沖縄の個人墓地を墓じまいする手順は?手続き・費用・土地の扱いをプロが解説

沖縄の個人墓地を墓じまいする手順は?手続き・費用・土地の扱いをプロが解説

2026.02.23

沖縄に多い個人墓地の墓じまいを解説。本土とは異なる背景を持つ個人墓地の手続き、無許可墓地への対応、墓じまい後の土地売却のルールまで。供養ギャラリースタッフが皆さまの不安に寄り添い、次の世代へ繋ぐための適正な手順と進め方をサポートします。

本土のような檀家制度がない歴史や、米領時代の法規制の違いから、沖縄には個人の土地にお墓を建てる文化が深く根付いてきました。
しかし、現代では継承問題から「墓じまい」を検討される方が増えています。

本記事では、個人墓地の墓じまいに必要な手続きから、無許可の場合の対処法、その後の土地の売買ルールまで、現場の知見を基に分かりやすく解説します。

そもそも「個人墓地」とは?

沖縄では昔から続く門中墓があり、このなかには個人墓地に建つお墓が多いです。
「個人墓地」とは個人の墓地ですので、墓地の所有者・管理者は個人が担います。

沖縄には個人墓地が多く現存しますが、門中・親族・家単位となり、公営墓地・民営墓地・寺院墓地などと比べると、その規模は小さなものです。

<墓地の種類>
[墓地の種類][管理]
(1)公営墓地・自治体
(2)寺院墓地・寺院
(宗教法人)
(3)民営墓地・民間企業
(公益財団法人)
(4)個人墓地・個人名義

 一方で現代の法律では、知事が認めた墓地にお墓を建てなければなりません。
全国的には昔から、寺院がお墓を管理する「寺院墓地」に建てる家が一般的でした。

 [全国と沖縄のお墓の違い]
沖縄のお墓はなぜ大きい?「門中墓」とは?お墓参りに他県と違う5つの事柄やルールとは

昭和23年(1948年)5月31日に「墓地、埋葬等に関する法律」(以下「墓埋法」)が施工され、昔は私有地に建てていたお墓も、「墓地」と定められた場所に建てることが義務付けられました。

沖縄では個人墓地が多く現存しているものの、全国的には一般的に、霊園・墓地に「永代使用権」と呼ばれる、永代に渡り使用できる権利を購入して、お墓を建てます。

 <墓地に関する法律>
 ●墓埋法:第10条
 「墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。」

現行の墓埋法で墓地は、基本的には都道府県知事の許可を得た寺院(宗教法人)や自治体、民間企業(公益法人)しか墓地を運営することができません。
たとえ私有地でも、現行の法律ではお墓を建てることはできない決まりです。 

[参照]
・厚生労働省|昭和23年5月31日(法律第48号)「墓地、埋葬等に関する法律

県内でお墓を探す-供養の窓口おススメ霊園
個人墓地は「みなし墓地」

では沖縄の個人墓地は、なぜ今もお墓として現存しているのでしょうか。
それは、昭和23年に墓埋法が施行される以前から使われている墓地だからです。

 <「みなし墓地」とは>
 ・昭和23年の墓埋法以前からある墓地
 ・当時の厚生省の許可を得ていた墓地
 (自治体で認められていた)

 このような昔からある墓地を、埋葬法で許可されていると「みなす」墓地として、「みなし墓地」と呼びます。

そのためみなし墓地は門中墓や先祖代々墓などの個人墓地だけではありません。
戦前から地域や自治会などで管理されていた集落墓地、部落墓地、村墓地などの「野墓地(のぼち)」、共同墓地などもみなし墓地として残されています。 

墓地に関する新しい法律が制定されましたが、その規定に外れているからといって、先祖代々守ってきたお墓を急に廃止することはできません。

そこで新しい法律の運用を進めながらも、昔からある個人や門中・一族、地域で管理してきたお墓を守る条項も作りました。 

 <みなし墓地に関する法律>
 ●墓埋法:第26条
 「この法律施行時、既存の命令規定により都道府県知事の許可を受けて墓地、納骨堂、または火葬場を経営している者は、この法律の規定に従い、それぞれの許可を受けたものとみなします。」

これは「現在の墓埋法では、墓地と定められた以外の個人墓地は許可されないものの、法律施行前に許可を受けていた場合に、現行の法律でも許可されているとみなします。」と言っています。

[参照]
・e-Gov法令検索|墓地、埋葬等に関する法律:第26条

このように昭和23年に墓埋法が施工される以前に建っていた、個人名義の墓地に建つお墓は「みなし墓地」として、認められていますが、当時は法的手続きを済ませていない個人墓地もありました。

このような墓地は「無許可墓地」と呼ばれます。
無許可墓地は事実上「みなし墓地」として登録されていないため、法律に違反しているため、相続(継承)手続きが進められません。 

