【図解】沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願(2)お仏壇(祖霊神)への拝み方|お供え物は?

2023.08.03
【図解】沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願(2)お仏壇(祖霊神)への拝み方|お供え物は?

沖縄のお彼岸は「仏壇拝み」、家での供養です。また沖縄のお彼岸では屋敷の神へ拝む「屋敷の御願」を行います。本記事では、沖縄のお彼岸に行う仏壇への拝み方、「屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)」とは何かや、仏壇へのお供え物や拝み言葉が分かります。

・沖縄のお彼岸で、仏壇への拝み方は?
・沖縄のお彼岸では仏壇へ何を供える?
・沖縄のお彼岸は、仏壇へ拝むの?

全国的にはお墓参り行事のお彼岸ですが、沖縄のお彼岸は「仏壇拝み」とも呼ばれ、家でご先祖様の供養を行う家がほとんどです。

特に沖縄では彼岸の入り以降、お仏壇やヒヌカンなど、屋敷の神(ヤシチヌカミ)へ日ごろの御守護へ感謝を捧げる「屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)」を行います。

本記事を読むことで、沖縄のお彼岸に行う仏壇への拝み方、「屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)」とは何かや、仏壇へのお供え物や拝み言葉が分かります。
 

沖縄のお彼岸は「仏壇拝み」?

沖縄のお彼岸は「仏壇拝み」?
◇沖縄のお彼岸では、仏壇で供養する「仏壇拝み」が多いです

お彼岸はあの世(彼岸)とこの世(此岸)が最も近くなるとされ、全国的にはお墓参りに行く風習がありますよね。

けれども親族や血族の大勢でお墓参りをする沖縄では、多くの家で毎年4月頃、清明の節気に行う「清明祭(シーミー)」が大きなお墓参り行事です。
そのため、沖縄のお彼岸は一般的に、仏壇を前に拝み供養します。
 

<沖縄のお彼岸に行う事柄>
[行事] [内容]
●お彼岸
・ヒグァン(彼岸)
・ウンチャビ(御三日)
(1)ヒヌカンとお仏壇にお供え物をする
(2)家族揃ってご先祖様を供養する
(3)ウチカビ(打ち紙)を仏前で焚く
●屋敷の御願
・ヤシチヌウグァン
(1)屋敷の神様へ巡拝する
・ヒヌカン(火の神)
・仏壇(祖霊)
・ユンシヌカミ(四隅の神)
・ジョウヌカミ(門の神)
・フールヌカミ(豚便所の神)
・ナカジンヌカミ(中陣の神)

 
また沖縄ではお彼岸に仏壇拝みの他、「屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)」を行う習わしがあります。

屋敷に鎮座される6柱10か所の神様を、お供え物を持って巡拝し、それぞれ日ごろの御守護を感謝し、今後の御守護を祈願する拝みです。

沖縄では「拝み」を「御願(ウグァン)」と呼ぶため、「屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)」と呼ばれます。
 

 

秋のお彼岸でお墓参りをする地域

◇秋のお彼岸のみ、お墓参りに行く地域もあるでしょう

ただし沖縄のなかでも地域によって風習は違います。
そこで沖縄では、春のお彼岸は仏壇拝み、秋のお彼岸はお墓参りに行く、風習を持つ地域もあるでしょう。
 

<沖縄のお彼岸:仏壇拝み・外拝み>
[彼岸の季節] [供養の仕方]
●二月彼岸
(ニングァッチヒグァン)
・春のお彼岸
●内祀り彼岸
(ウチマチヒングァン)
・仏壇拝み
●八月彼岸
(ハチグァチヒングァン)
・秋のお彼岸
●外祀り彼岸
(フカマチヒングァン)
・お墓参り

 
ただ沖縄の一部地域でお彼岸に仏壇拝みではなく、お墓参りを行っていた地域でも、現代の沖縄では、春と秋のお彼岸共に、仏壇拝みになった家が少なくありません。
 

 

沖縄のお彼岸で仏壇には何を供える?

