沖縄の首里十二支巡りとは?巡拝する寺院や順番、沖縄十二支巡りの拝み方やお供え物は?

2023.09.19
沖縄の首里十二支巡りとは?巡拝する寺院や順番、沖縄十二支巡りの拝み方やお供え物は?

沖縄では旧暦正五九月の首里十二支巡りを行う風習があります。十二支の御本尊を巡拝し、四方八方の神様仏様から守られ果報が届く吉兆行事です。本記事を読むことで、沖縄の首里十二支巡りの霊場、御本尊の御利益や拝む順番、拝み方、お供え物が分かります。

・沖縄の首里十二支巡りとは?御利益は?
・沖縄の首里十二支巡りで巡拝する寺院は?
・十二支巡りでの拝み方、お供え物は?

自身を慎み穢れを祓う「忌み月」とされる旧暦正五九月(旧暦1・5・9月)、沖縄では首里十二支巡りの巡拝行事を行う家があります。
四方八方の神様仏様から守られ果報が届く吉兆行事です。

本記事を読むことで、沖縄の首里十二支巡りの霊場、御利益や拝む順番、拝み方、お供え物が分かります。
 

沖縄の首里十二支巡りとは

まとめ:琉球八社は琉球王朝時代に特別に扱われた宮です
◇十二支の御本尊を巡拝する行事です

沖縄の十二支巡りでは、十二支の干支を司る、それぞれの御本尊を参りますが、複数の御本尊を祀る寺院もあるため、首里4つの寺院を巡拝します。

「御本尊」とは、その年の干支に産まれた人々を守護する仏様です。
日本では生まれ年の「干支」があり、それぞれに仏様が割り当てられています。
 

<沖縄の首里十二支巡り:守り本尊とは>
[干支] [守り本尊]
(1)子年(ねどし) ・千手観音菩薩
(千手千眼観自在菩薩)
(2)丑年(うしどし) ・虚空蔵菩薩
(3)寅年(とらどし) ・虚空蔵菩薩
(4)卯年(うどし) ・文殊菩薩
(5)辰年(たつどし) ・普賢菩薩
(6)巳年(みどし) ・普賢菩薩
(7)午年(うまどし) ・勢至菩薩
(8)未年(ひつじどし) ・大日如来
(9)申年(さるどし) ・大日如来
(10)酉年(とりどし) ・不動明王
(11)戌年(いぬどし) ・阿弥陀如来
(12)亥年(いどし) ・阿弥陀如来

 
沖縄の御願では干支が重視され、厄年も全国とは違い生まれ年の干支年が厄年です。
けれども檀家制度が根付いていない沖縄では、500年ほど前には多数あった寺院も、先の大戦などにより、6寺までになっています。
 

守り本尊の特徴とは

◇十二支の御本尊それぞれに、得意とする分野があります

沖縄で首里十二支巡りを行う際、家族の干支年の守り本尊が祀られる寺院のみを参拝する家庭もありますが、神女「ユタ」など、全ての御本尊を巡拝する人もいるでしょう。

十二支の守り本尊には、それぞれに得意とする分野や性格があります。
 

<守り本尊の特徴とは>
[守り本尊] [特徴] [御利益]
(1)千手観音
(千手千眼観自在菩薩)
・千の手、千の眼を持つ
慈悲の手と眼で人々を救う
・現世利益
・諸願成就
・病気平癒
(2)虚空蔵菩薩 宇宙庫に知恵を持つ
・奈良時代より続く知恵仏
・成績向上
・記憶力増進
・技芸上達
・厄祓い
・開運
(3)文殊菩薩 ・知恵を担う菩薩
・実在した修行者
学問と知恵の菩薩
・合格祈願
・学業成就
・正しい判断力
(4)普賢菩薩 ・法華経の菩薩
仏の理性を備える
・堅固な菩提心
・女性の人生を説く
・増益(ぞうえき)
(幸せの増大)
・女人成仏
(女性が悟りを開く)
・延命
(5)勢至菩薩 ・智慧により一切を照らす
人々へ無上の力をもたらす
・菩提の心を喚起させる
・智慧明瞭
・家内安全
・除災招福
(6)不動明王 ・大日如来の変化神
・悪を断じる
修行者を守護する
●現世利益
・除災招福
・病気平癒
・疫病退散
・身体健全
・家内安全
・国家安泰
(7)阿弥陀如来 西方浄土を担う
・一切の衆生を救済する
●死後の御利益
・極楽浄土へ導く

