・沖縄のお彼岸で、仏壇への拝み方は?
・沖縄のお彼岸では仏壇へ何を供える?
・沖縄のお彼岸は、仏壇へ拝むの?
全国的にはお墓参り行事のお彼岸ですが、沖縄のお彼岸は「仏壇拝み」とも呼ばれ、家でご先祖様の供養を行う家がほとんどです。
特に沖縄では彼岸の入り以降、お仏壇やヒヌカンなど、屋敷の神(ヤシチヌカミ)へ日ごろの御守護へ感謝を捧げる「屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)」を行います。
本記事を読むことで、沖縄のお彼岸に行う仏壇への拝み方、「屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)」とは何かや、仏壇へのお供え物や拝み言葉が分かります。
沖縄のお彼岸は「仏壇拝み」?
◇沖縄のお彼岸では、仏壇で供養する「仏壇拝み」が多いです
お彼岸はあの世(彼岸)とこの世(此岸)が最も近くなるとされ、全国的にはお墓参りに行く風習がありますよね。
けれども親族や血族の大勢でお墓参りをする沖縄では、多くの家で毎年4月頃、清明の節気に行う「清明祭(シーミー)」が大きなお墓参り行事です。
そのため、沖縄のお彼岸は一般的に、仏壇を前に拝み供養します。
<沖縄のお彼岸に行う事柄> | |
[行事] | [内容] |
●お彼岸 ・ヒグァン(彼岸) ・ウンチャビ(御三日) |
(1)ヒヌカンとお仏壇にお供え物をする (2)家族揃ってご先祖様を供養する (3)ウチカビ(打ち紙)を仏前で焚く |
●屋敷の御願 ・ヤシチヌウグァン |
(1)屋敷の神様へ巡拝する ・ヒヌカン(火の神) ・仏壇(祖霊) ・ユンシヌカミ(四隅の神) ・ジョウヌカミ(門の神) ・フールヌカミ(豚便所の神) ・ナカジンヌカミ(中陣の神) |
また沖縄ではお彼岸に仏壇拝みの他、「屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)」を行う習わしがあります。
屋敷に鎮座される6柱10か所の神様を、お供え物を持って巡拝し、それぞれ日ごろの御守護を感謝し、今後の御守護を祈願する拝みです。
沖縄では「拝み」を「御願(ウグァン)」と呼ぶため、「屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)」と呼ばれます。
・沖縄ではお彼岸に何をする?ヒヌカンやお仏壇、屋敷の神様に拝む「屋敷の御願」を解説!
秋のお彼岸でお墓参りをする地域
◇秋のお彼岸のみ、お墓参りに行く地域もあるでしょう
ただし沖縄のなかでも地域によって風習は違います。
そこで沖縄では、春のお彼岸は仏壇拝み、秋のお彼岸はお墓参りに行く、風習を持つ地域もあるでしょう。
<沖縄のお彼岸:仏壇拝み・外拝み> | |
[彼岸の季節] | [供養の仕方] |
●二月彼岸 (ニングァッチヒグァン) ・春のお彼岸 |
●内祀り彼岸 (ウチマチヒングァン) ・仏壇拝み |
●八月彼岸 (ハチグァチヒングァン) ・秋のお彼岸 |
●外祀り彼岸 (フカマチヒングァン) ・お墓参り |
ただ沖縄の一部地域でお彼岸に仏壇拝みではなく、お墓参りを行っていた地域でも、現代の沖縄では、春と秋のお彼岸共に、仏壇拝みになった家が少なくありません。
・【沖縄の秋彼岸】お墓参りへ行くタイミングはある?3つのタブーとは
沖縄のお彼岸で仏壇には何を供える?
