・沖縄の米寿「トーカチユーエー(斗掻祝)」とは?
・2024年、沖縄の米寿「トーカチ」はいつ?
・トーカチのお祝いはどのように進める?
2024年9月10日(火)は旧暦8月8日、沖縄の米寿祝い「トーカチユーエー(斗掻祝)」です。
全国的にも88歳の米寿に長寿祝いをする風習がありますが、決まった日程はありません。
一方、沖縄では毎年旧暦8月8日に、数え年88歳の長寿を祝います。
お祝いの日は豪華なデコレーションカーで集落を巡回、家庭でも神様へお供え物をして、親族や集落の人々がお祝いに訪れる、豪華なお祝いです。
本記事を読むことで、沖縄の米寿祝い「トーカチユーエー(斗掻祝)」の進め方、お供え物や拝み方が分かります。
後半では全国的な米寿、家族や身内のみで行うお祝いやおすすめギフトについてもご紹介していますので、どうぞ最後までお読みください。
沖縄の米寿「トーカチユーエー」
◇沖縄では旧暦8月8日に、米寿を祝います
88歳の長寿を祝う、沖縄の米寿祝い「トーカチユーエー(斗掻祝)」は、2024年度は9月10日(火)にあたる旧暦8月8日です。
ただ本来、沖縄では60歳以上になると、12年ごとに訪れる干支年に長寿を祝いますが、88歳の米寿は干支年にはあたりません。
けれども沖縄の歴史でも後半になり、本州の風習が入る形で、現代の沖縄に定着しました。
全国的には「米」の文字が「八十八」を表す88歳を「米寿(べいじゅ)」と呼びますが、沖縄では「トーカチ(斗掻)」と呼ばれています。
「トーカチ(斗掻)」とは、その昔、升に盛ってお米を計る際に、表面を平らにならすために使われた竹の棒です。
88歳の米寿にちなみ、トーカチ(斗掻)を飾って祝ったことから「トーカチユーエー(斗掻祝い)」と言われるようになりました。
沖縄の長寿祝いは何歳に行う?
◇沖縄で長寿祝いは、数え年61歳・73歳・85歳・88歳・97歳です
沖縄では自分の生まれ干支が回ってくる干支年が厄年となり、厄払いを行います。
全国的な厄年は、女性で19歳・33歳・37歳・61歳、男性で25歳・42歳・61歳ですから、そもそも厄年の数え方から違いますよね。
そして沖縄では60歳を迎えた干支年は、長く生きたことから厄年から長寿祝いへと変わります。
<沖縄の長寿祝い> ●2024年(令和6年)生まれ年 | ||
[年齢] | [お祝い名] | [生まれ年] |
①数え年61歳 (満60歳) | ・トゥシビー (年目) | ・1964年 (昭和39年) |
②数え年73歳 (満72歳) | ・トゥシビー (年目) | ・1952年 (昭和27年) |
③数え年85歳 (満84歳) | ・トゥシビー (年目) | ・1940年 (昭和15年) |
④数え年88歳 (満87歳) | ・トーカチーユーエー (斗掻祝) | ・1937年 (昭和12年) |
⑤数え年97歳 (満96歳) | ・カジマヤーユーエー (風車祝) | ・1928年 (昭和3年) |
この風習のなかに、全国的な風習に倣ってトーカチが入った形です。
ただ現代の沖縄でトーカチは重要な長寿祝いの役割をになっています。
全国的な長寿祝いは?
