【沖縄の相続】自筆証書遺言が無効にならない5つのチェックポイント

2022.06.04
【相続対策】自筆証書遺言が無効にならない5つのチェックポイント

自分で作成・保管ができる自筆証書遺言は、気軽な一方、無効になりやすい点が気に掛かりますよね。今回は自筆証書遺言が無効にならないよう、作成時に押さえたい5つのチェックポイントをお伝えします。

自分で作成・保管をする自筆証書遺言は、気軽な一方、無効になりやすい点が気に掛かりますよね。

ただ公正証書遺言は確かに有効性として最も信頼ができますが、適切な第三者である証人2人が必要であったり、公証役場で専門家(弁護士など)である公証人に作成してもらうなど、コストや手間暇が掛かるため、壁が高いのも事実です。

自筆証書遺言が無効にならないチェックポイントを押さえて、確実に被相続人の遺志が通るのであれば、コストも掛からず気軽に作成できる自筆証書遺言に越したことはありません。

今回は自筆証書遺言が無効にならないよう、作成時に押さえたい5つのチェックポイントをお伝えします。どうぞ参考にしてください。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは
自筆証書遺言とは、文字通り「自筆で作成する遺言書」のことです。

自筆証書遺言」の他には、無効の可能性が低く信頼性が高い「公正証書遺言」や、自筆証書遺言同様、無効になる可能性はありながらも、内容を秘密にしながら遺言の存在を周知できる「秘密証書遺言」があります。

【 自筆証書遺言とは 】

● 公証役場に出向くことなく、いつでも自筆で書き、日付けと署名・捺印をすることで、証人も必要なく作成できる遺言の種類です。

 

誰かに遺言を残したいと思った時にすぐに作成できるため、遺言を残す方法としては1番簡単でしょう。

しかし、書き方や形式が1つ間違えるだけで遺言書が無効になる遺言書の種類なので、注意して作成しなければなりません。

自筆証書遺言、6つの規定

自筆証書遺言、6つの規定
自筆証書遺言の効力を確実にするためには、法に記載される「6つの規定」を理解しておくと良いでしょう。この規定を順守することによって、より有効性は高まります。

【 自筆証書遺言を無効にしない☆6つの規定 】

● 自筆証書遺言の規定は以下の6つです。

・遺言者に遺言能力がある
直筆で作成されている(遺言者)
作成日が明記されている
署名・印鑑がされている
単独の遺言である
・裁判所による検認が必要

 

ただ、この記載だけでは大まかな概要は掴めるものの、確実に有効な自筆証書遺言を残したい場合には不安ですよね。…それでは、それぞれの規定について解説します。

遺言者に遺言能力がある

遺言者に遺言能力がなければ、自筆証書遺言は無効になってしまいます。また、15歳未満の方や、認知症などで判断が不十分な方が作成した自筆証書遺言も無効になりますので注意をしてください。

直筆で作成されている(遺言者)

秘密証書遺言ではパソコンや代筆であっても被相続人本人のサインと捺印があれば有効になりますが、被相続人が直筆で書かれていない自筆証書遺言は無効です。

● パソコン(ワードなど)で作成した自筆証書遺言が無効になるのはもちろん、例え本人であっても、映像やボイスレコーダーでの録音による遺言も認められませんので、注意をしてください。

 

作成日が明記されている

遺言を作成した日付の確認が取れないと、自筆証書遺言は無効になります。

もちろん「○年○月○日」と記載されていればOKなのですが、例えば「○年の誕生日に遺言を残す」と書いてもOKです。

ただ、自筆証書遺言が無効にならないよう、必ず遺言書を作成した年月日は明記するようにしましょう。

署名・印鑑がされている

遺言書には必ず「署名・印鑑」が押されているものをでないと、自筆証書遺言は無効です。

単独の遺言である

自筆証書遺言を無効にしないためには、1点の遺言書に対して1人の遺言しか記載できません。共同名義による複数人での遺言は無効になり認められませんので、注意をしてください。

裁判所による検認が必要

遺言者が亡くなられた後、遺言を実行するには裁判所による検認が必要です。裁判所が検認することで、遺言の内容を確認し始めて遺言が有効になります。

● しばしば「自筆証書遺言は開封されたら無効ですか?」との質問が多いのですが、自筆証書遺言を誰かが開封しても、無効にはなりません

 

ただし自筆証書遺言書を作成する時点での注意点ではないのですが、遺言書を勝手に開封してしまうと、5万円以下の過料を支払う場合があるので注意しましょう。

…以上が自筆証書遺言が無効になる可能性「6つの規定」ですが、被相続人が自筆証書遺言を無効にしないよう、確認したい5つのチェックポイントを下記よりお伝えします。

遺言の有効を保つ5つの方法

生前にできる3つの対策
自筆証書遺言が無効になった事例では、下記5つの要因が多い傾向です。上記6つの規定に考慮しながら、作成時点では最終的に下記5つのポイントをチェックすると良いでしょう。

【 自筆証書遺言を無効にしない☆5つのポイント 】

(1)遺言書を作成した時点での、被相続人の状態
(2)遺留分への配慮がない内容
(3)書き間違え
(4)内容が不明確
(5)加筆や修正を正しい方法で行う

 

…それでは、自筆証書遺言を無効にしない5つのチェックポイント、それぞれについてより詳しく解説します。

遺言書作成時点での、被相続人の状態

自筆証書遺言に限らず無効になりやすいのは、遺言書作成時点での被相続人の遺言能力の有無です。

「遺言能力」とは、認知や精神障害などの問題により、物事の判断能力を欠いている状況を差します。例えば認知症の場合、自筆証書遺言書は無効になりやすいと言えるでしょう。

