沖縄の旧盆で焚く「ウチカビ」とは?いつ焚くの?沖縄線香ヒラウコーやシルカビも解説!

2023.05.17
沖縄の旧盆で焚く「ウチカビ」とは?いつ焚くの?沖縄線香ヒラウコーやシルカビも解説!

沖縄の旧盆では最終日のウークイであの世のお金「ウチカビ」を焚きます。また沖縄ではヒラウコーやシルカビなど独自の道具がありますよね。本記事ではウチカビとは何か?どこで入手できる?焚くタイミングや意味、シルカビとの違い、ヒラウコーが分かります。

・沖縄の旧盆で焚く「ウチカビ」ってなに?
・いつウチカビを焚くの?
・ウチカビを焚く枚数や、焚き方は?
・沖縄の「ヒラウコー」ってなに?
・ウチカビはシルカビとは違うの?

沖縄の旧盆では最終日のウークイで、あの世のお金「ウチカビ」を焚きます。
また独自の旧暦行事が残る沖縄では、ヒラウコーやシルカビなど、独自の道具がありますよね。

本記事を読むことで、沖縄の旧盆で焚くウチカビとは何か?どこで入手できるのか?
先祖供養行事でウチカビを焚くタイミングや意味、シルカビとの違いが分かります。

後半では沖縄独自の線香「ヒラウコー」についても解説していますので、どうぞ最後までお読みください。

 

沖縄の旧盆で焚く「ウチカビ」とは?

沖縄の旧盆で焚く「ウチカビ」とは?
◇「ウチカビ」とは、あの世のお金です

あの世でご先祖様が困らないように」とウチカビを焚いてお金を送ります。
さまざまですが、生活費と言うよりは「ワタクサー(へそくり)」と伝わる地域も多いです。

沖縄では四十九日やイヌイ(一年忌)などのスーコー(焼香)や、お墓参り行事シーミー(清明祭)、旧盆など、供養行事で用いられてきました。

 

①なぜ「ウチカビ」と呼ばれるの?

◇ウチカビは漢字で「打ち紙」と書きます

昔は「カビウチ(紙打ち)」と呼ばれる刻印を藁紙に押して作っていたため、いつしかウチカビ(打ち紙)と呼ばれるようになりました。

また、沖縄では広く「ウチカビ(打ち紙)」と呼ばれますが、地域によって「グソージン(後生銭)」「カビジン(紙銭)」「アンジカビ(焙り紙)」「ンチャビ(御紙)」など、さまざまな呼び方があります。

ちなみに「グソージン(後生銭)」の「グソー(後生)」は、沖縄の言葉で「あの世」、後の生まれ、後の世界です。

 

②ウチカビはどこで入手できる?

◇スーパーなどで購入できます

現代では沖縄のスーパーなど、あらゆる商業施設で販売しています。
刻印された黄色い藁半紙のウチカビが一束20枚ほどでまとめられ、約500円~800円ほどで販売されているでしょう。

また近年では、本物のお金のようなデザインのウチカビもあります。
このような少し変わったウチカビは、仏壇仏具店などで発見できるでしょう。

 

 

沖縄の旧盆でウチカビはいつ焚くの?

沖縄の旧盆でウチカビはいつ焚くの?
◇ご先祖様をお見送りする「ウークイ(御送り)」で焚きます

「ウークイ(御送り)」とは、沖縄の旧盆で最終日の夕方以降に行われる、ご先祖様をお見送りする儀式です。

全国的なお盆は迎え火でご先祖様をお迎えし、送り火でお見送りしますよね。
沖縄の旧盆では迎え火・送り火の代わりに、旧盆初日に「ウンケー(御迎え)」でご先祖様をお迎えし、「ウークイ(御送り)」でお見送りします。

沖縄の旧盆は、毎年旧暦7月13日~15日の3日間、もしくは16日までの4日間日程です。
今年の旧暦7月13日~15日は、2024年8月16日(金)~18日(日)、もしくは19日(月)となります。

そのため沖縄の旧盆で2024年にウチカビを焚くタイミングは8月18日(日)、4日間日程であれば8月19日(月)の夕方以降です。

 

 

①シーミー(清明祭)でウチカビはいつ焚くの?

