沖縄で観音信仰とは?観音様の縁日「ジューハチヤー(十八夜)」の拝み方やお供え物は?

2023.09.17
沖縄で観音信仰とは?観音様の縁日「ジューハチヤー(十八夜)」の拝み方やお供え物は?

沖縄の観音信仰とは、特に子育て祈願で行われます。沖縄では観音様に「仏親(ほとけおや)」になっていただく地域がありました。本記事では沖縄の観音様の聖地、家庭に観音様を迎え入れる方法、観音様との縁日に行う沖縄の観音拝みの仕方が分かります。

・沖縄の観音信仰とは?
・沖縄で観音様の聖地とは?
・沖縄の観音拝み「ジューハチヤー(十八夜)」とは?
・沖縄の観音拝みでのお供え物や拝み方は?

沖縄の観音信仰とは、特に子授け祈願子育て祈願で行われます。
沖縄では各地に観音様が祀られ、集落の観音様に「仏親(ほとけおや)」になっていただく行事がありました。

本記事を読むことで、沖縄で拝まれる観音様の聖地、日々拝むため、家庭に観音様を迎え入れる方法、観音様との縁日に行う沖縄の観音拝みの仕方が分かります。
 

沖縄の観音信仰とは

沖縄の観音拝みでのグイス(祝詞)
◇沖縄で観音様は子どもの守護神であり、仏親としてあらゆる人を救います

観音様には阿弥陀如来様の脇侍としての観音様など、さまざまな仏様がいますが、沖縄の観音様は観音菩薩様が一般的です。

阿弥陀如来の脇侍としての観音様の御利益とは違い、人々に寄り添う現世利益(この世の願いを叶える)役割が大きいでしょう。

特に沖縄で観音様は、赤ちゃんの頃から人々を見守り守護する「仏親」として、集落の人々に慕われてきました。
 

<沖縄の観音信仰とは>
[観音様とは] ・観世音菩薩
[御利益] ●現世利益
・あらゆる人々を救う
・あらゆる願いを叶える
・病弱な子どもの病気平癒
[仏親] ・赤ちゃんの頃から見守る
・その子の成長を守護する
[床の間] ・観音様の掛け軸

 
沖縄で観音様を信仰する家庭では、床の間に観音様の掛け軸を祀る風習もあります。
現代はほとんど無くなりましたが、床の間に鎮座される「トゥクヌカミ(床の神)」として、拝まれてきました。
 

トゥクヌカミ(床の神)としての観音様

◇沖縄で観音様を信仰する家では、観音様の掛け軸を祀ってきました

おしゃれな家や分譲住宅が広がる現代の沖縄では、そもそも床の間がない家庭も多く、床の間に観音様の掛け軸を祀る家もほとんどありません。

けれどもかつての沖縄では観音様をはじめ、関帝王、七福神など、それぞれの家庭の祈願事や信仰に合わせた掛け軸を、床の間に祀ってきました。

これらの神様を沖縄では「トゥクヌカミ(床の神)」や「トゥクシン(床神)」と呼びます。
 

<さまざまなトゥクヌカミ(床の神)>
[神様] [御利益]
(1)観音様 子育て祈願
・子授け祈願
・子孫繁栄
・家内安全
・夫婦和合
(2)関帝王 金銭の神様
・商売神
・商売繁盛
(3)七福神 果報が来る
・福が集まる
(4)鶴亀 長寿祈願
・健康祈願
(5)寅 勝負運
・立身出世
・学業成就

 
…このように、床の間に掛け軸を祀る「トゥクヌカミ(床の神)」は、現世利益の神様として祀り、司祭は家の男性が担ってきました。

その一つが観音様であり、沖縄で観音様は夫婦和合や子育て祈願など、家族の繁栄や平穏を祈願する家庭に多いです。

ただ近年では床の間のない家庭が増え、掛け軸を掛けて祀る「トゥクヌカミ(床の神)」文化も少なくなりつつあります。
 

 

沖縄の観音信仰「仏親」とは?