<無許可墓地>
[無許可墓地とは]●法的手続きをしていない
・相続(継承)手続きができない
・墓埋法に違反する
・罰則を受ける可能性
[対策]・承認を受ける

無許可墓地に課される可能性のある罰則は「半年以下の懲役刑もしくは5000円以下の罰金」です。

ただ無許可墓地の多くが、故意に無許可でお墓を建てたものではありません。
先祖代々の墓、一族の墓として現代に残っているため、必要な書類を提出して承認を受ければ、みなし墓地として認められるケースが多いです。

現存する個人墓地が、みなし墓地か無許可墓地か分からないケースでは、行政窓口で「墓地台帳」を確認しなければなりません。

昭和23年の墓埋法施工以前に許可を受けていない「無許可墓地」だった場合、新しく遺骨を納骨することが難しくなるためです。 

<みなし墓地か、無許可墓地か>
[みなし墓地]自治体の墓地台帳に記載されている
・そのまま墓地を使用できる
[無許可墓地]・自治体の墓地台帳に記載がない
[対策]●自治体に承認申請を行う
・必要資料を提出
(墓埋法以前から存在した証明)

自治体に個人墓地の正当性を認めてもらうためには、墓埋法が施工される前からお墓が存在したことを証明しなければなりません。

また承認を受ける墓地は、あくまで昭和23年、墓埋法の施工以前の古くから存在する墓地に限ります。
墓埋法の施行より後に建てられたお墓には、罰則が科せられる可能性があります。

墓地の築造時期を明確にするためにも、昔から存在していたことを示す資料が重要です。

[参照]
・那覇市|平成24年3月27日(規則第8号)「那覇市墓地等の経営許可等に関する規則

個人墓地の墓じまい

個人墓地に限らず、墓じまいを行うには改葬手続きを行わなければなりません。
もともと「墓じまい」は民間から生まれた造語で、行政手続きとしては遺骨やお墓を引っ越す「改葬(かいそう)」と呼ばれます。 

●墓じまいで取り出した遺骨の、新しい納骨先は「改葬先」です。

墓じまいでは、お墓が建つ地域の自治体へ「改葬許可申請」行って許可をもらい、「改葬許可証」を発行してもらわなければなりません。

この改葬許可証を受けて初めて、墓じまい業者は遺骨の取り出しや墓石の撤去工事ができます。 

<改葬の流れ>
(1)親族間の合意・墓じまいの合意
・墓じまい費用の相談
(2)墓地管理者に相談[必要書類]
・埋葬(埋蔵)証明書
(遺骨の証明)
※個人墓地では署名・捺印
(3)改葬先を決める[必要書類]
・受け入れ証明書
(改葬先の証明)
(4)石材業者の選択・墓じまい工事の依頼
(5)改葬手続き改装許可申請
[必要書類]
・申請者の身分証明
・埋葬(埋蔵)証明書
・受け入れ証明書
(6)スケジュール調整・閉眼供養
・墓じまい工事
・納骨
(7)墓石解体工事・更地返還遺骨の取り出し
・墓石の撤去
・墓地の整地

上記は個人墓地であるかどうかに関わらず、改葬の大まかな流れです。
このなかで個人墓地の場合に対策を取るべき墓じまいのステップは、墓地管理者への相談や、改葬手続きとなるでしょう。

なかでも個人墓地の名義人である墓主が分かっている、生きている場合と、墓主が分からない、亡くなっている場合に分かれます。 

[墓じまい手続き」
墓じまいの流れや手続き10の手順とは?何が必要?いくらかかる?スムーズに進む注意点

[墓じまいにかかる費用]
墓じまいにかかる費用はどれくらい?内訳や安く抑えるポイント、払えない時の対処法

個人墓地の場合、墓地名義人である墓主が墓地管理者です。一般的に改葬手続きでは、まず墓地管理者から許可を得ます。墓地管理者が特定できるなら、改葬手続きは問題ないでしょう。

 <墓主(墓地管理者)が申請する>
 ①役所で「改葬許可申請書」をもらう
 ②墓主(墓地管理者)が署名・捺印をする
 ③再度役所へ提出

ただ改葬手続きの詳細は自治体によって違いもあります。
墓主(墓地管理者)が書類に署名・捺印をする自治体、墓主(墓地管理者)が「埋葬(埋蔵)証明書」を提出する自治体もあるでしょう。

改装許可申請が無事に受領されると、「改葬許可証」が自治体より発行されます。

改葬手続きでは、改葬先が発行する「受け入れ証明書」の提出を求められる自治体も多いですので、手続き前に改葬先を決めておくと、より対応しやすいです。

さらにお墓の形式を終了する墓じまいでは、墓地の廃止届も役所に提出します。 

[参照]
改葬許可申請書|沖縄市

[参照]
改葬許可について|那覇市

個人墓地の墓じまいで受ける相談には、墓地管理者である墓主(個人墓地の名義人)が特定できないケースもあるでしょう。
この場合は、墓地台帳の確認により個人墓地の名義人を特定できます。 

<墓地台帳>
[保管場所]・お墓がある自治体の役所
[内容]・墓地管理者の情報

 古い個人墓地の場合、継承時に手続きを行ってこなかったケースでは、そもそも墓地管理者が亡くなっているケースも多くありました。

また無許可墓地で墓主不在のお墓を墓じまいする要望もあるでしょう。
このような場合には、細かく役所に相談しながら、各種手続きを進めます。

改葬・墓じまい・墓地引取り
個人墓地は相続できる?

