・赤ちゃんの手元供養の仕方は?
・胎児の赤ちゃんに戒名は付けられる?
・死産の赤ちゃんは戸籍に入る?
・水子供養はいつまでに行う?
胎児の状態で亡くなった赤ちゃんを手元供養で、身近に感じながら供養したいご両親は多いです。
実際に赤ちゃんを手元供養にして、日々の暮らしのなかで毎日会話をすることで、その哀しみを越えて、赤ちゃんに見守られながら、前向きな第一歩を歩みだすご両親は少なくありません。
本記事を読むことで、胎児の状態で亡くなった赤ちゃんの手元供養の仕方や、戒名は付けられるのか、戸籍についてや、水子供養の時期や方法が分かります。
赤ちゃんの手元供養とは

◇赤ちゃんを身近に感じながら、手元で供養することです
赤ちゃんの手元供養とは、自宅に祭壇(ミニ仏壇)を仕立てたり、アクセサリーを持ち歩くなどして、日々の暮らしのなかから、身近で供養をすることを差します。
一般的に遺骨はお墓に納骨しますが、法律的に遺骨を自宅や身近に置くことは可能です。
違法となる行為は、赤ちゃんの手元供養を検討しているご両親であれば、まず選択することはないケースばかりでしょう。
<違法となる遺骨の扱い> | |
[合法] | ・自宅に保管し供養する ・適切に散骨する |
[違法] | ・遺骨を公共の場所に放置する ・ゴミとして捨てる ・墓地以外の場所に埋葬する |
もちろん、既にご家族のお墓がある場合には、お墓に埋葬することで、ご先祖様に赤ちゃんを見守ってもらうこともできるかもしれません。
しかし、お墓で供養すると赤ちゃんの存在が遠くに感じられてしまうと悩む方々も多いのです。
・昭和23年5月31日(法律第48号)厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」
胎児で亡くなった赤ちゃんの火葬や葬儀
◇赤ちゃんの火葬や葬儀は、その状況や週数による判断です
赤ちゃんがお母さんのお腹にいる時に亡くなってしまった場合、必要となる手続きは、亡くなった時の妊娠週数、そして状況によって異なります。
妊娠12週までに亡くなった赤ちゃんは行政手続きはなく、胎児も衛生問題から引き取ることはできません。
けれども赤ちゃんの供養は、亡くなった赤ちゃんの心(魂)に対して行うものですから、あらゆる方法で供養ができます。
<違法となる遺骨の扱い> | |
[週数] | [手続き] |
(1)妊娠12週未満 | ・手続きはありません ・胎児は業者に引き取ってもらう |
(2)妊娠12週以降 | ・死産届の提出 ・火葬を行う |
(3)妊娠22週以降 | |
[摘出時に呼吸がない] | ・死産届の提出 ・火葬を行う (戸籍には残らない) |
[摘出時に呼吸がある] | ・出生届の提出 ・死亡届の提出 ・火葬を行う (戸籍に残る) |
(4)妊娠24週以降 | ・24時間以降の火葬 ※その他は妊娠22週に同じ |
妊娠12週以降の赤ちゃんに対しては、行政手続きや火葬が必要になりますが、一方で葬儀は必ずしも必要ではなく、ご両親の心の痛みや周囲への配慮から、葬儀を行わないケースが多いです。
赤ちゃんの供養はいつでもできますし、赤ちゃんの供養は外に対してではなく、ご両親や家族が生きるための一歩を歩むためのひとつの区切り、セレモニーとしての役割が大きいものでしょう。
ご両親の心が回復してから、落ち着いた頃に気のおける人々のみで行っても、問題はありません。
・死産・流産の違いとは?何か月から火葬?死産・流産・中絶の赤ちゃんの処置や手続きは?