◇沖縄のお彼岸の拝みでは、仏壇へおかずを供えます
沖縄のお彼岸で仏壇へのお供え物は、主に煮物などのご馳走「ウサンミ(御三味)」、おもちです。
<沖縄のお彼岸で仏壇へのお供え物> | |
[供える場所] | [お供え物] |
[ヒヌカン](火の神) | [お供え物] ・ウチャワキ(お茶脇) ・お酒 [お線香] ●ジュウゴフンウコー(十五本御香) ・日本線香…15本、若しくは5本 ・沖縄線香…タヒラ半(2枚半) |
[仏壇](祖霊) | [お供え物] ・供え花×左右2 ・ウチャトゥ(お茶)×左右2杯 ・ウサク(お酒)×1 ・ムィグワーシ(お菓子)の盛り合わせ ・果物の盛り合わせ [御膳] ・重箱料理取り分けたおかず皿 ・ダーグ(団子)7個 ※お膳の上 ・ウチカビ5枚 ・お箸 [お線香] ●ジュウニフンウコー(十二本御香) ・日本線香…12本もしくは4本 ・ヒラウコー(平御香)…タヒラ(2枚) |
沖縄では彼岸の入りになると、仏壇の前に朝一番でヒヌカンへウサンミ(御三味)を取り分けたおかず「ウチャワキ(お茶脇)」を供え、今日がお彼岸であることをご報告します。
・【2023年お彼岸とは】沖縄で秋彼岸の拝み方は?お供え物やお墓参りに良い暦も解説!
2023年沖縄のお彼岸日程は?
◇2023年、沖縄で秋のお彼岸は、9月20日(水)~26日(火)です
次の沖縄のお彼岸は秋分の日を中心とした前後3日間、合計7日間の秋のお彼岸、日程は9月20日(水)~26日(火)となります。
<2023年沖縄の秋のお彼岸日程> | |
[彼岸入り] | …9月20日(水) |
[秋分の日] | …9月23日(土) |
[彼岸明け] | …9月26日(火) |
沖縄の彼岸で仏壇拝みやお墓参りをするならば、調整できれば9月23日(土)が良いとされます。
2023年9月23日(土)にあたる秋分の日は、春分の日と併せて最もあの世(彼岸)とこの世(此岸)が繋がるとされるためです。
けれども彼岸とされる7日間の間であれば、いつ供養をしても良いでしょう。
・2023年沖縄の秋彼岸は9月20日(水)~9月26日(火)。秋彼岸の3つの過ごし方
沖縄のお彼岸:忌中や喪中の仏壇は?
◇沖縄のお彼岸では、忌中は行わず、喪中は弔事として行います
沖縄のお彼岸は「彼岸祭」と呼ばれ、日ごろはお祝い行事です。
けれども沖縄では、喪中のお彼岸は弔事として行います。
<沖縄のお彼岸:忌中や喪中の仏壇> | ||
[時期] | [意味] | [お彼岸] |
[忌中] | ・四十九日まで | ・行わない |
[喪中] | ・1年忌(イヌイ)まで | ・弔事として行う |
具体的にはお供え物である重箱料理のウサンミ(御三味)が、紅白のかまぼこやお祝い昆布など、祝い事に適したおかずを避けるなどです。
<沖縄のお彼岸:喪中の仏壇> | |
[時期] | [違い] |
[通常のお彼岸] | ・紅白かまぼこ ・結び昆布 ・ターンム(田芋) (お祝いの食材) ●もち ・あんこ ・白もち ・よもぎもち ●豚の三枚肉 ・皮を下に詰める |
[喪中のお彼岸] | ・白かまぼこ ・返し昆布 ・ごぼう ・こんにゃく ●もち ・白もちのみ ●豚の三枚肉 ・皮を上に詰める |
独立したり、結婚によって実家(ムチスク)から離れ、沖縄のお彼岸で実家の仏壇にお参りできない時には、実家の人々に代わりにお線香やお供え物をしてもらいます。
