・沖縄の旧盆初日、ウンケーに迎え火は焚くの?
・沖縄の旧盆で、ご先祖様の迎え方は?
・沖縄の旧盆、門前のウンケーの仕方は?
本州と同じように沖縄でも旧盆初日にご先祖様を迎えるウンケーがあります。
ただ本州とはご先祖様の迎え方・拝み方は違うでしょう。
本記事を読むことで、沖縄の旧盆初日に門前で行うウンケーの進め方、ご先祖様の迎え方が分かります。
沖縄の旧盆初日、ご先祖様を迎える「ウンケー」
◇沖縄の旧盆では初日の夕方に、ウンケー(御迎え)を行います
沖縄の旧盆初日は「ウンケー」と呼ばれますが、本来「ウンケー(お迎え)」とは、ご先祖様を迎えることです。
沖縄では旧盆初日の夕方、日が沈む頃に門前に出て、ウンケーを行います。
●2023年沖縄の旧盆は、8月28日(月)~30日
・2023年8月28日(月)…初日ウンケー
・2023年8月29日(火)…中日ナカヌヒー
・2023年8月30日(水)…最終日ウークイ
※4日間日程では、最終日ウークイが8月31日(木)になります。
沖縄の旧盆では、ウンケーを始めるのは夕方頃からで、それまでは早朝から旧盆の準備に忙しい1日です。
(ウンケーは早くから、ウークイはゆっくり、ゆっくり)
この言葉は早朝からのウンケーの準備も意味します。
ただ、この言葉からその昔の沖縄では、ウンケーの日は夕方早くからご先祖様をお迎えし、ご先祖様をお見送りするウークイ(御見送り)は、夜が更けてからゆっくり行ってきたことが分かるでしょう。
・【沖縄の旧盆】2023年は8月28日(月)~30日(水)☆旧盆3日間の進め方を解説
ウンケーで迎え火は焚く?
◇沖縄では本州のような「迎え火」を焚く風習はありません
ただしその昔の沖縄では、トゥーブシ(灯明)を門の両脇に立てて、ご先祖様が家に帰省するにあたり、目印としました。
全国的な「迎え火」も家の目印として焚くため、役割としては同じです。
●トゥーブシ(灯明)は現代、大きなロウソクに変化
・火事の危険性があるため
・集合住宅など、住環境が変化したため
沖縄の旧盆でウンケーにトゥーブシ(灯明)を焚いていた時代は、戦後しばらくまでが最後でしょう。
ウンケーのロウソク
◇ウンケーで門前に供えるロウソクは、大きな屋外用ロウソクです
門前の両脇に供えるウンケーのロウソクは、大きな屋外用ロウソクを用意します。
現代では災害用に、風にも強いロウソクも販売されているので、このようなロウソクも便利でしょう。
沖縄の旧盆では、門前のウンケーでお線香も供えます。
昔はトゥーブシ(灯明)やロウソクの火を用いてお線香に火を付けましたが、現代では別にライターなどの火を用意する家が多いです。
そのため、そもそも火を使わない電池式のLEDロウソクも、用いられるようになりました。
ウンケーに本州式の迎え火
◇最近は本州と沖縄の風習がミックスし、本州式の迎え火を焚く家も見受けます
例えば家族に本州出身者がいたり、都心部では、本州式のウンケーとして迎え火を焚く家も見受けるようになりました。
背景にはネット販売が発達し、ネットで本州の迎え火の材料が手軽に購入できるようになったこともあります。
ただし沖縄ではトゥーブシ(灯明)の代わりに迎え火を焚くので、その他のウンケーの流れは変わらない場合も多いです。
沖縄の旧盆:ウンケーの流れ
◇沖縄の旧盆でウンケーは、仏前・ナカジン・門前で拝みます
昔ながらの沖縄の旧盆では、ウンケーではお仏前→ジューヌカミ(門の神)→門前へ向かって拝みます。
「ジューヌカミ(門の神)」とは、沖縄の家を守護する10か所6柱の神々様のなかの1柱で、ウンケーを行う門前を守護する神様です。
ウンケー①ジューヌカミカミ
ウンケー②門前でのお迎え
ウンケー③お仏前
ヒヌカンを祀る家では、沖縄の旧盆初日、ウンケーの朝に本日がウンケーの日であることを報告し、無事に旧盆日程が済ませられるよう、守護を祈願する事も大切です。
・【沖縄の春彼岸】お彼岸に行う屋敷の御願とは?六柱の神々と十ヶ所の拝み処
沖縄ではお墓までウンケーするの?
