手元供養のメリット・デメリットとは?位牌はどうなる?選ぶ理由に合わせた適切な対処を

2023.07.05
手元供養のメリット・デメリットとは?位牌はどうなる?選ぶ理由に合わせた適切な対処を

手元供養とは、ご遺骨を手の届く場所で供養することです。自宅で骨壺を祀る方法と、アクセサリーに粉骨したご遺骨を収納し持ち歩く方法があります。本記事では手元供養のメリットとデメリットを、目的や理由に合わせた適切な対処法とともに解説します。

・手元供養のメリット、デメリットとは?
・手元供養をしても位牌はどうなる?
・手元供養のデメリットに対処法はある?

手元供養」とは、ご遺骨を手の届く場所「手元」で供養することです。
自宅で骨壺を祀る方法と、アクセサリーに粉骨したご遺骨を収納し、持ち歩きながら供養する方法があります。

本記事では手元供養のメリットとデメリットを、手元供養の目的や理由に合わせた適切な対処法を解説します。
 

手元供養とは?メリット・デメリット

手元供養とは?メリット・デメリット
◇「手元供養」とは、家族のご遺骨を手の届く場所で保管し供養することです

手元供養のデメリットとしては、日本全国で昔から「ご遺骨は納骨するもの」とされてきたため、家族や親族から理解が得られにくい点があるでしょう。
 

●納骨後に手元供養をしたい場合、お墓から遺骨を取り出す手続きや作業を行う手間暇があります。

 
ただ手元供養とは新しい供養の形のひとつとして広がり、法的に問題はありません
宗教的にも「成仏しない」などの声がありますが、どのような宗教の人でも手元供養が可能です。
 

 

手元供養のタイミングによるデメリット

手元供養のタイミングによるデメリット
◇手元供養は火葬後すぐの他、お墓に納骨後のタイミングがあります

手元供養は新しい形の自由な供養となり、「いつまでにしなければならない」などの決まり事や期限はありません
大まかに手元供養を行うには、3つのタイミングがあります。
 

<手元供養とは:3つのタイミング>
[納骨前] ・火葬の後
[納骨後] ・個別に取り出す
・墓じまい

 
納骨前、火葬場からご遺骨を受け取ったタイミングでの手元供養なら、行政手続きのデメリットはほとんどありません。
 

納骨前、火葬後に手元供養

◇納骨前に手元供養にする場合、行政手続きの煩雑さはありません

ただ新しい供養の形として手元供養を選ぶ時のデメリットとして、位牌を仕立てるかどうか、戒名は授かるかどうか、今後の法要の有無などで迷うご遺族も多いです。
 

<納骨前の手元供養:手順とデメリット>
[手順] [場所/依頼先]
(1)埋葬許可証の受け取り
(火葬許可証に印)
・火葬場
(2)ご遺骨の手入れ
・粉骨、乾燥など
・粉骨業者
(3)手元供養
・骨壺や祭壇の購入
・自宅
・仏壇仏具店
[デメリット]
(1)位牌を仕立てるか ・仏壇仏具店
・寺院
(2)戒名を授かるか ・寺院
(3)法要はどうするか ・家族、親族と相談

 
ただし納骨前に行う手元供養のデメリットは、ご遺骨の供養管理をする主たる祭祀者である場合のみ、あてはまる事柄になるでしょう。

火葬場で一部を分骨してもらった時の手元供養では、戒名や位牌で悩むデメリットはほぼありません。
 

 