◇お供え物を供えた後、墓前で焚きます

シーミー(清明祭)でウチカビは、墓前に重箱料理のご馳走や果物、お菓子などを供え、お墓参りの拝みを済ませた後、墓前で焚く流れです。

沖縄のお墓のなかには、お墓の向かって右側あたりに、ウチカビを焚く場所「ジンクラ(銭蔵)」を備えているものもあるでしょう。

屋外の墓前なので「少しでも多くお金を持ち帰ってもらおう」と、たくさんのウチカビを焚く家族も多いですよね。

 

②スーコー(焼香)でウチカビはいつ焚くの?

◇早朝のお墓参りでウチカビを焚きました

スーコー(焼香)」とは、全国的な供養では法要と同じです。
故人が亡くなると、追善供養として四十九日までのナンカスーコー(七日焼香)、百箇日と、全国的な法要と同じく続きます。

1年目からは一周忌である「イヌイ(一年忌)」、三周忌にあたる「サンニンチ(三年忌)」とニンチスーコー(年忌焼香)が続き、かつての沖縄ではスーコー(焼香)の早朝にお墓参りをしました。

お墓参りはスーコー(焼香)当日の早朝に家族のみで行き、墓前でウチカビを焚きます
ただ現代では全国的な法要に倣う流れも多いでしょう。

 

旧盆でウチカビを焚くカビバーチ(紙鉢)を準備する

カビバーチは販売されている?
◇ウチカビを焚く「カビバーチ(紙鉢)」を作ります

「カビバーチ」は漢字で書くと「紙鉢」、ウチカビを焚くためのもので、一般的に金属ボウルに水を張りますが、家庭によって細かい部分はさまざまに特徴があるでしょう。

沖縄では広く「カビバーチ(紙鉢)」と呼ばれますが、「カニバーキ(紙鉢)」「カビアンジ(紙焙り)」などと呼ぶ地域もあります。

また、前述したようにお墓に備えたウチカビを焚く場所などは、「ジンクラ(銭蔵)」などとも呼ばれてきました。

 

①カビバーチ(紙鉢)を整える

◇金属ボウルの底には金網を敷きます

カビバーチ(紙鉢)はウチカビを焚く器なので、より安全な金属ボウルを使用するのが一般的です。

そのまま水を張る家庭も多いですが、古くからより安全にウチカビを焚くために、カビバーチ(紙鉢)の底にはおもちを焼く時などに使用する、金網などを底網として敷きます

その昔は芭蕉の茎や竹で網状にしたものを底網にしましたが、現代は金網が多いです。

 

②ネギを浮かべる

◇刺激の強いネギを浮かべて魔除けとします

輪切りのネギを浮かべるのは、魑魅魍魎(ちみもうりょう)「チガリムン」を祓う、魔除けの役割です。

昔から沖縄では、ネギなどの強い香りは魔を滅するとして、重宝されてきました。
初日にご先祖様へ供える沖縄の炊き込みご飯「ウンケージューシー」に混ぜるショウガの葉でも良いでしょう。

 

 

③カビバーチ(紙鉢)は市販されている?

◇沖縄のホームセンターなどで販売されています

沖縄では多くのホームセンターで「カビバーチ(紙鉢)」「カビアンジ(紙焙じ)」などと値札に書かれてセット販売されているでしょう。

カビバーチ(紙鉢)のセット内容は、ウチカビを焚く器となる金属ボウルと金網(底網)、そしてウチカビが焚きやすいよう、金属の火箸もセットになっている商品が多いです。

シーミー(清明祭)など、屋外でウチカビを焚くタイミングも多いため、カビバーチ(紙鉢)を乗せる脚のような台が付いているものもあります。

カビバーチ(紙鉢)セットは約2千円~3千円ほどの価格帯で販売されているものが平均的ですので、揃えておくと沖縄の旧暦行事やスーコー(焼香)にも便利です。

 

沖縄の旧盆でウチカビは何枚焚くの?