◇全国的には還暦・古稀・喜寿・傘寿・米寿・卒寿・白寿と続きます
一方、全国的な長寿祝いは沖縄の干支年の考え方とは異なる年齢です。
ただ満60歳の還暦から始まる考え方は同じで、さらに88歳の米寿は沖縄でも干支年から離れているため、全国でも沖縄でも長寿祝いが行われます。
<全国的な長寿祝い> ●数え年で祝う地域もあります(この場合の生まれ年は翌年です) | ||
[年齢] | [お祝い名] | [生まれ年] |
①満60歳 (数え年59歳) | ・還暦 (かんれき) | ・1964年 (昭和39年) |
②満66歳 (数え年65歳) | ・緑寿 (ろくじゅ) | ・1958年 (昭和33年) |
③満70歳 (数え年69歳) | ・古稀 (こき) | ・1954年 (昭和29年) |
④満77歳 (数え年76歳) | ・喜寿 (きじゅ) | ・1947年 (昭和22年) |
⑤満80歳 (数え年79歳) | ・傘寿 (さんじゅ) | ・1944年 (昭和19年) |
⑥満88歳 (数え年87歳) | ・米寿 (べいじゅ) | ・1936年 (昭和11年) |
⑦満90歳 (数え年89歳) | ・卒寿 (そつじゅ) | ・1934年 (昭和9年) |
⑧満99歳 (数え年98歳) | ・白寿 (はくじゅ) | ・1925年 (大正14年) |
⑨満100歳 (数え年99歳) | ・百寿 (ひゃくじゅ) | ・1924年 (大正13年) |
この後、100歳以上も108歳の茶寿、111歳の皇寿と続きますね。
また全国的な長寿祝いには決まった日付がなく、その年の誕生日などに家族でお祝いをしたり、お祝いのギフトを贈る流れが多いです。
トーカチの模擬葬儀
◇かつてトーカチでは「模擬葬儀」が行われました
かつてのトーカチは、88歳を迎えた方が白装束を着て仮の葬儀「模擬葬儀」を行う風習がありました。
現在でも沖縄の浜比嘉島など一部地域では、深夜0時になると88歳を迎えた方は、ニライカナイ(西方楽土)がある「イリマックァー(西枕)」で布団に入ります。
その枕元には通夜の夜に祀る「枕飾り」を飾り、集まった親族は通夜の夜を想定して、泣く演技をする儀式を行うのです。
親族がしばらく泣く演技をしていると、88歳を迎えた方は「死を乗り越えて生まれ変わった」として、布団から出て起き上がります。
すると泣いている(演技をしていた)家族・親族は、「生き返った!」と喜び、カチャーシーを踊り祝います。
そして数え年97歳の長寿祝い「カジマヤーユーエー(風車祝)」は、子どもの玩具(おもちゃ)風車を飾り祝う行事です。
トーカチの昔話
◇寿命「十八歳」に「八」を加える、トーカチの昔話があります
沖縄でトーカチの由来は、病気により寿命が短い息子を持つ夫婦が、神様に息子の寿命を延ばしてもらうため、参拝に行く昔話です。
沖縄でも地域によって詳細は異なりますが、夫婦が参拝に行くと神様は夢中になって碁を打っていました。
その横には「南星の帳簿」があり、息子の寿命が「十八歳」と記載されています。
夫婦が参拝に来た理由を話すと、神様は人心を映し出す鏡「泡盛(お酒)」、そして長寿の薬となる「山羊汁」を供えるよう、夫婦に告げました。
その後、神様は帳簿に書かれた息子の寿命の頭に「八」を書き足すよう夫婦に伝えます。
そして夫婦は「八」を書き足し、息子の寿命は「八十八歳」となったのです。
神様は今後、旧暦8月8日はお祝いをするように伝えます。
この時から、沖縄では旧暦8月8日にトーカチユーエー(斗掻祝)を行うようになりました。
2024年、沖縄の米寿「トーカチ」はいつ?
◇2024年の旧暦8月8日は、9月10日(火)です
88歳の米寿にちなみ、沖縄では昔から旧暦8月8日に行われてきました。
沖縄はトーカチユーエーに限らず、旧暦行事が多いので、毎年新暦では日にちが変わる点は、注意をしてください。
<沖縄のトーカチ:旧暦8月8日> | |
[旧暦8月8日] | [六曜:干支] |
●2024年9月10日(火) | ・先負(丁丑) |
●2025年9月29日(月) | ・先負(辛丑) |
●2026年9月18日(金) | ・先負(乙未) |
「八十八歳」から沖縄では升をならす斗?の「トーカキ」、全国的には「米寿」と呼ばれる88歳の長寿祝いは、沖縄言葉でお米の祝いを意味する「ユニヌイワイ」と呼ばれます。
トーカチの「前祝い」とは?