納骨後の手元供養

◇一度納骨したご遺骨を手元供養にするには、遺骨の取り出しをします

一度納骨したご遺骨をお墓から取り出し、新しいお墓や納骨堂などに移すことは、行政手続き上「改葬(かいそう)」です。

手元供養は取り出した遺骨を自宅で供養しますが、お墓から取り出すため、「改葬許可証」を、お墓がある自治体から発行してもらわなければなりません。
 

<納骨前の手元供養:手順とデメリット>
[手順] [依頼先・対策]
(1)埋葬証明書をもらう 既存墓地
※個人墓地はなし
(墓地の地図を印刷など)
(2)改葬許可証の受け取り
・埋葬証明書
・改葬許可申請書
・墓地がある自治体の役所
(3)遺骨の取り出し ・石材業者
(4)ご遺骨の手入れ
・洗骨
・殺菌
・乾燥
・粉骨
粉骨業者
・散骨業者
・仏壇仏具店に相談
(5)手元供養
・仏壇や祭壇、仏具の購入
仏壇仏具店
・自宅
[デメリット]
(1)行政手続きが煩雑 事前に電話確認して書類を準備
(2)遺骨の取り出しが必要 家族親族の許可を得る
・石材業者に相談
(仏壇仏具店に相談)
(3)ご遺骨の状態が悪い 洗骨、殺菌を依頼
・乾燥、粉骨を依頼
・粉骨業者に相談
(仏壇仏具店に相談)

 
一度、お墓に納骨された遺骨は、石材業者に依頼して取り出します。
自分達で遺骨の取り出しもできますが、墓石は重く危ないので、業者に依頼した方が安全です。

また、お墓は湿気が多いため、取り出した遺骨の状態はカビが生えているなど、決して良くはありません。

手元供養の祭壇を購入する仏壇仏具店に相談すると、適切な墓石業者や粉骨業者を紹介してくれるでしょう。
 

 

墓じまいによる手元供養

◇「墓じまい」とは、お墓を閉じることです

墓じまいも納骨後のタイミングと同様に、遺骨を取り出す作業や手続きの煩雑さが、手元供養のデメリットにありますが、それ以上に、複数のご遺骨を取り出し、供養をしなければなりません。
 

<墓じまいの手元供養:デメリット対策>
[内部調査を依頼]
・遺骨の柱数が分かる
・ご遺骨の状況が分かる
・予算が立てやすい

 
仏壇仏具店や霊園などで相談すると、石材業者を紹介してくれるでしょう。
一般的にはごく近しい故人のご遺骨のみ手元供養にして、残りのご遺骨は合祀墓などで永代供養で供養します。
 

<墓じまい後、手元供養をしない遺骨は?>
[ご遺骨の扱い] [ご遺骨は残る?]  [費用目安]
・合祀墓 × 約10万円/1柱~
・納骨堂 約25万円/1柱~
(年間管理料あり)
・海洋散骨 × 約15万円/1柱~
(委託の場合)
・集合墓 約60万円/1柱~
・個別墓 約100万円~

 
「永代供養」とは、家族にかわり施設管理者がご遺骨の管理や供養を永代に渡り行うことで、一定年数が更新なく過ぎると、合祀墓に合祀埋葬されます。

沖縄の門中墓でも、全国的な先祖代々墓でも継承者がいない、遠方に住み墓守ができない、などの理由で墓じまいは増えている状況です。
 

 

手元供養のメリット・デメリットを比較

手元供養のメリット・デメリットを比較
◇手元供養を選ぶことで、ご遺骨の安置場所や管理に困らなくなります

昔の手元供養は、多くが大切な家族を亡くした喪失感により、なかなか納骨できないなど、喪失感を癒す「グリーフケア」が目的のほとんどでした。

けれども現在は、新しい供養の形として、コストが掛からず管理がしやすいために、手元供養を選ぶ人が増えています。
 

手元供養のメリットとは

◇手元供養のメリットは、費用を抑えた供養ができる点です

「お墓を持たない」新しい供養の形が選ばれる今、納骨堂や室内墓所、樹木葬などの自然葬を選ぶ人々が増えましたが、なかでも手元供養は費用を抑えることができます。

ご遺族の意向により、祭壇や仏壇など、仏具も選択肢が豊富なので、予算に合わせた供養が可能です。
 

<手元供養のメリット>
[費用面] 予算を調整しやすい
・費用を抑えた供養ができる
・年間管理料が掛からない
[管理面] ご遺骨の安置場所に困らない
・身近で維持管理ができる
[供養面] 故人を毎日感じられる
・毎日の供養ができる
[機能面] 専用仏壇や仏具が豊富
・おしゃれな仏具が増えた

 
手元供養は建墓費用と比べて費用が抑えられる他、納骨堂と比較しても自宅保管なので、年間管理料のランニングコストが掛かりません。
お墓がないので墓守の負担がなく、毎日身近でお世話ができるでしょう。
 

 