◇特に沖縄で観音様は子育てを守護する存在として拝まれます

特に沖縄の観音様は子育て祈願で拝まれることが多いでしょう。
集落に観音様がいる地域では、1年内に産まれた赤ちゃんを、集落の観音様へお披露目して「仏親」になってもらいます。
 

<沖縄の観音信仰「仏親」とは>
[仏親とは] ・観音様に「親」になってもらう
[仏親の御願] (1)1年内に産まれた赤ちゃんをご報告
(2)仏親になってもらう
(3)定期的にお参りに行く
(1年、3年、5年)

 
沖縄で仏親になってもらう観音様は集落内の身近な観音様が良いでしょう。
ただ、どの地域でも観音様が鎮座される訳ではないので、沖縄の観音信仰の聖地ともいわれる首里観音堂まで出向く人が多いです。
 

沖縄の観音拝み「ジューハチヤー(十八夜)」とは

沖縄の観音拝み「ジューハチヤー(十八夜)」とは
◇沖縄では観音様との縁日、旧暦18日に観音拝みを行います
…次回沖縄での観音拝みの縁日は、旧暦9月18日、2023年11月1日(水)です。

観音菩薩様の縁日は18日、沖縄では旧暦1月・5月・9月の18日に、日ごろの御守護とお見守りに感謝を捧げる沖縄の観音拝みが、「ジューハチヤー(十八夜)」となります。
 

<沖縄の「ジューハチヤー(十八夜)」とは>
[ジューハチヤー]
(十八夜)
観音様(観音菩薩)の縁日
(観音様とより繋がる日)
[拝み日] [旧暦1月18日]
・2024年2月27日(火)
[旧暦9月18日]
・2023年11月1日(水)
[行うこと] ●観音拝み(観音様へ拝む)
・1年内に産まれた赤ちゃんを披露する
(仏親になってもらう)
・子どもの成長を報告する
・日ごろの御守護に感謝する
・今後のお見守りを祈願する
[御利益] ・健康祈願
・家内安全
・夫婦和合
・子孫繁栄
・子授け
・安産祈願

 
沖縄で観音拝みは、特に病弱な子どもを持つ家庭で熱心に行われてきました。
また子どものいない夫婦による、子授け祈願としても拝まれています。
 

今と昔で違う、沖縄の観音拝み

◇現代、沖縄の観音拝みは、主に子どもの健康祈願で行われます

沖縄で旧暦9月18日はジューハチヤ(十八夜)、観音様の縁日であり拝みの日です。
2023年は11月1日(水)が旧暦9月18日に当たります。
 

<沖縄のジューハチヤ(十八夜)、昔と今>
(1)昔の沖縄のジューハチヤ(十八夜)
…トゥクヌマ(床の間)に観音様を祀っている家の拝み事だった。

(2)今の沖縄のジューハチヤ(十八夜)
・風邪を引きやすい子ども
・身体が弱い子ども
・子年の子ども(守り本尊が観音様)

 
特に病弱で心配な子どもには、名護の屋部寺など、沖縄で有名な観音様に参拝して仏親(神親)になっていただき、健康祈願をする家庭もあるでしょう。

沖縄の観音様へ参拝した後、ヒヌカン(火の神様)に繋いでいただき、自宅へ迎え入れることで、日々の祈願ができます。

※沖縄で観音様の迎え入れ方は、後ほど詳しく解説しますので、どうぞ最後までお読みください。
 

沖縄で観音様の「縁日」とは?

沖縄で観音様の「縁日」とは?
◇「縁日(えんにち)」とは、特定の神様仏様とより深く繋がる日です

特定の神様とは、観音菩薩様をはじめ、阿弥陀如来様、虚空蔵菩薩様、普賢菩薩様、不動明王様、愛染明王様など、さまざまな仏様を差します。

神社や寺院の境内に出店が並ぶ「縁日」をイメージしますが、こちらもその神社や寺院が祀る神様との縁日に行うお祭りです。
 

<縁日とは?>
●特定の神様とより繋がる日
[由来] ・三十秘仏
・三十番神
[沖縄に根付く縁日] 関帝王…旧暦13日
観音様…旧暦18日

 
全国的には、薬師如来様が7日、大日如来様や不動明王様が28日など、他の神々様の縁日も知られています。

また檀家制度が根付いていない沖縄では、宗旨宗派不問の神仏混合文化ですが、法華経や天台宗、日蓮宗などの神様は「三十番神(さんじゅうばんしん)」です。

三十番神は大まかですが、毎日交代で当番をして人々を法華経を守護する神々様とされてきました。例えば二十四日は祇園大明神の当番、十五日は春日大明神の当番です。

ただ沖縄の観音拝みのように、縁日に家庭で仏様へ拝む風習は少なく、多くが特定の仏様を祀る寺院の境内で、お祭り「縁日」を行うことが多いでしょう。
 

 

沖縄の観音拝みはなぜ1月・5月・9月なの?

