・沖縄の厄年「ウフトゥシビー」の拝みとは?
・沖縄の厄年は全国とは違うの?
・沖縄の厄年「ウフトゥシビー」はいつ?
琉球王朝の歴史を歩んできた沖縄で厄年は、全国の厄年と年齢が違います。
沖縄の厄年「ウフトゥシビー(大年日)」は、その人の干支年です。
そのため「年男・年女」が、沖縄では厄年にあたり、旧正月明け最初の干支日に、沖縄では厄年祓いの拝み「トゥシビーウグァン(御願)」を行います。
本記事を読むことで、沖縄の厄年「ウフトゥシビー(大年日)」の年齢や、旧正月明け最初の干支日に行う、トゥシビーウグァン(御願)のお供えものや拝み方、拝み言葉が分かります。
沖縄の厄年「ウフトゥシビー(大年日)」とは
◇沖縄の厄年は「ウフトゥシビー(大年日)」、年男・年女の一年です
沖縄の厄年は、生まれ年の干支に当たる年男や年女、「ウフトゥシビー(大年日)」と呼ばれ、全国的な厄年の数え方とは違うので注意をしてください。
十二支の干支年ごとに巡ってくるため、男女関係なく、12年ごとにウフトゥシビー(大年日)となる「クルブシ(黒星)」が訪れます。
●沖縄で「クルブシ(黒星)」とは年運が悪い持ち回りを意味し、12年のなかで生まれた干支の年「ウマリドゥシ(生まれ年)」は、最も周期的に運が悪いとの伝承がありました。
特に災難や病気面での厄が訪れるとされるため、沖縄ではこの厄年「ウフトゥシビー(大年日)」に、厄を祓う「トゥシビーウグァン(御願)」を行う風習がありました。
沖縄のトゥシビーウグァン(御願)で大切なこと
◇沖縄のトゥシビーウグァン(年日御願)では、本人は拝みません
沖縄で旧正月明け、最初の家族の干支日に拝む厄祓いのウグァン(御願)が、トゥシビーウグァン(年日御願)です。
通常のトゥシビーウグァン(年日御願)…マドゥトゥシビー(隙間年日)、沖縄の年女・年男にあたる厄年のトゥシビーウグァン(年日御願)がウフトゥシビー(大年日)となりますが、いずれも本人は拝まないとされます。
本人以外の同居家族が、それぞれ家族の干支日にマドゥトゥシビー(隙間年日)、ウフトゥシビー(大年日)のウグァン(御願)を行ってください。
沖縄の厄年、ウフトゥシビーの年齢は?
◇干支年が沖縄の厄年となるため、12年ごとに巡ります
男女で違い規則性が少ない全国的な厄年と違い、沖縄の厄年ウフトゥシビー(大年日)は12年ごとで分かりやすいです。
その昔の沖縄では同じ厄年でも、充分に長寿と判断された60歳以上は、お祝い行事を行います。
<沖縄の厄年「ウフトゥシビー(大年日)」> | |
[厄年] | ・13歳(十三祝い) ・25歳 ・37歳 ・49歳 |
[祝い年] | ・61歳 ・73歳 ・85歳 ・97歳(風車祝い) |
ウマリドゥシ(生まれ干支の年)ですので12年に一度訪れますが、61歳以上のトゥシビー(年日)は、長寿を迎えたと長寿祝いを、家族で祝ってください。
カジマヤーユーエー(風車祝い)
◇カジマヤーユーエー(風車祝い)では、集落で長寿を祝います
沖縄では97歳の「カジマヤーユーエー(風車祝い)」は、年齢の数字の語呂合わせで、旧暦9月7日に行う地域が多いでしょう。
かつて沖縄では、88歳のトーカチユーエー(斗掻祝い)ではあの世の姿「死に装束」で儀式を行い、97歳のカジマヤーユーエー(風車祝い)で再び生まれ変わるとされたため、子どもの心の象徴として風車を飾りました。
①デコレーションカーで集落を走る
②集落の人々は、お祝いをして長寿にあやかる
(あやかり昆布、風車など)
③88歳であの世と近くなり、97歳で生まれ変わる
(子どもに戻るため風車を配る)
けれども家庭が行う祓いウグァン(御願)や、長寿の感謝は、旧正月明け最初の干支日が一般的です。
「祓いウグァン(祓い御願)」自宅で家族だけで、静かに行うためです。
・2023年沖縄のカジマヤーユーエーは旧暦9月7日の10月21日(土)!拝み方行い方
沖縄の十三祝い
◇沖縄で初めて迎える厄年、13歳は「十三祝い」を行います
沖縄では初めて厄年を迎える13歳は、その昔に男性が大人になる儀式「元服(げんぷく)」が行われる年になるため、今でもお祝い事とする家族が多いです。
沖縄で初めて迎える厄年ですが、同時に12年で十二支全ての年を一巡したことになり、それぞれの年神様、十二支を司るご本尊様がついた年とも言われます。