沖縄で秋彼岸の供養方法。2021年は新暦9月20日が彼岸入り
◇沖縄のお彼岸の拝みでは、仏壇へおかずを供えます

沖縄のお彼岸で仏壇へのお供え物は、主に煮物などのご馳走「ウサンミ(御三味)」、おもちです。
 

<沖縄のお彼岸で仏壇へのお供え物>
[供える場所] [お供え物]
[ヒヌカン](火の神) [お供え物]
・ウチャワキ(お茶脇)
・お酒
[お線香]
●ジュウゴフンウコー(十五本御香)
・日本線香…15本、若しくは5本
・沖縄線香…タヒラ半(2枚半)
[仏壇](祖霊) [お供え物]
・供え花×左右2
・ウチャトゥ(お茶)×左右2杯
・ウサク(お酒)×1
・ムィグワーシ(お菓子)の盛り合わせ
・果物の盛り合わせ
[御膳]
・重箱料理取り分けたおかず皿
・ダーグ(団子)7個
※お膳の上
・ウチカビ5枚
・お箸
[お線香]
●ジュウニフンウコー(十二本御香)
・日本線香…12本もしくは4本
・ヒラウコー(平御香)…タヒラ(2枚)

 
沖縄では彼岸の入りになると、仏壇の前に朝一番でヒヌカンへウサンミ(御三味)を取り分けたおかず「ウチャワキ(お茶脇)」を供え、今日がお彼岸であることをご報告します。
 

 

2023年沖縄のお彼岸日程は?

◇2023年、沖縄で秋のお彼岸は、9月20日(水)~26日(火)です

次の沖縄のお彼岸は秋分の日を中心とした前後3日間、合計7日間の秋のお彼岸、日程は9月20日(水)~26日(火)となります。
 

<2023年沖縄の秋のお彼岸日程>
[彼岸入り] …9月20日(水)
[秋分の日] …9月23日(土)
[彼岸明け] …9月26日(火)

 
沖縄の彼岸で仏壇拝みやお墓参りをするならば、調整できれば9月23日(土)が良いとされます。

2023年9月23日(土)にあたる秋分の日は、春分の日と併せて最もあの世(彼岸)とこの世(此岸)が繋がるとされるためです。
けれども彼岸とされる7日間の間であれば、いつ供養をしても良いでしょう。
 

 

沖縄のお彼岸:忌中や喪中の仏壇は?

弔事で供える沖縄の重箱料理
◇沖縄のお彼岸では、忌中は行わず、喪中は弔事として行います

沖縄のお彼岸は「彼岸祭」と呼ばれ、日ごろはお祝い行事です。
けれども沖縄では、喪中のお彼岸は弔事として行います。
 

<沖縄のお彼岸:忌中や喪中の仏壇>
[時期] [意味] [お彼岸]
[忌中] ・四十九日まで ・行わない
[喪中] ・1年忌(イヌイ)まで ・弔事として行う

 
具体的にはお供え物である重箱料理のウサンミ(御三味)が、紅白のかまぼこやお祝い昆布など、祝い事に適したおかずを避けるなどです。
 

<沖縄のお彼岸:喪中の仏壇>
[時期] [違い]
[通常のお彼岸] ・紅白かまぼこ
・結び昆布
・ターンム(田芋)
(お祝いの食材)
●もち
・あんこ
・白もち
・よもぎもち
●豚の三枚肉
・皮を下に詰める
[喪中のお彼岸] 白かまぼこ
・返し昆布
・ごぼう
・こんにゃく
●もち
・白もちのみ
●豚の三枚肉
・皮を上に詰める

 
独立したり、結婚によって実家(ムチスク)から離れ、沖縄のお彼岸で実家の仏壇にお参りできない時には、実家の人々に代わりにお線香やお供え物をしてもらいます。

お礼として沖縄のお彼岸時期に、仏壇へ供えるお線香や供物を贈る人も多いです。
「ムチスク(宗家)」とは、先祖代々位牌「トートーメー」を祀る家を差します。
 

[慶事と弔事で違う、重箱料理のウサンミ(御三味)]
【沖縄の旧盆2023年】お供え物の重箱の詰め方は?慶事と弔事5つの違い

 