手元供養以外の赤ちゃんの供養
◇水子供養を受け付けてくれる寺院で供養します
水子供養は、亡くなった赤ちゃんのため、残されたお母さんやお父さんのために行われます。
ご遺骨がある水子供養では、墓主から許可が下りるならばお墓に納骨しても問題はありません。
寺院や墓地管理者が家族に代わり永代に渡り供養をしてくれる「永代供養」を受け付ける墓地もが多いでしょう。
<手元供養以外の赤ちゃんの供養> | |
[供養方法] | [費用相場] |
(1)永代供養 | ・約3万円~20万円 ・寺院に供養を依頼する ・法名や戒名を授けてもらう |
(2)遺骨を納骨 | ・約1万円~20万円 ・お墓に納骨 (先祖代々墓など) ・納骨堂に納める ・水子地蔵尊の建立 |
(3)水子供養 | ・約5千円~5万円 ・卒塔婆を建てる ・読経供養 ・水子地蔵尊に参拝 ・お地蔵の石仏を奉納 |
「卒塔婆(そとば)」は沖縄ではあまり馴染みの薄い供養方法ですが、赤ちゃんを供養するための木の塔で、全国的にはお墓の後ろなどに建てられます。
卒塔婆はあの世への手紙とする考え方もあり、多く選ばれる供養方法です。
沖縄の個人墓地に建つ門中墓などでは、墓地の敷地内に小さな祠を建てることもあります。
水子供養は赤ちゃんへの供養、ご両親が赤ちゃんに見守られながら、日々を歩みだすためにあるものなので、ご両親が納得できて、心が温かくなる方法を選びましょう。
赤ちゃんに戒名は付けられる?
◇赤ちゃんに戒名を授けてくれる寺院はあります
特に赤ちゃんの手元供養で位牌を仕立てる時に、水子供養を行う寺院に相談をして、戒名を授けていただくご両親も多いです。
赤ちゃんの戒名は、約3万円ほどが費用目安ですが、依頼する宗派やランクによって異なるため、事前に確認してください。
これは赤ちゃんがまだ現世の穢れに触れていないため、戒名なしでも極楽へ行けると考えられているからです。
しかし戒名をつけることに制限はないので、希望があればお世話になっているお寺や菩提寺に相談してみると良いでしょう。
赤ちゃんは戸籍に入る?
◇医師の判断により、出生届を出すケースがあります
お母さんのお腹から生まれ出た時に、息をしていた場合は「出産後に亡くなった」と判断されますが、これは立ち会った医師による判断です。
そのため赤ちゃんがこの世にいた証として、戸籍を作りたいと希望しても、ご両親の希望で戸籍に入る・入らないを決めることはできません。
●出産後に亡くなった
・死亡届の提出
・出生届の提出
(赤ちゃんの名前を決める)
これらの手続きは、提出者の住所地または亡くなった地域の行政窓口で行います。
けれども赤ちゃんの手元供養において、位牌に書く内容は自由です。
そのため妊娠中から決めていた赤ちゃんの名前を記すなどして、確かにこの世にいた証とすることもできます。
赤ちゃんの遺骨を散骨できる?
◇赤ちゃんに限らず、供養を目的として散骨は違法ではありません
供養目的として散骨は法的に違法ではなく、海や山林、空へ遺骨を散骨するセレモニーが、ご両親や家族にとって、温かな思い出と変わるきっかけにもなります。
ただし赤ちゃんの遺骨は小さいものの、散骨を禁止する自治体もあり、人骨の散骨を嫌がる人々もいるため、散骨業者に依頼し、丁寧な供養が大切です。
●散骨業者に依頼する
・2mm以下に粉骨する
・自治体の決まりを守る
ご遺骨を細かく砕く「粉骨」を適切に行わない場合、死体等遺棄罪などの法律に抵触してしまう可能性があります。
また散骨は、ご遺骨を2mm以下の細かなパウダー状に粉骨しなければなりません。
ご遺骨が大きいままであると違法とされることがあるためです。
散骨業者では粉骨から請け負ってくれる業者が多いため、粉骨も含めて依頼すると良いでしょう。
赤ちゃんの手元供養を選んだ理由