「墓地」でも売却をすることで墓地の運営者が変更されますが、現行の墓埋法では、墓地運営は行政の許可を得た宗教法人公益財団法人でなければなりません。

現行の墓埋法では原則として、墓地の運営許可は個人には与えられないため、個人間での売買は現実的ではありません
また個人墓地を宗教法人などが買い取るケースも、ほぼないでしょう。 

 ●けれども「墓地」としての形式を廃止した土地であれば、売買できます。

個人墓地としての形式を廃止し、通常の土地として売買する方法です。
個人墓地を廃止する場合、まずは地方自治体の役所に相談してみましょう。

また個人墓地の売却は親族間トラブルも起きがちです。
墓主だからと独断で決めることなく、親族間で相談をしながら進めます。 

[墓じまいトラブル]
墓じまいで起きがちなトラブルは?霊園や親族、思わぬトラブル13の事例と解決策を解説

【沖縄の終活】相続財産の範囲はどこまで?生前整理をしておこう

個人墓地は、一般的な墓地やお墓と同じく「祭祀財産」です。
そのため次の墓主は、個人墓地を祭祀財産として「継承」しますので、相続財産には該当しません。 

<祭祀財産とは>
[相続財産]●遺産分割に含まれる
・相続税がかかる
・固定資産税がかかる
・通常の土地として扱う
(土地の売却ができる)
[祭祀財産]●遺産分割に含まれない
・相続税がかからない
・固定資産税がかからない
・みなし墓地としての許可を得ている
(墓地の売買はできない)

墓地として認められない無許可墓地は、墓地が存在していても一般の土地と同様に扱われ、相続財産になる可能性があります。

また一般的には墓地の売買は許されていません。
そのため個人墓地を墓じまいして売却したい場合には、まず個人墓地を廃止する手続きを行う流れになるでしょう。

公営墓地や民間霊園・寺院墓地では、墓地内の区画を永代使用権を得て利用しますが、その権利の売買は法律で禁止されています。
(墓地の永代使用権も祭祀財産であり、相続税や固定資産税はかかりません。) 

「みなし墓地」として許可を得ていれば、遺骨の埋葬は可能です。
ただし個人墓地が無許可墓地だった場合、みなし墓地として認めてもらう段階を踏まなければなりません。 

 ●無許可墓地だった場合、まずお墓がある地域の自治体へ相談しましょう。

昭和23年に施工された墓埋法では、無許可墓地への埋葬は違法です。
充分な証明書類がなくみなし墓地と認定されない場合は、新しく納骨できません。

民間霊園や寺院墓地など、許可を受けた墓地での埋葬も検討しましょう。 

墓地の大小に関わらず、基本的に個人墓地を新しく造るには、都道府県知事による行政の許可が必要です。

しかし現実のところ、厚生労働省による「墓地経営・管理の指針等について」により規定され、個人で申請しても許可はおりないでしょう。 

<墓地の経営母体>
●下記3つの期間に限定されています。
・市町村等の地方公共団体
・宗教法人
・公益法人

個人墓地の管理者は個人であり、は公共団体でも宗教法人でも公益法人でもないため、どちらにも当てはまりません

ただし個人墓地が一般的だった沖縄では、基本的に民間霊園や寺院墓地、公営墓地への納骨を推奨するものの、個人墓地を許可する自治体もあります。
現代は制限が厳しくなっていますが、まずは確認を取ると良いでしょう。

[参照]
・厚生労働省|平成12年12月6日発行(生衛発第1764号)「墓地経営・管理の指針等について

個人墓地の墓じまい手続きは?

寺院墓地にお墓を建てる檀家制度の慣習がなかった沖縄では、全国的にも個人が所有する個人墓地にお墓を建てる慣習がありました。

そのため全国と比較しても沖縄では個人墓地が現存し、それぞれの自治体も現状を鑑みながら、少しずつ現行の墓埋法に則った葬送へ移行しています。

一方で個人墓地に建つ沖縄のお墓は、個人が墓地を管理するため、継承者が途絶えてしまうと、墓主不在のまま無造作に放置されてしまう、無縁墓問題が深刻化しました。

現在の民間霊園などでは、墓地管理者が遺骨の管理や供養を家族に代わって永代にわたり行い、継承者がいなくても無縁墓にならない「永代供養」が付くお墓が一般的です。

墓主の負担や、継承者問題も解消されるため、個人墓地の墓じまいを検討しているならば、親族と相談して慎重に進めてみてはいかがでしょうか。

【執筆・監修:供養の知恵袋編集長】
株式会社琉球メモリアルパーク 企画担当 仲間 仁史

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