【2024年春のお彼岸】お彼岸とは?全国と沖縄の違いや、慶事か弔事か、行事食も解説

2024.01.07
【2024年春のお彼岸】お彼岸とは?全国と沖縄の違いや、慶事か弔事か、行事食も解説

「お彼岸」とは春分・秋分を中心に前後3日間、合計7日間を差す供養祭、2024年は3月17日(月)~3月23日(土)です。また仏教修行の7日間でもあります。本記事では全国的なお彼岸と沖縄との違い、喪中や忌中でのお彼岸の違い、行事食が分かります。


・「お彼岸」とは?
・お彼岸の行事食とは?
・全国と沖縄とのお彼岸の違いとは?
・喪中や忌中のお彼岸は?

「お彼岸」とは、春分の日・秋分の日を中心として前後3日間、合計7日間を差す供養祭、2024年は3月17日(月)~3月23日(土)です。

また仏道の修行者にとっては、悟りの境地「彼岸」へ至る「至彼岸(とうひがん)」の道でもあります。

本記事を読むことで、そもそもお彼岸とはなにか?全国的なお彼岸と沖縄との違いや、お彼岸の行事食が分かります。

後半では、喪中や忌中に行うお彼岸の行い方も解説していますので、どうぞ最後までお読みください。

 

全国的な「お彼岸」とは

お彼岸のお墓参りはいつ行く?
◇あの世とこの世が繋がる日に、お墓参りをします

全国的な「お彼岸」とは、あの世「彼岸(ひがん)」とこの世「此岸(しがん)」が繋がる日です。

太陽が赤道線上を通り、真東→真西に沈む春分の日・秋分の日は、昼(この世)と夜(あの世)が同じでもあり、あの世とこの世が繋がるとされました。

<全国的なお彼岸とは>
●あの世とこの世が繋がる日
・先祖供養を行う
・お墓参りをする

 
またあの世である西方浄土が最も近い日でもあるため、この時期に生きる者が故人を思い供養をすることで、故人も成仏する、極楽浄土へ近づくとされます。

沖縄では仏前供養が多い彼岸ですが、全国的には彼岸とはお墓参り行事であり、ご先祖様の元へ家族が赴く行事です。

一方でお盆はご先祖様が家にいらっしゃるため、おもてなしをします。

 

仏道では「至る彼岸」

◇仏教においては仏道へ至る悟り「至彼岸」の修行をする7日間です

仏教において「お彼岸」とは、ご先祖様の供養祭であるとともに、家にいながら仏道の修行を行い、煩悩や迷いから解放された彼岸に至る修行を行います。

<悟りの境地も「彼岸」>
●煩悩や迷いから解放された悟りの境地を、大乗仏教では「至彼岸(とうひがん)」と言います。

 
そして仏教において、家にいる信者「在家信者」が行う、至彼岸へ至るための6つの修行が「六波羅蜜(ろくはらみつ)」です。

春分の日・秋分の日は太陽が真東→真西に沈む日であるため、日没に西方にある極楽浄土「西方浄土」へ拝みを捧げ思いを馳せることで、功徳を積むともされました。

全国的にもお彼岸とは、先祖供養の7日間と捉える人が多いですが、実際には故人と繋がりやすい春分の日・秋分の日こそが先祖供養の日です。

<一日ひとつの六波羅蜜>
●残る彼岸入りから彼岸明けの6日間は精進料理をいただき、「六波羅蜜」それぞれ6つの修行を意識して過ごすとされます。

 
六波羅蜜は「怒りを抑える」「怠惰を戒める」など、一般の人々にも役立つ智慧(ちえ)として、仏教信者でなくとも心に留める人も多いです。

 

春と秋のお彼岸で意味が違う?

◇春は自然への感謝を、秋は故人を偲びます

寒く厳しい冬を越え、花や草木が芽吹く時期に行う「春のお彼岸」は、特に自然への感謝を意識し、秋のお彼岸は特に「故人を偲ぶ」とされてきました。

これは春と秋のお彼岸と言うよりは、春分の日・秋分の日の祝日に関する習慣です。

日本の法律「国民の祝日に関する法律」第2条(昭和23年公布)で、それぞれの祝日の目的が記されています。

<お彼岸とは:春と秋の違い>
[暦] [意味]
(1)春分の日 ・自然をたたえ、生物をいつくしむ
(2)秋分の日 ・祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ
※「国民の祝日に関する法律」第2条より

 
そのため特に全国的なお彼岸では、春分の日を季節を掴む雑節のひとつとして、タケノコの天ぷらや山菜など、春を感じる季節の野菜などを行事食としていただく習慣もあります。

 

全国的なお彼岸の行事食とは?