◇トーカチの3日前に、巡拝をする儀式です
昔の沖縄ではトーカチの3日前、旧暦8月5日に、88歳を迎える方が誕生する際に汲んだ水場「産川(ウフガー)」、地域(集落)を守護する産土神(うぶすながみ)にあたる御嶽(ウタキ)や拝所(ウガンジュ)、按司墓(古い先祖のお墓)などを巡拝する行事がありました。
このトーカチ3日前の巡拝行事を、トーカチの「メーニゲー(前願い)」と言います。
<沖縄のメーニゲー:旧暦8月5日> | |
[旧暦8月5日] | [六曜:干支] |
●2024年9月7日(土) | ・赤口(甲戌) |
●2025年9月26日(金) | ・赤口(戊戌) |
●2026年9月15日(火) | ・赤口(壬辰) |
メーニゲーは、「〇月〇日に〇〇(干支)の〇(性別)、〇〇(氏名)が、トーカチユーエー(斗掻祝)を行いますので、どうぞ滞りなく、ブジに済ませることができますよう、御守護・お導きください」と言った内容の祈願です。
メーニゲー(前願い)は、88歳を迎える方の家族や、ごく近しい親族のみで行いますが、トーカチユーエー(斗掻祝)は、集落や親族など、大勢の人が祝います。
沖縄の米寿トーカチの進め方①メーニゲー
◇旧暦8月5日、地域の神様を巡拝します
沖縄のメーニゲーは旧暦8月5日、2024年は9月7日(土)にあたり、参加するのは88歳を迎える方のご家族や、ごく近しい身内の方々のみです。
また、産川(ウフガー)は産まれた場所の井戸や川で、主に産湯を汲んだ場所とされますが、現代は「住んでいる地域の井戸や川でも良い」と考える人々が増えました。
<メーニゲーの巡拝> | |
[日程] | ・旧暦8月5日 ※2024年9月7日(土) |
[巡拝場所] | |
①地域の神様 | ・御嶽(ウタキ) ・産土神 …など |
②産川(ウフガー) | ・地域の井戸 |
③お墓 | ・お墓 ・ご先祖様のお墓 |
このような神様を巡拝し、何事もなく無事にトーカチを済ませることができるよう、前願いをしましょう。
地域の神様は一般的に、沖縄の旧暦行事であるハーレーや大綱引きで最後に祈願を行う神社や御嶽(ウタキ)です。
メーニゲーで巡拝する「三天」
◇メーニゲーで巡拝する3か所の拝所は、天・地・海です
沖縄のメーニゲーで3か所に巡拝するのは、この世を守護する3天の神様「三天(サンティン)」を巡るためでもあります。
この「三天(サンティン)」は天・地・海を表しますが、地域で違いもあるでしょう。
<メーニゲーで巡拝する「三天」> | |
①天 | ・御天(ウティン) ・お墓 |
②地 | ・地の神様 ・御嶽(ウタキ) ・産土神(神社など) |
③海 | ・竜宮(リュウグ) ・産川(ウフガー) ・龍神様など |
沖縄ではトーカチユーエー(斗掻祝)だけではなく、九十七歳を祝うカジマヤー(風車)など、他の長寿祝いでも行われてきました。
沖縄では旧暦行事のメーニゲーに限らず、日ごろの拝み「御願(ウグァン)」も、この三天(サンティン)が基本です。
・2024年沖縄のカジマヤーユーエーは旧暦9月7日の10月9日(水)!拝み方や行い方
メーニゲーのお供え物
◇メーニゲーのお供え物の基本は「米」です
沖縄の拝み「御願(ウグァン)」では、神々様へのお供え物は一般的にお米です。
たいていないお米「花米(ハナグミ)」、そして炊いていないお米を7回すすいだお米「洗い米(アライグミ)」の2種類を供えます。
「花米(ハナグミ)」「洗い米(アライグミ)」ではなく、「乾き御米(カラミハナ)」「洗い御米(アライミハナ)」と呼ぶ地域もありますが、どちらも同じです。
<メーニゲーのお供え物> | |
[お供え物] | ・ウサク(お酒) ・ハナグミ(花米)×2皿 ・アライグミ(洗い米) ・ウチャヌク ・果物の盛り合わせ |
[お線香] | ●ジュウゴフンウコー (十五本御香) ・日本線香…15本もしくは5本 ・ヒラウコー…タヒラ半(2枚半) |
ウチャヌクは沖縄では定番のお供え物、白もちを3段積み重ねたものですね。