◇沖縄では忌み月「正五九月」に参拝を行うためです

縁日に拝む行事は、沖縄では観音拝みだけではなく関帝王(カンティーオウ)の拝み行事もあります。

ただいずれも、縁起が悪く避けるべき月、穢れを祓い身を慎む月とされる「忌み月」に、厄災を祓い守護していただくため、拝み行事を行う風習です。
この忌み月が、「正五九月」となります。
 

<沖縄で観音拝みを行う正五九月>
[正五九月とは] ●不吉で忌む月
・旧暦1月
・旧暦5月
・旧暦9月
[行う事柄] 観音拝み(旧暦18日)
関帝王拝み(旧暦13日)
・巡拝行事
[避ける事柄] ・祝い事
・結婚
・新築
…など

 
ただ旧暦1月18日、旧暦9月18日のみ観音拝みを行う家庭も少なくありません。
特に旧暦9月は、沖縄では観音拝みばかりではなく、沖縄のウガンジュ(拝み処)「御嶽(ウタキ)」を巡拝するカミウガミ(神拝み)なども行われます。
 

 

沖縄の観音拝みスポットとは

沖縄の観音拝みスポットとは
◇沖縄の観音拝みでは、首里観音堂が有名です

沖縄で観音堂として有名な寺院は首里観音堂でしょう。
沖縄では観音拝みの拝み処「琉球七観音」ばかりではなく、干支の御本尊を巡拝する「首里十二か所巡り」の一社としても挙げられます。
 

<沖縄の観音拝みスポット>
[観音堂] [住所]
(1)首里観音堂
(慈眼院)
[住所]沖縄県那覇市首里山川町3丁目1
[TEL]098-884-0565
(2)奥武観音堂 [住所]沖縄県南城市玉城奥武108
[TEL]098-946-8990
(3)喜名観音堂 [住所]沖縄県中頭郡読谷村喜名
(4)金武観音寺 [住所]沖縄県国頭郡金武町金武222
[TEL]098-968-2411
(5)嘉手刈観音堂 [住所]沖縄県うるま市石川嘉手苅163
(6)久志観音堂 [住所]沖縄県名護市久志
(7)屋部寺(凌雲院) [住所]沖縄県名護市矢部

 
以上は観音堂や寺院・神社ですが(沖縄は神仏習合の寺院・神社が多いです)、この他にも沖縄には各地に観音像が祀られ、昔の沖縄では集落の観音様に拝んできました。

陸上自衛隊那覇駐屯地内に位置する、鏡水のミーヌシンも「儀間村の観音堂」として有名ですね。
 

 

沖縄の観音拝みのお供え物

沖縄の観音拝みのお供え物
◇沖縄の観音拝みは、独自のお供え物を供えて拝みます

独自の祖霊信仰、自然信仰が根付く沖縄では、観音拝みのお供え物や拝み方も沖縄独自の行い方です。

例えばミハナ(御花)と呼ばれる「お米」を供えます。
そのため沖縄の観音堂では、沖縄独自の拝み方に対応した施設が多いです。
 

<沖縄の観音堂でのお供え物>
[お供え物] [内容] [個数]
(1)ウサク ・お酒 ・徳利(とっくり)左右1対、2瓶
・おちょこ1杯、中央
(2)ハナグミ
(花米)
・お米
・乾いたお米
・左右1対、2皿
(3)アライグミ
(洗い花)
・7回すすいだお米 ・1皿、ハナグミの中央
(4)果物の盛り合わせ ・リンゴ(母性)
・バナナ(父性)
・ミカン(子孫繁栄)
(5)ウブク
※観音堂によって
・ご飯 ・ご飯椀に1杯など
(6)まんじゅう
※観音堂によって
・紅白まんじゅう ・奇数個

 
以上ですが沖縄では観音様によって供えるものも少しずつ変わります。
ウブク(ご飯)や紅白まんじゅうは、供えない観音堂や家庭もあるでしょう。

子育て祈願を得意とする観音様へ、紅白まんじゅうよだれかけを供える風習もありますが、基本のお供え物を供えれば、フソク(不足)があっても問題はありません。
 

沖縄で観音堂のお線香は?