 
そのため沖縄の首里十二支巡りでは、家族の守り本尊を参拝する他、受験の年には文殊菩薩など、祈願事に合わせた参拝も多いです。
 

全国と違う沖縄の首里十二支巡り

◇沖縄では独自の御願文化に倣い参拝をします

独自の琉球王朝の歴史を持つ沖縄では、本州のような特定の寺院を家で代々信仰する「檀家制度」が古くから根付いていません。
 

<沖縄の御願文化>
●沖縄では独自の祖霊信仰をはじめとする信仰があり、主に琉球王朝に仕えた「ノロ」や、民衆では神女「ユタ」が宗教者に代わる役割を担ってきました。

 
そのため沖縄の首里十二支巡りをはじめとするテラマーイ(寺参り)では、自然信仰に基づいた神女「ユタ」(シャーマン)を中心に、参拝すると言う、神仏習合、あらゆる信仰が混合した文化が成されています。
 

<沖縄の首里十二支巡り>
・神女「ユタ」による参拝も多い
・家族の生まれ年の守り本尊へ参拝
・独自の御願文化の慣わしで参拝する

 
自然信仰に基づいた神女ノロやユタが、独自の参拝方法で寺院を参拝する姿を不思議に思う人々もいるかもしれませんが、沖縄では古くから行われてきました。

その背景には、もともと沖縄の観音信仰が根付いてきたためでしょう。
沖縄の観音様は、子どもの成長を見守り、家を守護する存在です。
 

 

沖縄で首里十二支巡りの御利益は?

沖縄で首里十二支巡りの御利益は?
◇沖縄で十二支は、方角(十二方位)・時間(12時間)・1年(12カ月)を守護します

沖縄で十二支は、方角(十二方位)・時間(12時間)・1年(12カ月)を表し、あらゆる方角から1年12カ月、1日24時間の結界を張り、厄災を跳ね除け守護してくれる役割です。

また十二方位から果報が訪れる、西方浄土への遥拝所にもなっています。
 

<沖縄で首里十二支巡りの御利益>
[御利益] [タイミング]
(1)厄祓い 厄年(ウフトゥシビー)
・十三祝い
(2)結界を張る 屋敷の御願
(お彼岸、旧暦年末)
(3)西方浄土へ供養 年忌焼香
(忌中は避ける)

 
沖縄に根付く信仰は「琉球神道」とも言われ、最高神アマミキヨの霊場、そして琉球神道の太陽神「キンマムン」の安須森御嶽などが霊場として知られますが、一方で観音信仰の影響で、御本尊にも厄年に拝みを捧げてきたのです。

そこで御本尊に拝みを捧げた後、自宅のヒヌカン(火の神)で繋ぎ、家から遥拝するなど、琉球神道と観音信仰の習合文化も見受けます。
 

(1)厄祓い

◇沖縄の厄年は生まれの干支年、そのため干支年には厄祓いの巡拝をしました

沖縄で干支年にあたる年男・年女を「ウフトゥシビー(大年目)」の厄年とし、厄祓い行事を行います。
この厄祓い行事に、沖縄では首里十二支巡りを行う家庭もあるためです。
 