沖縄の旧盆でウチカビは何枚焚くの?
◇家長と、集まった家族・親族で枚数が違います

沖縄の先祖代々位牌「トートーメー」は代々継承され、継承する本家は「ムチスク(宗家)」「ムートゥーヤー」などと呼ばれてきました。

沖縄の旧盆ではムチスク(宗家)の家長、もしくは最も高齢の家族が中心となって、ご先祖様をお見送りするウークイを進める家族が多いです。

この時、ウークイを中心となって進める家長のウチカビと、その他、集まった家族や親族のウチカビでは枚数が違います。

家族の位牌がある家で故人を供養する旧盆でも、配偶者や両親など、故人と最も近しい家族が中心となって進めるでしょう。

 

①家長のウチカビの枚数

ウチカビを焚く時は、まず沖縄の旧盆で中心となって進める家長から焚き始めましょう。
家長が焚くウチカビの枚数は5枚です。

御仏前でウチカビを焚く流れが一般的ですが、ウチカビを焚いて煙とし、煙が天へ昇ることであの世へ届くと信じられてきたため、なかには家の庭など、屋外で焚く家庭もあります。

 

②集まった家族や親族

家長以外の集まった家族や親族は、家長に続いて3枚のウチカビをそれぞれ焚きましょう。
世帯ごとにウチカビを焚き、世帯の全員がウチカビを焚き終わったら、その都度、ミジティ(お水)やウサク(お酒)を掛けます。

沖縄の旧盆では、最終日ウークイの前日「ナカビ(中日)」にご挨拶まわりをして、お中元を供えて帰る分家の家族もいるでしょう。

この場合は、お中元の上にウチカビ3枚を置いて、最終日ウークイでウチカビを焚く儀式の際、ムチスク(宗家)の家族が代理で焚きます。

この際は「〇〇(住所)〇〇家からです」などと、誰からのウチカビなのかを、ご先祖様へお伝えしてから焚きましょう。

 

 

沖縄の旧盆でウチカビを焚く方法は?

沖縄の旧盆最終日:ウークイの儀式
◇沖縄の旧盆では、御仏前で焚き始めます

前述したように、なかには家の庭など、沖縄の旧盆でも屋外でウチカビを焚く家族もいますが、御仏前でウチカビを焚く流れが一般的です。

沖縄の旧盆でウチカビを焚く最終日のウークイは、夕方頃から重箱料理を供えます。
重箱料理のおかずは、海のもの・山のものなど、天から授かったご馳走「ウサンミ(御三味)」です。

ご馳走を御仏前に供えた後、家族はウサンデー(お下がり)のご馳走をいただき、宴を催してきましたので、宴が盛り上がった後、落ち着いた頃からご先祖様をお見送りします。

 

①ウチカビを焚く順番

◇最初に家長がウチカビを焚きます

沖縄の旧盆で、中心となってウークイを進めるのは位牌を祀る家の家長です。
集まった家族や親族は、家長の後ろに倣い、合掌をして「ウートゥートゥー」します。

家長がウチカビを焚き終えたら、長男・長女…と、ご先祖様や故人と近しい関係性の家族や親族から、順番に焚いていくのがマナーです。

 

②ウチカビの焚き方

◇ウチカビを焚いたらウサク(お酒)を掛けます

ムチスク(宗家)から順番にウチカビを焚き終えたら、一家ごとにウサク(お酒)を掛ける流れが、沖縄で一般的な風習です。

前の家族がウチカビをそれぞれ焚いて、最後の人がウチカビを焚いた後、ウサク(お酒)を掛けてリセットしたら、新しく続く家族がウチカビを焚きます。

この時、ウチカビを焚く前に「これは○○町○○(住所)の家からです」ご先祖様へ報告しましょう。

ウチカビは燃え広がらないよう、火の元に注意をしながら火箸で内側にまとめます。
前述した「ウチカビセット」なら、金属の火箸も付いていて便利ですね。

 

沖縄で旧盆に参加していない人のウチカビは?