現代でも沖縄では、スーパーなどで販売されています。
また地域によってアライグミ(洗い米)は神様ではなく、魂のある故人やご先祖様へ供えるものと考える地域もあり、このような地域ではアライグミ(洗い米)の代わりにお塩を小皿に盛る家もあるでしょう。
・沖縄のビンシー(瓶子)とは?神様へ供えるミハナ(御花)、クバンチンとは?詳しく解説
巡拝に便利な「ビンシー」
◇屋外の巡拝行事メーニゲーでは、ビンシーが便利です
「ビンシー(瓶子)」とは、沖縄の拝み「御願(ウグァン)」に必要な仏具や道具をまとめて持ち歩くための木箱で、そのままお供えを差し出すことができます。
ハナグミ(花米)やアライグミ(洗い米)を供える時、小皿やビンシー(瓶子)に入れ、上記イラストのように、左右にハナグミ(花米)を2皿、中央アライグミ(洗い米)と整えます。
・屋外の御願に便利
・そのまま供えることができる
・下の段にお線香などが入る
ビンシー(瓶子)は「あの世の実印」とも呼ばれ、沖縄の御願では「なくてはならなもの」とされるため、なかには家紋が入ったビンシー(瓶子)も見受けます。
ただ、実は歴史は浅い御願道具で、便利ながらも必ずしも必要ではありません。
ない場合は、タッパーやお盆などで供えて代用できます。
・沖縄のビンシー(瓶子)とは?神様へ供えるミハナ(御花)、クバンチンとは?詳しく解説
沖縄の米寿トーカチ:ヒヌカンへメーニゲー
◇ヒヌカン(火の神)を遥拝所にもできます
このように昔ながらの沖縄のトーカチーでは、3日前にメーニゲーを行いますが、高齢の世帯など、巡拝が現実的に困難な家族もいますよね。
このような場合、ご家庭から各所への遥拝もできます。
ヒヌカン(火の神様)を祀る家庭であればヒヌカンを遥拝所として拝むことで、ヒヌカンが各所の神々様と繋いでくれるでしょう。
「本日はトーカチーのメーニゲーを行っています。〇〇の神様へ繋いでいただき、ブジに済ませることができますように。」
…と言った内容の言葉で拝むと良いです。
ヒヌカンを祀っていない家では、リビングなどに小さなスペースを設けて、お盆にお供え物を置いて拝みます。
ヒヌカンへのメーニゲー:お供え物
◇屋外の拝所(ウガンジュ)で供えるお供え物と、ほとんど同じです
ヒヌカンを遥拝所(ようはいじょ)としたトーカチのメーニゲーも、基本的なお供え物は屋外の拝所(ウガンジュ)で供えるお供え物と、同じ内容で良いでしょう。
<メーニゲーでのお供え物> | |
●基本 | ・ミジトゥ(水) ・塩 ・供え葉 |
●メーニゲー | ・ウサク(お酒) ・ハナグミ(花米)×2皿 ・アライグミ(洗い米) ・ウチャヌク ・果物の盛り合わせ |
●お線香 | ●ジュウゴフンウコー(十五本御香) ・日本線香…15本もしくは5本 ・ヒラウコー…タヒラ半(2枚半) |
ヒラウコー(平御香)とは沖縄の線香で香料は入っておらず、お線香6本を縦に繋げた板状のお線香です。
また、家内やご先祖様に対しては、ビンシー(瓶子)はあまり用いません。
けれども今回のメーニゲー(前祝い)や、お彼岸に行う家内の神々様を巡る「ヤシチヌウグァン(屋敷の御願)」では、ビンシー(瓶子)でお供え物を整える家族も多いです。
・【沖縄のヒヌカン】ヒヌカンの始め方。親から引き継ぐ、一から仕立てる2つの方法を解説
メーニゲーでの拝み方
◇現代の沖縄では、それほど畏まった決まり事はありません
確かに、家付きのユタさんが活躍していた時代は、沖縄の旧暦行事の拝みは一定の決まり事としてグイス(祝詞)があるとされました。
けれども今では家の女性が思い思いに拝んでいるので、それほど畏まった決まり事はないと言えるでしょう。
ただ沖縄言葉で順番通りに唱える必要はないのですが、「何を言うか」は知っておくと、安心して手を合わせることができます。
「ウートゥートゥー、ヒヌカンヌウカミガナシー(ヒヌカンの神様)、今日の晴れた日にお願いを上げておりますのは、
親の○○(干支)の女(男)が八十八歳になり、トーカチユーエーを迎えることになりました。