<沖縄の首里十二支巡り:厄祓い>
●十二支は時間も司る
[由来] [備考]
●守護を祈願する ・12か月
・12時間(午前と午後)
・十二方位

 
特に産まれてから1年ごとに干支の御本尊が1柱ずつ付き、12年を廻り全ての干支が付いたことになる「十三祝い」では、仏様にお披露目して厄災祓いを行うでしょう。
 

<十三祝いとは>
[[十三祝い] ・初めて十二支を一巡した年
十二支の守り本尊が付いた
[備考] ・お祝いをする
・お参りをする
首里十二支巡りをする

 
そのため日ごろは家族の守り本尊が祀られる寺院のみ参拝する家族でも、十三祝いでは全ての御本尊様を巡拝する家庭もあります。

「ウフトゥシビー(大年目)の厄年に十二方位からの厄災を、来る12カ月・12時間(昼と夜)、守ってくださいますように」と御守護を祈願する年です。
 

 

(2)結界を張る

◇沖縄の敷地、十二方位から結界を張る巡拝です

日ごろ、一般的には家の大掃除を行った後、ヒヌカン(火の神)から家庭の敷地内6柱10か所の神々様へ御願(拝み)を捧げて終わります。
ただ特別な年、沖縄では首里十二支巡りによりさらなる御守護を祈願してきました。
 

<屋敷の御願後、沖縄の首里十二支巡り>
[行うタイミング] ●特別に家の守護を祈願したい
・前年に厄災があった
・近所で厄災が頻発している
・家族に厄年がいる
…など。
[行う時期] ・二月彼岸(春のお彼岸)
・八月彼岸(秋のお彼岸)
・旧暦12月24日

 
旧暦12月24日は年末年始に向け、日ごろ家を守護するヒヌカン(火の神様)がウティン(御天)の神様の元へ里帰りをする日です。
次回の旧暦12月24日は、2024年2月3日(土)となります。

このような時には屋敷の御願の後に、沖縄で首里を行いました。十二支の神様=十二方位の神様の四方八方からくまなく守護される、と言う意味合いです。
 

 

(3)西方浄土へ供養

◇年忌焼香(ニンチスーコー)で、故人が成仏できるよう拝みます

特に阿弥陀如来は西方浄土である「ニライカナイ」を司り、阿弥陀如来が持つ「他力本願」の力で、生前の行いに関係なく、いかなる人々もすぐにニライカナイ(西方浄土)へ導くとされました。
 

<沖縄の首里十二支巡り:弔事>
[目的] ・故人が無事に成仏するように
・故人が西方楽土へ辿り着くように

 
この人が亡くなるとすぐにニライカナイ(西方浄土)に辿り着き成仏する、阿弥陀如来の力を「往生即成仏」と言い、全国的にも浄土真宗で説く概念です。
 

沖縄の首里十二支巡りの霊場とは

沖縄の首里十二支巡りの霊場とは
◇沖縄で十二支の御本尊を祀る、首里の4寺を巡拝します

沖縄では「首里十二支巡りはどの順番で参拝すればいいの?」などの質問もありますが、決められた順番はありません。

ただ一般的には、子年を祀る首里観音堂から、干支の通り「丑→寅→卯→辰→巳→午→未→申→酉→戌→亥」と巡拝する習慣があります。
 

<沖縄の首里十二支巡り:参拝する寺院とは>
[寺院] [祀る御本尊] [干支]
(1)慈眼院
●首里観音堂
(しゅりかんのんどう)
・千手観音
(千手千眼観自在菩薩)
・虚空蔵菩薩
・普賢菩薩
・勢至菩薩
・子年
・丑年、寅年
・辰年、巳年
・午年
(2)西来院(さいらいいん)
●達磨寺(だるまでら)
・文殊菩薩
・阿弥陀如来
・卯年
・戌年、亥年
(3)盛光寺
(せいこうじ)
・大日如来 ・未年、申年
(4)安国寺
(アンコクジ)
・不動明王 ・酉年