手元供養のデメリットとは

◇手元供養は新しい供養の形で、周囲から理解を得にくい側面があります

手元供養はご遺骨の安置場所に困ることなく、費用を抑えた供養が実現する、現代の悩みを解決できる供養方法ですが、周囲から理解を得にくいデメリットもあるでしょう。
 

<手元供養のデメリット>
[お参り] 他の人がお参りしにくい
[家族親族] 周囲から理解を得にくい
(対策:伝えること) 法律に違反はしない
・どの宗旨宗派でもできる
・手元供養はいつまでもできる
[ご遺骨の扱い] 供養できなくなった時どうするか
・埋葬許可証の保管が必要
(対策)
生前契約

 
また配偶者のご遺骨を手元供養していた場合や、供養者が亡くなったなど、ご遺骨の供養ができなくなった時の対応も、予め決めておいた方が安心です。

樹木葬や散骨、納骨堂など、生前にご遺骨の扱いを予約できる「生前契約」を済ませて対応する人が多い傾向です。
 

[手元供養と法律、宗教]
・手元供養とは、どういう意味?良くない?やり方や必要なもの、いつまでにすればいいの?

 

手元供養のデメリット?位牌は必要?

手元供養のデメリット?位牌は必要?
◇無宗教であれば位牌は必要ありません

手元供養で供養の対象はご遺骨ですので、日々拝む際に必ずしも位牌が必要な訳ではありません

ただ沖縄の手元供養でデメリットがあるとすれば、「位牌をどうするか?」に迷う人が多いことになるでしょう。
また全国的には仏教徒である場合、浄土真宗以外の宗派で位牌を仕立てます。
 

<手元供養のデメリット:位牌は必要?>
[立場] [位牌の有無]
(1)無宗教 ・必要ない
(2)仏教徒 ・必要
(3)浄土真宗 ・必要ない
(4)沖縄の祖霊信仰 ・状況による

 
沖縄では先祖代々位牌「トートーメー」を重視する文化があります。
トートーメーを継承する家だった場合、家族親族から反対を受ける可能性も高くなるでしょう。
 

無宗教では必要ない

◇無宗教の位牌の扱いは自由です

沖縄では仏壇じまいにより位牌を永代供養やお焚き上げで処分した場合、信仰する寺院「菩提寺」もないので、多くは無宗教になるでしょう。
 

<無宗教の自由>
・位牌のあるなし
・戒名のあるなし

 
ただしご遺骨に関して、手元供養は法的に違法ではないものの、家の敷地内や裏山など、自治体が指定する墓地以外の場所に埋葬すると、刑法190条「遺体の遺棄・破損」にあたります。
 

 

仏教徒は位牌が必要

◇浄土真宗以外の仏教徒の場合、位牌を仕立てます

ほとんどの仏教宗派で、位牌は故人にとって、この世に留まる依り代です。

家族が仏壇に拝み、この世から呼び掛けることで、故人の霊魂が位牌に宿ります。
特にお盆行事では、位牌がないと留まることができません。
 

 

浄土真宗では位牌はない

◇浄土真宗では位牌は必要ありません

浄土真宗の教え「往生即成仏」によると、故人は亡くなるとすぐ、阿弥陀如来様の他力本願の力により、極楽浄土へ案内されます。

故人の霊魂はすぐに成仏するため、この世に霊魂は存在しないことになり、「位牌」の概念がありません。
浄土真宗では、位牌に代わり先祖代々の系譜が分かる「過去帳」を祀ります。
 

 

沖縄の祖霊信仰は状況による

◇沖縄の祖霊信仰の対象こそ、先祖代々位牌「トートーメー」です

沖縄に広く根付く祖霊信仰のシンボルが、先祖代々位牌「トートーメー」であり、厳しいタブーのなか、代々継承されてきました。

そのためトートーメーを継承する家では、手元供養でも残す判断も多いでしょう。
ただし状況により、位牌の永代供養やお焚き上げが増えています。
 

<手元供養のデメリット:沖縄の祖霊信仰>
[状況] [位牌の有無]
●仏壇じまい ・必要ない
●継承していない ・必要ない
●継承している ・必要

 
もともと長男ではないなど、トートーメーを継承する立場になければ、手元供養を選んだり、位牌を仕立てるかどうかも自由度が高いです。

また仏壇を処分する「仏壇じまい」により、継承していたトートーメーを永代供養・お焚き上げするならば、位牌を新しく仕立てる必要はありません。
 

 

手元供養と仏壇の違いとは?