◇一部ではお墓までお迎えに上がり、ご案内する地域もあります
ただ沖縄では旧盆の6日前の旧暦7月7日、2023年は8月22日(火)にお墓参りをして、ご報告を済ませてしまう家が一般的です。
それでは、沖縄の旧盆初日のご先祖様のお迎え「ウンケー」の儀礼を、それぞれの工程で解説します。
・【沖縄旧盆】2023年8月22日(火)沖縄のタナバタ(七夕)!お供え物や拝み方とは
ウンケーで門前へ持って行くもの
◇夕方頃になったら、ローソクとお線香を門前へ持って行きます
前述したように、沖縄のウンケーでの迎え火は一般的にロウソクです。
夕方頃になったら、下記を門前、もしくは玄関先に持参します。
ウンケーを主に行う人は、お仏壇があるムチスク(宗家)の家長です。
集まった人々は、家長に倣い合掌して拝みます。
ロウソク2本は門の両脇に立て、中央でジュウニフンウコー(十二本御香)を供えます。昔は地べたに置きましたが状況により、ウコール(香炉)を用意するなど、工夫をしてください。
ミンヌク(水の子)は門前に持って行く?
◇なかには旧盆のお供え物「ミンヌク」を門前まで持参する家もあります
「ミンヌク(水の子)」とは、ご先祖様についてきた無縁仏や餓鬼、チガリムン(魑魅魍魎)へ、ご先祖様のお供えを食べないよう、供えるものです。
沖縄の旧盆では初日にショウガの葉を入れたジューシー「ウンケージューシー」を夕食に供えますから、人参など食材の切れ端をまとめて盛ります。
・【2023年沖縄の旧盆】初日ウンケーは8月28日(月)お供え物や飾り方|準備を解説
ウンケー①ジューヌカミ
◇ロウソク2本を門前の両脇に立てお線香を供えたら、ジューヌカミへ拝みます
最初に家の門を守護するジューヌカミ(門の神)へ、旧盆によりご先祖様をお迎えすることを報告します。
ここでも家長が中心となって進めてください。
・ご先祖様を迎えるウンケーを行う
・どの家か(住所)
・無事にウンケーが済ませられますように
・(ご先祖様へ)どうぞいらしてください
以上を最初にナカジンヌカミに報告し、守護をお願いするならば、現代の言葉でも問題はありません。
「ウートゥートゥー、ジューヌウカミガナシー、
(あな尊き、門の神様)
チューヤァ シチグァチヌ ウンケーヌヒー、ナトゥリビン。
(本日は旧盆のウンケーの日になりました。)
クリカラ ウヤフジヌウンケー スーリビングトゥ、
(これからご先祖様をお迎えしますので、)
ブジニ ウンケーシミティ ウタビミスーリ。
(無事にウンケーをさせてください。)
クマヤ ○○町○○、○○番地ヌ〇(住所)ヌ、
(こちらは○○町○○、○○番地ヌ〇(住所)の)
チネーサンムトゥカラ ディービル。
(家から拝んでおります。)
クァックマガンチャァ シュルディ、
(子々孫々が集まり、)
ウヤフジガナシーヌ ウンケーヌ スーリビングトゥ、
(ご先祖様のウンケーを行っておりますので、)
クマカラヤーンカイ、メンスーリ クィミスーリ。
(こちらからいらしてください。)
ウートゥートゥー。
(あな 尊い。)」
ミンヌクを門前まで持ってくる家では、門の外側に置きます。
そうすることで、ご先祖様に付いてきた無縁仏やチガリムンが家の内に入らないとされてきました。
ウンケー②門前でのお迎え
◇門前に供えたお線香を、家内の仏壇まで持って行くことで、ご先祖様をご案内します
ウンケーの拝みを終えたら、門前にいらっしゃったご先祖様を家までご案内する儀礼です。