 
そのため先に登場する順番で、上記のように巡拝する人が沖縄の首里十二支巡りでは多いでしょう。
一般的に一度の来訪で全ての御本尊様に拝んでも良く、戻る必要はありません。
 

首里観音堂

首里観音堂
◇首里観音堂は、沖縄で首里十二支巡り、観音信仰の聖地「慈眼院」です

首里山川町にある首里観音堂(臨済宗慈眼院)は、十二支の守り本尊のうち4尊が祀られている、沖縄の人々に広く親しまれる観音堂です。

沖縄の首里十二支巡りとしても、十二支の御本尊を最も多く祀る神様です。
子年の千手観音が祀られるため、最初に参拝する人が多いでしょう。
 

<沖縄の首里十二支巡り(1)首里観音堂>
首里観音堂
[住所] 那覇市首里山川町3-1
[TEL] 098-884-0565
[HP] https://www.shuri-kannondo.com/

 
十二支の守り本尊の他、地蔵菩薩様、かまどの神様として知られる三方荒神様も祀られています。
 

万松院から遷仏

◇昔、沖縄で首里十二支巡りの霊場だった万松院は、1991年に辞退しました

以前、沖縄で首里十二支巡りの御本尊、普賢菩薩が祀られてきた寺院は万松院でしたが、1991年に普賢菩薩を首里観音堂へ遷仏しています。
 

<万松院から遷仏>
●1991年に遷仏
[遷仏した御本尊] [遷仏]
●普賢菩薩
・辰年、巳年
→首里観音堂へ
●文殊菩薩
・卯年
→達磨寺へ

 
そのため今でも沖縄では首里十二支巡りに万松院を数える人がいますが、現在では霊場から外れています。

万松院では沖縄の御願文化を踏襲せず、本来の臨済宗妙心寺派(禅宗)の作法に倣い参拝をしましょう。
 

 

達磨寺

達磨寺
◇西来院は達磨様が祀られ、「達磨寺」の愛称で親しまれています

達磨寺の正式名称は「西来院(さいらいいん)」です。
達磨峰(だるまほう)の山号を持つため、沖縄では「達磨寺(だるまでら)」の名で知られています。

沖縄の首里十二支巡りでは、卯年の文殊菩薩、戌・亥年の阿弥陀如来の霊場、達磨寺の御本尊は阿弥陀如来です。

沖縄では首里十か所巡りの霊場として知られる他、水子地蔵による水子供養、女体守護(病気治癒)の御利益があり、「女性のお寺」としても参拝されます。
 

<沖縄の首里十二支巡り(2)達磨寺>
達磨寺
[住所] 那覇市首里赤田町1-5-1
[TEL] 098-884-1077

 
沖縄では「ニライカナイ」、西方の御位「西方極楽浄土信仰」が深いです。
達磨寺(西来院)も、西方極楽浄土から達磨大師(引いては阿弥陀如来様)が来たとされてきました。

首里観音堂と同じく、1991年に万松院より文殊菩薩が移されています。
 

盛光寺

盛光寺
◇盛光寺は「成功」の祈願として信仰される、大日如来を祀る寺院です

盛光寺(せいこうじ)」は、その読み方から語呂を取って「成功」に御利益があるとされます。

御本尊である大日如来の縁日となる旧暦二十八日には、「成功」にまつわる誓い・祈願「ウガンタティ(願御願立て)」を行うと、大きな御利益を得られると信仰されてきました。