お彼岸の食べ物(7)おはぎ
◇お彼岸の行事食とは、ぼたもち(おはぎ)が有名です

全国的なお彼岸の行事食とは、何と言ってももち米をあんこで包んだ和菓子、春のぼたもち(牡丹餅)、秋のおはぎ(お萩)が有名ですよね。

この他、彼岸だんごや彼岸そば(うどん)、そして小豆飯や小豆粥があります。

彼岸だんご」は特に関西地方に多い風習です。
山菜をたっぷり入れた彼岸そば(うどん)も、関東地方では彼岸そば、関西地方では彼岸うどんをいただく地域が多いでしょう。

<お彼岸とは:行事食>
[行事食] [補足]
(1)ぼたもち(おはぎ) ・春彼岸…ぼたもち(こしあん)
・秋彼岸…おはぎ(粒あん)
(2)彼岸だんご(ヨモギだんご) ・ヨモギの特徴的な香りが厄祓いになる
(3)彼岸そば(うどん) ・関東地方…彼岸そば
・関西地方…彼岸うどん
(4)小豆飯(小豆粥) ・小豆の「」が魔を祓う
(5)精進料理 ・季節の野菜の天ぷらなど

 
一方、沖縄では通夜の枕飾りでも豚肉を供える(シラベーシ)風習があるなど、独自の御願文化があるため、お彼岸でも豚の三枚肉の煮付けや昆布など、旧盆や清明祭(シーミー)などで供えるご馳走「ウサンミ(御三味)」をいただきます。

 

沖縄の「お彼岸」とは

屋敷の御願:ナカジンヌカミまでの流れ
◇沖縄では「お日願」、家庭内で行う仏前祭です

沖縄の「お彼岸」は、本州の影響を受けた年中行事ですが、家を守護する祖霊神や、屋敷の神々様への御願(拝み)行事「ヤシチヌウグァン(屋敷の御願)」を行います。

●前述したように全国的なお彼岸とは、先祖供養祭とともに仏教行事です。

 
けれども、ひとつの寺院を家で代々信仰する「檀家制度」がそもそも根付いていない沖縄では、かつてはお墓参り行事が盛んだったものの、今では家を守護する祖霊神への感謝、屋敷の神々様へ感謝を捧げる祈願行事の意味合いが強くなっています。

<お彼岸とは:沖縄の「お日願」>
●春分の日・秋分の日は太陽が太く繋がる日
・「祖霊神」祖先祭祀
・日光、天気、万物の恵みに感謝
・屋敷の神々に守護を感謝

 
これはもともと全国的な「お彼岸」自体が、仏教が日本に渡る前に根付いていた民間信仰(自然崇拝・アミニズム信仰)と、仏教が重なった背景があるためです。

農耕民族の日本では、春の種まき時期と収穫時期が春分・秋分の日に当たり、春は豊作祈願を、秋は収穫への感謝(収穫祭)を捧げてきました。

沖縄独自の御願文化は、神道に近いアミニズム信仰が深いため、神々様への感謝と祈願の意味合いが深くなったのでしょう。

 

沖縄の彼岸で「ニライカナイ」とは

◇沖縄で信仰される「ニライカナイ」とは魂の故郷です

沖縄の彼岸でも拝まれる「ニライカナイ」とは、魂が産まれては帰る、海の西方の奥底にあるとも言われる、全ての魂の故郷です。

「ニライ」は「根の方」を意味し、「カナイ」は韻を踏んでいるなど諸説ありますが、「彼方」を意味するとも言われます。
(その昔の琉球では、韻を踏む言葉が多くありました。)

<ニライカナイは西方浄土?>
●「沖縄のニライカナイは西方浄土にあたる」とする人もいますが、ニライカナイはより神道に近い概念(常世の国)でしょう。

 
また沖縄の祭祀歌謡集おもろさうしでは、ニライカナイを東方(辰巳の方角)と表現しています。ただこれは「西方の果てにある理想郷」とする説もあり、解釈はさまざまです。

<お彼岸とは:沖縄のニライカナイ>
●万物あらゆる魂の「根」
・神道(古神道)の「常世の国」と概念が似ている
・上下関係のない、亡き魂の還る場所
・神様が住まう場所

 
では古神道で「常世の国」とは何か?と言えば、海のかなたにある異世界です。
かくりよ(隠世)」の別名もあり、永久不変の時間軸のない桃源郷、理想郷とされ、不老不死や若返りと結び付けられました。

万物がやってくるとの概念もニライカナイに近いものがあり、ニライカナイも魂だけではなくあらゆる豊穣ももたらされるとされます。

 

でも沖縄にはウティン(御天)もあるよね?