そのメーニゲー(前願い)の御願立てを行いに来ております。
この歳まで元気に迎えさせていただき、誠にありがとうございます。
神々様ご先祖様のお陰でごさいます。
ここから産まれた○○の産川(ウブガー)へお通しさせていただき、○○家のご先祖様へも、ここから感謝の拝みとさせていただきます。
3日後の8月8日(2024年9月10日でも良し)にトーカチユーエーを行いますので、どうぞ無事に終わりますよう、お見守りください。
ウートゥートゥー(あな尊い)。」
沖縄の拝み言葉を活字にすることが良いかどうかは人によって見解が違うでしょう。
ただ「真摯に丁寧に拝み事がしたい」と願う方が、参考にしてくだされば幸いです。
また沖縄の旧暦行事では、家族は「干支」と「性別」を伝えて拝みを始めます。
もしも御嶽(ウタキ)や産川(ウフガー)まで行くのであれば、自宅の住所も添えると良いでしょう。
・【沖縄の旧盆】最終日ウークイの送り方。ヒヌカン・お仏前・門前でのグイス(拝み言葉)
沖縄の米寿トーカチユーエー②当日
◇床の間にお米と「斗掻」を祀ります
毎年旧暦8月8日、2024年9月10日(火)の当日にお供え物を供える場所は、主にトゥクヌマ(床の間)です。
ただ昔の沖縄の平屋にはトゥクヌマ(床の間)がありましたが、現代ではトゥクヌマ(床の間)を設けた住まいは少ないため、リビングに祀る場所を設けて供えても良いでしょう。
また、昔ながらの沖縄では、台所にヒヌカン(火の神)を祀っている家庭も多く、仏間も一般的でしたが、現代ではヒヌカンがない、仏間がない家庭も多いです。
このような場合は、トゥクヌマ(床の間)のみでも問題はありません。
・ヒヌカン(火の神)…台所
・仏壇…仏間
・トゥクヌマ(床の間)…リビング
トーカチーでは竹で作った「斗掻」があるので、トーカチーまでに準備が必要です。
青竹を斜めに切ったものですが、沖縄では結納品などを揃えたお店などでも入手できます。
沖縄で米寿トーカチユーエーを祝いに訪れるお客様に対して、長寿にあやかる「あやかり昆布」なども配りますので、ポチ袋などで用意すると良いでしょう。
・那覇のまちの沖縄風結納屋「生年祝い」
トーカチ当日:ヒヌカンのお供え物
ヒヌカンへは朝一番に、トーカチユーエー(斗掻祝)をブジに済ませることができるよう、拝みを捧げます。
朝起きたら、台所に鎮座されるヒヌカンへお水やお酒などを交換した後、トーカチユーエー(斗掻祝)のお供え物を供える流れです。
<トーカチー当日:ヒヌカンのお供え物> | |
[日ごろのお供え物] | ・ミジトゥ(水) ・塩 ・供え葉 |
[トーカチのお供え物] | ・ウサク(お酒) ・ハナグミ(花米)×2皿 ・アライグミ(洗い米) ・ウチャヌク |
[その他] | ・果物の盛り合わせ |
[お線香] | ●ジュウゴフンウコー(十五本御香) ・日本線香…15本もしくは5本 ・ヒラウコー…タヒラ半(2枚半) |
ウチャヌクなど、沖縄の米寿トーカチユーエーのお供え物はお膳に整え、ウチャヌクは白い紙の上に乗せます。
また、メーニゲー(前願い)とほとんど同じウサギムン(お供え物)ですが、果物の盛り合わせはどちらでも良いでしょう。
トーカチ当日:お仏壇のお供え物
88歳を迎える方の家の家長が中心になって、ヒヌカンに続いてお仏壇へ供えます。
現代では男女関係なく台所に立ったり・大黒柱となり得ますが、かつての沖縄ではヒヌカンは家の女性が、仏壇は家の男性が担ってきました。
ただ家長が難しい場合には、家族が供えても問題はありません。
<トーカチー当日:仏壇のお供え物> | |
[祝い膳] | ・おかず ・赤飯 ・汁物 ・お箸を添える |
[供え膳] | ①ウサク(お酒) ・おちょこ ・徳利…左右に2瓶 |
②お米 ●小皿で3皿 ・ハナグミ(花米) ・アライグミ(洗い米) ・ハナグミ(花米) | |
[仏壇内] | ・ウチャヌク…2セット ・供え花…左右に2つ |
[お線香] | ●ジュウニフンウコー(十二本御香) ・日本線香…12本もしくは4本 ・ヒラウコー(平御香)…タヒラ(2枚) |