お礼として沖縄のお彼岸時期に、仏壇へ供えるお線香や供物を贈る人も多いです。
「ムチスク(宗家)」とは、先祖代々位牌「トートーメー」を祀る家を差します。
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沖縄のお彼岸:仏壇2つの役割
◇沖縄のお彼岸で仏壇へ拝むタイミングは、2回あります
沖縄ではお彼岸に仏壇拝みをしますが、これはご先祖様供養のためです。
ここでは近く亡くなった故人に向け、お供養をします。
そしてご先祖様供養として拝む他にも、「屋敷の神(ヤシチヌカミ)」へのひと柱としても、巡拝するでしょう。
<沖縄のお彼岸で「仏壇」とは> | |
[行事] | [目的] |
[お彼岸] (仏壇拝み) |
[ご先祖様供養] お仏壇は…、 ・故人 ・ご先祖様 |
[屋敷の御願] (ヤシチヌウグァン) |
[神々へ御守護を祈願] お仏壇は…、 ・カミ ・祖霊神 |
本州のように檀家制度が根付いておらず、独自の祖霊信仰を持つ沖縄では、人が亡くなりトートーメー(先祖代々位牌)に祀られると、7代が過ぎた頃には、その家を守る守護神(祖霊神)「カミ」となります。
そのため沖縄のお彼岸では、仏壇拝みで故人やご先祖様へ拝み、屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)でカミ(祖霊)へ拝むためです。
・沖縄のトートーメーとは?タブーで増える沖縄のトートーメー継承問題を解決する方法とは
カミ(祖霊)とヒヌカンとの違いは?
◇祖霊神であるカミと、他の神々との違いは人間であったことです
…そこで純粋な神様へのお供え物と、区別することもあります。
このように沖縄のお彼岸では仏壇へ、ご先祖様供養だけではなく、屋敷の神々(ヤシチヌカミ)のひと柱とし、屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)で仏壇にも巡拝する家が多いです。
けれどもヒヌカンや他の屋敷の神々(ヤシチヌカミ)とは、お供え物に違う点も多々あります。
<沖縄のお彼岸:仏壇とヒヌカンとの違い> | |
【ヒヌカン】 (火の神) ・純粋な神様 |
・アライミハナ(洗い米)を供える ・お塩を供える ・シルカビ(白紙)を供える ・ウチャヌクは3組供える [お線香] ●ジュウゴフンウコー(15本御香) ・日本線香…15本、もしくは5本 ・沖縄線香(ヒラウコー)…タヒラ半(2枚半) |
【仏壇】 (カミ、祖霊) ・ご先祖様がカミになる |
・アライミハナ(洗い米)はない ・お塩は供えない ・シルカビ(白紙)を供えない ・ウチャヌクは2組のみ供える [お線香] ●ジュウニフンウコー(十二本御香) ・日本線香…12本、若しくは4本 ・沖縄線香(ヒラウコー)…タヒラ(2枚) |
「アライミハナ(洗い米)」とは、お米を7回水ですすいだものです。
ご先祖様が7代を過ぎカミ(神)となったお仏壇には、アライミハナ(花米)は供えず、乾いたお米「カラミハナ(乾米)」のみとする家が多いでしょう。
供え方や詳しくは、後ほど解説します。
「シルカビ(白紙)」は習字の半紙を四つ切りに千切り、さらに半分に折った「神様への税金」で、こちらも純粋な神様のみに供えることが多いです。
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沖縄のお彼岸:屋敷の御願に仏壇はない?