沖縄の首里十二支巡りでは、未年と申年を司る大日如来が祀られています。
 

<沖縄の首里十二支巡り(3)盛光寺>
盛光寺
[住所] 那覇市首里儀保町3-19
[TEL] 098-884-3869

 
盛光寺には、炎で穢れを焼き尽くすトイレの神様「烏枢沙摩明王(うすさま明王)」も祀られ、お札を求めて参拝する人も多いです。

明治の頃は久米にあった盛光寺は、明治時代には儀保の町に移されました。
今では「儀保寺」「儀保の寺」などと地域の人々に親しまれています。
 

安国寺

安国寺
◇安国寺の不動明王は、人々に喝を入れ勝利へ導く神様です

安国寺の御本尊は不動明王、沖縄の首里十二支巡りでは、酉年の守り本尊です。

不動明王様は怖い表情をしていますよね。
大日如来の変化神で、喝を入れて人々の煩悩を断ち切ります。
 

<沖縄の首里十二支巡り(4)安国寺>
(4)安国寺
[住所] 那覇市首里寒川町1-2
[TEL] 098-884-2735
[HP] https://www.taiheizan-ankokuji.com/

 
安国寺は第一尚氏、六代目の尚泰久王により建設された歴史ある寺院です。
病気を乗り越える(病気平癒)、勝負事に勝つ御利益です。
 

沖縄の首里十二支巡りでの拝み方

沖縄の首里十二支巡りでの拝み方
◇沖縄の首里十二支巡りでは、お供え物をして拝みます

沖縄の首里十二支巡りでは、お米「ミハナ(御花)」やお酒、果物などのお供え物を供えて、日ごろの御守護への感謝の後、祈願事を行います。
 

<沖縄の首里十二支巡りでの拝み方>
(1)お供え物
(2)クバンチン(三十五円)
(3)お線香
(4)グイス(祝詞)
(5)クバンチンをお賽銭箱へ入れる

 
以上5つの手順で行います。
沖縄の首里十二支巡りの霊場では、机や拝み終わった後のミハナ(御花)を供える容器など、沖縄の拝み事「御願(ウグァン)」がしやすいように、整えられた施設が多いです。
 

(1)お供え物

◇沖縄の首里十二支巡りでは、ミハナ(御花)とウサク(お酒)などを供えます

必ず必要なものではありませんが、屋外の御願で役立つ、沖縄の御願用具「ビンシー(瓶子)」があると、持ち運びしやすく、そのまま供えられるので便利でしょう。
ビンシー(瓶子)のスペースに合わせて整えると、揃えやすいです。
 

<沖縄の首里十二支巡り:お供え物>
[お供え物] [個数]
①ウサク(お酒) ・徳利(とっくり)左右1対、2瓶
・おちょこ1杯、中央
②ハナグミ(花米)
※お米
・左右1対、2皿
③アライグミ(洗い花)
※7回すすいだお米
・1皿、ハナグミの中央に
④ウチャヌク
※白いおもちの3段重ね
・3組
・白い紙の上に
⑤果物の盛り合わせ ・リンゴ(母性)
・バナナ(父性)
・ミカン(子孫繁栄)

 
ただアライグミ(洗い米)はご先祖様から神になった「祖霊にのみ供える」とする家や地域もあります。
この場合に中央にマース(塩)を供えたり、クバンチンのみ供える家もあるでしょう。
 

(2)クバンチン(三十五円)

◇「クバンチン」とはフソク(不足)を補うお供え物です

クバンチン」とは、沖縄の御願が充分ではない「フソク(不足)」があった時に、このフソクを補うために供えます。

盆に供えれば良いのですが、ビンシー(瓶子)で供える際、手前の中央の皿に、ミハナ(御花)やマース(お塩)の上に乗せて供える人も多いです。
 

<クバンチンとは>
[クバンチン] ・三十五円
[役割] ・御願のフソクを補う
(不十分だった部分)
[供え方] ・手前に供える
・中央の皿の上でも良い

 
沖縄の首里十二支巡りでは、お供え物をした後にクバンチン三十五円をお供えし、「フソク(不足)がありましたら、こちらで補いください」と神様へ伝えます。
 

 

(3)お線香

◇沖縄の首里十二支巡りで供えるお線香はジュウゴフンウコー(十五本御香)です

もともとご先祖様だった祖霊神へはジュウニフンウコー(十二本御香)を供える家が多い沖縄では、仏様へ拝む首里十二支巡りでは、神様仏様へ供えるジュウゴフンウコー(十五本御香)を供えます。
 