トーカチユーエー(斗掻祝)は長寿祝いなので、祝い膳に整える汁物は、お祝いの席で縁起の良いイナムドゥチや、中身汁などが人気です。
また、仏壇でも日ごろのお供え物(ウサギムン)は、最初にいつも通り供えてください。
そのためウチャトゥ(お茶)は、左右対称に2杯、その脇にウチャヌクを供える配置が一般的です。
供え花は左右対称に2つを供えます。
トーカチ当日:床の間
◇トーカチユーエーの主な飾り物は、床の間で整えます
沖縄の米寿トーカチユーエー(斗掻祝)では、長寿祝いとして多くの客人が集まります。
そのためお客様の目に留まる床の間やリビングに飾り物や配り物を整え、「あやかり昆布」などの手土産を配る流れが一般的です。
<トーカチ当日:床の間のお供え物> | |
[お膳] | ・お米…9合 ・斗掻き…3本 |
[その他] | ・ムイグァーシ(お菓子の盛り合わせ) ・ご馳走 ・一升瓶のお酒…2本 ・あやかり昆布…配る人数分 |
沖縄の米寿トーカチユーエー(斗掻祝)で、一合のお米を計る枡(ます)の表面を平らにならす竹「斗掻き」は、九合のお米に斗掻きを3本立てます。
長寿にあやかる「アヤカーイ」
◇「アヤカーイ(あやかり)」は長寿にあやかる品です
88歳を迎える方の家では、集まる人々に配るお菓子や昆布などの手土産「アヤカーイ」を用意します。
子どもにも人気がある「ムイグァーシ(お菓子の盛り合わせ)」は、集まった人々へ配ることを想定して、クッキーやスコンブ(酢昆布)など、配りやすい個包装にして飾る家が多いです。
<トーカチ当日:手土産のアヤカーイ> | |
[現代の定番] | ・あやかり昆布 ・個包装のお菓子 |
[昔からある] | ・小さな斗掻き ・クーダ(糸車の竹管) |
88歳を迎える方の家では、お客様の人数を想定して用意しなければなりません。
小額のお金を包むこともありますが、いずれにしても多めに準備できるものを選び、少しでも多くの方々へ配るようにします。
・(有)つむぎ弁当
沖縄の米寿トーカチユーエー③服装
◇生年祝いの華やかな紅型が基本です
沖縄で米寿を迎える本人は、トーカチユーエー(斗掻祝)で紅型の盛装をします。
沖縄の生年祝いはトーカチユーエー(斗掻祝)、八十三歳のトゥシビー祝いなどがありますが、いずれも華やかな琉装が定番です。
<トーカチ当日:服装> | |
[琉装を重ねる] | [詳細] |
①襦袢(じゅばん) | ・袖と襟がピンク色 |
②襦袢の上 | ・青い色 |
③青い着物の上 | ・黄色の打ち掛け (襟と袖はピンク色) |
先にお伝えしたように、昔の沖縄では米寿のトーカチユーエー(斗掻祝)を「葬儀の前儀礼」と捉えています。
そのため88歳を迎えた方は死者の眠り方である「イリマックァー(西枕)」で寝て、枕飾りを供える生前葬に近い儀式を行うので、本人も白装束を着ますよね。
かつての沖縄で黄色の打ち掛けはその後、亡くなった時に着せていたため「グソージン(後生の衣装)」とも言います。
身内のみでトーカチを過ごす
◇近年では、家族のみで祝うトーカチも増えました
近年では、気心の知れた身内のみで祝うトーカチユーエー(斗掻祝)も増えています。
特に2020年の新型コロナ襲来以降、親族や地域の人々が集まって盛大にお祝いをすることができなかったことをきっかけに、家族のみで祝う選択が急増しました。
家族や身内のみで行うトーカチユーエー(斗掻祝)では、ホテルなどでの会食も多いです。
<身内で進めるトーカチユーエー> | |
[家族] | ・ホテルなどで会食 ・トーカチユーエーの参拝 ・ご香典や御供物へのお礼を贈る |
[親族] | ・ご香典や御供物などを贈る |
2024年現代、沖縄の米寿トーカチユーエーは、ごく近しい家族や親族のみでホテルの個室を利用した会食形式が増えました。
それでも長寿への感謝を込めて、自宅でヒヌカンやお仏壇へ御馳走を供え、拝みを捧げる家は多いです。
2024年沖縄の米寿祝いでおすすめのギフトは?