◇沖縄ではニライカナイとともに、天上に住まう「オボツカグラ」もあります

沖縄の御願で「ウティン(御天)」は、天上の異世界「オボツカグラ」の神々様の住まわれる異世界です。

<天上の「オボツカグラ」とは>
・オボツ…天上
・カグラ…神座

 
沖縄にはヒヌカン信仰がありますが、このヒヌカンも年末にはウティン(御天)へ帰り、オボツカグラに住まう神々様へ、その家の1年の出来事をご報告します。

<お彼岸とは:オボツカグラとニライカナイ>
[彼方] [内容] [信仰の種類]
(1)オボツカグラ
(天上神座)
●ウティン(御天)
・上下関係がある
(王朝による信仰)
(2)ニライカナイ
(儀来河内)
●ニライカナイ
・平行線上にある
(民衆による信仰)

 
そのためオボツカグラ信仰は、ニライカナイが民衆信仰であるのに対し、琉球王朝による信仰だったのではないかとされてきました。

ニライカナイが故人の魂の故郷、生きる者と同線上にあるのに対して、オボツカグラは神となった領域、格上にあるようなイメージですよね。

 

沖縄のお彼岸とは、弔事・慶事どっち?

沖縄のお彼岸とは、弔事・慶事どっち?
◇全国的なお彼岸は弔事ですが、沖縄のお彼岸は慶事の供物を供えます

全国的なお彼岸は弔事ですので、供物は弔事用として整え、お金を包む時には熨斗(のし)が付いていない不祝儀袋に包むのがマナーです。
けれども沖縄のお彼岸は慶事用の供物を供えます。

<お彼岸とは:慶事?弔事?>
①全国のお彼岸
●弔事 ・熨斗(のし)は避ける
表書きは「御仏前」「御供物」
・水引きは双銀・白黒・黄白(関西)の結び切り
②沖縄のお彼岸
●慶事 おもちは、あんもちでも良い
・結び昆布など、慶事用のお供え物

 
沖縄ではお彼岸にお仏壇がある実家などにお参りに行けなくても、あまりお金を包むなどはしませんが、全国的にはお彼岸にお金を包んで持参したり、お参りに行けない時に供物を送る人も多いです。

全国的なお彼岸と沖縄のお彼岸では、慶事と弔事の扱いが違うので注意をしてください。

 

喪中や忌中のお彼岸は控えるべき?

◇喪中のお彼岸は行いますが、忌中は控えます

沖縄では通常のお彼岸は慶事として行いますが、亡くなってからイヌイ(一年忌)を迎えていない喪中の場合、弔事としてお彼岸を執り行います。

<お彼岸とは:喪中と忌中>
①全国のお彼岸 喪中…行う
忌中…控える
②沖縄のお彼岸 喪中…弔事として執り行う
忌中…控える

 
全国的にも忌中のお彼岸は控え、忌中を過ぎたらお彼岸を行うとされてきました。
忌中を過ぎて初めて迎えるお彼岸を「初彼岸(はつひがん)」と言い、なかには僧侶をお呼びして初彼岸の法要を執り行う家もあります。

 

まとめ:お彼岸とは、先祖供養と至彼岸の修行です

まとめ:お彼岸とは、先祖供養と至彼岸の修行です
2024年(令和6年)、春のお彼岸日程は3月17日(日)~3月23日(土)、春分の日は3月20日(水)となります。

春分の日の先祖供養祭が最も良いとされますが、お彼岸の期間内であればいつでも良いでしょう。

あの世を「彼岸(ひがん)」、この世を「此岸(しがん)」と言いますが、それぞれ川を隔てて岸を渡りあの世とこの世があり、決して遠い世界ではありません。

仏教ではそんな彼岸を、この世(此岸)の悩み苦しみから解放された先にあるとし、沖縄では彼岸が遠い世界ではないからこそ、お彼岸に「今在ること」への感謝を、祖霊や神々様へ捧げます。

 

まとめ

お彼岸とは。全国と沖縄の違いとは

●全国の「お彼岸」とは
・西方浄土へ礼拝する
・この世とあの世が通じやすい日
・先祖供養の日

●全国お彼岸の行事食
・ぼたもち(おはぎ)
・彼岸だんご(ヨモギだんご)
・彼岸そば(うどん)
・小豆飯(小豆粥)
・精進料理
・季節のもの

●沖縄のお彼岸とは(お日願)
・太陽が太く繋がる日
・「祖霊神」祖先祭祀
・日光、天気、万物の恵みに感謝
・屋敷の御願

●お彼岸は慶事?弔事?
・全国…弔事
・沖縄…慶事

●お彼岸の喪中と忌中
・喪中…お彼岸を行っても良い
・忌中…お彼岸を控える
※沖縄では喪中のお彼岸を弔事として行う
※忌明け後、最初のお彼岸は「初彼岸」

 


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