<沖縄の首里十二支巡り:お線香>
●ジュウゴフンウコー(十五本御香)
[お線香の種類] [内容] [本数]
(1)カバシウコー
(香御香)
・日本線香 ・5本、もしくは15本
(2)ヒラウコー
(平御香)
・沖縄線香 ・タヒラ半(2枚半)

 
沖縄の首里十二支巡りの霊場は観音堂や寺院なので、火の用心の観点から、火を灯さない「ヒジュルウコー(冷たい線香)」が一般的です。

半紙を四つ切りに手で千切った後、半分に折った「シルカビ(白紙)」の上に乗せて供えます。

御願を終えたらヒジュルウコー(冷たい線香)はシルカビに包み、さらに白い厚手の封筒に納めて自宅に持ち帰った後、自宅のウコール(香炉)に供えましょう。
 

 

(4)グイス(祝詞)

◇住所と家族の干支を神様に伝えて、守護を祈願します

沖縄の首里十二支巡りでは、霊場で神様へ家族の住所を伝えるのが基本です。
その後、お供え物の内容をお伝えして、祈願事を伝えると良いでしょう。

下記はその一例ですので、参考にしてください。
 

<沖縄の首里十二支巡り:グイス(祝詞)>
「ウートゥートゥー、○○寺のウカミ(御神)しん、

今日の善き日、○○(住所)の○○(干支)と、その結び○○(住所)の○○(干支)が、家内安全と健康祈願の拝みにきました。

香り高い十二本三本のコーブン(香分)、天地の鏡ウチャヌク、クガニ(黄金)塩、穢れなき五穀豊穣のミハナ(御花)、清めるウサク(お酒)をお供えしていますので、どうぞお受け取りください。

いつも私達家族をお見守りくださり、ありがとうございます。
また今後1年12カ月、四方八方の神々さまの御守護をいただき、家族みながカラダガンジュー(体丈夫)、四方八方からたくさんの果報が訪れますように。

ウートゥートゥー。」

 
昔ながらの沖縄言葉で唱えるグイス(祝詞)もありますが、沖縄のグイス(祝詞)は沖縄言葉でこのような内容をお伝えしています。

そのため現代の一般家庭であれば、現代の言葉で自分なりにお伝えしても良いでしょう。
 

(5)クバンチンをお賽銭箱へ入れる

◇御願を終えたら、三十五円をお賽銭箱に入れます

寺院ごとに使用するので、沖縄で首里十二支巡りを行うならば、三十五円×4回分を揃えて出掛けてください。
 

まとめ:沖縄の首里十二支巡りは、4つの寺院を巡ります


沖縄の首里十二支巡りで巡拝するのは、首里観音堂、達磨寺、盛光寺、安国寺の4寺院です。

ただし厄年にあたる年男・年女のウフトゥシビー(大年目)でなければ、家族の干支の守り本尊が祀られる寺院のみを参拝しても良いでしょう。

シルカビ(白紙)は神様への税金とされ、シルカビ(白紙)をクバンチンとする家や人も多いです。

いずれにしてもシルカビ(白紙)と三十五円のクバンチンは、4寺院それぞれで新しく供えるので、出掛ける前に4セット用意します。

また後々家から遥拝するため、家に神様仏様を招き入れる御願方法もありますので、詳しくは下記をご参照ください。
 

 

まとめ

沖縄の首里十二支巡りとは
[方法]
・十二支の守り本尊を参拝
・首里の4寺院を巡拝

[目的]
・厄祓い(厄年)
・年忌焼香(供養)
・結界を張る
(屋敷の御願)

[首里十二支巡り]
(1)首里観音堂
(2)達磨寺
(3)盛光寺
(4)安国寺

 


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