<沖縄の十三祝い> | |
[意味] | ・大人になる「元服」の年 ・産まれてから十二支の御本尊が付いた (12の干支年を始めて一巡した) |
[行うこと] | ・神社や寺院での祈祷 ・記念写真を撮る ・親族で食事会を開く |
この他の沖縄の厄年では、厄災を逃れる祓いウグァン(御願)であある「トゥシビー御願(年日御願)」を行います。
昔ながらの拝み先は3か所、ヒヌカン(火の神)・お仏壇(祖霊神)・トゥクヌカミ(床の神)です。
沖縄の厄年ウフトゥシビー:ヒヌカン(火の神)
◇ヒヌカン(火の神)へのお供えものは、果物の盛り合わせやウチャヌクです
「ウチャヌク」とは、もち粉で作った白もちを3段に積み上げたもので、この世の3要素「海・地・天」を表すとされます。
基本は白もちですが、近年では沖縄菓子のターナファンクルーの3段重ねなども販売されるようになりました。
沖縄では厄年のウフトゥシビー(大年日)に限らず、神様へのウグァン(御願)では、そのままお供えができる携帯の木箱「ビンシー(瓶子)」を用意する家庭も多いです。
必ず必要なウグァン(御願)道具ではないですが、日々ウグァン(御願)を行うならばひとつあると便利でしょう。
・沖縄のビンシー(瓶子)とは?神様へ供えるミハナ(御花)、クバンチンとは?詳しく解説
ヒヌカン(火の神)へのお供えもの
◇ヒヌカン(火の神)へのお供えものは、ハナグミ(花米)とウチャヌクです
沖縄のお供えものは「ウサギムン」と言います。
お盆にウサギムン(お供えもの)を並べても良いですし、ヒヌカン(火の神)など、ビンシー(瓶子)にまとめて揃えやすいです。
<ヒヌカン(火の神)へのウサギムン(お供えもの)> | |
[日ごろのウサギムン](お供えもの) | |
①神木や供え葉 | ・チャーギ、クロトンなど |
②マース(盛り塩) | |
③ミジトゥ(お水) | |
[ウフトゥシビーの拝み盆] | |
④ウサク(お酒) | ・徳利(とっくり)…2本(左右に一対) ・おちょこ…1杯(中央) |
⑤ハナグミ(花米) | ・お米 ・2皿…左右に一対 |
⑥アライミハナ(洗い米) | ・お米を7回すすぐ ・1皿…中央に1皿 |
⑦ウチャヌク | ・3組…シルカビ(白紙)に乗せる |
[そのほか] | |
⑨果物の盛り合わせ盆 | |
[お線香] | |
●ジュウゴフンウコー (十五本御香) |
・日本線香…15本、もしくは5本 ・ヒラウコー(平御香)…タヒラ半(2枚半) |
神様へのウグァン(御願)におけるお供えものは、毎日のクェーブー(食べる運)を運ぶ、命を繋ぐ収穫であるお米を供えることが多いです。
ハナグミ(花米)、カライミハナ(乾いたお米)、アライグミ(洗い米)、アライミハナ(洗い米)などがありますが、全体としてミハナ(御花)とも呼ばれます。
・沖縄のビンシー(瓶子)とは?神様へ供えるミハナ(御花)、クバンチンとは?詳しく解説
沖縄の厄年ウフトゥシビー:お仏壇
◇お仏壇(祖霊神)には、ご馳走のウチャワキ(お茶脇)とウチャヌクを供えます
沖縄の厄年ウフトゥシビー(大年日)に、お仏壇(祖霊神)へ供えるウサギムン(お供えもの)は、ご馳走を盛りつけたウチャワキ(お茶脇)と、ウチャヌクです。
ご馳走は豚の三枚肉に煮付け「ラフテー」やごぼう巻きなど、旧正月の重箱料理に供えたようなおかずで良いでしょう。
<お仏壇(祖霊神)へのウサギムン(お供えもの)> | |
[日ごろのウサギムン](お供えもの) | |
①供え花 | ・2立て(位牌の左右) |
②ウサク(お酒) | ・1杯…二段目中央 |
③ウチャトゥ(お茶) | ・2杯(お酒の左右) |
[ウフトゥシビーのウサギムン] | |
④ウチャヌク (白もちの三段重ね) |
・2組…お茶の左右 |
⑤ウチャワキ(お茶脇) | ・1皿…盆に乗せたおかず皿 ・お箸を添える |
[お線香] | |
●ジュウニフンウコー (十二本御香) |
・日本線香…12本、もしくは4本 ・ヒラウコー(平御香)…タヒラ(2枚) |
沖縄の厄年ウフトゥシビー(大年日)のウグァン(御願)は、ヒヌカン(火の神)へのウサギムン(お供えもの)こそ、マドゥトゥシビーよりも丁寧になりますが、お仏壇(祖霊神)での違いはあまり極端ではありません。