◇沖縄のお彼岸に行う屋敷の御願では、仏壇を入れない地域もあります
一般的に沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願には、家の守護神として仏壇のカミ(祖霊神)へ、ヒヌカンの次に拝むのが習慣です。
●けれども一部地域の沖縄では、お彼岸に屋敷の御願を行う際、お仏壇への拝みが入らない家もあります。
地方(特に南部地域など)には、遠いご先祖様が祀られた「ウタナー(御棚)」など、屋敷の神を祀っている家も多いですよね。
このような沖縄のお彼岸では、屋敷の御願でお仏壇にも拝みます。
沖縄では屋敷の御願にお仏壇へ拝まない家もあり、家を守る祖霊(カミ)として扱うか、ご先祖様として扱うかは、家によってそれぞれです。(詳しくは後述します。)
沖縄のお彼岸:仏壇へ屋敷の御願の供え物
◇沖縄のお彼岸に行う屋敷の御願で、仏壇には果物・お酒・ウチャヌクを供えます
「ウチャヌク」とは、もち粉で作った白もちを3段に積み上げたお供え物です。
全国的なおもちはもち米をついて作りますが、沖縄のおもちの多くが、もち粉から作ります。
沖縄ではお彼岸時期になると、仏壇へ供えるウチャヌクもスーパーで販売されているでしょう。
(1)ウサク(お酒)
(2)カラミハナ(乾き米)
(3)ウチャヌク(白もちの3段重ね)
(4)果物の盛り合わせ
(5)お線香
また仏壇のある沖縄の家では、お彼岸の供養や屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)を行う以外の日でも、仏壇への日々のお勤めは欠かさず行います。
[朝]…交換する
・ウブク(ご飯)
・ウチャトゥ(お茶)
・ミジトゥ(お水)
・供え花
供え花は生花なら、いつも元気であるようにお世話をしてください。
お茶やお水を交換する時には継ぎ足すのではなく、一度全て捨ててから交換します。
屋敷の御願の朝、仏壇への拝み方
そして沖縄のお彼岸で屋敷の御願を行う日は、仏壇へ以下のようにご報告をしましょう。
「本日の善き日、屋敷の御願を行います。
無事に済ませますよう、どうぞお見守りください。」
沖縄のお彼岸は、仏壇へのご先祖供養であるとともに、日々仏壇へのお世話をすること、家の掃除を丁寧に行うことで禊(みそぎ)を祓い、日々の修行を誓う7日間でもあります。
・【沖縄の春彼岸】仏前で彼岸に行う「六波羅蜜」とは?意味と行い方を分かりやすく解説!
(1)ウサク(お酒)
◇徳利(とっくり)とお猪口(おちょこ)にお酒を継、供えます
お膳に徳利(とっくり)とお猪口(おちょこ)に継いだお酒を供えましょう。
お酒は沖縄では泡盛(あわもり)が多いですが、日本酒でも構いません。
<沖縄のお彼岸:仏壇へのお酒> | |
[献酒(けんしゅ)] | ・神様の食事 ・神々と人を結びつける |
[お酒の祈願] | ・豊作祈願 ・無病息災祈願 |
お酒が神様の食事とされるのは、最も貴重な米、水から作られるためです。
また近年では簡易的にワンカップなど、瓶のお酒を供える人もいますが、コチラでも良いでしょう。
(2)カラミハナ(乾き米)
◇「カラミハナ(乾き米)」はお米を差し、純潔を意味します
何もしていない(炊かない・すすいでいない)お米が、沖縄では「カラミハナ(乾き米)」「ハナグミ(花米)」です。
<お彼岸と屋敷の御願の違い> | |
[御願の目的] | [お供え物] |
[お彼岸] ・故人の供養 ・ご先祖様供養 |
●ウブク(白ご飯) (炊いたご飯) |
[屋敷の御願] ・屋敷の神々への祈願 ・御守護への感謝 |
●お米 ・カラミハナ(乾き米) |
ご先祖様なので日ごろはウブク(炊いたご飯)なのですが、沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)では、家の守護神「カミ」として拝むためです。
ご先祖様であれば御膳料理や御馳走になりますが、祖霊(それい)・カミ(神)として、今回は拝みます。
(3)ウチャヌク