手元供養と仏壇の違いとは?
◇仏壇と手元供養の違いは祀るものです

仏壇に主に祀るものは位牌となり、位牌は故人の霊魂が宿る依り代となります。
一方、手元供養はご遺骨を祀るため、「自宅のお墓」に近い存在です。
そのため必ずしも位牌が必要ではありません。
 

<仏壇と手元供養の違い>
[供養の仕方] [拝みの対象]
●仏壇 位牌
・霊魂の依り代
●手元供養 ご遺骨
・ご遺骨の安置場所
・自宅のお墓

 
手元供養はご遺骨を安置する祭壇であり、御本尊様や仏様を祀ぶ場であったり、「自宅の小さな寺院」ではありません。
思い出深い故人とずっと一緒にいたい、故人との絆を深める祭壇です。
 

手元供養のデメリット:位牌の祀り方

手元供養のデメリット:位牌の祀り方
◇手元供養と位牌を同時に祀っても問題はありません

手元供養は無宗教の家で選ぶ傾向があるように、宗旨宗派を問いません
手元供養では位牌を必ずしも仕立てる必要はありませんが、一方で位牌を処分しなければならない訳でもないでしょう。
 

<手元供養のデメリット:位牌はどうする?>
[選択] [メリット] [デメリット]
(1)位牌を残す 親族に理解を得やすい
・信仰を残せる
継承者問題が残る
・位牌のお世話が必要
(2)別の祭壇で祀る 自分の意向で供養ができる
・親族トラブルの回避
継承者問題が残る
・供養スペースが必要
・費用が掛かる可能性

 
全国的に仏教を信仰する場合、仏壇の中心は信仰する宗派の御本尊となり、その脇に位牌を祀ることになります。

けれども沖縄の手元供養で位牌も残すならば、位牌と骨壺が中心に祀られることになるでしょう。
 

 

位牌を処分するには?

◇位牌を処分する場合、現代は永代供養が一般的です

永代供養」とは、ご遺骨や位牌などを家族に代わり、寺院や霊園などの施設管理者が永代に渡って供養をしてくれることです。

ただし永代に渡り「個別に」供養する訳ではなく、すぐに、もしくは一定年数を更新せずに過ぎると、お焚き上げされ、他の位牌とともに合同供養されます。
 

<手元供養のデメリット:位牌の処分>
[位牌の処分方法] [方法] [費用目安]
(1)位牌の永代供養 仏壇仏具店に相談
・僧侶を紹介してもらう
約2万5千円~5万円/1基
(2)位牌をお焚き上げ ・寺院に相談 約1万円~3万円/1基

 
…などの方法があります。
一方、お焚き上げは昔から行われてきた位牌の処分方法です。

沖縄では自分達で、墓前での位牌のお焚き上げをしてきましたが、現代は火の元の観点から禁止をする自治体も多いでしょう。

一般的には寺院に位牌のお焚き上げを依頼します。
全国的にはお墓が建つ寺院墓地などの菩提寺で相談ができますが、沖縄では菩提寺を持たない家がほとんどです。

そのため近隣の寺院や仏壇仏具店、霊園などに相談しても良いでしょう。
 

 

まとめ:手元供養のデメリットは、周囲の理解やお参りです

まとめ:手元供養のデメリットは、周囲の理解やお参りです
手元供養はお墓を持たない供養の形として費用を抑え、身近で供養や管理ができるメリットがあります。

けれども一方で、沖縄の先祖代々位牌トートーメーを継承している場合など、家族や親族では理解を得にくい状況もあるでしょう・

また墓じまい・仏壇じまいをした人が、手元供養に切り替えることもあります。
お墓やお仏壇(位牌)がない手元供養では、お墓参り行事の「シーミー(清明祭り)」や、従来の盛大な旧盆が営まれることがなくなる家が多いです。

そのため、周囲にとっては手元供養だとお参りがしにくい、デメリットの声も聞こえます。
 

 


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