普段のマドゥトゥシビーで赤ウブク(赤飯)を供えていたところが、ウチャヌクに変わります。
・沖縄のマドゥトゥシビー拝み☆一年の無事を祈願するお供え物と拝み方
61歳以上のウフトゥシビー
◇沖縄で61歳以上のウフトゥシビー(大年日)は「ウワイドゥシ(祝い年)」です
61歳以上の沖縄の厄年ウフトゥシビー(大年日)は「ウワイドゥシ(祝い年)」と呼ばれ、旧正月と同じようなお祝いの膳「ハレの膳」を供えます。
<ウワイドゥシ(祝い年)のハレの膳> | |
①お祝いのおかず皿 | ・クーブイリチー(昆布炒め血) ・ラフテー ・ンムニー(芋煮) ・結び昆布 …など |
②ウサチ(酢の物) | ・ミミガー ・末広がり大根の酢漬け …など |
③おめでたい汁物 | ・ソーキ汁 ・イナムドゥチ ・中身汁 …など |
④赤飯 | ・お箸も添える |
また近年の沖縄ではウワイドゥシ(祝い年)に予約をして、家族・親族で会食をして祝うことも多いです。
また初めてウフトゥシビー(大年日)を迎える13歳も祝い年でしょう、特に女の子は盛大に祝われてきました。
13歳が過ぎると次の沖縄の厄年ウフトゥシビー(大年日)は25歳、昔であれば、すでに結婚して他家へ嫁いでいたからかもしれません。
沖縄の厄年ウフトゥシビーの拝み方
◇現代の言葉で良いので、厄祓いと御守護を祈願します
地域や家によって拝み方やグイス(祝詞)は異なり、本格的に沖縄言葉で拝む家も多いですが、一般家庭では現代の言葉で、心を込めて下記のような内容をお伝えすれば良いでしょう。
「ウートゥートゥー、ヒヌカンヌウカミガナシー
(あな尊き ヒヌカンの神様、
本日は〇年(干支)生まれの男と、その結び(配偶者)、○年(干支)生まれの女から産まれました、〇年(干支)の男の子(女の子)の13歳の年日となりました。(※)
ウサク(お酒)と金ビンシー銀ビンシー、ウチャヌク(お茶の子)、ミハナ(御花)、ウチャワキ(お茶脇)とウブク(ご飯)も供えながら、厄祓い、健康願いをしておりますので、どうぞ受け取っていただきますように。
いつも〇年(干支)産まれの男の子(女の子)の御守護をいただき、誠にありがとうございます。
お陰様で心も体も元気に健康に過ごしております。
どうぞ今年も一年、無事に御守護いただき、身体も強く心も健康に過ごせますよう、学道も強く進めますよう、お見守りいただきますように。
ウートゥートゥー(あな尊い)。」
(※)今回は13歳に行う沖縄の厄年ウフトゥシビー(大きい年日)の内容をお伝えしましたが、成人であれば両親の干支はお伝えしなくても問題はありません。
また沖縄の厄年ウフトゥシビー(大年日)でも、マドゥトゥシビー(隙間年日)と同じように神様へ話し掛けても良いでしょう。
日ごろの気掛かりごと、ケガや病気などもお話しながら御守護をお願いしてみてはいかがでしょうか。
まとめ:沖縄の厄年ウフトゥシビー(大年日)には厄祓いをします
沖縄の厄年ウフトゥシビー(大年日)は、12年に1度の厄年です。
今の沖縄では神社や寺院も、全国的な厄年とともに、沖縄の厄年ウフトゥシビー(大年日)にも対応してくれる神社が多いので、神社でお祓いを行っても良いでしょう。
また沖縄では厄年ウフトゥシビー(大年日)には、人生のイベントは控えるとされてきました。
例えば結婚・旅行・建墓・家の新築・起業・位牌の移動・転職などです。
61歳以上のウワイドゥシ(祝い年)になると、厄を祝うことで、皆で分ける役割もあります。
ただ昔ながらの沖縄では、ウワイドゥシ(祝い年)の本人同士が祝い合うことがなかったようですが、贈り物を贈る習慣がある地域も見受けます。
まとめ
沖縄の厄年:ウフトゥシビー(大年日)
・沖縄の厄年は、産まれ干支年
(年男、年女が厄年)
・旧正月明け最初の干支日に厄祓い[ヒヌカンのお供えもの]
・日ごろのお供えもの
・ウフトゥシビーの拝み盆
・果物の盛り合わせ盆
・お線香は十五本御香[お仏壇へのお供え物]
・日ごろのお供え物
・ウチャヌク…2組
・ウチャワキ(お茶脇)
・お線香は十二本御香[拝み方]
・干支日の家族を伝える
・お供えものを伝える
・御守護への感謝を伝える
・今年一年の御守護を願う