◇記念品やお祝いの言葉を伝えるものが人気です
2024年沖縄の米寿祝い、トーカチーで人気のギフトは、食べ物やお酒、インテリアももちろんですが、特に人生を振り返る記念を綴ったものや、家族の感謝やお祝いの言葉を詰めたものが人気があります。
88歳になると、たくさんご飯を食べることが難しい方もいれば、あまり遠くへお出かけを頻繁にできない方もいるでしょう。
88歳を機会に過去の人生を振り返りながら、「家族や周囲の人々から愛されている、感謝されていることを感じる1日を過ごして嬉しかった」と感じる方が多いためです。
お誕生日の新聞表紙セット
◇過去のお誕生日に発刊された新聞の表紙を綴ったお祝いです
自分の誕生日に発刊された新聞の表紙を綴り、人生を振り返る「お誕生日新聞」を見ながら、その当時のテレビ番組や出来事を振り返ります。
家族で見ることで思い出話に話も弾み、時代を感じることで懐かしい想いにたくさんの出来事を思い出すことでしょう。
全国新聞紙に限られてきますが、時代を象徴する「その年の出来事」も掲載しています。
・お誕生日新聞
お祝いポエム
◇名前や似顔絵とメッセージを額に入れたギフトです
長寿祝いでは似顔絵や名前をモチーフにした詩、感謝のメッセージを色紙などに描いたものを、額に入れたギフトも人気があります。
名前の頭文字から詩を紡いだものや、似顔絵をメインにしたものなどさまざまです。
メッセージのなかに思い出を振り返る言葉も入れて、日々飾ることができるでしょう。
お祝いポエムギフトを受け付けるお店のなかには、神社仏閣で長寿を祈祷した紙を使用するものもあります。
・つむぐ言葉
縁起の良い品
◇富士山や招き猫など、縁起の良い品も人気です
富士山や招き猫など、縁起の良いものをトーカチーユーエー(斗掻祝)に贈るならば、品の良いものを選ぶと喜ばれます。
九谷焼の招き猫や江戸切子の富士山など、品が良くてさらにオリジナル感があり、眺めていて幸せになる、長生きできそうな気がする、そんな品は家族で眺めながら笑顔になり、話が盛り上がります。
また毎日のなかで笑顔が生まれ、元気になる気持ちが生まれ、より長生きできる人生を後押しできるでしょう。
まとめ:旧暦8月8日のトーカチーは2024年9月10日です
88歳を祝う沖縄の米寿「トーカチユーエー(斗掻祝)」は毎年旧暦8月8日、2024年は9月10日(火)、3日前のメーニゲー(前願い)は2024年9月7日(土)、旧暦8月5日となります。
またトーカチーの旧暦8月8日~11日頃には、毎年お祓い行事「ヨーカビー(八日目)」「シバサシ(柴差し)」の行事もあり、もち米で炊いたおこわを供える「ハチグァチカシチー(八月カシチー)」もすぐです。
さらに2024年9月19日(木)~25日(水)は秋のお彼岸が訪れます。
沖縄ではお墓参りに行かない家庭も多いですが、屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)を行う風習がありました。
・2023年沖縄の秋彼岸は9月20日(水)~9月26日(火)。秋彼岸の3つの過ごし方