◇沖縄で観音拝みに供えるお線香の本数はジュウゴフンウコー(十五本御香)です

沖縄で観音拝みを始めとする、神様仏様に供えるお線香の本数は一般的に「ジュウゴフンウコー(十五本御香)」と呼ばれる15本となります。

けれども日本線香であれば、5本と省略する家庭も増えました。
 

<沖縄で観音拝み:お線香の本数は?>
●ジュウゴフンウコー(十五本御香)
[お線香の種類] [内容] [本数]
(1)カバシウコー
(香御香)
・日本線香 ・5本、もしくは15本
(2)ヒラウコー
(平御香)
・沖縄線香 ・タヒラ半(2枚半)

 
沖縄での観音様は、病気の家族や特に病弱な子どもに寄り添い、守護する存在として厚い信仰を受けてきました。

そのため病弱な子どもや家族がいる家庭では、五九正月の十八日に観音巡りを行う家庭もあります。

持ち運びしやすい御願(拝み)道具を入れる木箱「ビンシー(瓶子)」が便利です。
ビンシー(瓶子)の引き出しに必要分のお線香を収めて巡拝します。

ただし、一部で言われるように「沖縄の御願(拝み)には、必ずビンシー(瓶子)が必要」と言う訳ではありません。
 

 

沖縄の家庭での観音拝み

◇沖縄の家庭で行う観音拝みでも、お供え物は同じです

沖縄では家庭で観音拝みを行う家もあるでしょう。
特に沖縄で床の間に観音様を祀る家では、旧暦1月18日と旧暦9月18日には観音拝みを行い、日ごろの守護に感謝します。
 

<沖縄の家庭での観音拝み:お供え物>
[お供え物] [内容] [個数]
(1)ウサク ・お酒 ・徳利(とっくり)左右1対、2瓶
・おちょこ1杯、中央
(2)ハナグミ
(花米)
・お米
・乾いたお米
・左右1対、2皿
(3)アライグミ
(洗い花)
・7回すすいだお米 ・1皿、ハナグミの中央
(4)果物の盛り合わせ ・リンゴ(母性)
・バナナ(父性)
・ミカン(子孫繁栄)

 
沖縄の家庭での観音拝みでは、床の間や、床の間がない家庭ではリビングに以上のお供え物を供えますが、基本的に沖縄の観音堂でのお供え物と違いはありません。
 

沖縄の観音拝みでのグイス(祝詞)

沖縄の観音拝みでのグイス(祝詞)
◇沖縄の観音拝みでは、子どもの1年の健康と健やかな成長を祈願します

グイス(祝詞)」とは、神様への拝み「御願(ウグァン)」の際に唱える言葉ですが、沖縄では昔ながらの沖縄言葉で、神様へお話するものです。

お経や神道の祝詞のようなものではありません。
そのため現代の言葉でも問題はないでしょう。
 

<沖縄の観音拝みでのグイス(祝詞)>
「ウートゥートゥー ○○(観音堂や祠の名)の観音様、本日、観音様の縁日となる良き日に、観音拝みをしております。

○○(住所)、○○(干支)の男とその結び(妻のこと)が、お米とお酒、りんごやみかんなどの果物をお供えして御願をしておりますので、どうぞ受け取ってくださいますように。

旧年中は家族一同をお守りくださりありがとうございました。観音様の恵みのお陰様で、家族みな、元気に健やかに暮らしております。

○○(住所)、○○(干支)の男とその結びから産まれた、○○(干支)の女が、今年も一年健康で健やかに過ごしますよう、どうぞお見守りください。

また家族一同、家族円満・夫婦和合して、果報に触れ、一年穏やかに健康に暮らしますよう、今年もどうぞ、見守っていてください、ウートゥートゥー。」

 
家々によって素直な心をお伝えすれば問題ありませんが、沖縄の十八夜拝み(ジューハチヤー)では、例えばこのような拝みの言葉になるでしょう。
 

沖縄の家庭で観音様を遥拝するとは?