地域によって違いますが、沖縄の旧盆で広くは、供えたお線香を家内のお仏壇まで持って行き、お仏前のウコール(香炉)に供えることでご案内をします。
「チネーサンムトゥンカイ、アンネーサビラ。」
(家の中まで、ご案内します。)
こちらも現代の言葉で問題はありませんが、昔ながらの沖縄言葉でご案内するならば、上記の言葉を添えてお線香を移動します。
地域によって、お線香はそのまま門前に燃え尽きるまで置く家もあるでしょう。
ただこのような地域では、現代は火の用心の観点から、門前のお線香に水を掛けて消し、お仏前の拝みへ移るようになりました。
ウンケー③お仏前
◇門前で供えたお線香を家のウコール(香炉)に立て、拝みを捧げます
お線香とともに家のお仏壇までご案内したら、お仏壇のウコール(香炉)に立てることで、ご先祖様はお仏壇の位牌を依り代として、旧盆の3日間を過ごすことができるでしょう。
こちらでも、家長はジュウニフンウコー(十二本御香)を供えて拝みます。
「ウートゥートゥー、ジューヌウカミガナシー、
(あな尊き、ご先祖様)
チューヤァ シチグァチヌ ウンケーヌヒー、ナトゥリビン。
(本日は旧盆のウンケーの日になりました。)
チューカラジューグニティマディ、シチグァチヌ ウトゥイムチ サビングトゥ、
(今日から15日まで、旧盆のおもてなしをいたしますので、)
ウキトゥイジュラスァ ウタビミスーリー。
(どうぞ受け取ってください。)
ナイムンウージニ、ウンケージューシー、ウンケーダーグ、ウカザイアギャビテ、
(果物さとうきびに、ウンケージューシー、ウンケー団子を飾って、)
ウトゥイムチ スーリビングトゥ、ウキトゥイジュラスァ ウタビミスーリ。
(おもてなしをしていますので、受け取ってくださいますよう。)
マタ、クァックマガンチャ ムル、
(また、子々孫々がみな、)
カラタガンジューアラチ クィミスーリ、
(体も丈夫にしてくださり、)
サカイハンジョーシミティー クィミスーリ。
(栄えて繁盛させてくださいますよう。)
ウートゥートゥ。
(あな、尊い。)」
家長がウンケーの拝みを終えたら、集まった人々は、それぞれサンブンウコー(三本御香)を供えて「ウートゥートゥー」と合掌してください。
●サンブンウコー(三本御香)
・日本線香…3本、もしくは1本
・沖縄線香(ヒラウコー)…半ヒラ(半分)
沖縄では昔から、旧盆時期のお線香に沖縄線香(ヒラウコー)ではなく、日本線香を用意する習慣があります。
実は沖縄線香(ヒラウコー)はお得ですが香りがなく、旧盆のおもてなし時期には香り高い「カバシウコー(香り御香)」と呼ばれる日本線香が好まれるためです。
沖縄の旧盆はウンケーから始まります
沖縄の旧盆は、ウンケーの儀礼によるご先祖様のお迎えから始まります。
昔は全国的な迎え火の役割として、門前に二基のトゥーブシ(灯明)を立ててきましたが、今ではすっかりロウソクへと役割交代しました。
さらに集合住宅や住宅の密集地域が増え、より火の安全を保つことから、電池式LEDロウソクなどを迎え火代わりとする家も増えています。
昔は日の暮れた暗い夜、トゥーブシ(灯明)の灯りで影踏みをしながら、夏の夜を楽しむ子どもの風物詩がありましたが、何よりも子ども達、家族の安全が第一です。
迎え火を焚く時には大人が常に管理して、家に入る時にはしっかりと消して入りましょう。
・【沖縄の旧盆】2023年の旧盆ナカヌヒーは8月29日(火)☆お供え物と拝み方を解説