沖縄のお彼岸:仏壇2つの役割

沖縄のお彼岸:仏壇2つの役割
◇沖縄のお彼岸で仏壇へ拝むタイミングは、2回あります

沖縄ではお彼岸に仏壇拝みをしますが、これはご先祖様供養のためです。
ここでは近く亡くなった故人に向け、お供養をします。

そしてご先祖様供養として拝む他にも、「屋敷の神(ヤシチヌカミ)」へのひと柱としても、巡拝するでしょう。
 

<沖縄のお彼岸で「仏壇」とは>
[行事] [目的]
[お彼岸]
(仏壇拝み)
[ご先祖様供養]
お仏壇は…、
故人
・ご先祖様
[屋敷の御願]
(ヤシチヌウグァン)
[神々へ御守護を祈願]
お仏壇は…、
カミ
・祖霊神

 
本州のように檀家制度が根付いておらず、独自の祖霊信仰を持つ沖縄では、人が亡くなりトートーメー(先祖代々位牌)に祀られると、7代が過ぎた頃には、その家を守る守護神(祖霊神)「カミ」となります。

そのため沖縄のお彼岸では、仏壇拝みで故人やご先祖様へ拝み、屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)でカミ(祖霊)へ拝むためです。
 

 

カミ(祖霊)とヒヌカンとの違いは?

◇祖霊神であるカミと、他の神々との違いは人間であったことです
…そこで純粋な神様へのお供え物と、区別することもあります。

このように沖縄のお彼岸では仏壇へ、ご先祖様供養だけではなく、屋敷の神々(ヤシチヌカミ)のひと柱とし、屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)で仏壇にも巡拝する家が多いです。

けれどもヒヌカンや他の屋敷の神々(ヤシチヌカミ)とは、お供え物に違う点も多々あります。
 

<沖縄のお彼岸:仏壇とヒヌカンとの違い>
【ヒヌカン】
(火の神)
純粋な神様
・アライミハナ(洗い米)を供える
お塩を供える
・シルカビ(白紙)を供える
・ウチャヌクは3組供える
[お線香]
●ジュウゴフンウコー(15本御香)
・日本線香…15本、もしくは5本
・沖縄線香(ヒラウコー)…タヒラ半(2枚半)
【仏壇】
(カミ、祖霊)
ご先祖様がカミになる
・アライミハナ(洗い米)はない
お塩は供えない
・シルカビ(白紙)を供えない
・ウチャヌクは2組のみ供える
[お線香]
●ジュウニフンウコー(十二本御香)
・日本線香…12本、若しくは4本
・沖縄線香(ヒラウコー)…タヒラ(2枚)

 
「アライミハナ(洗い米)」とは、お米を7回水ですすいだものです。

ご先祖様が7代を過ぎカミ(神)となったお仏壇には、アライミハナ(花米)は供えず、乾いたお米「カラミハナ(乾米)」のみとする家が多いでしょう。
供え方や詳しくは、後ほど解説します。

「シルカビ(白紙)」は習字の半紙を四つ切りに千切り、さらに半分に折った「神様への税金」で、こちらも純粋な神様のみに供えることが多いです。
 

 

沖縄のお彼岸:屋敷の御願に仏壇はない?

◇沖縄のお彼岸に行う屋敷の御願では、仏壇を入れない地域もあります

一般的に沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願には、家の守護神として仏壇のカミ(祖霊神)へ、ヒヌカンの次に拝むのが習慣です。
 

<沖縄のお彼岸:屋敷の御願に仏壇はない?>
●けれども一部地域の沖縄では、お彼岸に屋敷の御願を行う際、お仏壇への拝みが入らない家もあります。

 
地方(特に南部地域など)には、遠いご先祖様が祀られた「ウタナー(御棚)」など、屋敷の神を祀っている家も多いですよね。
このような沖縄のお彼岸では、屋敷の御願でお仏壇にも拝みます。

沖縄では屋敷の御願にお仏壇へ拝まない家もあり、家を守る祖霊(カミ)として扱うか、ご先祖様として扱うかは、家によってそれぞれです。(詳しくは後述します。)
 