◇ご両親の希望に沿い、赤ちゃんの手元供養方法を選びます
赤ちゃんの手元供養とは「赤ちゃんを自宅で供養する」ことです。
「自宅供養」とも呼ばれますが、どのような赤ちゃんの手元供養の形にしろ、ご両親やご家族の身近で、赤ちゃんが供養されます。
(1)赤ちゃんを身近に感じるため
(2)遺骨の納骨に抵抗がある
(3)まず心を落ち着かせたい
(4)毎日手を合わせたい
(5)周囲に内緒で供養したい
(6)手元供養の可愛らしい仏具をみたため
赤ちゃんの手元供養を選んだ人々の声を聴くと、このような理由がありました。
また、ご両親のなかには火葬をしたものの、小さな赤ちゃんを暗いお墓に入れるのは
寂しそうで、赤ちゃんの手元供養を選択するご両親が多いです。
このようなことから、実は赤ちゃんの手元供養だけではなく、手元供養自体が急速に普及し、過去10年間で手元供養の需要は50倍に増えました。
赤ちゃんを手元供養にするメリット
◇ご両親にとって、周囲に内緒で供養できるメリットは大きいです
ご両親にとって赤ちゃんを失う経験はとても大きな哀しみに繋がります。
周囲の人々に励まされて立ち直る人々もいますが、「そっとしておいて欲しい」「周囲に知られたくない」と感じるご両親は多いでしょう。
<赤ちゃんを手元供養にするメリット> | |
(1)家族や親族、周囲に内緒で供養できる …中絶などの事情がある人にとっても適しています。 | |
(2)安い費用で手厚い供養ができる …約数千円~数十万円まで、予算設定は自由です。 | |
(3)赤ちゃん向けの供養品が多くある …赤ちゃんの手元供養品が多く販売されています。 | |
(4)一時的な供養法として利用できる …後々、他の供養方法を選ぶこともできます。 |
赤ちゃんの手元供養は小さな骨壺をベッドサイドに置いたり、キーホルダーやネックレスのペンダントトップにご遺骨を入れて持ち歩くなど、数千円からの供養も可能です。
そのため赤ちゃんの手元供養は、少ない予算で赤ちゃんを手厚く供養したい時にも向いています。
赤ちゃんを手元供養にするデメリット
◇赤ちゃんの手元供養は、家族で決めて行います
赤ちゃんの手元供養は、ご夫婦やご家族で話し合い進めると良いでしょう。
赤ちゃんに限らず「手元供養」自体が、まだまだ新しい供養方法だからです。
もちろん周囲に知られず赤ちゃんの手元供養を行う方法はありますが、家族みんなで赤ちゃんを偲び、供養をしたいと考えるご両親は多いです。
赤ちゃんの祖父母が健在であれば、祖父母まで理解を得ることで、より堂々と供養を行うことができます。
・手元供養のメリット・デメリットとは?位牌はどうなる?選ぶ理由に合わせた適切な対処を
赤ちゃんを手元供養にする方法

◇赤ちゃんの手元供養は、ご遺骨を祀る以外でもできます
赤ちゃんの手元供養は、ご遺骨を祀る方法のみではありません。
ご遺骨を分骨した一部でも手元供養はできますし、この他にも、写真などの形見を身近に保管する方法もあります。
赤ちゃんの手元供養の品は、小さな骨壷やアクセサリーなど、さまざまな品が販売されるようになりました。
赤ちゃんの手元供養品を扱う仏壇仏具店へ足を運び、我が子を心に描きながら、ぴったりの供養品を選ぶと良いでしょう。
ミニ骨壺
◇ミニ骨壷は、手のひらサイズの小さな骨壺です
とても小さい赤ちゃんのご遺骨を納めるのに、丁度良い大きさでしょう。
手のひらサイズなので、赤ちゃんを思い偲ぶ時、深い悲しみに飲まれそうな時、ミニ骨壺をそっと包むことができます。
ミニ骨壺は持ち運びもできるので、そっと旅行や法事に赤ちゃんとともに参加できるでしょう。
遺骨ペンダント
◇「遺骨ペンダント」は、ペンダントで持ち歩く供養です
ペンダントトップに赤ちゃんの遺骨を納めて持ち歩く供養方法で、内部が空洞になっていて、ごくわずかな量の遺骨を納めることができます。