まとめ:沖縄のお彼岸で、ヒヌカンは最初に拝みます
◇ヒヌカン(火の神)やトゥクヌカミ(床の神)を通して、観音様へ遥拝できます

沖縄では旧暦9月18日、2023年11月1日(水)のジューハチヤ(十八夜)には、観音様を祀るお寺を参拝するティラヌムメー(寺参り)も多いです。

ただ、すでに観音様を迎え入れている家では、自宅から遥拝(ようはい)をする家が多いでしょう。
 

<家庭で行う沖縄の観音拝み:遥拝とは>
[家庭の祭壇から拝む]
(1)ヒヌカン(火の神様)に繋いでいただく
(2)トゥクヌマ(床の間)に祀る

 
ただその昔は、トゥクヌマ(床の間)に掛け軸を祀る「トゥクヌカミ(床の神)」の風習も多くありましたが、現代は床の間も少なく、廃れつつあります。

そのため一般的には台所にヒヌカン(火の神様)を仕立て、観音堂を参拝してから、ヒヌカンに繋いでいただく流れが多いです。

トゥクヌカミ(床の神)は、掛け軸ではなく、ウコール(香炉)のみをリビングに置くなどして、新しく仕立てる家庭も増えています。
 

沖縄の家庭に観音様を迎え入れるには?

沖縄の正五九月の忌み月:巡拝行事とは
◇沖縄で観音様を迎えるには、参拝後、ヒヌカン(火の神)に繋いでいただきます

家ではヒヌカン(火の神様)に繋いでいただきます。
またヒヌカン(火の神様)を祀っていない家や、新たにリビングにトゥクヌカミ(床の神)を仕立てたい場合、祭壇一式を準備します。

祭壇」と言うと畏まってしまいますが、特に沖縄では本州のような祭壇が必要ではありません。
 

<沖縄のヒヌカンを仕立てる>
[仏具] [内容]
・ハナイチ ・花立て
・ウコール(+灰) ・香炉
・マース皿 ・お塩を盛る皿
・盃 ・お酒を入れる
・湯呑み ・ミジトゥ(お水)を入れる
・ウブク椀3膳 ・ご飯を3膳よそる
・お膳 ・台

 
沖縄ではホームセンターなどでヒヌカンの仏具が揃っています。
けれども実は、必ずしも白い食器でなければならない訳ではありません。

現代は手元供養やペット供養で扱う可愛い仏具を揃える家庭も多いです。
また100均で揃えても構いません。
 

 

家で行う、観音様のお迎え御願

◇沖縄で遠方の観音様を拝む場合、まず集落の氏神様に参拝し、観音様を訪ねることをご報告すると良いでしょう

新しく祭壇やヒヌカン(火の神様)を仕立てる場合、準備をした仏具類は、まず潮水(塩水でも良い)に浸けてから水洗いし、乾拭きをします。

沖縄で観音様を家庭へ迎え入れる時、観音堂で供えるお線香は、火を灯さない「ヒジュルウコー(冷たい線香)」です。

沖縄の観音堂で供えたヒジュルウコー(冷たい線香)を家庭に持ち帰り、ヒヌカン(火の神様)やトゥクヌカミ(床の神)のウコール(香炉)に、火を灯して供えることで繋ぎます。
 

<家で行う、観音様のお迎え御願>
[場所] [行うこと] [備考]
●家庭 (1)祭壇を整える
(新しい場合)
ウコール(香炉)
・マース(お塩)
・ミジティ(お水)
・ウサク(お酒)
・供え葉
(チャーギ・クロトンなど)
●観音堂 (2)迎え入れの御願
・ヒジュルウコーを供える
(火を灯さない「冷たい線香」)
シルカビを座布団に
(半紙で作った白い紙)
※お供え物は通常と同じ
(3)お線香を持ち帰る シルカビに包む
・白い封筒に入れる
・持ち帰る
(4)玄関の扉を開放する
(5)お線香を供える
・お線香に火を灯す
(持ち帰ったお線香)
・家庭のウコール(香炉)へ
(6)迎え入れの拝み