◇ウチャヌクはもち粉で作った白もちの3段重ねです
ウチャヌクは大・中・小、3つの大きさが違う、もち粉で作った白もちを、3段重ねに重ねて作ります。
全国的な白もちと言えば、もち粉をついて作った丸餅ですが(お正月の鏡餅などですね)、沖縄ではもち粉を湯で溶いて作ります。
<沖縄のお彼岸:仏壇のウチャヌク> | |
[供えるもの] |
・ウチャヌク…2組 |
[供え方] |
・下に白紙を敷き、2組乗せる |
沖縄ではお彼岸近くに仏壇に供えるウチャヌクが、スーパーなどで販売されます。
ターナファンクルーなどを3段重ねた、変わったウチャヌクもありますね。
御願の後にお供え物を下げていただく「ウサンデー(お下がり)」で、子ども達も美味しくいただくためでしょう。
珍しいですが、ターナファンクルーのウチャヌクでも問題はありません。
(4)果物の盛り合わせ
◇沖縄のお彼岸で仏壇に供える果物は、バナナ・りんご・みかんが定番です
沖縄ではお彼岸などに仏壇に供える果物は「丸い果物」やバナナが好まれます。
それぞれ、その形や実のなり方から、意味合いを持って供えられてきました。
バナナなどは沖縄での屋敷の御願に限らず、青バナナが多いですよね。
<沖縄のお彼岸:仏壇に供える果物> | |
・バナナ | …男性性 |
・りんご | …女性性 |
・みかん |
…子孫繁栄 |
ただ現代、沖縄のお彼岸で仏壇に供える果物は、祈願後に美味しく家族がウサンデー(お下がり)できるよう、家族の好きな美味しい果物を供える家も増えました。
例えば、マンゴーやドラゴンフルーツ、キウイなど、多岐に富んでいますが、これも問題はないでしょう。
お線香
◇沖縄のお彼岸で、仏壇に供えるお線香は日本線香12本です
沖縄のお彼岸で仏壇に供えるお線香は、お彼岸のご先祖様供養でも、屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)でも、どちらもジュウニフンウコー(十二本御香)を供えます。
<沖縄のお彼岸:仏壇のお線香> | |
[家長] | ●ジュウニフンウコー(十二本御香) ・日本線香…12本もしくは4本 ・ヒラウコー(平線香)…タヒラ(2枚) |
[その他の家族] | ●サンブンウコー(三本御香) ・日本線香…3本もしくは1本 ・ヒラウコー(平御香)…半ヒラ(半分) |
「ヒラウコー(平御香)」とは、沖縄線香で日本線香6本が縦にくっついている板状のお線香です。
ヒラウコーを供える時には、時に半分に割るなどしますが、今回は12本ですので、そのまま2枚を備えて問題はありません。
沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願:拝み方
◇沖縄のお彼岸で屋敷の御願をする際は、仏壇に拝むのみです
同じ沖縄のお彼岸で仏壇へ先祖供養をする時には、最後にあの世でご先祖様が使う「ウチカビ(打ち紙)」を焚きます。
けれども屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)で仏壇へ巡拝する際には、神様として拝みますので、ウチカビ(打ち紙)は燃やしません。
(1)お線香を供える
(2)家長が拝む
(3)家族は手を合わせる
…以上の流れです。
それでは、上記(1)~(3)の三つの流れを解説します。
(1)お線香を供える
◇お線香はジュウニフンウコー(十二本御香)です
沖縄のお彼岸に行う屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)で、仏壇以外のヒヌカンや他の神々様はジュウゴフンウコー(十五本御香)ですよね。
けれどもご先祖様だった仏壇(祖霊神)には、ジュウニフンウコー(十二本御香)となります。
<沖縄のお彼岸:屋敷の御願での仏壇> | |
[家長] | ●ジュウニフンウコー(十二本御香) ・日本線香…12本もしくは4本 ・ヒラウコー(平線香)…タヒラ(2枚) |
旧盆などでは家長がジュウニフンウコー(十二本御香)を供えた後に、家族が順番でサンブンウコー(三本御香)を供えます。