相続発生後に法定相続人により意義が唱えられ、病院などによる確かな看護記録が提示された場合、その遺言書は無効になりやすいので注意をしてください。

遺留分の配慮

遺留分への配慮がない自筆証書遺言の内容は、無効と判断される事例も多いでしょう。

「遺留分」とは、法定相続人それぞれが今後の生活維持のために最低限認められた相続財産の取り分であり、被相続人は遺言を通して相続財産の指定ができるものの、遺留分を侵害していた場合に法定相続人は遺留分侵害請求ができます。

【 自筆証書遺言を無効にしない☆遺留分 】

● 遺留分を侵害しない割合で相続財産分割の指定をすることで、より確実に遺言内容が執行されるでしょう。法定相続人の立場による遺留分の割合は以下です。

・ 配偶者のみが相続人の場合 … 2分の1
・ 子のみが相続人の場合 … 2分の1
・ 直系のみが相続人の場合 … 3分の1
・ 兄弟姉妹のみが相続人の場合 … 遺留分無し

・ 配偶者と子が相続人の場合 … 配偶者が4分の1、子が4分の1
・ 配偶者と父母が相続人の場合 … 配偶者が3分の1、父母が6分の1
・ 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合 … 配偶者が2分の1

 

…ただ、なかには特定の法定相続人に相続財産を渡したくないとか、法定相続人として認められていない他者へ財産の一部を相続して欲しい…、などの遺言もありますよね。

このような遺言を有効にするための対策は「【相続対策】遺言書でも遺留分は請求される?生前3つの遺留分対策」を参考にしてください。

書き間違え

自筆証書遺言で無効になる事例として多いものの、最ももったいないと言える理由が「書き間違え」です。遺言において書き間違え(錯誤)は、凡ミスでも採用されないため注意をしてください。

ちなみに「公正証書遺言」であれば、被相続人本人ではなく公証人を通して公正であることを証明されているため、無効となるケースは非常に稀です。

自筆証書遺言は公正証書遺言よりも無効となるケースが多いため、より確実に有効にしたいのであれば公正証書遺言が良いでしょう。

ただし公正証書遺言であっても無効となるケースも可能性はゼロではありません。(「【相続対策】公正証書遺言でも無効に?有効を保つ5つのポイント」参照)

内容が不明確

内容が不明確な自筆証書遺言も無効になります。特に自筆証書遺言の場合、公正証書遺言とは違い一人で作成できてしまうので、完成後に時間を置き、改めて読み返すと良いでしょう。

ポイントとしては、第三者である公証人が見ても財産がどれを示しているのか明確になるように記載することです。

【 自筆証書遺言を無効にしない☆内容 】

● 特に多い不明確な内容は不動産の特定です。不動産は住所と番地が異なるため、住所を記載しただけ・土地や建物が特定できない、自筆証書遺言は無効になりがちです。

→ 事前に登録情報を集めて、登録簿に記載されている「所在・番地・地番・地目・地積・家番号・構造・床面積」などを正確に記載します。

 

不動産による相続財産の分割を細かく指示する自筆証書遺言では、無効にしないためにも財産目録も一緒に添えると、より安心です。

※「【沖縄の終活】相続財産の範囲はどこまで?生前整理をしておこう」をご参照ください。

加筆や修正を正しい方法で行う

加筆や修正はあっても良いのですが、加筆や修正が「正しい方法」で記載されていない自筆証書遺言は無効になってしまいます。

【 自筆証書遺言を無効にしない☆加筆や修正 】

● 実は、他の人による改ざんの恐れがある遺言書は、一般的な文よりも加筆・修正の「正しい方法」が、法律によって厳しく定められているためです。

→ 万が一、加筆や修正する場合、修正する部分に二重に線を引き、修正内容の横に記載した上で印鑑をします。

 

修正や加筆の工程を1つでも忘れてしまったり、執筆しないと修正した内容が無効になってしまうので注意が必要です。

いかがでしたでしょうか、今回は自筆証書遺言を無効にしない5つのチェックポイントを、6つの規定とともに解説しました。

確かに自筆証書遺言は、いつでも気軽に自分ひとりで作成できますが、遺言書3つの種類のなかでも無効になりやすいものなので、予算があるならば専門家に公正証書遺言の作成を依頼すると安心です。

また家族へのメッセージ性を重視したい場合には、事務的な遺言書だけではなくエンディングノートも一緒に準備すると良いでしょう。

※ 遺言書3つの種類、特徴やそれぞれのメリット・デメリットについて、またエンディングノートについては、別記事でお伝えしています。

【おひとりさま終活】遺言に有効な種類とは☆3つの遺言メリットとデメリット
【沖縄の終活】エンディングノートの書き方☆ 役立つ8項目とは?

 

まとめ

自筆証書遺言を無効にしない5つのポイント

●自筆証書遺言6つの規定
・遺言者に遺言能力がある
・直筆で作成されている(遺言者)
・作成日が明記されている
・署名・印鑑がされている
・単独の遺言である
・裁判所による検認が必要

●自筆証書遺言5つのポイント
・遺言書を作成した時点での、被相続人の状態
・遺留分への配慮がない内容
・書き間違え
・内容が不明確
・加筆や修正を正しい方法で行う


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