 
神様の税金「シルカビ(白紙)」は、半紙を手で4つ切りにして、さらに2つ折りにした神です。

…これでヒヌカン(火の神様)と観音様が繋がりました。
新しく祭壇を設けた場合、ウコール(香炉)に観音様が入ってくださいます。
 

 

沖縄の観音堂での拝み

◇沖縄で観音様を迎える際は、ヒジュルウコー(冷たい線香)で繋ぎます

ただし沖縄の観音堂で観音様に来ていただく拝みでも、お供え物は基本と同じです。
ウサク(お酒)にミハナ(御花)、果物の盛り合わせを供えると良いでしょう。
 

●お線香も通常の観音拝みと同じく、ジュウゴフンウコー(十五本御香)です。
日本線香…15本、もしくは5本
沖縄線香…タヒラ半(2枚半)

 
こちらも沖縄の御願道具を揃える木箱「ビンシー(瓶子)」に揃えると便利でしょう。
(必須ではありません。)
 

<沖縄の観音様の迎え入れ:拝み言葉>
〇〇〇〇(住所)に住みます男、○○(干支)の○○、その結び○○(干支)の○○が、本日拝みに参りました。

〇月〇日、○○(干支)の男○○(氏名)と、その結び○○(干支)の○○(氏名)の間に○○(干支)の○(性別)、○○(氏名)を授かりました。

本日は観音様に○○(干支)の○○(性別)、○○(氏名)の仏親(神親)になっていただき、我が家に来ていただきたく、お願いに参りました。

家までご案内いたしますので、どうぞこのヒジュルウコーを依り代としてください

そして家までお越しいただき、家に住む家族を守護してくださいますように。」

…あくまでも一例ですが、以上のように観音様にお伝えすることで、供えたヒジュルウコー(冷たい御香)に乗っていただけるでしょう。

●以上の文言の前に、用意したお供え物(ウサギムン)の内容をお伝えし、「どうぞ受け取ってください。」と添える人も多いです。

 
観音様がヒジュルウコー(冷たい御香)に乗ってくださったら、白い封筒にしまい家に持ち帰りますが、極力寄り道はしないで帰宅します。
 

沖縄の家庭で行う観音様の迎え入れる拝み

◇沖縄で観音様を迎え入れる際、ウグァンタティ(御願立て)をします

ウグァンタティ(御願立て)」とは、神様へ祈願、願い事を伝えることです。
現代沖縄の一般家庭であれば、現代語でお伝えして問題ありません。

むしろ家族の心身の健康や家計、繁栄などについて日々相談をすることを考えると、自分なりに丁寧に言葉を紡ぎあげることも大切です。
 

<家で観音様を迎える拝み言葉>
「ウートゥートゥ、〇〇ヌウカミガナシー、
(あな尊い、○○の神様、)

○○○○(住所)の男○○(干支)、

本日は〇〇家に来てくださりありがとうございます。

これから家族みなが体も心も丈夫で、家庭円満に繁栄しますように。

どうぞお見守りください。
(ミーマンティー ウタビミスーリー)。

ウートゥートゥー。」

 
以前の沖縄で観音拝みは集落の観音様でしたが、現在は「琉球七観音」などの言葉も生まれ、遠方に拝みに行く人も増えました。
家族みんなで、手を合わせてみてはいかがでしょうか。
 

まとめ:沖縄の観音様は、子どもや家族を守護します

まとめ:沖縄の観音様は、子どもや家族を守護します
昔の沖縄では、観音様の他にも集落の氏神様(土地神様)へ、その1年内に産まれた集落の赤ちゃんをお披露目する風習がありました。
沖縄ではこのような氏神様を「土帝君(トゥーティークン)」と言います。

集落に愛される観音様も多いため、沖縄では各地に観音様を祀った小さな祠も発見するでしょう。

家族の平穏や健康を守護する存在として、子育て祈願の他、縁結びや夫婦和合、子授けなどを目的とした参拝も多く見受けます。
 


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