沖縄で旧盆に参加していない人のウチカビは?
◇ムチスク(宗家)の家族が代理で焚きましょう

沖縄では旧盆のナカビ(中日)に挨拶まわりを済ませて、最終日のウークイには参加していない家族も少なくありません。

また本州に住んでいるなど、遠方のために沖縄の旧盆に帰省できない人々のなかには、旧盆期間中にお中元を送る人々もいるでしょう。

お中元を受け取ったり、ウークイ当日に参加していない人々から手土産としてお中元をいただいていたら、まず御仏前に供えてウチカビを3枚添えます

そしてウチカビを焚く時には、お中元の上に置いたウチカビを、ウークイに参加しているムチスク(宗家)の家族が、代理であげると良いでしょう。

 

①家族に欠員がいる時のウチカビの焚き方

◇一世帯ごとのウチカビを焚く方法があります

何らかの事情で参加できない家族がいるものの、他の家族がウークイに参加しているならば、家族でまとめてウチカビを焚く方法が良いでしょう。

家族一世帯で焚くウチカビの枚数は5枚、ご先祖様には「〇〇家からです」とお伝えして、ウチカビを焚きます。

 

②世帯ごと不参加でのウチカビの焚き方

◇ムチスク(宗家)の家族が代理で焚きます

郵送や挨拶まわりの手土産で、お中元をいただいた家族がウークイに参加しない場合、ウークイに参加しているムチスク(宗家)の家族が代理で焚く対処法が一般的です。
お中元にはウチカビを3枚置いているので、これを代理で焚いてください。

代理でウチカビを焚くときには、「これは○○町○○(住所)の家からです」と、ウチカビを天へ送る人は誰かを、ご先祖様に丁重にお伝えしましょう。

 

沖縄の旧盆でウチカビを焚き終えたら、どうするの?


◇門前にカビバーチ(紙鉢)を持参し、ご先祖様をお見送りします

沖縄の旧盆ではウチカビを焚き終えた後、ウチカビを焚く金属ボウルの器「カビバーチ(紙鉢)」にお供え物やお線香を入れて手土産を作る風習がありました。
カビバーチ(紙鉢)は門前へ持参し、ご先祖様をお見送りします。

 

①ウハチ(御初)を入れる

◇カビバーチ(紙鉢)へウハチ(御初)を入れて、手土産にします

「ウハチ(御初)」とは、御仏前のお供え物である重箱料理に詰めたご馳走「ウサンミ(御三味)」を、最初に取り分けて供えたおかずです。

沖縄の旧盆でウチカビを焚き終えたら、カビバーチ(紙鉢)のなかに、御仏前の供え物「ウハチ(御初)」を入れ、ご先祖様への手土産にしましょう。

 

 

②お線香を入れる

お線香は御仏前でのウークイで、ウチカビを焚く前に供えています。
そのため御仏前のウコール(香炉)に立ててあるお線香を抜いて、カビバーチ(紙鉢)に入れる流れです。

ウコール(香炉)に立ててあるお線香を抜く時には、「ウサンデーサビラ(お下がりです)」とご先祖様へお線香を抜く理由をお伝えし、お断りを入れてから抜きましょう。

 

③門前へ持っていく

ウチカビを焚いた後のカビバーチ(紙鉢)は、そのまま門前へ持参し、集まった家族や親族でお見送りをします。

ご先祖様をお見送りした後、かつての沖縄では、カビバーチ(紙鉢)に入っている手土産を銀紙や大きな葉などに包んでから、数日は門前に置いていました。

けれども近年では近隣住民の迷惑になったり、充分なスペースがない家庭もあるため、そのまま家内へ持ち帰り、塩を掛けて捨てる家庭も多いです。

 

 

沖縄の旧盆であげる「ヒラウコー」とは?

旧盆でウチカビと間違えやすい「シルカビ」とは?
◇板状の沖縄線香を「ヒラウコー」と言います

沖縄独自のお線香「ヒラウコー」は漢字で書くと「平御香」、「平らなお線香」の名前の通り板状のお線香です。
表面はギザギザしていて、日本線香6本分を縦にくっ付けたような形をしています。

沖縄のスーパーでは比較的どこでも販売しているでしょう。
日本線香が日常的に使用するお線香でも約800円~2千円弱ほどで販売しているのに対して、ヒラウコーは約100円前後と、お手頃価格で入手できます。

 

①ヒラウコーはでんぷんが原料

沖縄線香ヒラウコーは、お麩を作ると出てくるでんぷんから作られています。
そのため香木から作られてきた日本線香は香りがありますが、ヒラウコーには香りがありません

けれども高級な日本線香に対して、ヒラウコーは安く購入できるため、昔から沖縄では、日常的に使用され、沖縄の人々に愛されてきました。

ただヒラウコーには香りがないことから、特別な先祖供養行事や祈願事を行うタイミングでは、「カバシウコー(香り御香)」とも表現される日本線香を用いる地域もあります。

 

②ヒラウコーの本数には決まり事がある?

