1回の読経供養
・参列者へのふるまい…約500円~3千円/1人
・お供え物…適宜

[2]古い墓所(個人墓地)での費用
●お墓の撤去
・お墓の内部調査…約3万円~5万円
・遺骨の取り出し…約3万円/1柱
・撤去費用…約8万円~約15万円/1㎡

●スーコー(焼香/法要)
・魂抜き(閉眼供養)…約3万円~7万円/1回の読経供養
・参列者へのふるまい…約500円~3千円/1人
・お供え物…適宜

[3]その他
●行政手続き
・改葬許可証の交付…無料~約500円ほど

 
…以上が沖縄で改葬をする際の大まかな手順費用目安です。
ただお墓はコンパクトなものから大きなもの、デザインの凝ったものなどさまざまですので、沖縄で改葬を手順通りに行ったとしても、費用幅は大きいでしょう。

さらに近年では、お墓を継承した墓主が他県に住んでいることも少なくありません。
この場合は、交通費宿泊費も費用目安に加えなければなりません。

●墓じまいやお墓の改葬の行政手続きを代行してもらう場合、約4万円ほど~が目安です
 

墓石ごと移動するのは難しい

●「墓石ごと移動して墓石代を節約したい」との相談もありますが、ほとんどの霊園で受け入れしていません

また仮に墓石ごと移動ができたとしても、新しくお墓を建てる費用に比べて節約できるとも言えないでしょう。

特に沖縄の場合、個人墓地に建つお墓は大きなものも多いです。
一方で霊園の墓地は区画がコンパクトなものが多く、大きなお墓に合わせた墓地区画はそれだけ割高になります。
 

・お墓の解体費用
・お墓の運搬費用
・お墓の設置工事

 
例えばお墓の運搬費用だけでもコンパクトなお墓でも約20万円以上は掛かるとして、コンパクトな霊園の墓地区画でお墓を建てた場合、約100万円ほど~、前述したように全国平均では167.3万円です。

また、古いお墓であれば経年劣化も起きていて、後々の修理修繕費用も掛かります。
さらに移動時に免振工事などの可能性も考えると、新しくお墓を建てる方が良いでしょう。
 

改葬時のトラブル事例では、古い墓石の受け入れ拒否もありました。
【沖縄のお墓】沖縄で今のお墓を霊園へ移す「改葬」。経験者が語る3つのトラブル体験談

 

最後に

以上が沖縄で個人墓地から霊園へ改葬を進める手順です。
檀家制度が根付いていない沖縄では、寺院墓地に建つお墓がほとんどなく、個人墓地が主流ですが、本州から沖縄へ改葬する事例では、手順が少しだけ変わります。

本州にある古いお墓が寺院墓地に建つ場合、沖縄で新しく墓所を決める前に、早い段階で寺院墓地のご住職へ事情を話し、ご相談をすると良いでしょう。

●また寺院墓地に建つお墓を墓じまいする時には、今までお世話になったお礼として、寺院のご住職へお布施をお渡しします

現在ではご住職から「離檀料(りだんりょう)」を請求されることがありますが、実は離檀料金は義務ではありません。

けれども長年お墓を管理・維持してくれた感謝として、一般的には自分達で約5万円~20万円ほどを包み、お礼の言葉とともにお渡しすると良いでしょう。
 

お布施の包み方や渡す時のマナーは、下記をご参照ください。
沖縄の法要でお布施を包む。僧侶へ渡す時の準備やマナーとは

 

まとめ

沖縄での改葬手順と費用目安
【新しい墓所(霊園)】
[1]墓所を決める
・霊園見学
・契約(永代使用料約85万円~95万円)
・受け入れ許可証の発行

【古い墓所(個人墓地)がある自治体】
[2]改葬許可証の交付
●必要書類の提示(自治体により異なる)
・改葬許可申請書
・受け入れ許可証(無料~約500円)

【古い墓所(個人墓地)】
[3]遺骨の取り出し(約3万円/1柱)
・お墓の内部調査(約3万円~5万円)
[4]墓石の撤去(約8万円~約15万円/1㎡)

【新しい墓所(霊園)】
[5]お墓を建てる(2017年全国平均167.3万円)
[6]お墓の完成・納骨(約3万円~7万円/1回の読経供養)


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