沖縄のお彼岸:仏壇へ屋敷の御願の供え物

沖縄で拝む屋敷の御願、お仏壇へのウサギムン
◇沖縄のお彼岸に行う屋敷の御願で、仏壇には果物・お酒・ウチャヌクを供えます

ウチャヌク」とは、もち粉で作った白もちを3段に積み上げたお供え物です。
全国的なおもちはもち米をついて作りますが、沖縄のおもちの多くが、もち粉から作ります。

沖縄ではお彼岸時期になると、仏壇へ供えるウチャヌクもスーパーで販売されているでしょう。
 

<沖縄のお彼岸:仏壇へ屋敷の御願での供え物>
(1)ウサク(お酒)
(2)カラミハナ(乾き米)
(3)ウチャヌク(白もちの3段重ね)
(4)果物の盛り合わせ
(5)お線香

 
また仏壇のある沖縄の家では、お彼岸の供養や屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)を行う以外の日でも、仏壇への日々のお勤めは欠かさず行います。
 

<仏壇へ日々の供養>
[朝]…交換する
・ウブク(ご飯)
・ウチャトゥ(お茶)
・ミジトゥ(お水)
・供え花

 
供え花は生花なら、いつも元気であるようにお世話をしてください。
お茶やお水を交換する時には継ぎ足すのではなく、一度全て捨ててから交換します。
 

屋敷の御願の朝、仏壇への拝み方

そして沖縄のお彼岸で屋敷の御願を行う日は、仏壇へ以下のようにご報告をしましょう。
 

<沖縄のお彼岸:屋敷の御願で仏壇への報告>
「本日の善き日、屋敷の御願を行います。
無事に済ませますよう、どうぞお見守りください。」

 
沖縄のお彼岸は、仏壇へのご先祖供養であるとともに、日々仏壇へのお世話をすること、家の掃除を丁寧に行うことで禊(みそぎ)を祓い、日々の修行を誓う7日間でもあります。
 

 

(1)ウサク(お酒)

(1)ウサク(お酒)
◇徳利(とっくり)とお猪口(おちょこ)にお酒を継、供えます

お膳に徳利(とっくり)とお猪口(おちょこ)に継いだお酒を供えましょう。
お酒は沖縄では泡盛(あわもり)が多いですが、日本酒でも構いません。
 

<沖縄のお彼岸:仏壇へのお酒>
[献酒(けんしゅ)] ・神様の食事
・神々と人を結びつける
[お酒の祈願] ・豊作祈願
・無病息災祈願

 
お酒が神様の食事とされるのは、最も貴重な米、水から作られるためです。
また近年では簡易的にワンカップなど、瓶のお酒を供える人もいますが、コチラでも良いでしょう。
 

(2)カラミハナ(乾き米)

(2)カラミハナ(乾き米)
◇「カラミハナ(乾き米)」はお米を差し、純潔を意味します

何もしていない(炊かない・すすいでいない)お米が、沖縄では「カラミハナ(乾き米)」「ハナグミ(花米)」です。
 

<お彼岸と屋敷の御願の違い>
[御願の目的] [お供え物]
[お彼岸]
・故人の供養
・ご先祖様供養
●ウブク(白ご飯)
(炊いたご飯)
[屋敷の御願]
・屋敷の神々への祈願
・御守護への感謝
●お米
・カラミハナ(乾き米)

 
ご先祖様なので日ごろはウブク(炊いたご飯)なのですが、沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)では、家の守護神「カミ」として拝むためです。
 

●小皿にカラミハナ(乾き米)を一皿供えてください

 
ご先祖様であれば御膳料理や御馳走になりますが、祖霊(それい)・カミ(神)として、今回は拝みます。
 

(3)ウチャヌク

(3)ウチャヌク
◇ウチャヌクはもち粉で作った白もちの3段重ねです

ウチャヌクは大・中・小、3つの大きさが違う、もち粉で作った白もちを、3段重ねに重ねて作ります。

全国的な白もちと言えば、もち粉をついて作った丸餅ですが(お正月の鏡餅などですね)、沖縄ではもち粉を湯で溶いて作ります。
 

<沖縄のお彼岸:仏壇のウチャヌク>
[供えるもの]
・ウチャヌク…2組
[供え方]
・下に白紙を敷き、2組乗せる

 
沖縄ではお彼岸近くに仏壇に供えるウチャヌクが、スーパーなどで販売されます。
ターナファンクルーなどを3段重ねた、変わったウチャヌクもありますね。

御願の後にお供え物を下げていただく「ウサンデー(お下がり)」で、子ども達も美味しくいただくためでしょう。
珍しいですが、ターナファンクルーのウチャヌクでも問題はありません。
 