女性用の遺骨ペンダントはもちろん、男性用のデザインや、ブレスレットタイプ、キーホルダータイプなどもあるので、暮らしに合わせて選ぶことができるでしょう。
ミニ仏壇を仕立てる
◇小さな仏壇やステージに祀る供養方法です
「ミニ仏壇」は小さなハガキサイズほどのステージ(祭壇)を設けて、骨壺を祀り、お花などを供える赤ちゃんの手元供養です。
スペースが限られているけれども、仏壇で供養したいご両親に選ばれています。
赤ちゃんに兄弟がいるお家では、リビングに祀られていることも多いです。
ミニ仏壇は、モダンでおしゃれなデザインや昔ながらスタイルまで、さまざまな種類があり、様々な生活スタイルや家の雰囲気に合わせることができます。
オブジェに納める
◇陶器やインテリアオブジェなどに、ご遺骨を納めます
家族の暮らしの中心であるリビングで、赤ちゃんの手元供養をしたいものの、来客があった時、遺骨が入っていることに気付かれたくないご両親などに選ばれます。
オブジェはぬいぐるみタイプ、インテリア小物風など、さまざまなタイプが販売されているでしょう。
また赤ちゃんのご遺骨を加工する手元供養もあります。
赤ちゃんのご遺骨がない手元供養

◇赤ちゃんのご遺骨がなくても、手元供養は可能です
妊娠週数12週以前に亡くなった赤ちゃんのご遺骨は、衛生上、専門業者が引き取りますので、赤ちゃんのご遺骨は残りません。
また妊娠週数12週以降に亡くなった赤ちゃんでも、とても小さな体なので、火葬の過程を経てご遺骨がなくなってしまうことも多くあります。
ご両親にとっては胸が張り裂けそうな想いがあるでしょう。
けれども赤ちゃんは確かにご両親と一緒に時を過ごしました。
そして、赤ちゃんの魂は、ご遺骨がなくても手元供養ができます。
位牌を祀る
◇位牌を祀り供養する、赤ちゃんの手元供養です
赤ちゃんのご遺骨が残っていたとしても、水子供養では寺院に納骨したり、ご住職へ一度だけの永代供養をお願いする形式が一般的でした。
そのため赤ちゃんの位牌を仕立てることは少なかったのですが、現代は手元供養が広がり、水子供養でも位牌を仕立てるご両親が増えています。
①戒名を使ったお位牌
(戒名授け…約3万円ほど~)
②お名前を使ったお位牌
位牌を仕立てる場合、赤ちゃんの名前をどのように記載するかはご両親の希望に沿いますが、沖縄ではご両親の想いを込めた、この世のお名前「俗名」を記載する選択が多い傾向です。
ただし菩提寺がある場合、宗派によってお位牌を作らないケースがあります。
事前にお寺のご住職とご相談しておくと良いでしょう。
・「檀家制度」とは、「戒名」は必ず必要?菩提寺(檀那寺)との関係性
香合仏
◇小さな仏様を持ち歩く、赤ちゃんの手元供養です
「香合仏」とは、お香を収納する蓋つきの「香合」に似た、小さな仏様です。
水子供養の地蔵尊や水子観音様を日々持ち歩き、赤ちゃんを身近に感じながら、ご両親の心も癒します。
・水子地蔵尊
・水子観音香合仏
…など。
香合仏を開くと、そのなかは小さなお仏壇です。
水子地蔵尊や仏様に見守られながら、赤ちゃんが安らかに眠る世界が広がっていますので、ご両親は安心した気持ちで赤ちゃんを供養できるでしょう。
まとめ:赤ちゃんを手元供養して、共に再生します

まだこの世の穢れを知らない水子の赤ちゃんは、手元供養をすることで、ご両親やご家族の心が安らぐように願っている、と言われます。
仏教における河原で石を積み上げる「賽の河原」の物語では、ご両親が涙を流すたびに、子ども達が辛い想いをしていました。
子ども達は後に地蔵尊様に救われますが、子ども達のためにも、ご両親はゆっくり・ゆっくりと一日一日、一歩ずつ前を向いて生きて行きます。
その過程で、赤ちゃんの手元供養は、赤ちゃんを身近に感じながら、赤ちゃんと一緒に再生の道を歩むための、温かな道しるべです。