けれども沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願は、家長がジュウニフンウコー(十二本御香)を供えるのみです。
(2)家長が拝む
◇家長が拝み言葉を唱え、感謝と祈願を行います
神様やお仏壇へ唱える拝み言葉は、「グイス(祝詞)」です。
けれども実際にはカミ(祖霊神)へ向かい、ウチナーグチ(沖縄の言葉)でご報告をしています。
仏教に伝わる「お経」などとは違うため、現代の言葉で同じ内容を伝えれば良いでしょう。
沖縄のお彼岸で仏壇への拝み言葉
◇沖縄のお彼岸での屋敷の御願で、仏壇には住所やお供え物をまず伝えます
沖縄のお彼岸で行う屋敷の御願で仏壇に拝む時には、まず住所を伝えて、どこの誰から拝みを捧げているのかを伝える言葉が始まりです。
現代の言葉でも良いので必要な部分を押さえます。
「ウートゥートゥー、ウヤフジガナシー
(あな尊き ご先祖様)、
今日の良き日、これから○○市○○、○○番地(住所)にて屋敷の御願を行いますので、どうぞ滞りなく進めさせていただきますように。
カラミハナ(乾き米)、ウサク(お酒)、ウチャヌク、果物(お供え物を報告)をお供えしておりますので、どうぞお受け取りください。
ウヤフジガナシー(ご先祖様)には、家を御守護くださり荒らすことなく、クガニヤシチ(黄金の屋敷)、ナンジャヤシチ(白銀の屋敷)に整えてくださいまして、誠に感謝しております。
来年もまた、クガニヤシチ(黄金の屋敷)、ナンジャヤシチ(白銀の屋敷)にしてくださり、○○家の子々孫々を守ってくださいますように。
クワッウマガンチャ(子孫みな)、体も健康に、繁栄されますよう、お見守りくださいませ。
ウートゥートゥー
(あな 尊い)。」
集まった家族は、家長の背中を見ながら合掌し、それぞれに感謝の気持ちとともに拝んでください。
家長は一般的には父親など男性が担いますが、今では性別もあまりこだわりません。
ただ年長者であることが多く、高齢のおばぁが主催人として拝むこともあるでしょう。
まとめ:沖縄のお彼岸で仏壇に拝む機会は2回あります
沖縄ではお彼岸に仏壇に拝む機会は、ご先祖様供養と屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)との2回です。
祖霊信仰が残る沖縄では、お仏壇はご先祖様や故人の魂も祀りますが、祖霊(それい)である家を守護する「カミ」としても扱われます。
故人は亡き後、7代目にして家を守護する「カミ」となった存在です。
<屋敷の御願に仏壇を入れるか> | |
[7代を過ぎている] | …カミ(祖霊神) ・屋敷の御願に入れる |
[故人(7代まで)の位牌] | …故人への供養(お彼岸) ・屋敷の御願に入れない |
そのため一般的には7代以上前のご先祖様が祀られていない場合、故人として沖縄のお彼岸で屋敷の御願に仏壇は含めません。
このようなことから、沖縄のお彼岸で屋敷の御願に仏壇を巡拝したとしても、他の屋敷の神(ヤシチヌカミ)とは、下記の点が大きく違います。
・お線香は、ジュウニフンウコー(十二本御香)
・アライミハナ(洗い米)は供えない
沖縄のお彼岸で屋敷の御願は、仏壇が終わるとユンシヌカミ(四隅の神)です。
仏壇以外の屋敷の神(ヤシチヌカミ)へのお供え物は、お供え物を携帯しやすい木箱「ビンシー(瓶子)」に、仏壇だけお盆に整えても良いでしょう。
・沖縄のビンシー(瓶子)とは?神様へ供えるミハナ(御花)、クバンチンとは?詳しく解説
まとめ
沖縄のお彼岸で仏壇への拝み方は?
[お供え物]
(1)ウサク(お酒)
(2)カラミハナ(花米)
(3)ウチャヌク(白もちの三段重ね)
(4)果物の盛り合わせ
(5)お線香[お線香]
●ジュウニフンウコー(十二本御香)
・日本線香、十二本もしくは四本
・ヒラウコー(沖縄線香)タヒラ(二枚)[拝み方]
(1)お線香を供える
(2)家長が拝む
(3)家族は家長に倣い、手を合わせる