(4)果物の盛り合わせ

(4)果物の盛り合わせ
◇沖縄のお彼岸で仏壇に供える果物は、バナナ・りんご・みかんが定番です
沖縄ではお彼岸などに仏壇に供える果物は「丸い果物」やバナナが好まれます。

それぞれ、その形や実のなり方から、意味合いを持って供えられてきました。
バナナなどは沖縄での屋敷の御願に限らず、青バナナが多いですよね。
 

<沖縄のお彼岸:仏壇に供える果物>
・バナナ …男性性
・りんご …女性性
・みかん
…子孫繁栄

 
ただ現代、沖縄のお彼岸で仏壇に供える果物は、祈願後に美味しく家族がウサンデー(お下がり)できるよう、家族の好きな美味しい果物を供える家も増えました。

例えば、マンゴーやドラゴンフルーツ、キウイなど、多岐に富んでいますが、これも問題はないでしょう。
 

お線香

◇沖縄のお彼岸で、仏壇に供えるお線香は日本線香12本です

沖縄のお彼岸で仏壇に供えるお線香は、お彼岸のご先祖様供養でも、屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)でも、どちらもジュウニフンウコー(十二本御香)を供えます。
 

<沖縄のお彼岸:仏壇のお線香>
[家長] ●ジュウニフンウコー(十二本御香)
・日本線香…12本もしくは4本
・ヒラウコー(平線香)…タヒラ(2枚)
[その他の家族] ●サンブンウコー(三本御香)
・日本線香…3本もしくは1本
・ヒラウコー(平御香)…半ヒラ(半分)

 
「ヒラウコー(平御香)」とは、沖縄線香で日本線香6本が縦にくっついている板状のお線香です。

ヒラウコーを供える時には、時に半分に割るなどしますが、今回は12本ですので、そのまま2枚を備えて問題はありません。
 

沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願:拝み方

沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願:拝み方
◇沖縄のお彼岸で屋敷の御願をする際は、仏壇に拝むのみです

同じ沖縄のお彼岸で仏壇へ先祖供養をする時には、最後にあの世でご先祖様が使う「ウチカビ(打ち紙)」を焚きます。

けれども屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)で仏壇へ巡拝する際には、神様として拝みますので、ウチカビ(打ち紙)は燃やしません。
 

<沖縄のお彼岸:屋敷の御願で仏壇へ拝む>
(1)お線香を供える
(2)家長が拝む
(3)家族は手を合わせる

 
…以上の流れです。
それでは、上記(1)~(3)の三つの流れを解説します。
 

(1)お線香を供える

◇お線香はジュウニフンウコー(十二本御香)です

沖縄のお彼岸に行う屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)で、仏壇以外のヒヌカンや他の神々様はジュウゴフンウコー(十五本御香)ですよね。
けれどもご先祖様だった仏壇(祖霊神)には、ジュウニフンウコー(十二本御香)となります。
 

<沖縄のお彼岸:屋敷の御願での仏壇>
[家長] ●ジュウニフンウコー(十二本御香)
・日本線香…12本もしくは4本
・ヒラウコー(平線香)…タヒラ(2枚)

 
旧盆などでは家長がジュウニフンウコー(十二本御香)を供えた後に、家族が順番でサンブンウコー(三本御香)を供えます。

けれども沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願は、家長がジュウニフンウコー(十二本御香)を供えるのみです。
 