◇目的や拝み先によって、本数が決まっています

沖縄では拝む祈願内容や拝み先によって、供えるヒラウコーの本数に意味があるとされてきました。

けれども一般的にはご先祖様へ供えるヒラウコーの本数、ヒヌカン(火の神)へ供えるヒラウコーの本数だけ知っておけば良いとも言われます。
基本的には下記3か所へ供えるお線香を理解していれば良いでしょう。

 

<ヒラウコーの基本的な本数>
(1)ご先祖様 ・ジュウニフンウコー(十二本御香)
(ヒラウコー2枚)
(2)ヒヌカン(火の神) ・ジュウゴフンウコー(十五本御香)
(ヒラウコー2枚と半分)
(3)集まった家族や親族 ・サンブンウコー(三本御香)
(ヒラウコー半分)

 
沖縄で神に仕えるとされるノロやユタでなければ、多くのヒラウコーを扱えない、と考えられてきたためです。
沖縄でヒラウコーをあげる本数について、詳しくは下記コラムをご参照ください。

 

 

②日本線香をあげてもいい?

◇現代では日本線香をあげる家庭が増えました

かつて沖縄では日本線香は高級品とされ、「イップンウコー(一本御香)」「カバシウコー(香り御香)」と呼んでいます。

 

●一方、ヒラウコーは安く入手できるため、日常的な拝み事ではヒラウコーを使用するものの、先祖供養や特別な日には、香りがする日本線香を供える風習もありました

 
現代の沖縄ではお仏壇が小さくなり、お仏壇に合わせた小さなウコール(香炉)が増えることで、日本線香を供える家庭が増えています。

灰が出やすく燃えやすいヒラウコーは、ウコール(香炉)が割れてしまうなど、不便が多いためです。

現代は料金的にも日本線香が手に入りやすくなっているので、旧盆ではカバシウコーを供えても良いかもしれません。

 

沖縄の旧盆で、ヒラウコーをあげる本数は?

沖縄の旧盆で、ヒラウコーをあげる本数は?
◇ウークイでヒラウコーを供える場所は3か所です
・ヒヌカン(火の神)
・御仏前
・門前

沖縄の旧盆最終日のウークイでは、朝一番にヒヌカン(火の神)へヒラウコーを供えて拝み、ブジにウークイを済ませることができるよう、御守護を祈願します。

続いて日が暮れる頃から始まるウークイの儀式では、まず御仏前に家長がヒラウコーを供え、集まった家族や親族が続く流れです。

最後に門前へと移り、家長がヒラウコーを供えながらご先祖様をお見送りします。

 

①ヒヌカンへのヒラウコーの本数

◇「ジュウゴフンウコー(十五本御香)」です
日本線香…15本もしくは5本
ヒラウコー…タヒラ半(2枚半)

ヒヌカンは台所を担う者(主に母や妻)のみが扱うことができるとされてきました。
そのため旧盆ウークイでウチカビを焚く儀礼とは、全く別です。
ただ朝一番に、本日はウークイの日であることをご報告します。

 

②家長のお仏壇へのヒラウコーの本数

◇「ジュウニフンウコー(十二本御香)」です
日本線香…12本もしくは4本
ヒラウコー…タヒラ(2枚)

ムチスク(宗家)の家長が中心になって、ご先祖様へお見送りの拝みをします。
神様へ供えるヒラウコーは基本15本ですが、ご先祖様には12本です。

 

③集まった人々のヒラウコーの本数

◇「サンブンウコー(3本御香)」です
日本線香…3本もしくは1本
ヒラウコー…半ヒラ(半分)