(2)家長が拝む

◇家長が拝み言葉を唱え、感謝と祈願を行います

神様やお仏壇へ唱える拝み言葉は、「グイス(祝詞)」です。
けれども実際にはカミ(祖霊神)へ向かい、ウチナーグチ(沖縄の言葉)でご報告をしています。

仏教に伝わる「お経」などとは違うため、現代の言葉で同じ内容を伝えれば良いでしょう。
 

沖縄のお彼岸で仏壇への拝み言葉

◇沖縄のお彼岸での屋敷の御願で、仏壇には住所やお供え物をまず伝えます

沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願で仏壇に拝む時には、まず住所を伝えて、どこの誰から拝みを捧げているのかを伝える言葉が始まりです。
現代の言葉でも良いので必要な部分を押さえます。
 

<屋敷の御願:仏壇での拝み言葉>
「ウートゥートゥー、ウヤフジガナシー
(あな尊き ご先祖様)、

今日の良き日、これから○○市○○、○○番地(住所)にて屋敷の御願を行いますので、どうぞ滞りなく進めさせていただきますように。

カラミハナ(乾き米)、ウサク(お酒)、ウチャヌク、果物(お供え物を報告)をお供えしておりますので、どうぞお受け取りください。

ウヤフジガナシー(ご先祖様)には、家を御守護くださり荒らすことなく、クガニヤシチ(黄金の屋敷)、ナンジャヤシチ(白銀の屋敷)に整えてくださいまして、誠に感謝しております。

来年もまた、クガニヤシチ(黄金の屋敷)ナンジャヤシチ(白銀の屋敷)にしてくださり、○○家の子々孫々を守ってくださいますように。

クワッウマガンチャ(子孫みな)、体も健康に、繁栄されますよう、お見守りくださいませ。

ウートゥートゥー
(あな 尊い)。」

 
集まった家族は、家長の背中を見ながら合掌し、それぞれに感謝の気持ちとともに拝んでください。

家長は一般的には父親など男性が担いますが、今では性別もあまりこだわりません
ただ年長者であることが多く、高齢のおばぁが主催人として拝むこともあるでしょう。
 

まとめ:沖縄のお彼岸で仏壇に拝む機会は2回あります

まとめ:自宅弔問は、ご遺族を最優先に考えます
沖縄ではお彼岸に仏壇に拝む機会は、ご先祖様供養屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)との2回です。

祖霊信仰が残る沖縄では、お仏壇はご先祖様や故人の魂も祀りますが、祖霊(それい)である家を守護する「カミ」としても扱われます。
故人は亡き後、7代目にして家を守護する「カミ」となった存在です。
 

<屋敷の御願に仏壇を入れるか>
[7代を過ぎている] カミ(祖霊神)
・屋敷の御願に入れる
[故人(7代まで)の位牌] 故人への供養(お彼岸)
・屋敷の御願に入れない

 
そのため一般的には7代以上前のご先祖様が祀られていない場合、故人として沖縄のお彼岸で屋敷の御願に仏壇は含めません。
このようなことから、沖縄のお彼岸で屋敷の御願に仏壇を巡拝したとしても、他の屋敷の神(ヤシチヌカミ)とは、下記の点が大きく違います。
 

シルカビは供えない(神様へ供えるため)
・お線香は、ジュウニフンウコー(十二本御香)
・アライミハナ(洗い米)は供えない

 
沖縄のお彼岸で屋敷の御願は、仏壇が終わるとユンシヌカミ(四隅の神)です。
仏壇以外の屋敷の神(ヤシチヌカミ)へのお供え物は、お供え物を携帯しやすい木箱「ビンシー(瓶子)」に、仏壇だけお盆に整えても良いでしょう。
 

 

まとめ

沖縄のお彼岸で仏壇への拝み方は?
[お供え物]
(1)ウサク(お酒)
(2)カラミハナ(花米)
(3)ウチャヌク(白もちの三段重ね)
(4)果物の盛り合わせ
(5)お線香

[お線香]
●ジュウニフンウコー(十二本御香)

・日本線香、十二本もしくは四本
・ヒラウコー(沖縄線香)タヒラ(二枚)

[拝み方]
(1)お線香を供える
(2)家長が拝む
(3)家族は家長に倣い、手を合わせる


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