家長がウークイの拝みを捧げた後、他の家族や集まった親族も供えます。
家長以外の人々は、旧盆以外のお墓参りなどでも、基本的に3本です。

小さいお仏壇へ交換しウコール(香炉)も小さくなった家で、旧盆にお線香を供える人々が多い家では、旧盆用の大きなウコール(香炉)を別に用意する方法もあります。

 

[旧盆用の大きなウコール(香炉)]
やちむん・トルコ青(香炉)

 

④門前であげるヒラウコーの本数

◇「ジュウニフンウコー(十二本御香)」です
日本線香…12本もしくは4本
ヒラウコー…タヒラ(2枚)

門前でご先祖様を見送るヒラウコーもご先祖様へ供えるお線香なので、ジュウニフンウコー(十二本御香)です。

旧盆のウチカビ後、門前のウークイもムチスク(宗家)の家長を中心に進め、ヒラウコーは家長のみが供えます。

現代の沖縄では、地べたにヒラウコーを置くのも危ないため、ウコール(香炉)を門前まで持参して供える家も増えました。

ウークイの前には、ミンヌクも持参して門前に撒く風習もあります。
ミンヌクとは「水の子」で無縁仏や魑魅魍魎のチガリムンへ供える食事です。

 

 

⑤「ヒジュルウコー」とは?

「ヒジュルウコー」を漢字で書くと「冷たい線香」、火を灯していないヒラウコーです。

基本的に沖縄の旧盆ではヒラウコーに火を灯しますが、小さな玄関からご先祖様をお見送りする集合住宅や密集地域では、火の元が危ないとしてヒジュルウコーを供える判断が増えています。

また沖縄の旧盆では、門前のウークイで屋外用ロウソクを両脇に2本供えますが、こちらもLEDロウソクへ交換する判断が増えました。

 

[LEDロウソク]
いろはあかり…2,750円

 

ウチカビとシルカビの違いは?

(6)シルカビ
◇「シルカビ」は「神様への税金」です

沖縄でウチカビ(打ち紙)はご先祖様へ供える「あの世のお金」ですが、沖縄のウグァン(御願)で神様へ供える「シルカビ(白紙)」は、「神様への税金」となります。

ウチカビは黄色い藁半紙に◎の刻印があり、かつては各家庭で刻印を打ちました。
現代では沖縄のスーパーやホームセンターで販売されています。

一方、シルカビは習字で使う白い半紙を千切った紙で、沖縄のスーパーやホームセンターでも市販していません

 

①お供え物のシルカビの作り方

シルカビは半紙を4つに千切って、さらに2つ折りをするだけです。
作り方の手順は下記になりますが、上の図解イラストを確認しながら作ってみてください。

 

<お供え物のシルカビの作り方>
・(習字の)半紙、3枚を重ねる
・3枚に重ねた半紙を縦半分に折る
・折り目を付けて、横に四等分に千切る

 
仕上がると三枚組の横長(縦長)の半紙が、2つ折りになっているでしょう。
シルカビを作るタブーは「刃物」ですので、半紙を千切る時にはハサミやペーパーナイフは使わずに、折り目を強く付けて、手で丁寧に千切ります。

 

②お座布団シルカビの作り方

お供え用のシルカビでも良いのですが、お供え物のお座布団に使用する際、小さくなってしまいますので、は下記のような手順で作りましょう。

 

<お座布団シルカビの作り方>
・(習字の)半紙、3枚を重ねる
・縦半分に折り目を付ける(爪で強くつける)
・縦半分に手で丁寧に折り目に沿い、千切る
・切り分けた3枚組の半紙、それぞれを再び半分に折り目を強く付ける
・切り分けた3枚組の半紙も、折り目に沿って丁寧に千切る
・さらに2つ折りにする
(今回は強く折り目を付けなくて良い)

 
仕上がると3枚組の1/4に千切られた半紙が、さらに2つ折りになっています。
簡単に作ることができるので、スーパーでは販売していないため、自宅で作って用意しましょう。

 

シルカビを故人に使う時はある?

シルカビはいつ使うの?
◇人の魂「マブイ」を移動する際に使用します

基本的にシルカビは神様への税金であり、故人やご先祖様の供養ではお供え物に登場しません

けれども沖縄に伝わる生きている人が持つ七つの魂「マブイ(魂)」や、亡くなって間もない人の霊魂を移動する時にシルカビを使います。

 

①ヒジュルウコーを包む

◇マブイ(魂)が宿っているヒジュルウコーを包みます

マブイ(魂)を拾う儀式など、マブイ(魂)や故人の霊魂の依り代は火を灯さないヒラウコー「ヒジュルウコー」です。
このヒジュルウコーを包むものが、純潔な白い紙である「シルカビ(白紙)」となります。

「マブイ(魂)を拾う」とは、交通事故に遭いそうになったなどでびっくりした時などに落ちたマブイ(魂)を拾う儀式です。

マブイ(魂)を拾う時には、火を灯さないヒラウコー「ヒジュルウコー」を、マブイ(魂)が落ちた場所でくるくると回して拾い上げます
マブイ(魂)を宿したヒジュルウコーは、自宅のウコール(香炉)に供えると良いでしょう。

この他、病院で亡くなった故人のマブイ(魂)を、自宅まで運ぶ「ヌジファー(抜魂)」も同じです。

 

シルカビはいつ使う?

旧盆でウチカビと間違えやすい「シルカビ」とは?
◇ウタキ(御嶽)など、神様への拝みでしようします

また、シルカビは神様であるヒヌカンや、お供え物の下にも敷きます。
特に多い使い方は、ヒジュルウコーの下に敷く方法です。
神様への御願(拝み)は屋外が多いため、お座布団のような役割を果たします。

最近では屋外での拝みにはヒジュルウコーが一般的になってきました。
日常的にシルカビは使うことが多いので、日ごろから半紙は家に置いておくと良いでしょう。

 

①ヒジュルウコーの下に敷く

下記のような沖縄の拝み事「御願(ウグァン)」では、ヒジュルウコーを供えることが多いです。この時、お座布団として下に敷きます。
屋外の御願(ウグァン)では忌み月とされる旧暦9月頃の巡拝行事もあるでしょう。

 

・屋外の御願
・水の神様への御願
・お墓参り…ヒジャイガミ(左神)への御願

 
ヒジャイガミ(左神)」とは、お墓の墓地を守護する神様です。
お墓の左側、お墓に向かって右側に鎮座されていますので、お墓参りでは墓前へ拝む前に、最初に感謝を伝えます。

 

 

 

②屋敷の御願

沖縄では毎年、春のお彼岸・秋のお彼岸・年末の旧暦12月24日の3回、家の敷地内の方々に鎮座され、家を守護する神々様へ感謝の拝みを捧げる儀式「屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)」があります。

春のお彼岸は毎年3月頃、秋のお彼岸は毎年9月頃、そして旧暦12月24日です。
この時、屋敷の神々様へシルカビを供えて巡回します。

 

 

 

③ヒヌカンへお供え

沖縄の台所に祀る家を守護する神様「ヒヌカン(火の神)」にもシルカビを供えます。
ただし、毎月旧暦1日・15日に行うヒヌカンへの拝みでは、シルカビは供えません。

沖縄でヒヌカンへシルカビを供えるタイミングは、特別な拝み事「御願(ウグァン)」が多いです。

例えば、ヒヌカンを新しく仕立てる御願(ウグァン)「ヒヌカンシタティ(ヒヌカン仕立て)」や旧正月、年末に行うヒヌカンのお見送りなどがあるでしょう。

 

 

 

まとめ:沖縄で旧盆のウチカビはあの世のお金です

ウチカビ(打ち紙)を置く
ウチカビ(打ち紙)は、ご先祖様へ煙に乗せて送るあの世のお金であり、ご先祖様にとってはワタクサー(へそくり)になると言われます。

今は、安く手軽にスーパーでウチカビを購入できるため、ほとんど廃れていますが、最近になってウチカビの刻印(カビウチ)も販売されています。

今、販売されているウチカビは50刻印(縦10印×横5印)ばかりですが、沖縄で御願前に昔、家庭で手作りをしていた頃は、35刻印(縦7印×横5印)が一般的でした。

 

・お金に似せたウチカビ
・オシャレなデザインのウチカビ

 
…などなど、現代では旧盆のウチカビもさまざまで、珍しいウチカビを手土産に、楽しみながらウークイを進める様子も見受けます。

 


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